技術導入したが商品化できず、國際基因が中研院を訴え敗訴

2014-05-29 2013年

■ 判決分類:特許権

I 技術導入したが商品化できず、國際基因が中研院を訴え敗訴

■ ハイライト
 国際基因科技股份有限公司(Ingene Biotechnology Co., Ltd.)は中央研究院、行政院国家科学委員会(訳注:2013年3月3日科技部に改名)及び中央研究院の研究員である余○美等とバイオテクノロジー関連特許の技術移転契約及び技術使用許諾契約を結び、「フィターゼ遺伝子導入水稲」研究成果を取得したが、商品化することができず、少なからぬ損失を出したため、技術移転機関が契約に違反したとして訴訟を提起し、1,100新台湾ドルの損失賠償を請求していた。しかしながら裁判所はその請求を認めなかった。
 知的財産裁判所は判決文において以下のように指摘した。双方が締結した技術使用許諾契約第8条及び技術移転契約第7条第1項の約定に基づき、中央研究院等は使用許諾、技術移転した技術の適応性と商品化の可能性については責任を負わないこととなっている。
 知的財産裁判所はこのため国際基因公司の代表者である曾○徳の請求を棄却した。本件訴訟は先ず2012年7月6日に台北地方裁判所で審理されている。台北地方裁判所が曾○徳に敗訴を言い渡したため、曾○徳は知的財産裁判所に上訴を提起したが、なお知的財産裁判所から支持を得ることはできなかった(2013年7月4日/工商時報/A22面)

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】101年度民專上字第36号
【裁判期日】2013年6月13日
【裁判事由】特許権使用許諾契約事件

上訴人 国際基因科技股份有限公司(Ingene Biotechnology Co., Ltd.)
被上訴人 行政院国家科学委員会
被上訴人 中央研究院
被上訴人 余○美

上記当事者間における特許権使用許諾契約事件について、上訴人は中華民国101年(2012年)7月6日台北地方裁判所100年度智字第39号第一審判決に対して上訴を提起し、本裁判所は2013年5月16日口頭弁論を終結して、以下のように判決を下すものである。

主文
上訴を棄却する。
第二審の訴訟費用は上訴人が負担する。

一 事実要約
1.被上訴人の余○美は被上訴人の行政院国家科学委員会(以下「国科会」)から経費を支給され、1993年に植物遺伝子導入技術を用いて、水稲組織を利用して細胞と種子を培養し、産業向け又は医薬向けの遺伝子工学技術によるタンパク質を生産するのに成功し、これは世界初の成功例となった。研究成果は様々な国で特許を取得した。これにより生産されるタンパク質はコストが低く、純度がより高く、汚染が生じず、動物や微生物のように製造過程で毒素やウイルス感染を生じるリスクを懸念する必要がなく、製薬、造酒、食品、飼料、ワクチン等の方面で国家に一兆新台湾ドル規模の産業をもたらすことが期待された。上訴人の代表者は被上訴人の余○美の理念に賛同し、さらに志を同じくする株主を集めて、1億3,500万新台湾ドルを出資し上訴人の企業を立ち上げた。さらに1999年12月10日には被上訴人の中央研究院(以下「中研院」)と技術使用許諾契約(以下「係争技術使用許諾契約」)を結び、被上訴人の中研院がその研究員、即ち被上訴人の余○美が開発した「Production of phytase in plants using the gene expression system comprising the promoter region of the α-amylase genes(α-アミラーゼのプロモーター域を含む遺伝子発現システムを用いた植物におけるフィターゼ生産」(以下「植物におけるフィターゼ生産」)技術の使用を上訴人に許諾し、上訴人は実施料600万新台湾ドルと上訴人の株式15万株を支払った。さらに被上訴人の中研院の「植物におけるフィターゼ生産」技術における「α-アミラーゼのプロモーター域を含む遺伝子発現システム」は被上訴人の国科会が補助した被上訴人の中研院、被上訴人の余○美研究員によるテーマ研究計画の成果であり、その特許及び非特許の知的財産権は被上訴人間で締結したテーマ研究計画補助契約に基づいて於被上訴人の国科会の所有に帰属する。上訴人は完全な「植物におけるフィターゼ生産」技術を取得するため、2000年7月14日に被上訴人と「α-アミラーゼのプロモーター域を含む遺伝子発現システム」の技術移転契約(以下「係争技術移転契約」)を締結した。被上訴人が前記技術の使用を上訴人に許諾するために、上訴人は被上訴人に実施料を支払った。それには現金500万新台湾ドルと上訴人の株式15万株が含まれる他、契約履行保証金30万新台湾ドルを供託した。上訴人はすぐにフィターゼ生産技術の研究を積極的に行うため、関連する学科の修士、博士を起用し、被上訴人の中研院において被上訴人の余○美からその開発技術を学んだ。数年にわたり、被上訴人の余○美の熱心な指導と上訴人の従業員の団結と協力により、ついに付加価値の高いフィターゼの開発に成功した。

