損害賠償額の算定におけるコストの概念

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:特許権

I 損害賠償額の算定におけるコストの概念

■ ハイライト
原告の主張によると、被告が製造、販売する「ノズルホルダー(DH-J021A)」が原告の所有する発明特許第I260354号(以下、A特許)請求項1の文義上もしくは均等論による範囲に含まれ、又「ノズルコア(812A)」が原告の所有する発明特許第I313310号(以下、B特許)請求項11の文義上の範囲に含まれているため、原告の特許権を侵害している。これにより原告は被告の係争特許権侵害行為に対して損害賠償を請求した。又、被告がそのコスト又は必要経費について挙証できない場合、被告が特許権被疑侵害品を販売した売上総額を以て損害賠償の請求額とする。
被告の抗弁によると、それが製造、販売する「ノズルホルダー」はA特許の技術的特徴とは異なり、A特許の請求項1の文義上もしくは均等論による範囲に含まれず、さらにA特許の請求項1は特許法第26条第2項及び第3項の規定に違反している他、進歩性を有しない。又、B特許は新規性と進歩性を有せず、原告が主張する発明特許はいずれも特許要件を満たしておらず、法に基づいて取り消されるべきものであり、これにより原告の請求を棄却すべきだ。
本案件の裁判所は審理した結果、以下のように認めるものである。原告は被告が製造、販売するノズルホルダーとノズルコアがそれぞれA特許の請求項1とB特許の請求項11を侵害していると主張しているが、B特許の請求項11は進歩性を有さず、特許権を取り消すべきであるため、被告は特許無効とする抗弁を提出することができ、即ち原告は被告がA特許の請求項を侵害するノズルホルダーを製造、販売することよってもたらされた損害賠償のみを請求することができ、ノズルコアがB特許を侵害したことによってもたらされた損賠賠償は請求できない。
損害賠償金額の算定について、裁判所は以下のように認めた。特許法85条第1項第2号の規定によると、発明特許権者が損害賠償を請求する場合、侵害者が侵害行為によって得た利益をその損害とすることができる。又、侵害者がそのコスト、又は必要経費について挙証できない場合は、当該物品を販売して得た売上総額を所得利益とする。即ち、侵害者がそのコスト又は必要経費を証明できる場合は、取得利益からコスト又は必要経費を控除することを主張できる。いわゆるコストと必要経費については具体的に特定されていないが、会計学における直接費と間接費の定義を参酌すると、いわゆる直接費とは追遡可能なコストを指し、即ちコスト・オブジェクト(部署や部品など)に直接的に識別又は帰属できる(割り当てられる)コストである。間接費は特定のコスト・オブジェクトに直接的に識別又は帰属できず、特定の方法でコストを配賦する必要があるコストを指す。特許法第85条第1項第2号で定めるコストと必要経費は会計学上の直接費に近似しており、会計学上の間接費は含まない。このため、権利侵害者がコストと必要経費を証明できる場合、特許権者は特許権侵害者に対して侵害行為による所得利益に応じて損害賠償を請求できる。通常は会計学上の粗利益であり、さらに間接費や税金を差し引いた純利益又は税引利益ではない。【資料出所:知的財産局による整理資料】

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】100年度民專訴字第64号
【裁判期日】2011年1月13日
【裁判事由】特許権侵害の財産権に係わる係争等

原告 エリコン・ヘバライン・テムコ・バットビル・アクチェンゲゼルシャフト(OERLIKON HEBERLEIN TEMCO WATTWIL AG)
法定代理人 ペーター・アンデレグ(Peter Anderegg)
被告 東鴻新世紀有限公司
兼法定代理人 王雄東
被告 東怡紡織機械有限公司
兼法定代理人 魏麗雲

