2017年12月29日台湾立法院三読通過の薬事法改正案紹介
2018/02/09 | その他 前のぺージに戻る    
2017年12月29日台湾立法院三読通過の薬事法改正案紹介

    台湾薬事法が2017年12月29日立法院で三読通過の後、可決・改正された。その改正のバックグラウンドは台米貿易投資枠組み協定(Trade and Investment Framework Agreement, TIFA)の交渉、及び台湾の環太平洋パートナーシップ協定(The Trans-Pacific Partnership, TPP)への加盟予定に合わせるためである。主な改正重点は(1)新適応症の新薬に係るデータ独占保護期間規定の新設、及び(2)薬品パテントアプルーバルリンケージ(drug patent-approval linkage; patent linkage、以下「薬品パテントリンケージ」と略称)の導入により、国際協定及び各国制度との一致を期することである。詳細条文(訳文)については添付ファイル をご参照いただきたい。以下の通り簡単に説明する。

一、新薬に係るデータ独占保護期間
    いわゆる「新薬に係るデータ独占保護」は、新薬が市販許可を取得するため、薬品検査登録の申請時に衛生主務機関に提出する成分、製造、管制、動物実験、人体実験等を含めた科学技術データに対する保護である。新薬の申請者はそれ等の技術データについて、一定の独占保護期間を有し、期間内に後発医薬品メーカーは、技術データの所有者(即ち新薬の薬品メーカー)からライセンスを受けた場合を除き、それ等のデータを引用し、自社商品(即ち後発医薬品)の治療効果及び安全性を強調して、衛生主務機関から市販許可を取得することはできない。一方、衛生主務機関も以前のそれ等データから得た知識に基づいて、後発医薬品メーカーに完備な科学性技術データを添付させずに、バイオイクイバレンスデータだけを提出させ、後発医薬品の検査登録を許可することはできない。
    今回改正後、「新成分の新薬」許可証について、発効日から3年以内、他の薬品メーカーは許可証の所有者の同意を得ずに、その申請データを引用して検査登録の申請をしてはならない。この「絶対的な保護期間3年」満了後、他の薬品メーカーはその申請データを引用して検査登録を申請することができるが、新成分の新薬許可証発行5年満了の翌日以降に始めて薬品許可証の発行を受けることができるので、実際には「新成分の新薬」に係るデータ独占保護期間は5年である。
    又、今回改正案は「新適応症の新薬」をもデータ独占保護の範囲に入れており、そのデータ独占保護期間は3年で、「絶対的な保護期間」は2年であるが、新薬の薬品メーカーの台湾での臨床試験の実施を促進するため、追加または変更された適応症について台湾で臨床試験を実施した場合、例外として「新適応症の新薬」は許可証期限満了日から5年の独占保護期間を与えることができるようにした(その内「絶対的な保護期間」は2年)。

二、薬品パテントリンケージの設立
    「薬品パテントリンケージ」は後発医薬品の市販許可審査手続きにおいて、特許侵害を考量し、後発医薬品許可証発行の可否を判断する根拠の一つであり、後発医薬品の市販前に特許侵害の争議を先に解決するチャンスを与え、特許権者の権利行使及び経済利益を促進することができるほか、特許権侵害の後発医薬品の市販も避けられ、公共衛生への影響を低減させることもできる。新設内容についての略表は次の通りである。
 

 

台湾(パテントリンケージ)

特許登録制度

特許情報の登録

後発医薬品メーカーによる特許権者への薬品許可証申請通知の仕組み

中央衛生主務機関の通知送達後20日以内に通知

特許権者の後発医薬品メーカーに対する特許権侵害訴訟提起の期間

声明通知を受けた45日以内

後発医薬品市販許可の発行一時停止の仕組み

最長12ヶ月(特許権者が訴訟を提起したときから)

後発医薬品独占販売権

12ヶ月

主務機関による反トラスト法通報の仕組み

中央衛生主務機関に、公正取引法違反のおそれがあると通報し、更に中央衛生主務機関から公正取引委員会に通報する

 
    後発医薬品メーカーによる研究開発または特許侵害回避設計を促進するため、今回改正は「後発医薬品独占販売期間」制度を導入し、即ち第48-9条第4号「当該新薬が対応する特許権は取消されるべきである、または薬品許可証申請の後発医薬品は当該新薬に対応する特許権を侵害していない」旨を最も早く声明した後発医薬品許可証申請が(すべての申請データが完備)、12ヶ月の独占販売期間を取得することができ、当該期間内に衛生主務機関は薬品許可証を他の後発医薬品メーカーに発行しない。

三、施行期間
    新薬データ独占保護期間の改正規定は、総統公布日より施行(2018.01.31公布)。また、薬品パテントリンケージ及び主務機関による反トラスト法通報の仕組みは、行政院が施行日を定める。
 
 
2017年12月29日台湾立法院三読通過の薬事法改正案紹介-補足説明

    弊所より2018.02.09付で送信した薬事法改正案紹介(SPOT NEWS)中の、12ヶ月以内の後発医薬品販売許可の発行一時停止の仕組みについては、主に、後発医薬品許可証申請者による「その後発医薬品(ジェネリック薬)が対応する新薬特許権に取消事由がある、又はその後発医薬品は特許権を侵害していない」旨の声明についての問題を処理するものであり、以下更に踏み込んで補足説明する。
    もし、後発医薬品許可証申請者が「その後発医薬品が対応する新薬特許権には取消事由がある、又はその後発医薬品が特許権を侵害していない」旨を声明し、後発医薬品許可証申請者が改正薬事法第48-12条法定形式により中央衛生主務機関、新薬薬品許可証所有者及び特許権者(専用実施権者を含む、以下同じ)に通知した後、特許権者は当該通知を受けた後45日以内に特許侵害訴訟を提起するかを決定しなければならず、同時に中央衛生主務機関も新薬薬品許可証所有者が当該通知を受けた後12ヶ月以内は後発医薬品販売許可の発行を一時停止しなければならない(中央衛生主務機関が新薬薬品許可証所有者が確かに当該通知を受けた時間点をどのように知り、いつから起算すべきなのかについては、詳細説明がない)。但し、もし薬事法第48-13条第2項各号の法定例外事情(例えば、特許権者が45日以内に特許侵害訴訟を提起しなかった)がある場合、中央衛生主務機関はやはり薬品許可証を発行することができる。またもし、特許権者が前述12ヶ月以内に既に特許侵害成立とする確定判決を受けた場合、中央衛生主務機関は当該特許権消滅後になって始めて、後発医薬品許可証を発行することができる。
 

 

台湾(パテントリンケージ)

特許権者の後発医薬品メーカーに対する特許権侵害訴訟提起の期間

声明通知を受けた45日以内

後発医薬品販売許可の発行一時停止の仕組み

新薬薬品許可証所有者が当該声明通知を受けた後12ヶ月以内において、中央衛生主務機関は当該許可証の発行を一時停止しなければならず、同時に特許権者又は専用実施権者も前述45日以内に特許侵害訴訟を提起しなければならない

 
  現在、薬品パテントリンケージの施行日ついては、行政院が別途施行日を定めることになっている。