フィリップスの特許を侵害 巨擘は判決を受けて3億を賠償

2014-12-27 2013年

■ 判決分類:特許権

I フィリップスの特許を侵害 巨擘は判決を受けて3億を賠償

■ ハイライト
巨擘が製造している「24X DVD-R Slim及びDVD-R製品が、フィリップス「DVD-R及びDVD-R Slim」特許を侵害したと裁判所に認定された。従って、フィリップスが、賠償金及び利息を払うよう巨擘等被告に要求したほか、侵害排除、防止、侵害品と製造道具の処分を訴訟で裁判所に請求したことについて、裁判官は請求に理由があるとして許可した。

また賠償金について、判決では、巨擘が提出した会計士審査報告によると、巨擘が2012年にDVD-Rディスクを販売した売上は48億台湾ドルで、巨擘先進の売上は7億台湾ドルであるので、フィリップスが改正前の専利法第85条により3億台湾ドルの支払いを請求したことには、法に基づく根拠があると言える。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】101年度民專訴字第73号
【裁判期日】2013年9月16日
【裁判事由】特許権侵害に関する財産権争議等

原告 Koninklijke Philips N.V.(オランダ、商皇家飛利浦股份有限公司)
被告 巨擘科技股份有限公司
兼法定代理人 祁甡
被告 邱丕良
被告 巨擘先進股份有限公司
兼法定代理人 邱丕良

主文
被告巨擘科技股份有限公司、祁甡、巨擘先進股份有限公司、邱丕良は連帯して3億台湾ドル、及び2012年4月17日から弁済日まで、年5%で計算した利息を原告に支払わなければならない。
被告巨擘科技股份有限公司、祁甡、巨擘先進股份有限公司、邱丕良は直接または間接的に、自らもしくは他人に委託し、DVD-R、DVD-R Slimディスクの製造、販売の申出、販売、使用または輸入をしたり、及び他の中華民国第82864号発明特許「シリーズm個ビット情報の転換、信号調整の方法による製造記録キャリヤー、コード装置、クラック装置、記録装置、書込み装置の製造及び信号の方法、及び記録キャリヤー」製品を侵害してはならない。
訴訟費用は被告巨擘科技股份有限公司、祁甡、巨擘先進股份有限公司、邱丕良の連帶負担とする。
本判決第一項、第二項部分は、被告巨擘科技股份有限公司、祁甡、巨擘先進股份有限公司、邱丕良のために、原告が担保として1億台湾ドルを供託し、仮執行を行うこともできるが、被告巨擘科技股份有限公司、祁甡、巨擘先進股份有限公司、邱丕良は仮執行手続きの実施前に、原告のために担保として3億台湾ドルを供託することで、仮執行の免除を受けることができる。

一 両方当事者の請求内容
原告の起訴主張は下記の通り:
一、原告は世界的に有名な電子製品業者であり、中華民国第82864号発明特許「シリーズm個ビット情報の転換、信号調整の方法による製造記録キャリヤー、コード装置、クラック装置、記録装置、書込み装置の製造及び信号の方法、及び記録キャリヤー」発明特許(以下係争特許という)の特許権者であり、特許の保護期間は1997年1月1日から2015年2月14日までで、現在でも有効である。
二、被告が製造販売したDVD-R、DVD-R Slim録画可能ディスク製品(以下係争製品という)は、原告の係争特許権を侵害した。

被告の答弁は以下の通り:
一、係争特許は新規性、進歩性を喪失したので、取消すべき事由がある。
二、係争製品はすでに許諾された。
三、被告に係争特許を侵害した事情はない。
四、原告の係争特許権の権利は消尽した。
五、答弁声明:原告の訴えを棄却し、もし不利な判決を受けた場合、仮執行の免除を受けるために、被告は担保を提供することに同意する。

二 本件の争点
両方当事者の論争事項:
(一)係争特許を取消すべき事由について、被告が提出した抗弁及び証拠は失権したか?
(二)係争特許に取消すべき事由はあるか否か?
(三)係争製品は係争特許の特許請求の範囲に入るか否か?
(四)被告に係争特許を侵害する故意過失があるか否か?
(五)被告が係争特許の権利が消尽したと抗弁したことには理由があるか否か?
(六)原告が連帶して損害を賠償するよう被告に請求したことには理由があるか否か?
(七)原告は直接または間接的に、自らもしくは他人に委託し、製造、販売の申出、販売、使用または輸入をしたり、及び他の係争特許の物品を侵害してはならないと被告に請求したことには理由があるか否か?

