携帯電話カバーケースの意匠権を侵害された宏達電(HTC)に、賠償金325万余新台湾ドル獲得の判決

J170415Y1 2017年5月号(J213)
    宏達国際電子股份有限公司(英語名:HTC Corporation、以下「HTC社」)が創作した「HTC Dot View TM炫彩保護套」(訳注:スマホのカバーケース)は同社にとって最も重要な携帯電話のアクセサリーであり、すでに意匠権を取得している。HTC社は携帯電話向け部品アクセサリーのメーカー兼サプライヤである祥裕国際有限公司(Shiang-Yu Phone Cover Expert Co., Ltd.、意下「祥裕公司」)の製造・販売する6タイプの携帯電話カバーケースがHTC社の前記製品を模倣した疑いがあり、意匠権を侵害し、公平交易法(訳注:日本の不正競争防止法及び独占禁止法に相当)に違反しているとして提訴した。知的財産裁判所は審理した結果、祥裕公司は故意に権利を侵害していると認め、損害額の3倍の賠償金である計325万余新台湾ドルをHTC社に支払うよう命じる判決を下した。本件は上訴できる。
    HTC社は以下のように主張した。2013年10月に「HTC Dot View TM炫彩保護套」を開発した際に祥裕公司と委託生産の可能性を検討するために連絡を取り、双方は当時製品の外観設計、規格等の機密情報について秘密保持契約書に調印した。祥裕公司は最終的に生産の委託先には選ばれなかった。2014年3月に「HTC Dot View TM炫彩保護套」がM8携帯電話とともに発表されたが、同年6月には市場でコピーされた携帯電話カバーケースが発見され、調査したところ祥裕公司の商品であることがわかった。HTC社は同年7月、12月の二度にわたって書簡で権利侵害行為を停止するよう要求した。祥裕公司は、2015年1月末までに回収を完了すると返信したが、2015年2月以降も市場で関連のコピー商品が購入できたため、HTC社は祥裕公司が故意に権利を侵害していると判断した。
    一方、祥裕公司は次のように主張した。「HTC Dot View TM炫彩保護套」の意匠は創造性を有さないだけではなく、両社の携帯電話カバーケースのドットは設置された位置とサイズのいずれも異なり、商品の販売説明には携帯電話カバーケースが祥裕公司の生産したものであると明確に表示されており、消費者に混同を生じさせるおそれはない。また2015年1月末までに商品を回収すると返信したが、一部の商品は回収が難しく、故意に権利を侵害したわけではない。
    判決書によると、技術分析の結果、祥裕公司が製造・販売した6タイプの携帯電話カバーケースはHTC社の「HTC Dot View TM炫彩保護套」に類似しており、いずれも該意匠権の請求の範囲に入っているという。また、祥裕公司はHTC社が携帯電話部品アクセサリーの製造・販売の委託先として評価を受けており、双方は「HTC Dot View TM炫彩保護套」の発売前に接触して、秘密保持契約を結んでおり、祥裕公司はHTC社が同意匠製品を相当重視していたことを知っていたはずである。しかしながら、祥裕公司は「HTC Dot View TM炫彩保護套」発売後3ヵ月も経たないうちに高度に類似した該意匠製品のコピー品を販売しており、2014年9月1日の意匠公告後も販売し続けたため、祥裕公司の行為は故意の権利侵害であると認められる。(2017年4月)
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