特許出願に係る発明の進歩性の有無は、発明が新規性を有することが前提であり、新規性がなければ自ずと進歩性はない

2024-03-25 2023年

■ 判決分類:特許実案意匠

I 特許出願に係る発明の進歩性の有無は、発明が新規性を有することが前提であり、新規性がなければ自ずと進歩性はない

■ ハイライト
原告は2003年11月4日に「遠心ファン(原文:離心式風扇)」を以て特許を出願し、被告(知的財産局)が審査した結果、特許査定を下した(以下「係争特許」、添付図1)。その後参加人(無効審判請求人)は係争特許が特許査定時の専利法第22条第1項第1号及び第4項の規定に違反しているとして、これに対する無効審判を請求した。

原告は訂正を提出し、知的財産局が審理した結果、「訂正を許可する」、「請求項1乃至23については請求が成立し、無効とすべきである」との処分を下した。原告はこれを不服として行政訴願を提起したが棄却されたため、原告は行政訴訟を提起した。原審は原告の訴えを棄却したため、原告はこれを不服として上訴を提起した。裁判所は審理した結果、なお上訴を棄却した。

上訴人の主張:原判決は特許査定時の専利法、専利審査基準の規定に基づいて、解決しようとする課題、技術的手段及び効果に従って進歩性の判断を行っておらず、法規の不適切な適用、判決の理由不備等という違法がある。

上述の問題について、最高行政裁判所は判決において次のとおり指摘した:
一、特許出願に係る発明の進歩性の有無は、発明が新規性を有することが前提であり、新規性がなければ自ずと進歩性はない。調べたところ、原判決では証拠2は係争特許の請求項1の新規性欠如を証明でき、証拠3は係争特許の請求項10~12の新規性欠如を証明でき、証拠1は係争特許の請求項21~23の新規性欠如を証明できると認めており、すでにその理由が詳述されており、審理した結果、誤りはなかった。

二、以上により、原判決はこれに基づいてさらに、証拠2は係争特許の請求項1の進歩性欠如を当然ながら証明でき、証拠3は係争特許の請求項10~12の進歩性欠如を当然ながら証明でき、証拠1は係争特許の請求項21~23の進歩性欠如を当然ながら証明できると論断しており、以上の説明により法に合わないところはない。

三、上述したとおり、上訴趣旨において原判決は特許査定時の専利法第22条第4項、専利審査基準の規定に基づいて、解決しようとする課題、技術的手段及び効果に従って進歩性の判断を行っておらず、最終的に証拠2、証拠3、証拠1は上記請求項の新規性欠如を証明できると認定した後、直接に進歩性欠如を結論付けており、法規の不適切な適用、判決の理由不備等という違法がある云々と主張されているが、採用できない。

四、さらに係争特許の請求項17、21は独立項であり、いずれも「当該羽根車の『吸気入口と反対の側』にある羽根の平面が、当該同じ側にある連接部の平面から突出し、かつ当該側の羽根が当該回転軸の方向に延びて突出部を形成している」という技術的特徴を有し、特許出願の範囲では一方向からしか吸気できないことが限定されておらず、…再び証拠1の図7A、7B(添付図2)をみると、確かに羽根構造72の吸気入口側の反対側にある羽根723の平面が円環722の同じ側の平面から突出し、かつ当該羽根は当該回転軸の方向(ベース721の方向)に延びて突出部を形成していることを確かに開示されている。よって原判決が証拠1の上記技術的特徴が係争特許の請求項17、21の「当該羽根車の『吸気入口と反対の側』にある羽根の平面が、当該同じ側にある連接部の平面から突出し、かつ当該側の羽根が当該回転軸の方向に延びて突出部を形成している」に相当すると認めたことに誤りはない。したがって上訴趣旨において、証拠1の上下両側はいずれも吸気入口であり、いわゆる「吸気入口と反対の側」ではなく、原判決の「吸気入口と反対の側」対する認定は経験法則と論理法則に反している云々と主張されているが、採用できない。

五、以上をまとめると、原判決には上訴人が主張している法令違背の状況はなく、上訴趣旨では原判決の法令違背を指摘し、取消しを求めているが、理由がなく、棄却すべきである。

II 判決内容の要約

最高行政裁判所判決
【裁判番号】111年度上字第483号
【裁判期日】2023年5月10日
【裁判事由】特許無効審判

上訴人  台達電子工業股份有限公司(Delta Electronics, Inc.)
被上訴人  経済部知的財産局
参加人 賴信安

上記当事者間の特許無効審判事件について、上訴人は2022年4月27日知的財産及び商事裁判所110年度行専訴字第49号行政判決に対して上訴を提起し、本裁判所は次の通り判決する:

主文
上訴を棄却する。
上訴審訴訟費用は上訴人の負担とする。

一 事実要約
上訴人は2003年11月4日に「遠心ファン(原文:離心式風扇)」を以て特許(特許請求の範囲は計23項で、そのうち請求項1、10、17、21は独立項、その他は従属項)を出願し、被上訴人は審査した結果、2005年6月1日特許査定を下した(公告番号第0000000号、以下「係争特許」)。その後参加人(無効審判請求人)は2018年7月24日に係争特許が特許査定時の専利法第22条第1項第1号及び第4項の規定に違反しているとして、これに対する無効審判を請求した。上訴人は2018年10月15日に係争特許の特許請求の範囲について訂正を請求した。本件被上訴人は審理した結果、2021年2月23日に(110)智專三(三)02063字第11020171080号特許無効審判審決書を以て「2018年10月15日付の訂正事項について、訂正を許可する」、「請求項1乃至23については請求が成立し、無効とすべきである」との処分(以下「原処分」)を下した。上訴人はこれを不服として原処分の無効審判請求成立の部分について、手順を踏んで行政訴訟を提起した。原審は上訴人の訴えを棄却したため、すぐに本件上訴を提起した。

二 判決理由の要約
(一)産業上利用するできる発明であって、かつ出願前、すでに刊行物に記載されたものではない、又はすでに公然実施されたものではない、又は公然知られたものではないときはいずれも、本法により特許を受けることができると、特許査定時の専利法第22条第1項に規定されている。また第1項に掲げる事情のいずれにも該当しなくとも、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が出願前の先行技術に基づいて容易になし得るときは、依然として本法により特許を受けることはできないと、同法第22条第4項に規定されている。特許出願に係る発明が先行技術の一部分を構成しないならば、該発明は新規性を有するといえる。特許出願前にすでに公開され公然知り得るとき、又はすでに別の先願発明に開示されているときは、特許を付与する必要はない。よって、特許出願に係る発明が出願前、すでに刊行物に記載されたもの、すでに公然実施されたもの、又は公然知られたものであるとき、新規性を有さず、特許を受けることができない。また特許出願に係る発明が先行技術と相違点があるが、当該発明全体がその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が出願前の先行技術に基づいて容易になし得るものであるとき、当該発明は進歩性を有しないといえる。特許出願に係る発明の進歩性の有無は、発明が新規性を有することが前提であり、新規性がなければ自ずと進歩性はない。

調べたところ、原判決では証拠2は係争特許の請求項1の新規性欠如を証明でき、証拠3は係争特許の請求項10~12の新規性欠如を証明でき、証拠1は係争特許の請求項21~23の新規性欠如を証明できると認めており、すでにその理由が詳述されており、審理した結果、誤りはなかった。原判決はこれに基づいてさらに、証拠2は係争特許の請求項1の進歩性欠如を当然ながら証明でき、証拠3は係争特許の請求項10~12の進歩性欠如を当然ながら証明でき、証拠1は係争特許の請求項21~23の進歩性欠如を当然ながら証明できると論断しており、以上の説明により法に合わないところはない。上訴趣旨において、原判決は特許査定時の専利法第22条第4項、専利審査基準の規定に基づいて、解決しようとする課題、技術的手段及び効果に従って進歩性の判断を行っておらず、最終的に証拠2、証拠3、証拠1は上記請求項の新規性欠如を証明できると認定した後、直接に進歩性欠如を結論付けており、法規の不適切な適用、判決の理由不備等という違法がある云々と主張されているが、採用できない。

(二)係争特許の請求項17、21は独立項であり、いずれも「当該羽根車の『吸気入口と反対の側』にある羽根の平面が、当該同じ側にある連接部の平面から突出し、かつ当該側の羽根が当該回転軸の方向に延びて突出部を形成している」という技術的特徴を有し、特許出願の範囲では一方向からしか吸気できないことが限定されておらず、係争特許の明細書には「……羽根521は『吸気入口側の反対側』にある平面が、同じ側の連結部51にある平面から突出し、かつ羽根521が当該回転軸の方向に延びて突出部を形成している。……」と記載されており、「吸気入口と反対の側」は即ち「吸気入口側の反対側」である。

証拠1の図7A、7Bは、確かに羽根構造72の吸気入口側の反対側にある羽根723の平面が円環722の同じ側の平面から突出し、かつつ当該羽根は当該回転軸の方向(ベース721の方向)に延びて突出部を形成していることを確かに開示している。よって原判決が証拠1の上記技術的特徴が係争特許の請求項17、21の「当該羽根車の吸気入口と反対の側にある羽根の平面が、当該同じ側にある連接部の平面から突出し、かつ当該側の羽根が当該回転軸の方向に延びて突出部を形成している」に相当すると認めたことに誤りはない。

上訴趣旨において、証拠1の上下両側はいずれも吸気入口であり、いわゆる「吸気入口と反対の側」ではなく、原判決の「吸気入口と反対の側」に対する認定は経験法則と論理法則に反している云々と主張されているが、採用できない。

(三)以上をまとめると、原判決には上訴人が主張している法令違背の状況はなく、上訴趣旨では原判決の法令違背を指摘しているが、理由がなく、棄却すべきである。

2023年5月10日
最高行政裁判所第四法廷
裁判長  陳國成
裁判官 王碧芳
裁判官 簡慧娟
裁判官 蔡紹良
裁判官 蔡如琪

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