2.2003年双方はフィターゼ遺伝子導入水稲の開発に成功した。ただし法令規定に基づいて前記製品は行政院農業委員会(以下「農委会」)の認可を得なければ、生産、販売を行うことができない。農委会の遺伝子導入植物審議委員会は上訴人の申請を受けて、農委会の農業試験場による遺伝子導入植物の隔離圃場試験を行うことに同意した。2006年3月27日遺伝子導入植物審議委員会第3回委員会議はその評価報告に基づいて「導入遺伝子が通常の水稲に流布するリストが高い。フィターゼ遺伝子導入水稲の隔離圃場試験は不合格である」と認定した。上訴人はこの処分を不服として、法に基づき行政訴願を提起したが、行政院によって訴願を棄却された。双方は係争技術使用許諾契約及び係争技術移転契約が期間満了となった時点で、契約期限を2012年12月31日と2011年5月31日にそれぞれ延長することに同意した。その後2011年に再度農委会に対して問合せを行った。農委会はそれに対して、圃場試験に合格することが必須条件であると回答した。圃場試験に合格するための方法がまだ見つかっておらず、この時点で初めて遺伝子導入植物が我が国ではすでに推進又は販売の可能性がないことを確認することができた。

3.原告はすぐに起訴を提起して、以下のように主張した。被上訴人が上訴人にその技術の使用を許諾し、フィターゼの遺伝子導入水稲の開発に成功したが、主務官庁が生産と販売を禁止した。被上訴人は現時点でまだ法令の制限を突破する方法を提出することができず、被上訴人の給付は法律上の給付不能に陥っている。被上訴人の国科会は行政主体国家を代表する機関であり、国家を代表して上訴人と技術使用許諾契約を締結した。国家は被上訴人の国科会を通じて契約を締結した後、法令を改正して、契約履行が給付不能となり、その後別の代表機関である農委会に法令を執行させ、上訴人がその使用許諾技術で製品を生産、販売することを許可しなかった。本件契約の給付不能の責任は国家が負うべきであり、その代表機関である被上訴人の国科会が給付不能の責任を履行すべきである。本件の給付不能は被上訴人の責に帰し、上訴人は民法第226条の規定に基づいて損害賠償を請求するとともに、被上訴人に上訴人が給付した実施料等の損失である合計1,100万新台湾ドルを賠償するとともに、上訴人は民法第213条第1、2項及び係争技術移転契約第5条第1項第1号及び係争技術使用許諾契約第6条第1項の約定に基づいて1,100万新台湾ドルの最後給付日、即ち2001年1月1日の翌日から起算した利息を請求する。