上記当事者間での特許権侵害の財産権に係わる係争等の事件をめぐり、当裁判所は2010年12月23日に口頭弁論を終結し、以下のように判決を下すものである。

主文
被告である東鴻新世紀有限公司(以下、「東鴻公司」)、王雄東、東怡紡織機械有限公司(以下、「東怡公司」)、魏麗雲は原告に対して113万3723新台湾ドルと2011年5月14日から支払済みまでの年5%の割合による利息を連帯で支払うものとする。
被告の東鴻公司、王雄東は原告に対して51万6277新台湾ドルと2011年5月14日から支払済みまでの年5%の割合による利息を連帯で支払うものとする。
被告の東鴻公司、王雄東、東怡公司、魏麗雲は原告の中華民国発明専利第I260354号特許権物を製造、販売、販売の申出、販売、使用すること、又はこれらを目的として輸入する行為を停止するとともに、現有の在庫品をすべて滅却すべきである。
原告のその他の請求は棄却する。
訴訟費用は69%を被告の東鴻公司、王雄東、東怡公司、魏麗雲が連帯で負担し、残りを被告の東怡公司、魏麗雲が連帯で負担するものとする。
本判決第一、二項について、原告が55万新台湾ドルを担保として提供した場合は、仮執行することができる。但し、被告も担保(詳細の金額は省略)を提供した場合は仮執行を免れることができる
原告のその他の仮執行宣言申立は棄却する。

一 事実要約
(一)原告は発明特許第I260354号「ヤーンカナルにおいて紡績糸を空気処理する装置(中国語名:將紗在一紗通道中作空氣處理的裝置、英語名:DEVICE FOR THE AIR TREATMENT OF YARN IN A YARN CANAL)」(特許権期間は2006年8月21日から2024年3月22日まで)、第I313310号「星糸を製造する方法と交絡加工ノズル(中国語名:製造多結紗用的方法與纏結噴嘴、英語名:PROCESS AND ENTANGLING NOZZLE FOR THE PRODUCTION OF KNOTTED YARN)」(特許権期間は2009年8月11日から2025年10月6日まで)等の特許権者である。被告が製造、販売するDH-J021A(ノズルホルダー)は係争の第I260354号特許請求項1の文義上もしくは均等論による範囲に含まれ、又812A(ノズルコア)も係争の第I313310号特許請求項11の文義上の範囲に含まれているため、原告の特許権を侵害している。
(二)民法第28条及び会社法第23条第2項にそれぞれ「法人はその董事(取締役)又はその他代表権を有する者が職務執行上で第三者に与えた損害について、当該行為者と連帯で賠償責任を負わなければならない」、「会社の責任者が業務執行において法令に違反し第三者に損害を与えた場合は、第三者に対して会社と連帯で賠償責任を負わなければならない」と定められており、東鴻公司の法定代理人である王雄東、東怡公司の法定代理人である魏麗雲はそれぞれが所属する会社と連帯で賠償責任を負わなければならない。又、被告がそのコスト又は必要経費を挙証できない場合、被告が特許権被疑侵害品を販売した売上総額を所得利益とすることができる。被告が2011年11月24日付で提出した陳述書及び被告証拠六、被告証拠七で開示している特許権被疑侵害品の販売金額については、特許法第84条、第85条及び民法第179条の規定に基づき、被告が販売した特許権被疑侵害品(ノズルホルダーとノズルコアを含む)から得られた売上総額を損害賠償の請求額とする。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求:
1.被告等は連帯で原告に損害賠償金165万新台湾ドル、並びに起訴状副本の送達翌日から支払い済みまで年5%での割合による利息を支払うべきである。
2.被告等は原告の中華民国発明専利第I260354号、第I313310号特許権物を製造、販売、販売の申出、販売、使用すること、又はこれらを目的として輸入する行為を停止するとともに、現有の在庫品をすべてただちに滅却すべきである。
3.第一項請求について原告は担保を提供するので、仮執行宣言の許可を請求する。
4.訴訟費用は被告等が連帯で負担すべきである。
(二)被告の請求
1.原告の請求を棄却すべきである。
2.訴訟費用は原告が負担すべきである。

三 本件の争点
原告が被告に請求できる権利侵害行為によってもたらされた損害の具体的な算定方法とは何か?
又、不当な取得利益に対して請求できる範囲とは何か?
(一)原告の主張(略)
(二)被告の主張(略)

