帝宝とベンツとの意匠権訴訟で逆転判決、最高裁判所は知財商事裁判所へ審理差戻し

J231025Y1 2023年11月号(J291)

 帝宝工業股份有限公司(Depo Auto Parts Ind. Co. Ltd.、以下「帝宝」)と独メルセデス・ベンツAGとの意匠権侵害訴訟において、帝宝は一審、二審とも敗訴したが、最高裁判所は先ごろ二審判決には誤りがあると認め、二審判決を破棄し、知的財産及び商事裁判所(以下「知財商事裁判所」)に審理を差し戻す判決を下した。これによって帝宝に「逆転勝訴」の機会が与えられることとなった。
 帝宝の許叙銘総裁は次のように述べている:係争製品にはカバーとハウジングの構造についてすでに迂回設計が行われている。また高等裁判所は帝宝の製品外観に対する検証を行っているとしているが、最高裁判所は、実際には関連の手続きが行われておらず、帝宝に弁論の機会が与えられていないため、手続き上の瑕疵や誤りがあるおそれがあることを認めた。二審判決において製品を対比して「雙瞳(二つの瞳)」(という視覚的な印象)を呈するか否かの理由については、帝宝が提出した「雙瞳」の事実証拠に対応しており、改めて調査すべきである。
 帝宝では、今後も該意匠が無効であり、製品に権利侵害の事実と公平交易法違反がないことを証明する事実証拠を提出して、帝宝の権益を守るのと同時に、台湾AM(アフターマーケット)自動車部品業界のために声を上げて、当局がこの年間生産額2200億新台湾ドル規模の産業を重視するよう喚起し続けていくとしている。
 ベンツは2017年に帝宝に対して民事訴訟を提起し、帝宝の製品が台湾の第D128047号「車両のヘッドライト(原文:車輛之頭燈)」意匠権を侵害していると主張した。2019年の一審判決では帝宝が敗訴し、係争製品を生産する金型を廃棄するよう命じられたため、台湾自動車部品産業は騒然となった。2022年7月14日、知的財産及び商事裁判所は二審判決において、帝宝が支払うべき賠償金を3000万新台湾ドルから1812万新台湾ドルに引き下げたが、なお権利侵害を認めたため、帝宝とベンツはそれぞれ上訴(上告)を提起した。2023年10月4日に最高裁判所は二審判決を破棄し、知財商事裁判所に審理を差し戻す判決を下した。(2023年10月)

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