4.一歩譲って、本件の給付不能が双方当事者の責に帰さないと認定されたとしても、上訴人は係争技術移転契約書に基づいて被上訴人に実施料500万新台湾ドルを給付しており、そのうち被上訴人の国科会が195万新台湾ドル、被上訴人の余○美が200万新台湾ドル、被上訴人の中研院が105万新台湾ドルを取得している。さらに被上訴人の中研院は係争技術使用許諾契約に基づいて600万新台湾ドルの実施料を取得しており、その合計は705万新台湾ドルとなる。上訴人は民法第266条及び不当得利の規定に基づき、被上訴人の国科会に195万新台湾ドル、被上訴人の中研院に705万新台湾ドル、被上訴人の余○美に200万新台湾ドルの不当得利をそれぞれ返還するよう請求した。原審は上訴人に敗訴の判決を下したが、上訴人はこれを不服として本件の上訴を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)上訴の趣旨:
第一次請求:(1)原判決を破棄する。(2)被上訴人は上訴人に1,100万新台湾ドル及び2001年1月2日から支払い済みまでの年5%の割合による利息を支払うべきである。(3)上訴人は担保を立てるので、仮執行宣言申立の許可を請求する。
第二次請求:(1)原判決を破棄する。(2)被上訴人の国科会は上訴人に195万新台湾ドルを、被上訴人の中研院は上訴人に705万新台湾ドルを、被上訴人の余○美は上訴人に200万新台湾ドルを支払うべきであり、さらにいずれも2012年3月7日から支払い済みまでの年5%の割合による利息を支払うべきである。(3)上訴人は担保を立てるので、仮執行宣言申立の許可を請求する。
(二)被上訴人の中研院、余○美、行政院国家科学委員会の答弁趣旨:1.上訴を棄却すべきである。2.不利な判決を受けた場合は、担保を立てるので、仮執行免脱宣言申立の許可を請求する。

三 本件の争点
(一)第一次請求の部分:
1.被上訴人の給付義務には、上訴人がその技術を使用して製品の生産及び販売をできるようにする義務も含まれるのか。被上訴人の余○美には給付義務があるか否か。
2.技術使用許諾契約第8条及び係争技術移転契約第7条第1項に民法第247条の1で定められる状況があるか否か。当該部分の約定は有効か否か。
3.被上訴人の中研院が係争使用許諾契約において、被上訴人が係争技術移転契約において約定される負うべき給付義務は給付不能なのか否か。
4.もしすでに給付不能ならば、責は被上訴人に帰すのか否か。上訴人は民法第266条第2項の規定に基づいて被上訴人に損害賠償を請求できるか否か。損害賠償金額はいかに算出するのか。
(二)第二次請求の部分:
もしすでに給付不能ならば、責は被上訴人に帰すのか否か。上訴人は民法第266条第2項の規定に基づいて被上訴人にすでに給付したものを返還するよう請求できるか否か。金額はいかに算出するのか。
(三)上訴人の主張:省略。判決理由の説明を参照。
(四)被上訴人の答弁:省略。判決理由の説明を参照。

