行為者の行為が公平交易法第21条規定に違反しているか否かの認定は、告発者が外国人又はその利益が未侵害である影響を受けない

2014-05-15 2011年

■ 判決分類:不正競争

I 行為者の行為が公平交易法第21条規定に違反しているか否かの認定は、告発者が外国人又はその利益が未侵害である影響を受けない

■ ハイライト
公平交易法(公正取引法)第1条の規定から、それが保障する法益をうかがい知ることができる。取引秩序と消費者利益を保護し、公正競争を確保するとともに、経済の安定と繁栄を促進することを目的としている。同法第21条第1項規定の主旨は,消費者の取引の安全と公正競争の秩序を保護し、事業者が虚偽不実若しくは(認識)錯誤を招く表示又は表徴をすることを禁じている。又、告発は公平交易委員会(公取委に相当)が公平交易法違反や公共利益の危害に対して、調査・処理を行うことを促すものであるため、告発者が本国民であるか、外国人であるか、また告発人本人が侵害を受けたか否かは、行為者の行為が同法第21条規定に違反しているか否かの認定に対して、いずれも影響をもたらさない。

II 判決内容の要約

■ 基礎データ

台北高等行政裁判所判決
【裁判番号】99,訴,2148
【裁判日期】2011年3月17日
【裁判事由】公平交易法

原   告 陳素娟、即ち錡信行
被   告 行政院公平交易委員会

上記当事者間での公平交易法事件をめぐり、原告は行政院による2010年8月27日院台訴字第0990102123号訴願決定を不服として行政訴訟を提起し、本裁判所は以下のように判決を下すものである。

主 文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告が負担する。

一 事実要約
原告は東森得易購股份有限公司(以下、「東森得易購」)と東森購物2台(訳注:テレフォンショッピングチャンネル)で広告「GT-STAR 液化鈦驚爆組」(以下「係争広告」)を放映し、「日本から来たハイテク製品」、「我々(の商品)はいずれも日本へ輸出している」、「我々の商品は日本でよく売れている」、「実際のところ我々の商品は日本でよく売れている」、さらには「ゲルマニウムは酸性体質や重金属の体質を回避できる」、「酸性体質になることを避け、重金属が堆積するのを防止する」等の内容を宣伝したところ、商品の品質及び用途について虚偽不実若しくは(認識)錯誤を招く表示があると告発された。被告は審査を行い公平交易法第21条第1項規定に反する行為と認定し、同法第41条前段の規定に基づき、被告の2009年11月12日公処字第098160号処分書(以下、「原処分」)を以て原告に処分書送達の翌日から前項の違法行為を即刻停止するよう命じると共に、原告に8万新台湾ドルの過料に処した。原告はこれを不服として行政訴願を提起したが、棄却されたため、その後本件の行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一) 原告の請求:訴願決定及び原処分を取り消すべきである。
(二) 被告の請求:原告の請求を棄却すべきである。

三 本件の争点
本件双方の争点は、係争商品広告が当時の公平交易法第21条第1項の規定に違反し、虚偽不実若しくは(認識)錯誤を招く表示又は表徴があると被告が認定し、原処分を以て原告を処分したことが適法であるか否かにある。
(一)原告の起訴理由:省略。判決理由の説明を参照。
(二)被告の抗弁理由:省略。判決理由の説明を参照。

四 判決理由の要約
(一) 公平交易法第21条第1項には「事業者は、商品若しくはその広告に、若しくはその他公衆に知らせる方法で、商品の価格、数量、品質、内容、製造方法、製造日期、使用期限(賞味期限)、使用方法、用途、原産地、製造者、製造地、加工者、加工地等について、虚偽不実若しくは(認識)錯誤を招く表示又は表徴をしてはならない」と規定されている。
(二) 原告は被告が公平交易法の立法精神を誤解しており、その立法目的を考慮しておらず、拡大解釈の疑いがあり、原告の広告は客観的な事実の報道であり、不正競争の不実証広告の様態には属さず、さらに多重の合理的で合法な目的論的解釈を有するため、合法である云々と主張している。しかしながら、商品の研究開発技術と販売の対象はいずれも消費者の購買意欲の決定に影響を及ぼすに足るため、その販売する商品が確かに日本からのハイテク製品である、或いはいずれも日本へ輸出している、或いは広く日本人に購入されている等の客観的な事実を証明できない場合は、恣意的な広告であり、消費者の誤った認知を誘導するに足る。さらに、商品が科学的検証を受けていないならば、それが特定の効果を有すると宣伝してはならない。調べたところ、係争商品広告は一般的な社会通念に基づき、一般消費者に係争商品の製造技術が日本から来たものであり、原告が大量に日本へ輸出し、販売する商品には広告でいう特殊な効果を有する等の事実を認知させるもので、複数の解釈の意義があるとは認めがたい。原告はその事実主張に関して中華人民共和国税関の輸出貨物税関申告書、Yahooのゲルマニウム金属効能に関する検索結果、及び某出版社が発行印刷した石垣健士医学博士著のゲルマニウムの驚くべき効果に係わる文章等の書類を証拠として提出した。内容を調べたところ、原告が広告する商品が日本から来たハイテク製品である、或いは原告が日本に輸出している、並びに日本人が大量に購入している等の事情を認めがたい。ゆえに本件原告が不実証広告ではない云々と主張することには、事実証拠とは一致せず、証拠として採用できない。
(三) 原告はさらに、告発者が台湾の認めた外国法人ではないため、我が国の公平交易法の保障を受けることができず、原告の広告は憲法が保障する言論の自由の範疇に属する等と主張した。公平交易法第21条第1項の規定の主旨を調べると、消費者の取引の安全と公正競争の秩序を保護するため、事業体の虚偽不実若しくは(認識)錯誤を招く表示又は表徴を禁止するものである。ゆえに告発者が本国民であるか、外国人であるか、また告発人本人が侵害を受けたか否かは、原告の行為が公平交易法第21条規定に違反しているか否かの認定に対して、いずれも影響をもたらさない。また、人民による言論及び出版の自由は憲法第11条によって保障されている。但し、取引秩序と安全の維持は公益性を備えており、民衆の生命、身体及び健康等に関する法益に関して、取引秩序を確保して公共利益を維持するため、不実証広告が規範されないという法理の基礎を容認できない。ゆえに本事例では公平易法第21条の適用は、必要限度を超えないと判断する。
(四) 上記の事実証拠から引証すると、原告の広告は虚偽不実及び(認識)錯誤を招く表示であると認めることができ、被告が審査の結果、原告には公平交易法第21条違反行為があると認定し、原処分でその違反行為の停止を命令するとともに過料に処したことには法的根拠があり、原告の上記主張は正当であるとはいい難く、採用できない。

以上をまとめると、本件原告の主張には理由がなく、ゆえに行政訴訟法第98条第1項前段、第218条、民事訴訟法第385条第1項に基づき、主文の通り判決を下すものである。

2011年3月17日
台北高等行政裁判所第二法廷
裁判長 徐 瑞 晃
裁判官 蕭 忠 仁
裁判官 蔡  紹  良
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