四 判決理由の要約
一.特許権侵害行為にかかわる損害賠償額の算定
(一)特許法84条第1、3、5項には「発明特許権が侵害された場合は、特許権者は損害賠償を請求するとともに、その侵害の排除を請求することができる。侵害の虞がある場合は、その防止を請求することができる。…発明特許権利者又は専属実施権者が前二項の規定により請求する場合、特許権侵害にかかわる物品又は侵害行為にかかわる原料もしくは器具について、滅却又はその他の必要な処置を請求することができる。…本条に定める請求権は、請求権者が行為及び賠償義務者を知った時から2年以内に行使しないと消滅する。行為発生時から10年を越えた場合も又同じである」、第85条には「前条規定により、損害賠償を請求する場合は、次の各号のいずれかを選んでその損害を算定する。一.民法第216条の規定に準じる。但し、挙証によってその損害を証明できない場合、発明特許権者はその特許権を実施して通常得られる利益より、損害を受けた後に同一特許権を実施して得られた利益を差し引いた金額をそれが受けた損害額とする。二.侵害者が侵害行為によって得た利益とする。侵害者がそのコスト、又は必要経費について挙証できない場合は、当該物品を販売して得た売上総額を所得利益とする。前項規定のほか、特許権者は業務上の信用が侵害行為により毀損された場合は、別途相当額の賠償を請求することができる。前二項の規定により、侵害行為が故意になされた場合は、裁判所が侵害の状況を斟酌して損害額以上の賠償を決定することができる。但し、損害額の3倍を超えることはできない」と規定されている。
(二)原告は2011年4月29日になってやっと本訴訟を提起した。2010年10月8日に書簡で被告の東怡公司に賠償を請求したが、請求後6ヵ月以内に被告の東怡公司に対する訴訟を提起しておらず、訴訟による時効中断の効力は生じない。又、原告は本件訴訟以前に被告の東鴻公司に対して損害賠償を請求していないため、原告からの東怡公司と東鴻公司に対する2009年4月29日以前の損害に対する賠償請求権は2年の時効によって消滅している。
(三)被告の東鴻公司が被告の東怡公司を通じて特許権被疑侵害品を販売した部分については、先ず被告の東鴻公司が製造し、その後被告の東怡公司が販売して発票(領収書)を発行しており、民法第185条第1項前段で定める規定の共同権利侵害行為にあたるため、原告は被告の東鴻公司と東怡公司に連帯で賠償責任を負うことを請求できる。被告の東鴻公司が独自で販売した部分については、原告が被告の東怡公同による共同権利侵害行為の事実を挙証していないため、被告の東鴻公司が単独で損害賠償責任を負うべきである。
(四)会社法第23条第2項には「会社の責任者が業務執行において法令に違反し第三者に損害を与えた場合は、第三者に対して会社と連帯で賠償責任を負わなければならない」と規定されている。調べたところ、被告の王雄東は東鴻公司の代表者であり、被告の魏麗雲は東怡公司の代表者である。被告の王雄東と魏麗雲は、会社がDH-J021Aの生産と販売に従事したことにより、民法と特許法の規定に違反して原告が所有する係争のI260354号特許を侵害して原告に損害をもたらしたため、それぞれ前述規定に基づいて東鴻公司、東怡公司とともに連帯で賠償責任を負わなければならない。
(五)さらに特許法85条第1項第2号の規定によると、発明特許権者が損害賠償を請求する場合、侵害者が侵害行為によって得た利益をその損害とすることができる。又、侵害者がそのコスト、又は必要経費について挙証できない場合は、当該物品を販売して得た売上総額を所得利益とする。即ち、侵害者がそのコスト又は必要経費を証明できる場合は、取得利益からコスト又は必要経費を控除することを主張できる。いわゆるコストと必要経費については具体的に特定されていないが、会計学における直接費と間接費の定義を参酌すると、いわゆる直接費とは追遡可能なコストを指し、即ちコスト・オブジェクト(部署や部品など)に直接的に識別又は帰属できる(割り当てられる)コストである。間接費は特定のコスト・オブジェクトに直接的に識別又は帰属できず、特定の方法でコストを配賦する必要があるコストを指す。特許法第85条第1項第2号で定めるコストと必要経費は会計学上の直接費に近似しており、会計学上の間接費は含まない。このため、権利侵害者がコストと必要経費を証明できる場合、特許権者は特許権侵害者に対して侵害行為による所得利益に応じて損害賠償を請求できる。