三 判決理由の要約
一、被告が提出した引証1、3、5、8、9、10、12及びEFMの組合せは、係争特許に新規性及び進歩性がないと証明することができない。

二、係争製品は係争特許の特許請求の範囲に入るか否か:
(一)係争製品「24X DVD-R Slim及びDVD-R ディスク」は係争特許請求項6の権利範囲に入る。
(二)係争製品は係争特許請求項10の権利範囲に入らない。
(三)係争製品は係争特許請求項27の権利範囲に入る。
(四)係争製品は係争特許請求項31の権利範囲に入る。

三、被告に係争特許を侵害する故意過失があるか否か:
被告は係争製品の製造を業務とし、係争製品が他人の特許権範囲を侵害する可能性がある事項について注意義務があり、ましてや製造業者であるので、損害発生を予見または避ける能力及び注意義務があるのに、注意せず、本件の侵害行為が生じたので、少なくとも注意義務を果たさない過失があるはずである。
被告は原告が訴外人0000000公司に許諾して製造したCD-ROMドライブを使用して係争製品を製造し、また訴外人00000000の許諾を得たので、故意過失等がないと称したが、原告は訴外人0000000公司にCD-ROMドライブ(後述を参照)の製造を許諾したのであり、被告巨擘公司にはCD-ROMドライブ製造を許諾していないが、被告はこれに対し注意をしていなかった。また被告は被証1の00000000許諾を引用し、原告が係争製品とDVD-R規格書が一致しているので、係争製品が特許請求の範囲に入ると主張し、被証1を提出したが、被告は中華民国27024号特許明細書のみを提出し、00000000が被告公司に係争製品の製造を許諾した証拠を提出しなかった。よって被告が既に当該会社の許諾を得たと認定するには足りず、また原告も別途証拠としてテスト報告等他の証拠を提出したので、被告が許諾を得たと主張したことは、信用できない。

四、被告が係争特許の権利が消尽したと抗弁したことに理由があるか否か:
改正前の専利法第57条第1項第6号規定では、特許権の効力は、特許権者が製造し、又はその同意を得て製造された特許物品の販売後の、当該物品の使用、又は再販売に及ばない。上記の製造、販売行為は国内に限らないとなっている。これは台湾専利法の権利消尽原則に関する規定である。本規定は1979年4月16日に新設され、その立法理由は:「特許権者が台湾において特許権を取得した後、市場を独占するのを避けるために、專有販売権の保護範囲について、合理的な制限をすべきである、台湾の経済利益を守るために、他人が国外から原発明者が、他人に賃貸及び譲渡し、実施して製造した物品を輸入するのを許可する。」となっている。前記立法理由は国外輸入を説明しているが、その規定要旨により、特許権者が有している権利頒布及び複製物の所有者の所有権の均衡を図り、両者の利益を調和させ、特許権者が特許権を譲渡または許諾して合理的な報酬を得た後に、受取人またはライセンシーは特許権がある製品を販売し、経済または文化価値を十分に利用することができ、十分利用するという目標を達成する。特許権者が二重利益を得るのを避けるために、自由に商品を流通させ、制限の規定をする。
被告は0000000 CD-ROMドライブ27,040台を購入したことにより、空のディスクを製造したが、年総製造量は少なくとも1億枚に達していて、ほとんどを輸出販売の方法により販売している。2012年度のこの種類販売金額は43億台湾ドルで、2002年から2012年頃全ディスク機の購入はコスト46,794,703台湾ドルだけであり(2012年に新CD-ROMドライブ4,000台を購入したが、金額は260万台湾ドル、ファイル三第214頁を参照)、被告は原告にロイヤリティを一切支払わず、CD-ROMドライブのロイヤリティは0000000公司が原告に支払ったが、せいぜい270,400ドルであったので、両者の比率は不合理である。よって、CD-ROMドライブ1台につき原告はせいぜい10ドルを受取っていただけであり、ディスク製造を被告に許諾して数10億台湾ドルの収入を獲得させる意思がなかったことは明確である。前記状況によれば、原告は係争特許の許諾により二重利益を得ておらず、当該CD-ROMドライブでディスクを製造したことについて一般的な使用者に流通させることを妨害する意図がないので、係争特許の効力は被告が製造したディスクに対し、権利を主張することができる。よって、被告が原告の係争特許の特許権利が消尽したと抗弁したことは、信用できない。

五、原告が連帶して損害を賠償し及び係争製品の製造を中止するよう被告に請求したことには理由があるか否か:
2012年度、2011年度財務報告が赤字状態であることを証明するために、被告は会計検査報告を提出した。且つ公開情報サイト財務表によると、その財務状況は赤字状態であり、係争製品を製造、販売したコスト及び必要経費が得た利益を超えていることが示された。前記の通り、当該コスト及び必要経費支出は直接係争製品の製造と関係があるものに限られ、また被告はその係争製品を製造、販売する、製造及び材料、販売、従業員のコスト、機器と場所コスト等についてオリジナルの証拠支出証明を提出していないので、その提出した各財務表ではどのコストと必要経費が係争製品の製造及び販売と直接関連するかについて、その立証が明確な証明程度に達することはない。また被告両会社は過去7年来、赤字、弁済能力がよくない状況がなかったのに、債権を申立てたが、銀行に弁済した資金源について、明確な証明を提出しなかったので、黒、赤字状態が係争製品を製造、販売したコスト及び必要経費によるもので、全部控除できるとは認定できないので、被告が提出した当該証拠はコスト及び必要経費を差し引いたとの証明にできない。被告巨擘公司が提出した会計検査報告では2012年度DVD-Rの販売は48億台湾ドルの売上があり(本裁判所ファイル八第186頁を参照)、被告巨擘先進公司の係争製品を製造した2012年度売上は708,490,000台湾ドルで(本裁判所ファイル八第192頁を参照)、原告は改正前の専利法第85条第1項第2号前段の侵害者が得た利益の規定により、被告等の3億台湾ドルの売上を被告の利益とするよう要求したことには、確かに根拠がある。
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