ミーンズ・プラス・ファンクションで書く場合、当該機能の範囲等を記述していないとき、なお当該記載が通常の知識を有する者にとって明確又は十分に要件を開示しているかを検討しなければならない。

2014-07-29 2013年

■ 判決分類:特許権

I ミーンズ・プラス・ファンクションで書く場合、当該機能の範囲等を記述していないとき、なお当該記載が通常の知識を有する者にとって明確又は十分に要件を開示しているかを検討しなければならない。

■ ハイライト
2004年7月1日より施行された専利法施行細則第18条第8項には「複数の技術的特徴が組み合わされた発明について、その特許請求の範囲における技術的特徴は、ミーンズ・プラス・ファンクションクレーム又はステップ・プラス・ファンクションクレームによって表示することができる。特許請求の範囲を解釈するにあたって、発明の要旨の中に述べられたその機能に対応する構造、材料又は動作及びその均等な範囲を含めなければならない。」とのみ規定されている。しかし、複数の技術的特徴を組み合せた発明について、その特許請求の範囲における技術的特徴をミーンズ・プラス・ファンクションクレーム又はステップ・プラス・ファンクションクレームによって表示するとき、もし、発明の要旨の中に述べられたその機能に対応する構造、材料又は動作を含めなければ、専利法第26条第3項所定の特許請求の範囲を明確にすべきとの規定に合致しないと規定されているわけではない。また、ミーンズ・プラス・ファンクションによって表示するとき、明細書に記載されている請求項に対応する機能の構造又は材料を記載しなければならないとする専利審査基準の記載については、ミーンズ・プラス・ファンクションで特許請求の範囲を書くとき、解釈上、これらの内容を含むので、発明の要旨の中にその機能に対応する構造、材料又は動作及びその均等な範囲を記述するのであれば、専利法所定の明確かつ開示をするなどの要件をより一層満たすことができると提示しているだけである。しかし、ミーンズ・プラス・ファンクションで書くとき、その機能の構造、材料又は動作及びその均等な範囲等を記述しなければ、専利法所定の明確且つ開示をするという要件に合致しないわけではなく、なお当該記載がその属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確且つ十分に要件を開示しているかを検討しなければならない。(出所:法源)

II 判決内容の要約

最高行政裁判所判決
【裁判番号】2013年度判字第355号
【裁判期日】2013年6月7日
【裁判事由】発明特許の無効審判請求

上訴人   鄭青菊
被上訴人 経済部知的財産局
参加人  圓剛科技股份有限公司

上記当事者間の特許無効審判請求事件につき、上訴人は2013年1月24日に知的財産裁判所による101年度行専訴字第28号行政判決に対する上訴を提起した。本裁判所は、以下のように判決を下すものである。

主文
上訴を棄却する。
上訴審の訴訟費用は、上訴人の負担とする。

一 事実要約
参加人が2004年2月18日に「ビデオ信号伝送受信処理装置」として被上訴人に発明特許の登録出願を行い、特許査定を受け、公告期間満了後に、発明特許第I240169号証書(以下係争特許という)の発給を受けた。上訴人は、係争特許が査定時の専利法第26条第2項から第4項までの規定に違反するとして、無効審判を請求した。被上訴人が審理した結果、「無効審判請求不成立」との処分を下した。上訴人はこれを不服として、訴願を提起したが、棄却決定が出されたため、原審に対する行政訴訟を提起した。また、原審裁判所が、参加人に被上訴人の訴訟に独立参加することを命じた後も、本件は棄却された。上訴人はなおこれを不服として、本件上訴を提起した。

二 両方当事者の請求内容
上訴人による請求の趣旨:係争特許の特許請求の範囲第1項、第15項及び第18項の記載は専利法第26条の規定に違反するので、その特許権を取消すべきであり、訴願決定及び原処分を共に取消す旨の判決を下すよう求めるほか、被上訴人に第0000000000N08号無効審判請求について、無効審判請求の成立、発明特許権を取り消すべきである旨の審決を下すことを命じるよう請求する。
被上訴人は、係争特許の発明の要旨、特許請求の範囲及び図面が開示の書式に合致し、且つ専利法第26条第4項に違反しないので、上訴人の訴えを棄却する判決を下すよう請求する。