通常は会計学上の粗利益であり、さらに間接費や税金を差し引いた純利益又は税引利益ではない。さらに、法律は倫理的色彩を帯び、会計学の中立的な特質とは大きな違いが存在する。反社会性及び反倫理性を有する行為に従事するためのコストや経費は、たとえ会計学上で直接費であると評価されても、法学上は直接費として権利侵害者の所得利益から控除することは認められない。例えば、侵害者が特許権被疑侵害品を製造するのに従事する専任人員を雇用した場合、支払われた給与は会計学上、直接(人件)費と判断されるが、特許権侵害行為そのものに不法性があるため、侵害者の所得利益から給与を控除することを認めたならば、特許権者が侵害者に代わって特許権侵害製品の製造のための人員に給与を支払うことになってしまい、容易に同意できるものではない。況してや侵害者が特許権被疑侵害品の製造に専ら従事する人員を雇用せず、社内で特許権被疑侵害品を製造することもありうる。侵害者が自ら特許権被疑侵害品の製造に従事すると、人件費を控除することができず、専任人員を雇って特許権被疑侵害品を生産させると、人件費で控除することができるのであれば、経済分析の立場からみて更に不条理となる。即ち、特許権侵害者が特許権被疑侵害品を製造するために専任人員を雇う人件費を控除することを認め、自ら生産した機会コストを控除することを認めなければ、明らかに平等の原則に反する。損賠賠償に関する規範の本質は即ち侵害者の機会コスト控除を認めないため、つまり強盗が強奪した金銭から強盗行為に従事するためのものではないコストの控除を認めることもできない。特許権被疑侵害品の製造に係わる専任人員の給与を控除することを侵害者に認める理由はない。即ち特許法第85条第1項第2号で定めるコストと必要経費は会計学上の直接費に近似している他、会計学上の直接費に等しい又はそれより小さいという特性を有する。
(六)調べたところ、被告の東怡公司による2009年4月30日から現在までのDH-J021A(ノズルホルダー)販売額は383万4845.82新台湾ドル、販売量が1万1016個、ノズルホルダー1個あたりの平均販売単価は348.12新台湾ドルだった。係争のノズルホルダーは各部材のコスト合計が245.2新台湾ドル、組立部分の支出が20新台湾ドルだった。又係争の第I260354号特許請求項1を侵害する物品を製造するための人件費は特許権侵害行為に従事するために支出したコストであるため、特許法第85条第1項第2号で定められるコスト又は必要経費ではなく、前述の通り控除することはできない。これらに基づいて算出すると、被告の東怡公司が販売したノズルホルダーの粗利益率は29.563708%となり【計算式は1-(245.2/348.116)=0.295637】、一般的状況と符合するため信用するに値する。被告の東怡公司が販売したDH-J021A(ノズルホルダー)から得られた利益は113万3723新台湾ドルであるはずである。原告が被告である東鴻公司、王雄東、東怡公司、魏麗雲に113万3723新台湾ドルを連帯で損害賠償するよう請求することには理由があるため、許可すべきである。
(七)次に調べたところ、被告の東鴻公司による2009年4月30日から現在までのDH-J021A(ノズルホルダー)販売額は256万7535.5新台湾ドル、販売量が6140個、平均販売単価は418.1654新台湾ドル、組立部分の支出は20新台湾ドルだった。又、係争の第I260354号特許請求項1を侵害する物品を製造するための人件費は特許権侵害行為に従事するために支出したコストであり、特許法第85条第1項第2号で定められるコスト又は必要経費ではなく、前述の通り控除することはできない。これらに基づいて算出すると、被告の東鴻公司が販売したノズルホルダーの粗利益率は41.36%となり、被告の東鴻公司が販売したDH-J021A(ノズルホルダー)から得られた利益は106 万2008新台湾ドルであるはずである。原告が被告である東鴻公司、王雄東に連帯で損害賠償するよう請求できる金額が106 万2008新台湾ドルである。原告は四被告に対して連帯で165万新台湾ドルを賠償するよう請求しているが、原告が被告の東鴻公司、王雄東に連帯で損害賠償するよう請求できる金額は、被告の東鴻公司、王雄東應及び被告の東怡公司、魏麗雲からの連帯損害賠償金(即ち113万3723新台湾ドル)を控除したものであり、被告の東鴻公司、王雄東にさらに請求できる連帯賠償金額は51万6277新台湾ドルのみとなる。