四 判決理由の要約
(一)第一次請求の部分:
1.被上訴人の給付義務には上訴人がその技術を使用して製品の生産及び販売を行う義務も含まれるのか。被上訴人の余○美には給付義務があるか否か。技術使用許諾契約第8条及び係争技術移転契約第7条第1項に民法第247条の1で定められる状況があるか否か。当該部分の約定は有効か否か。
(1)定型契約がエクイティ(衡平)原則の制限を受けなければならないとは、締結する一方の契約条項が事前に作成されており、他方は当該条項に基づいて契約を交すしかなく、さもなければ締結しないことによる不利益を受けてしまうため、エクイティの原則の法理を適用して不公平な「一方的利益条項」を排除して、経済的な弱者である一方が締結しないことによる不利益を受けることを回避しなければならず、たとえ他方がこの条項を受け入れて締結してとしても、エクイティ原則に反していれば無効とすべきであり、これにより平等互恵の原則に合致させることをいう(最高裁判所96年度台上字第1246号判決の趣意を参照)。次に1999年4月21日民法債編に第247条の1が追加された。わが国の国情及び産業発展の現況にかんがみて、経済的な強者が定めた契約条項に、他方に変更交渉の余地がなく、列挙された他方の当事者の利害に関する約定4項目の状況があり、その状況が公平を明らかに失するものであれば、当該部分の約定を無効とすると規定されている。
(2)上訴人と被上訴人の中研院が締結した係争技術使用許諾契約第8条には「一.本契約が明文で規定するものを除き、甲方(被上訴人の中研院)はいかなる責任も担保せず、本資料の適応性と商品化の可能性を担保しないことも含まれる。二.甲方は本契約を忠実に履行することを担保し、乙方(上訴人)が順調に自ら本製品を製造できるよう協力に尽力する。ただし、甲方による協力の尽力は乙方が本製品を製造する能力を絶対的に有することを担保するものではない」と約定されている。また双方が締結した係争技術移転契約第7条第1項にも「一.本使用許諾の技術は契約締結時に乙方(被上訴人の余○美)が完成し、すでに特許権を取得した状態で丙方(上訴人)に引き渡すものとする。乙方は丙方が自ら本使用許諾技術を使用できるよう協力の尽力を担保するが、本使用許諾技術の適応性と商品化の可能性を担保するものではない」と約定されている。本件の上訴人は係争技術使用許諾契約第8条及び係争技術移転契約第7条第1項について、定型契約の不公平な条項であり、民法第247条の1及び消費者保護法第12条に定める状況がみられるため無効であると主張している。上記契約はその技術で製品又は製品を生産すること、又は生産された製品を商品化することを担保しないとしており、技術が法令により生産又は販売できない状況については含まれていない。
(3)調べたところ、上訴人は資本総額が2億新進台湾ドルであり、大きな資金力と十分な交渉力があり、経済的弱者ではなく、被上訴人と契約を結ぶか否かは上訴人が自由に決定でき、上訴人には被上訴人と契約を締結しないことによる不利益が生じたり、また附合の立場にあり、経済的な生活が被上訴人の制約を受け、係争技術使用許諾契約又は係争技術移転契約を締結しなければならないという状況はなかった。被上訴人である中研院の使用許諾契約は発明毎に使用許諾状況に基づいて修正するもので、被使用許諾者と交渉して契約内容を修正しており、いわゆる附合契約が変更できない、又は交渉できないといえるかどうかは疑義が生じる。ましてや上訴人にとって、使用許諾技術の取得と技術移転及び使用許諾技術の商品化は、係争技術使用許諾契約及び係争技術移転契約にとって最も核心的で、最も重要な問題であり、上訴人が契約を締結した時に被上訴人の使用許諾、技術移転される技術が商品化できるか否かに少しも注意を払わない、又は全く関心を持たないことは不可能である。いいかえれば、被上訴人が商品化において担保責任を負わないという関連条項に対して、上訴人が知らなかったと言い逃れすることはできず、検討した後、それに対する不利益を認めたならば、間に合うように変更の交渉を提出したり、締結しないという選択をしたりすることはできたはずである。
(4)さらに上訴人は企業であり、消費する目的を以って取引を行い、商品を使用し、或いはサービスを受け取る消費者(訳注:消費者保護法における「消費者」の定義)ではなく、被上訴人はいずれも商品を設計、生産、製造、輸入、販売代行し、或いはサービスを提供することに従事する企業経営者(訳注:消費者保護法における「企業経営者」の定義)ではない。本件は技術使用許諾契約に関する争議であり、消費者と企業経営者との間の商品又はサービスにより生じた争議ではないため、消費者保護法を適用できない。このため、上訴人が提出した証拠資料に基づき、係争技術使用許諾契約第8条及び係争技術移転契約第7条第1項が民法第247条の1又は消費者保護法第12条に定める状況に該当するため、無効であるという状況があるとは認められない。係争技術使用許諾契約第8条及び係争技術移転契約第7条第1項はすでに無効ではなく、上記条項の約定に基づいて、被上訴人は使用許諾、技術移転を行う技術の適応性と商品化の可能性について担保責任を負わないものである。且つ、いわゆる商品化とは製品の発売、即ち販売を指すが、商品化できない原因は多々ある。上記約定はその原因を限定しておらず、全ての状況が含まれるはずであり、即ち法令が原因で製品が発売、販売できない状況も含まれており、排除されていない。したがって、本件は法令により使用許諾、技術移転を行った技術で生産した製品を商品化できないことがあっても、被上訴人はなお担保責任を負うものではない。