三 判決理由の要約
(一)「発明の要旨は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその内容を理解し、それに基づいて実施をすることができるように明確かつ十分に示さなければならない。特許請求の範囲は特許を受けようとする発明を明確に記載し、請求項ごとに簡潔な方式で記載し、かつ明細書及び図面によって支持されたものでなければならない。明細書、特許請求の範囲及び図面の開示方法は、本法施行細則でこれを定める。」と係争特許査定時の専利法第26条第2項、第3項、第4項にそれぞれ明文で規定されている。

(二)本件は係争特許の発明の要旨において既に係争特許の問題を解決しようとする技術的内容、及びビデオ信号伝送受信処理装置が明確に記載されており、係争特許の発明の要旨が明確かつ十分に開示され、その属する技術分野における通常の知識を有する者がその内容を理解し、それに基づいてその実施をすることができるので、係争特許は専利法第26条第2項の規定に合致している。また、係争特許の特許請求の範囲第1項、第15項、第18項にいう「ビデオデコーダー」及び「ブリッジ」は装置である。「ビデオデコーダー」の主要機能は受信したアナログ信号をデジタル信号に変換して出力することである。また、「ブリッジ」の主要機能は、入力したデジタル信号をバスインターフェース規格に合致する新しいデジタル信号の特定機能記述に変換し、且つバスインターフェース規格もPCMCIA又はCardBus又はExpress Card等バスインターフェース規格を含むと具体的に限定している。係争特許が、具体的に「ビデオデコーダー」、「ブリッジ」等部品の各自機能及び各部品間の作用関係を限定したので、専利法第26条第3項の明確性の要求に合致している。それ故、係争特許の発明の要旨、特許の請求範囲及び図面の開示方法は専利法施行細則における開示書式の関連規定に違反しないばかりか、係争特許も専利法第26条第4項に合致している。

(三)「複数の技術的特徴が組み合わされた発明について、その特許請求の範囲における技術的特徴は、ミーンズ・プラス・ファンクションクレーム又はステップ・プラス・ファンクションクレームによって表示することができる。特許請求の範囲を解釈するにあたって、発明の要旨の中に述べられたその機能に対応する構造、材料又は動作及びその均等な範囲を含めなければならない。」と係争特許が査定時に適用すべき2004年7月1日より施行の専利法施行細則第18条第8項に明文で規定されている。だが、前記施行細則において、複数の技術的特徴が組み合わされた発明について、その特許請求の範囲における技術的特徴を、ミーンズ・プラス・ファンクションクレーム又はステップ・プラス・ファンクションクレームによって表示するとき、発明の要旨の中に述べられたその機能に対応する構造、材料又は動作及びその均等な範囲を含めなければ、前記專利法第26条第3項所定の特許請求の範囲を明確にすべきという規定に合致しないと規定されているわけではない。また、ミーンズ・プラス・ファンクションによって表示するとき、明細書に記載されている請求項に対応する機能の構造又は材料を記載しなければならないとする専利審査基準の記載は、ミーンズ・プラス・ファンクションで特許請求範囲を書くとき、解釈上、これらの内容を含むので、発明の要旨の中にその機能に対応する構造、材料又は動作及びその均等な範囲を記述するのであれば、専利法所定の明確かつ開示をするなどの要件をより一層満たすことができると提示しているだけである。しかし、ミーンズ・プラス・ファンクションで書く場合、当該機能の構造、材料又は動作及びその均等な範囲等を記述していないとき、専利法所定の明確且つ開示に関する要件に合致しないことではなく、なお当該記載がその属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確且つ十分に要件を開示しているかを検討しなければならない。

(四)以上を総じると、本件の上訴には理由がない。

2013年6月7日
最高行政裁判所第六法廷
審判長裁判官 廖宏明
裁判官 蕭忠仁
裁判官 侯東昇
裁判官 江幸垠
裁判官 陳国成

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor