中国ネットショッピングを誤信 女性がネットで模倣品を再販売し、訴えられる

2016-09-30 2015年
■ 判決分類:商標権

I 中国ネットショッピングを誤信 女性がネットで模倣品を再販売し、訴えられる

■ ハイライト
基隆市の姜という女性が中国阿里巴巴ネットショップにおいて、70台湾ドルの代価で真正品だと表示されている著名なレモンカップボトル2点を購入した後、使いにくいとして、未開封の新品を299台湾ドルで再販売した。しかし当該ブラントの台湾代理店の従業員がネットで発見して、当該商品を購入したところ、模倣品であることが判明したので、姜という女性に対し告訴を提起した。裁判官は、被告人が購入時にサイトに真正品であると表示されていて、且つ吊札及びライセンス証紙が付属しているものを提出したことから、真正品であると誤信して販売したのであり、模倣する悪意はなかったと認定し、無罪判決を言い渡した。

II 判決内容要約

台湾基隆地方裁判所刑事判決
【裁判番号】104年度智易字第3号
【裁判期日】2015年8月27日
【裁判事由】商標法違反

公訴人 台湾基隆地方裁判所検察署検察官
被告人 姜惠君

前記被告人は商標法案件違反として、検察官に公訴を提起された(103年度偵字第4663号)。本裁判所より以下のように判決を下す:

主文
姜惠君は無罪とする。

一 事実及び理由
1. 公訴趣旨は下記の通りである。:被告人姜惠君は、付表の「citruszinger」商標及び図が、周基祥が経済部知的財産局に出願し、水筒等商品に指定使用した商標権を取得したことを知りながら、また阿里巴巴サイトから、1点あたり14.5人民元【約70台湾ドル】で購入したレモンカップボトル(以下「係争ボトル」という)が、商標権者の同意または許諾を得ずに前記登録商標を使用した模倣品であることを知りながら、商標模倣品を販売する犯意に基づき、2014年6月から、基隆市○○区○○街000巷00号2Fの1 自宅において、インターネットのPChome商店街を通して、売り手「198巷的秘密」として、699台湾ドルの58%割引、即ち1点299台湾ドルの価格で、前記模倣商標商品の販売情報を掲載し、不特定の買い手の購入のため提供した。その後鑫倉公司の従業員がインターネットで発見して、同年9月30日に係争ボトル1点を購入し、鑑定後模倣品であると確認したため、警察当局に移送して摘発したので、被告人は商標法第97条の販売を意図して商標模倣品を陳列する罪を犯した疑いがある。
2. 商標法第97条規定は、他人の商標権を侵害する商品であることを「明らかに知りながら」、販売、又は販売の意図をもって所持、陳列、輸出又は輸入をすることがその構成要件である。よって、行為者が客観的に商標模倣品を販売、販売を意図して持有、陳列、輸出または輸入した行為の外に、その販売、販売を意図して持有、陳列、輸出または輸入したものが他人商標を侵害する商品であり、主観的に「明らかに知りながら」(直接故意)であった場合、始めて犯罪を構成する。また所謂「明らかに知りながら」とは、行為者が犯罪を構成する事実について(本件では即ち他人の商標を模倣する商品を販売した事実)、明らかに知りながら、且つ発生の意図があったことをいう。もし行為者が犯罪を構成する事実について、主観的に、予見のみで、消極的に犯罪事実の発生を放任したり、または容認し(即ち間接的故意)もしくは過失があるのみであった場合は、本罪で規定する処罰対象ではない(最高裁判所91年度台上字第2680号判決を参照)。
3. 押収された係争ボトル1点は、確かに添付の「citruszinger」商標図案が印刷されており、吊札にはライセンス証紙がなく、且つ鑫倉公司が代理して販売した当該商標製品には韓国語の吊札がなく、確かに模倣品であることは、証人王紹祖が本裁判所の審理時に証言したことからも明確で、且つ模倣品侵害の鑑定報告がファイルにあり参考できる。「citruszinger」商標が印刷された係争ボトルは、告訴人周基祥、布萊德艾創新公司が許諾を経て製造した商品ではないが、これにより被告人に主観的に商標権侵害品であることを知りながら、故意に販売した直接的故意があるとは認定できない。
4. 本件「citruszinger」商標は2013年12月16日に始めて公告を経て商標権を取得し、鑫倉の従業員が2014年9月30日に購入して摘発した時から、当該商標の台湾での登録公告日まで、1年未満の期間のみで、当該商標は国際的に著名な製品ではなく、長年にわたり全世界の市場において広く販売されており、各種類の広告マスコミにも見られたり、当然業者及び一般的な消費者によく知られている著名商標ではないので、被告人が必ず「citruszinger」が他人の登録を経て公告して商標権を享有する商標であることを知っているとは限らず、且つ「citruszinger」商標商品が真正品であるかを弁別できる能力が必要で、商標真偽の鑑定作業に一定の知識及び専門的な訓練があって始めて行うことができ、人々が容易に弁別できるというわけでもない。更に被告人が阿里巴巴サイトから購入した「citruszinger」レモンカップボトルの数は2点であり、当該商品を販売した数は1点のみで、不合理な価格で大量に仕入れたものではないので、当然真正品との価格の差で被告人は係争ボトルが模倣品であることを知っていたと推論することもできない。
5. 従って、本件被告人は主観的に「citruszinger」が他人が享有している商標権の商標であることを知らず、その販売、公開陳列、販売した係争ボトルが模倣品であることも知らなかったので、当然商標権を侵害する直接的故意はなく、被告人を商標法違反の罪として処罰することができない。法により被告人に無罪判決を言い渡すべきである。

2015年8月27日
刑事第五廷裁判官 周霙蘭

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