東生華が新薬の特許権侵害訴訟で勝訴

2023-04-24 2022年

■ 判決分類:専利権

I 東生華が新薬の特許権侵害訴訟で勝訴

II 判決内容の要約

知的財産及び商事裁判所民事判決
【裁判番号】111年度民専上字第9号
【裁判期日】2022年7月21日
【裁判事由】特許権侵害行為の防止

上訴人 東生華製薬股份有限公司(TSH Biopharm Corporation Ltd.)
被上訴人 ASTRAZENECA AB(スウェーデン法人アストラゼネカ)

上記当事者間の特許権侵害行為防止事件について、上訴人は2021年10月26日付けの本裁判所110年度民専訴字第9号第一審判決を不服として上訴し、本裁判所は2022年6月30日に口頭弁論を終え、次の通り判決する。

主文
原判決を取り消す。
被上訴人の第一審での訴えを棄却する。
第一、二審訴訟費用は被上訴人の負担とする。

一 事実要約
被上訴人は台湾第I238720号特許(以下「係争特許」)の特許権者であり、その存続期間は2005年9月1日から2022年11月20日までである。上訴人から製造販売承認が申請された医薬品について、被上訴人は医薬品添付文書の草案を対比分析した結果、係争特許に係る前記特許権の範囲に包括されており、特許権を侵害していると主張し、専利法第96条第1項又は民法第767条第1項規定により、上訴人に対して係争医薬品を直接的又は間接的に、自ら又は他人に委託して、製造、販売の申し出、販売、使用及び輸入をしてはならないと請求した。原審では被上訴人の請求が全面的に認められる判決が下された。

二 両方当事者の請求内容
上訴人の請求:(一)原判決を取り消す。
      (二)被上訴人の原審における訴えを棄却する。
被上訴人の答弁:上訴を棄却する。

三 本件の争点
被疑侵害者が特許権侵害訴訟第一審で敗訴した後、上訴を提起し、特許権が上訴後に存続期間満了となった場合、上訴裁判所は被上訴人(特許権者)の第一審における請求を棄却すべきか否か。

四 判決理由の要約
 1.専利法第70条第1項第1号には「次に掲げる事情の一に該当するときは、特許権は当然消滅する。一、特許権の存続期間が満了したときは、その満了後から消滅する。」と規定されている。また原告(被上訴人)の権利が保護要件を備えるか否かは、第二審では口頭弁論の終結時の状態による。被上訴人の権利保護要件は第一審の起訴時には備えていたが、第二審の口頭弁論終結時にはすでに備えておらず、裁判所はなお被上訴人の敗訴判決を行わなければならない。
2.本件被上訴人が上訴人に対して係争医薬品を直接的又は間接的に、自ら又は他人に委託して、製造、販売の申し出、販売、使用及び輸入をしてはならないと請求するには、係争特許が存続期間の満了による消滅に至っていない必要があり、係争特許の特許権が期間満了により消滅しているならば、被上訴人の訴訟には権利保護の必要性が欠落している。係争特許の特許権存続期間は2005年9月1日から2022年11月20日までであることは前述の通りである。本件は原審が2021年10月26日に判決した時点で、係争特許は存続期間内にあったが、本裁判所が2022年6月30日に口頭弁論を終結した時点で、係争特許の存続期間は満了となっており、専利法第70条第1項第1号により特許権が消滅した時、被上訴人の侵害防止に係る請求は、権利を保護する必要がなくなり、前記説明により、被上訴人の敗訴判決を行わなければならない。

以上の次第で、係争特許の特許権はすでに消滅しており、従って被上訴人が専利法第96条第1項又は民法第767条第1項規定により侵害防止を請求する等については理由がなく、許可すべきではない。上訴趣旨には原審判決は不当であると指摘されており、原審を破棄し改めて判決を請求することには理由があり、本裁判所は原判決を取り消し、主文第二項に示す通り判決しなければならない。

2022年7月21日
知的財産第一法廷
裁判長 李維心
裁判官 蔡如琪
裁判官 陳端宜

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