カタログと製品の関連性証拠認定に係わる問題

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:特許

I カタログと製品の関連性証拠認定に係わる問題

■ ハイライト
本案件上訴人は被上訴人の係争実用新案が新規性規定に違反し、実用新案の要件をそなえていないとして知的財産局に無効審判を請求した。同局は無効審判成立により実用新案権の取消を審決した。被上訴人はこれを不服とし訴願を提起したが、経済部は訴願棄却を決定した。被上訴人は依然不服として行政訴訟を提起した。知的財産裁判所は経済部の訴願棄却決定及び知的財産局の原処分をいずれも取り消した。上訴人(即ち原審の参加人)が知的財産裁判所の判決を不服として最高行政裁判所に上訴を提起したところ、最高行政裁判所は原判決を破棄し、知的財産裁判所に差戻し再度審理するよう求めた。
本案件の無効審判証拠は4項あり、そのうち証拠二はカタログ1冊、証拠三は実物サンプルである。原判決において知的財産裁判所が知的財産局による原処分を取り消した理由は、証拠三の型式番号(型番)ST16-DC6-150チャックが証拠二のカタログの同一型番製品であると推知することはできず、証拠二と証拠三は関連性証拠ではなく、互いに関連性がなく係争実用新案が新規性をそなえないと証明することはできない、と判断したところにある。
前述の問題点について最高行政裁判所は以下のように指摘している。
原判決は、「証拠二のカタログ最終頁に記載されている公開期日を採用できる」、且つ「証拠二のカタログ8頁に記載されている商品表示にはSST1216-DC6という型番(型番)がある。当該型番の対応する外装は8頁のFig.2であり、証拠二8頁の図と証拠三の廣傑機械公司が販売する型番SST1216-DC6延長チャックセット箱実物の外観は同一である。証拠二9頁表において、型番SST1216-DC6の延長チャックセットには型番ST16-DC6-120のチャックが1つ、型番ST16-DC6-150のチャックが1つ、スパナAが1つ、M4スパナB及び型番DC-3E、DC-4E和DC-6Eのコレットが1つずつ含まれることが示されており、これも証拠三のサンプル内容物と同一である」等と述べている。しかし原判決は「証拠二7頁にある型番ST16-DC6-150のチャックの構造Fig.2に内部構造が示されておらず、且つその断面線からは型番ST16-DC6-150のチャック内に引き棒、締め具、逆方向固定部品があり、それらから構成されていることがわからない」等にこだわり、証拠三における型番ST16-DC6-150のチャックは証拠二カタログにおける同一型番製品だとは推知できないと判断し、証拠二と証拠三の関連性を否認している。原判決の事実認定は経験則に反するため、違法である。【資料出所:知的財産局整理資料】

II 判決内容の要約

■ 基礎データ

最高行政裁判所判決
【裁判番号】100,判,299
【裁判期日】1000310
【裁判事由】実用新案の無効審判

上訴人          経済部知的財産局
上訴人即ち原審参加人   黄国禎
被上訴人         呉世昌

以上の当事者間の実用新案の無効審判事件をめぐり、上訴人は2009年10月9日知的財産裁判所98年度行専訴字第89号行政判決に対して上訴を提起した。最高行政裁判所は以下のように判決を下した。

主 文
原判決を破棄し、知的財産裁判所に差し戻す。

一 事実要約
被上訴人は2006年2月8日以前に実用新案「切削工具プルバックタイプ耐振動延長チャック」を上訴人(知的財産局)に対して出願し、第95202221号とナンバリングされて方式審査が行われ特許登録が許可された後、実用新案第M293805号証書(以下、「係争実用新案」)を発給され、係争実用新案登録の請求の範囲はわずか1項目だった。その後上訴人即ち原審参加人は係争実用新案が特許法第94条第1項第1号の規定に違反し、実用新案の要件を満たさないとして無効審判を請求した。上訴人は審査の結果、係争実用新案が特許法第94条第1項第1号の規定に違反していると判断し、2009年1月15日に「無効審判成立、特許権取消」の処分を下した。被上訴人はこれを不服とし訴願を提起したが、経済部は2009年6月26日に訴願棄却を決定した。被上訴人は依然不服とし、遂に行政訴訟を提起した。知的財産裁判所は2009年度行専訴字第89号判決において訴願決定棄却と原処分を破棄したため、上訴人即ち原審参加人はこれを不服として上訴を提起した。

