訴訟中に専利権者が法により訂正を申請したとき、裁判所は訂正処分を待つべきであり、当事者が事実上及び法律上適当で完全な弁論ができるよう訂正処分の内容を提示して始めて判決できる
2017/05/25 | 2016年 前のぺージに戻る    
■ 判決分類:専利権(実用新案権)

I 訴訟中に専利権者が法により訂正を申請したとき、裁判所は訂正処分を待つべきであり、当事者が事実上及び法律上適当で完全な弁論ができるよう訂正処分の内容を提示して始めて判決できる

II 判決内容の要約

最高行政法院判決
【裁判番号】105年度判字第337号
【裁判期日】2016年6月30日
【裁判事由】実用新案無効審判

上訴人  栄益科技股份有限公司(EMI Stop Corp.)
上訴人  経済部知的財産局
被上訴人 瑞虹精密工業股份有限公司(Ray Home Precision
Industrial Co., Ltd.)
被上訴人  鍠鐿工業有限公司(Huang Yie Industrial Co., Ltd.)
兼責任者 曾馨源

上記当事者間における実用新案無効審判事件について、上訴人は2015年9月30日知的財産裁判所103年度行専訴字第97号行政判決に対して上訴を提起した。当裁判所は次のように判決する。:

主文
原判決を破棄し、知的財産裁判所に差し戻す。

一 事実要約
栄益科技股份有限公司(以下「栄益公司」)は2001年12月31日知的財産局に対して「線材の固定装置」の実用新案登録出願を行った。その実用新案登録請求の範囲は7項(請求項1は独立項、その他は従属項)あり、知的財産局の形式審査を経て許可査定が出され、実用新案第193744号登録証(以下「係争実用新案」)が発給された。その後被上訴人は係争実用新案が許可時の専利法第98条第2項規定に違反し、実用新案登録要件を満たさないとして、これに対する無効審判を請求した。知的財産局が審理した結果、2014年5月20日(103)智專三(二)04024字第10320674660号無効審判審決書を以て「請求項1乃至7に係る無効審判請求不成立」との処分を下した。その後被上訴人は行政訴願を提起したが、棄却された。被上訴人はこれを不服として、知的財産裁判所(以下「原審」)に対して行政訴訟を提起した。原審は本件判決の結果が栄益公司の権利又は法律上の利益に影響を及ぼすと認め、職権によりそれに対して独立して訴訟に参加するよう命じた。その後原審は訴願決定及び原処分を取り消す判決を行い、知的財産局に対し係争実用新案の無効審判事件について原判決の法律見解により改めて処分を行うよう命じるとともに、被上訴人のその他の訴えを棄却した。栄益公司はこれを不服として上訴を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)被上訴人の主張:たとえ上訴人が2015年6月15日に係争実用新案登録請求の範囲を訂正したとしても、原告証拠4、6は訂正後の請求項1乃至7も進歩性が欠如していることを証明するに足り、訴願決定及び原処分を取り消し、知的財産局は係争実用新案に対して「請求項1乃至7の無効審判請求は成立し、(請求項1至7の実用新案権を)取り消す」審決を行うべきであるとの判決を求める。
(二)上訴人の請求:被上訴人の原審の訴えを棄却する。

三 本件の争点
無効審判請求人は無効審判請求不成立の行政処分及び訴願決定を不服として行政訴訟を提起するとともに、訴訟中に新証拠を提出し、実用新案権者は訴訟中に訂正の申請を提出したが、裁判所はいかに判決すべきか。

四 判決理由の要約
1.最高行政裁判所は智慧財産案件審理法(知的財産事件審理法)第33条第1項の新証拠提出規定と専利権者の訂正、及び知的財産裁判所が(これに対して)いかに判決するかについて2015年度4月第1回裁判長聯席会議(二)決議を行った。本決議の重点の一つは、専利権者(訳注:特許権者、実用新案権者、意匠権者を含む)が無効審判行政訴訟手続きにおいて、知的財産局に訂正を申請してもよいと認められていることである。もう一つの重点は、無効審判請求人から知的財産所行政訴訟手続き中に提出された新証拠は、知的財産裁判所の行政訴訟法廷により当事者の十分な弁論を経て、専利権者が自ら判断して、裁判所に対して知的財産局に訂正の申請を提出していることを表明しなかったか、又は専利権者がすでに法により訂正を申請したかに拘わらず、いずれも行政訴訟法第200条第3号により直接「行政機関に原告が請求した内容の行政処分を行うよう命じる」判決を下すべきであり、第4号の「行政機関にその判決の法律見解に従い原告に対する決定を行うよう命じる」判決を下してはならないということである。
2.専利案件の請求の範囲の訂正申請については、無効審判案件の行政訴訟手続き中に知的財産局に対して行っても、専利主務機関が訂正を許可して公告した場合、その訂正の技術内容は出願日に遡って発効する。訂正が係争案件に係る専利の技術的特徴の解釈と確定に関わるか否か、つまり専利法が規定する訂正要件に適合するか否かは訂正後の内容が何かによるため、知的財産裁判所は知的財産局の訂正処分結果を待って判断しなければならない。
3.訂正が係争案件に係る専利の技術的特徴に対する解釈と確定に関わるか否かについて、係争専利の請求の範囲が不確定であると、進歩性の判断を行うことができない。専利権者がすでに法により訂正を申請しているときは訂正処分が出るのを待ち、訂正処分の内容を提示して、当事者が事実上及び法律上適当で完全な弁論、及び必要な声明と陳述ができるようにして始めて当事者が十分に弁論したといえ、判決を下すことができる。
4.本件被上訴人が行政訴訟で提出した新証拠は原告証拠4、原告証拠6であり、上訴人栄益公司は知的財産局の無効審判審理段階に訂正の申請を為すか否かを斟酌するのに間に合わず、前記新証拠を自ら判断した後に無効審判事件の行政訴訟において知的財産局に訂正を申請するとともに、知的財産局に訂正の申請を提出したことを原審に表明したため、原審は訂正処分の結果を待たなければならず、訂正結果により、当事者が十分に討論した後で、行政訴訟法第200条第3号により判決を行うべきであり、訴願決定及び原処分を取り消し、無効審判手続きを回復するだけであってはならない。
5.本件上訴人はこの裁判方式に対して一部の上訴に理由があるとき、当裁判所は前述の単一義務付け訴訟事件が裁判上の一貫性と単一の裁判権行使を有し、さらに裁判上不可分の性質を有することに基づいて、原判決をすべて破棄し、改めて適法に裁判を行う。
6.本件上訴には理由があるため、原判決を破棄し、原審裁判所に差し戻す。

五 関連条文抜粋
行政訴訟法第200条
行政裁判所は第5条規定により人民が請求した行政処分又は特定内容の行政処分を請求する訴訟に対して、以下の方式で裁判を行う。
一.原告の訴えが不適法であるときは、棄却を決定すべきである。
二.原告の訴えに理由がないときは、棄却を判決すべきである。
三.原告の訴えに理由があり、事件の事実証拠が明確であるときは、行政機関に原告が請求する内容の行政処分を行うよう命じる判決をすべきである。
四.原告の訴えに理由があるが、事件の事実証拠がなお明確ではないとき、又は行政機関の行政裁量による決定にかかわるときは、行政機関にその判決の法的見解に従い原告に対する決定を行うよう命じる判決をすべきである。

智慧財産案件審理法(知的財産事件審理法)第33条
商標登録の取消し、撤回、又は専利権の取消しに関する行政訴訟中に、当事者が口頭弁論終結前に同一の取消し又は撤回の理由として提出した新証拠について、知的財産裁判所はなおこれを参酌しなければならない。
知的財産主務機関は前項の新証拠について答弁書を提出し、他方の当事者による当該証拠に関する主張に理由があるかどうかを表明しなければならない。

2016年6月30日
最高行政裁判所第五法廷
裁判長 林茂権
裁判官 林文舟
裁判官 鄭忠仁
裁判官 呉東都
裁判官 劉介中