群聯が普鉅に勝訴し、遠隔制御エミッタ実用新案権を獲得

2015-01-23 2013年

■ 判決分類:実用新案権

I 群聯が普鉅に勝訴し、遠隔制御エミッタ実用新案権を獲得

■ ハイライト
 群聯電子股份有限公司(Phison Electronics Corp.、以下「群聯公司」)と普鉅有限公司(Puu-Jiuh Co., Ltd、以下「普鉅公司」)との「設於個人隨身觸控通信設備之遙控發射器(個人用タッチ制御通信装置に設置する遠隔制御エミッタ)」実用新案権関連訴訟に関して、知的財産裁判所第一審は群聯公司勝訴の判決を下し、普鉅公司に公告第M406889号「個人用タッチ制御通信装置に設置する遠隔制御エミッタ」実用新案権を移転登録し、群聯公司の所有とするよう命じた。本件はさらに上訴できる。
 2010年に普鉅公司が群聯公司に製品「iController」の開発を委託し、2010年12月13日群聯公司が提出した「プロジェクト開発開始声明書」に署名した。
該「プロジェクト開発開始声明書」第7条に「本プロジェクトで派生した著作権、商標権、専利権(訳注:特許権、実用新案権、意匠権を含む)等の知的財産権は当社(即ち群聯公司)の所有に帰す」と明記されており、群聯公司は普鉅公司に「製品専売権」を与えている。
 ところが、普鉅公司は2010年12月29日独断で群聯公司の所有に帰すべき製品「iController」の研究開発成果について経済部知的財産局に対して実用新案登録を出願し、公告第M406889号「設個人用タッチ制御通信装置に設置する遠隔制御エミッタ」実用新案権を取得した。
 群聯公司は裁判所に対して訴訟を提起し、当該実用新案権を「プロジェクト開発開始声明書」の規定に基づき該社(群聯公司)所有への移転登記を請求するともに、営業秘密法に基づき普鉅公司に500万新台湾ドルの損害賠償支払いを請求した。
 裁判所は、両社間の「プロジェクト開発開始声明書」第7条において本プロジェクト開発で派生した専利権は群聯公司の所有に帰すと約定されているため、「iController」プロジェクト開発で派生した専利権は群聯公司の所有に帰すべきであり、普鉅公司が独断で専利(ここでは実用新案登録)を出願して許可を得たことは、双方間の契約(即ち、プロジェクト開発開始声明書)の約定に違反しており、該専利権を移転登録して郡聯公司の所有とすべきであるとの判決を下した。
さらに群聯公司は営業秘密法の規定に基づき、営業秘密侵害に対する損害賠償金支払いを請求した。群聯公司は該専利技術が営業秘密法で定める「営業秘密」の要件を満たしていると証明する関連証拠を提出していないため、この部分の請求は許可し難いとの判決が下された(2013年12月31日 工商時報A21面)

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】102年度民專訴字第29号
【裁判期日】2013年12月12日
【裁判事由】専利権(実用新案権)帰属等

原告 群聯電子股份有限公司(Phison Electronics Corp.)
被告 普鉅有限公司(Puu-Jiuh Co., Ltd)

上記当事者間の専利権(実用新案権)帰属等事件について、本裁判所は2013年11月14日に口頭弁論を終え、次の通り判決する。

主文
被告の普鉅有限公司(以下「普鉅公司」)は公告第M406889号「個人用タッチ制御通信装置に設置する遠隔制御エミッタ」実用新案権を原告の群聯電子股份有限公司(以下「群聯公司」)の所有に移転登録せよ。
訴訟費用(原告の取下げ部分を除く)を被告の普鉅有限公司の負担とする。

一 両方当事者の請求内容
(一)原告:
被告の普鉅公司は公告第M406889号「個人用タッチ制御通信装置に設置する遠隔制御エミッタ」実用新案権を移転登記して原告の所有とせよ。
訴訟費用は被告の負担とする。
(二)被告:
原告の請求を棄却する。
不利な判決を受けた場合は、担保を立てるので、仮執行免脱宣言申立の許可を請求する。