二.原告が不当利得に係わる法律関係に基づいて、被告に2009年4月29日以前の法律上の原因がないのに得た利益の賠償を請求する部分と、特許法第40条第1項に基づいて被告に補償を請求する部分について
(一)特許権は無形財産権ではあるが、性質上は民法の物権に近く、民法上の債権の効力だけを持つものではない。例えば、特許権の専属実施許諾は法定地上権の設定に類似しており、学者の通説によると、物権契約に属する。つまり他人の特許を実施する権利がないのと、他人の土地を占用する権利がないのは同じことで、他人の特許を実施する権利がない場合は、ロイヤリティに相当する利益を得ることができるとするのが、社会的な通常の概念であり、特許権者は不当利得の法律関係に基づいて、実施権を有さない者に対してロイヤリティに相当する不当利益の返還を請求することができる。
(二)最高法院74年度台上字第2733号判決には「不当利得により発生した債があり、同時に複数の利得者がいる場合、その利得金額に応じて責任を負わなければならず、連帯で返還責任を負わなければならないものではない」と明記されている。調べたところ、被告の東怡公司と東鴻公司が製造及び販売する係争の第I260354号特許侵害製品の利得者は東怡公司と東鴻公司であり、会社の代表者と株主は利益配当によって間接的に利得しているため、不当利得の法令規則に基づき不法利得の返還を請求できる対象ではない。
(三)又、原告は被告の東鴻公司が製造、販売するノズルホルダーについてロイヤリティを支払うべきだとしているが、合理的な算定基礎を提出していないため、民事訴訟法第222条第2項の「当事者が損害を受けたが、その金額や重大な困難があることを証明できない場合、裁判所は一切の状況を斟酌し、得られた心証によってその金額を定めなければならない」という規定を参酌する。当裁判所は一切の状況を斟酌し、得られた心証によってその金額を定めなければならず、原告がロイヤリティの比率を証明できないことにより、不当利得の返還請求を許可しないとすることはできない。一般企業はロイヤリティを支払っても利益を獲得することができる場合に商取引行為に従事するという状況とその他の一切の状況を斟酌し、被告である東鴻公司における当該製品の平均販売税引前利益率の半分をロイヤリティの算定基礎とすることが妥当であると考えて算出したところ、被告の東怡公司が原告に支払うべきロイヤリティは5万330新台湾ドル、被告の東鴻公司が原告に支払うべきロイヤリティは9万6457新台湾ドルとなった。原告が4被告に対して連帯で165万新台湾ドルの支払いを請求し、前述した当裁判所が原告の請求を許可した部分の請求額はすでに165万新台湾ドルを超えているので、被告の東怡公司、東鴻公司に上記ロイヤリティの支払いをさらに命じることはできない。

三.従って、原告は特許法第85条第1、3項、民法第184条第1項前段、第185条第1項前段、会社法第23条規定に基づいて(1)被告の東鴻公司、王雄東、東怡公司、魏麗雲が113万3723新台湾ドル及び2011年5月14日(即ち起訴状副本の送達翌日)から支払済みまでの年5%の割合による利息を連帯で支払うこと、(2)被告東鴻公司、王雄東が51万6277新台湾ドル及び2011年5月14日(即ち起訴状副本の送達翌日)から支払済みまでの年5%の割合による利息を連帯で支払うこと、(3)被告の東鴻公司、王雄東、東怡公司、魏麗雲が原告の発明専利第I260354号特許権物を製造、販売、販売の申出、販売、使用すること、又はこれらを目的として輸入する行為を停止するとともに、現有の在庫品をすべて滅却すべきであると請求することには理由があり、許可すべきである。

2012年1月13日
知的財産裁判所第一法廷
裁判官 何君豪
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