2.被上訴人の中研院が係争使用許諾契約において、被上訴人が係争技術移転契約において約定される負うべき給付義務は給付不能なのか否か。
被上訴人の給付義務に上訴人がその技術を使用して製品の生産と販売を行うことができるようにする義務は含まれていないことは前述した通りである。したがって、たとえ上訴人が本件の使用許諾技術が法令により商品化し発売できないと主張する部分が事実だったとしても、なお被上訴人の中研院が係争技術使用許諾契約において、被上訴人が係争技術移転契約においてそれぞれ負うべき給付義務は給付不能に陥っておらず、上訴人のこの部分に対する主張は採用できない。

3.もしすでに給付不能ならば、責は被上訴人に帰すのか否か。上訴人は民法第226条第1項の規定に基づいて被上訴人に損害賠償を請求できるか否か。損害賠償金額はいかに算出するのか。
被上訴人の給付義務に、上訴人がその技術を使用して製品の生産と販売を行うことができるようにする義務が含まれていないことは前述した通りである。被上訴人の中研院が係争技術使用許諾契約において、被上訴人が係争技術移転契約においてそれぞれ負うべき給付義務は給付不能に陥っておらず、上訴人は民法第226条第1項の規定に基づいて被上訴人に損害賠償を請求することはできない。 

(二)第二次請求の部分:
もしすでに給付不能ならば、責は被上訴人に帰すのか否か。上訴人は民法第266条第2項の規定に基づいて被上訴人にすでに給付したものを返還するよう請求できるか否か。金額はいかに算出するのか。 

被上訴人の給付義務に、上訴人がその技術を使用して製品の生産と販売を行うことができるようにする義務が含まれていないことは前述した通りである。被上訴人の中研院が係争技術使用許諾契約において、被上訴人が係争技術移転契約においてそれぞれ負うべき給付義務は給付不能に陥っておらず、上訴人は民法第266条第2項の規定に基づいて被上訴人にすでに給付したものを返還するよう請求することはできない。たとえ上訴人が本件の使用許諾技術が法令により商品化し発売できないと主張する部分が事実だったとしても、係争技術使用許諾契約第6条約定に基づいて、上訴人は被上訴人である中研院の資料を受け取ることに実施料600万新台湾ドルを支払い、さらに商品化され発売された後に得た利益を被上訴人である中研院には一定の金額を支払うことについては別途約定がある。係争技術移転契約第5条も実施料500万新台湾ドルと商品化後に得られた利益について一定の金額を被上訴人に支払う約定がある。つまり上訴人は係争技術使用許諾契約に基づき被上訴人の中研院に実施料600万新台湾ドルを支払い、係争技術移転契約に基づいて被上訴人に実施料500万新台湾ドルを支払い、これらは被上訴人から使用許諾又は技術移転された技術を取得するために支払われた代価であり、該技術の後日商品化による販売とは反対給付又は対価の関係にない。該技術が後日商品化による販売ができなかったからといって支払われた実施料の返還を請求することはできない。このため、上訴人の第二次請求により民法第266条第2項規定に基づいて被上訴人に対してすでに給付されたものを返還するよう請求することも、法に合わない。

(三)以上をまとめると、上訴人が民法第226条第1項の規定に基づき被上訴人は上訴人に1,100万新台湾ドル及び2001年1月2日から支払い済みまでの年5%の割合による利息を支払うべきであるとする第一次請求、及び民法第266条第2項の規定に基づき被上訴人の国科会は上訴人に195万新台湾ドルを、被上訴人の中研院は上訴人に705万新台湾ドルを、被上訴人の余○美は上訴人に200万新台湾ドルを支払うべきであり、さらにいずれも2012年3月7日から支払い済みまでの年5%の割合による利息を支払うべきであるとする第二次請求はいずれも法に合わないため、許可すべきではなく、その仮執行宣言の申立も理由を失ったため、併せて棄却すべきである。

上記論結に基づき、本件上訴には理由がなく、民事訴訟法第449条第1項、第78条に基づいて、主文の通り判決を下すものである。

2013年6月13日
知的財産裁判所第三法廷
裁判長 汪漢卿
裁判官 蔡惠如
裁判官 陳容正
2013年6月24日
書記官 劉筱淇

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