台米間で「安全なパテントデータ交換に関する覚書」を締結、出願人の優先権主張が便利に

J231124Y1 2023年12月号(J292)

 知的財産局(以下「TIPO」)は2023年11月24日に公告にて、台湾が米国と2023年11月22日(米国東部時間)に「台米間の安全なパテントデータ交換に関する覚書(The Secure Exchange of Patent Data)」を締結したと発表した。台湾人が年間2万件余り行っている米国へのパテント出願は、今後、優先権主張の手続きがより安く、より便利になる。
 国際優先権制度によると、台湾で提出された出願を12ヵ月以内に米国で出願すると、優先権を主張して、先の出願の出願日を以てパテントの要件に係る審査を受ける権利を享受できる。優先権を主張する場合は、優先権証明書類を提出しなければならない。近年、台湾人が米国でパテントを出願する件数は年間約20,000件に達しており、2022年は2021年比で6%近く増加している。優先権証明書類を海外へ提出するには多くの手間、時間そして経費がかかるため、書類を受理する特許庁の間で相互にデータを認証できれば、出願人の負担を大いに軽減することができる。
 対米間ではTIPOと米国特許商標庁(USPTO)が2016年から前述の優先権証明書類の電子的交換 (Priority Document Exchange、略称はPDX)に関する協力について話合いが行われてきた。データセキュリティを確保する必要性により、両局のコンピュータ設備、送信等について、詳細かつ再三にわたる確認を行い、双方が努力し続けた結果、ついに2023年に「台米間の安全なパテントデータ交換に関する覚書」を締結することができた。これは2011年に実施された台米間の「特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway、略称は PPH)」、2017年に締結された「知的財産権のエンフォースメントの協力に関する覚書(MOU on Intellectual Property Rights Enforcement Cooperation)」に続いて、台米間の知的財産に係る協力関係強化におけるもう一つのマイルストーンとなったいえるだろう。
 TIPOは出願人が海外でパテント戦略を展開するのに役立つ環境を作り上げるため、日本、韓国とは2013年、2016年にそれぞれ「特許と実用新案に係るPDX」協力を開始し、さらに2019年と2021年には「意匠に係るPDX」にまで拡大した。今回はさらに米国とのPDX協力開始によって、台湾人が米国でパテントを出願する利便性を大幅に高めるだけではなく、米国人が台湾へ出願するのにも役立つ。今回の協力は台米双方の出願人のウィンウィン(Win-Win)を促進するものとなるだろう。
 今回の覚書は駐米台北経済文化代表処の姜森副代表と米国在台湾協会ワシントン本部(AIT/W)のIngrid Larson執行理事がそれぞれ台米双方を代表して調印した。TIPOと USPTOは今後協力してコンピュータシステムの検証試験を行う予定であり、両局のデータセキュリティ設備の試験が完了した後に、TIPOから実施日が公告される。(2023年11月)

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