二 本件の争点
1.被告が取得した公告第M406889号「個人用タッチ制御通信装置に設置する遠隔制御エミッタ」の実用新案権は原告と被告のどちらに帰属するのか。
2.原告が被告に上記実用新案権を移転登記して原告の所有とするよう請求することに理由があるのか。

(一)原告主張の理由:略。判決理由の説明を参照。
(二)被告答弁の理由:略。判決理由の説明を参照。

三 判決理由の要約
一.被告が取得した公告第M406889号「個人用タッチ制御通信装置に設置する遠隔制御エミッタ」の実用新案権は原告と被告のどちらに帰属するのか。
被告の普鉅公司は2010年原告に製品「iController」の開発を委託し、2010年12月13日に係争「プロジェクト開発開始声明書」に署名して原告に提出しており、「プロジェクト開発開始声明書」第7条には、「本プロジェクトで派生した著作権、商標権、専利権等の知的財産権は原告の所有に帰す」と明記されている。上記約定に基づき、被告がプロジェクトに出資したか、又は初期の商品に対するニーズや初期の構想を提供したかに拘わらず、「プロジェクト開発開始声明書」に署名した後に完成した実際の製品技術について、専利出願権と専利権はいずれも原告の所有に帰すべきである。

二.原告が被告に上記実用新案権を移転登記して原告の所有とするよう請求することに理由があるのか。
係争専利(実用新案)の請求項1~12の技術的特徴はすでにそれぞれ開示されており、係争専利(実用新案)は双方間の「iController」開発プロジェクトで派生した専利権(実用新案権)であると認定できる。双方間の「プロジェクト開発開始声明書」第7条にて、係争専利の専利出願権と専利権は原告の所有に帰すと約定されている。被告は独断で出願し、係争専利権を取得しており、原告が双方間における契約の不履行、権利侵害行為、不当得利の法律関係に基づき、被告に係争専利権を移転登記して原告の所有にするよう請求することには、正当な理由がある。さらに原告が営業秘密法第4条、第10条、第12条、第13条の規定に基づき、営業秘密侵害の損害賠償金の支払いを請求しているが、係争専利技術が営業秘密法第2条に規定される「営業秘密」の要件を満たすことを証明する関連証拠を提出していないため、この部分の請求は許可し難い。
本件プロジェクトの開発プロセスについては、双方が正式に書類に署名する以前、原告は被告のために技術の研究及び開発に着手しており、原告が一定の成果を得た時点で、具体的で明確なソリューションを提供した後、双方は正式に「プロジェクト開発開始声明書」に署名しているため、原告が提出した最終技術ソリューションは正式に署名される前の研究開発プロセスと連続性の関係を有し、分割することはできない。係争専利技術は2010年12月28日原告によって実際に完成され、被告は2010年12月29日に係争専利の出願を行っているが、いずれも係争プロジェクト開発開始声明書が2010年12月13日に署名された後であり、係争専利権は原告の所有に帰すべきである。
以上の次第で、本件双方間の係争プロジェクト開発開始声明書第7条において、本プロジェクトの開発で派生した専利権は原告の所有に帰すと約定されているため、係争専利権は「iController」プロジェクトの開発で派生した専利権であり、原告の所有に帰すべきである。被告が独断で専利を出願し許可されたことは、双方間の契約の約定に違反するものであるため、原告が双方間の契約及び債務の不履行、権利侵害行為、不当得利の法律関係に基づいて、被告に対し係争専利権を移転登録して原告の所有とするよう請求することには正当な理由があり、許可すべきである。原告からの営業秘密の法律関係に基づく請求部分については、係争専利技術が原告の営業秘密であることが証明されていないため、この部分の請求はなお許可し難い。ただし、この部分は前述の許可部分の請求と請求権競合による併合の関係にあるため、棄却を別途知らせない。

2013年12月12日
知的財産裁判所第一法廷
裁判官 彭洪英
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