二 両方当事者の請求内容
被上訴人側の主張:略
上訴人側の主張:略

三 判決理由の要約
(一) 行政裁判所は職権により事実関係を調査し、当事者の主張の拘束を受けるべきではない。行政裁判所は訴訟の棄却において職権により証拠を調査すべきである。これは行政裁判所が当事者に事実の主張と証拠の申立を十分に行わせるため、案件を審理する際に明確な説明を行うという義務を尽くし、さらに職権調査義務を尽くして、事実の真相を明らかにすることである。原審は、証拠三の技術内容が係争案件とは同じではなく、証拠三が無効審判の証拠となるか疑わしいとする被上訴人の主張を認めたが、上記規定に基づいて職務により証拠調査手続きを行い、係争案件がすでに公開使用されていることを証拠三が証明できるかどうかを査証すべきであった。例えば、第三者である廣傑機械工業股份有限公司(Kojex Machinery Industrial Co., Ltd.、以下「廣傑機械公司」)に対して関連証拠資料を閲覧のために取り寄せ、証拠三の実物製品が当該社の製品であるのか、最初に生産、製作した期日はいつか、証拠二のカタログの記載と合致しているか、又は第三者である廣傑機械公司の当該製品を生産、販売担当者を召喚して、証拠三と証明が待たれる事実の証明力を明らかにすべきだったが、原審は職権により事実の調査を行わず、速断した嫌いがある。
(二) 行政裁判所は裁判においてすべての弁論の意図と証拠の調査結果を斟酌して、論理則及び経験則に基づき事実の真偽を判断しなければならない。事実が論理則と経験則に合わないと認定した場合は、即ち違法であると判決することになる。調査した結果、実用新案製品のカタログは販売対象等の対外的に書かれた書面説明にすぎずないため、当然ながら商品内部の構造又は特許技術を完全に描写、開示する必要はない。またカタログに記載されている各技術部品が実体製品と多少異なっただけで、それを実体製品のカタログではないと否認することに理はない。確実に当該製品カタログと実体製品に証拠関連性があると証明できれば、当該製品カタログが無効審判要件の証拠(たとえば公開期日等)とすることができる。製品カタログに記載される技術部品が実体製品と多少異なるだけで、すぐに商品カタログの証拠関連性をすぐに否定することは容認できない。前述の通り、もし本案件が調査を経た後に証拠三を係争実用新案が新規性をそなえない証拠として採用することができると判断すれば、証拠二と組み合わせてその公開期日を推知することができる。また証拠三の実物は分析により詳細で具体的な技術内容を知りうることができ、証拠三の技術内容を無効審判の証拠とし、証拠二の技術内容だけを新規性を対比するための技術とする必要がない。調査した結果、原判決は、「証拠二のカタログ最終頁に記載されている公開期日を採用できる(原判決10頁8行目)」、且つ「証拠二のカタログ8頁に記載されている商品表示にはSST1216-DC6という型式番号(型番)がある。当該型番の対応する外装は8頁のFig.2であり、証拠二8頁の図と証拠三の廣傑機械公司が販売する型番SST1216-DC6延長チャックセット箱実物の外観は同一である。証拠二9頁表において、型番SST1216-DC6の延長チャックセットには型番ST16-DC6-120のチャックが1つ、型番ST16-DC6-150のチャックが1つ、スパナAが1つ、M4スパナB及び型番DC-3E、DC-4E和DC-6Eのコレットが1つずつ含まれることが示されており、これも証拠三のサンプル内容物と同一である(原判決11頁下から3行目~12頁4行目)」等と述べている。原判決は「証拠二7頁にある型番ST16-DC6-150のチャックの構造Fig.2には内部構造が示されておらず、且つその断面線からは型番ST16-DC6-150のチャック内に引き棒、締め具、逆方向固定部品があり、それらから構成されていることがわからない」等にこだわり、証拠三における型番ST16-DC6-150は証拠二カタログにおける同一型番製品だとは推知できないと判断し、証拠二と証拠三の関連性を否認している。原判決の事実認定は経験則に反するため、違法である。
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