吉祥による東芝特許権の侵害に7000万新台湾ドルの賠償金支払い命令判決

2015-05-27 2014年
■ 判決分類:特許権

I 吉祥による東芝特許権の侵害に7000万新台湾ドルの賠償金支払い命令判決

■ ハイライト
株式会社東芝(即ちDVD6Cライセンスグループ(以下、DVD6C)の代表幹事企業、以下「東芝」)は2002年3月27日、吉祥全球実業股份有限公司(以下「吉祥公司」)とDVDライセンス契約を結んだが、同契約は2010年4月15日に解約されている。
ところが、吉祥公司は東芝に契約を解約された後もDVD-ROMを製造、販売し続けた。吉祥公司が製造した「原來是美男(TV Original Soundtrack)」光ディスクは、東芝が所有する特許(請求項1、3、6、7)の範囲に含まれると訴訟を提起され、知的財産裁判所から東芝の特許権を侵害していると認定された。
東芝は知的財産裁判所に賠償請求の訴訟を提起し、該裁判所第一審は2012年9月、吉祥公司と陳○華に、東芝に対して589万新台湾ドル並びに2011年6月4日から支払い済みまで年5分での割合による金員を連帯で支払うよう命じる判決を下した。
東芝はこれを不服として上訴し、知的財産裁判所第二審合議法廷は、吉祥公司と陳○華に、東芝に対し、6655万9362新台湾ドル、つまり計7245万4134新台湾ドル(原審判決の賠償金589万4772新台湾ドルを含む)並びに2011年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯で支払うよう命じる判決を下した。本件はなお上訴できる。(2014年3月25日 工商時報 A16面)

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】101年度民專上字第50号
【裁判期日】2014年2月27日
【裁判事由】特許権侵害に関連する財産権争議等

上訴人 株式会社東芝(Toshiba Corporation)
上訴人 吉祥全球実業股份有限公司(Infodisc Technology Co.,Ltd)
兼法定代理人 陳○華

上記上訴人間の特許権侵害に関連する財産権争議等事件について、双方は2012年9月7日本裁判所100年度民專訴字第60号第一審判決に対してそれぞれ上訴を提起し、東芝は追加請求をした。本裁判所は2014年1月22日に口頭弁論を終え、以下の通り判決する。

主文
原判決において棄却された東芝からの連帯賠償の請求部分及び該部分の仮執行申立、訴訟費用請求の部分をいずれも取り消す。
吉祥公司、陳○華は、東芝に対し、金6655万9362新台湾ドル及びこれに対する2011年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯で支払え。
東芝のその余の上訴及びその余の追加請求をいずれも棄却する。
吉祥公司、陳○華の上訴を棄却する。
第一審及び第二審(追加請求部分を含む)の訴訟費用は73%を吉祥公司と陳○華の連帯負担、その余を東芝の負担とする。
本判決第二項の支払い命令について、東芝は2220万新台湾ドル又は同額の兆豊国際商業銀行安和支店の譲渡可能定期預金証書を担保として供託した後に仮執行を行うことができる。ただし、吉祥公司、陳○華が6655万9362新台湾ドルを東芝に担保として供託したときは、仮執行を免脱できる。

一 事実要約
東芝は原審において以下のように主張した。東芝は中華民国第098207号「具有評估光碟之評估圖案的光碟(optical disk having an evaluation pattern for evaluating the optical disk)」発明特許(以下「係争特許」)の特許権者であり、特許期間は1998年11月1日から2016年4月11日までとなっている。吉祥公司の主な業務は、データ保存メディアの製造と複製、コンピュータ及び事務機器の卸売等であり、吉祥公司が製造、販売するDVD-ROMディスク(以下「係争光ディスク」)はDVD-ROM標準規格で製造されており、係争特許の技術内容はDVD-ROM標準規格には必須な核心的技術(必須特許)である。標準規格に適合させるには、係争特許の技術を必ず使わなければならない。吉祥公司は上記DVD-ROMディスクの製造技術を取得するため、2002年3月27日に東芝とDVDライセンス契約を結んだが、吉祥公司が契約履行を怠ったため東芝は2010年4月15日に解約している。ところが、吉祥公司は東芝に契約を解約された後もDVD-ROMを製造、販売し続けた。吉祥公司は自社サイトにおいて、それが製造するDVD-ROMはDVD-ROM規格に適合していると掲載した。吉祥公司が製造する係争光ディスクはDVD-ROM規格に適合しており、係争特許の請求項1、3、6、7の技術的特徴を有しており、係争特許の特許権を侵害している。それはかつて東芝に対して係争特許に関する実施許諾を請求したことがあり、係争特許の存在及びそれが係争特許を使用してDVD-ROMを製造、販売することについては知らない道理がなく、実施許諾を受けずに係争光ディスクを製造、販売し続けたことは、係争特許を故意に侵害したものである。被上訴人即ち上訴人である陳○華(以下「陳○華」)は吉祥公司の法定代理人を務め、それが吉祥公司の法定代理人を務めた期間に吉祥公司が行った権利侵害行為について連帯で賠償責任を負うべきである。東芝は改正前専利法(特許法、実用新案法、意匠法に相当)第84条第1項前段、第3項及び公司法(会社法)第23条の規定に基づき、吉祥公司、陳○華に対して9900万新台湾ドルを連帯で賠償するよう請求してもよく、これにより本件訴訟を提起するものである。
原審は東芝の請求には一部理由があり、一部理由がないため、吉祥公司、陳○華に、東芝に対して589万4772新台湾ドル及び2011年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯で支払うことを命じる判決を下した。さらに吉祥公司は、係争特許を侵害する「プリレコード読出専用型DVD-ROMディスク」を製造、販売、販売の申し出、使用すること、又はこれらを目的として輸入してはならない。吉祥公司は2010年4月16日以後に製造又は販売した製品名「原來是美男(TV Original Soundtrack)」、マスタリングSIDコードIFPI LB75、LB76、LB80及びその他の係争特許侵害の「プリレコード読出専用型DVD-ROMディスク」を回収、廃棄しなければならない。東芝のその他の請求は棄却された。東芝は敗訴した部分について不服であり、吉祥公司、陳○華もその敗訴した部分に不服であるため、それぞれ上訴を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)東芝の上訴の趣旨と答弁の趣旨:
1.原判決の東芝による以下賠償請求部分に対する棄却を取り消す。
2.上記棄却部分について、吉祥公司、陳○華は、東芝に対し、金9310万5228新台湾ドル及び起訴状送達の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯で支払え。
3. 第二項の趣旨について、東芝は現金又は同額の兆豊国際商業銀行安和支店の譲渡可能定期預金証書を担保として供託するので、仮執行宣言を申し立てる。答弁の趣旨:上訴を棄却する。
(二)吉祥及び陳○華の上訴の趣旨と答弁の趣旨:
1.原判決における吉祥公司と陳○華に不利な部分をいずれも取り消す。
2.東芝の第一審における請求を棄却する。答弁の趣旨:上訴を棄却する。

三 本件の争点
(一)東芝の上訴の理由と答弁の理由:省略
(二)吉祥公司と陳○華の上訴の理由と答弁の理由:省略
1.吉祥公司が製造、販売する係争光ディスクは係争特許の請求項1、3、6、7の範囲に入るか否か。
2.東芝は改正前專利法第84条第1項前段、第85条第1項第2号、第85条第3項、公司法第23条第2項規定に基づき吉祥公司、陳○華に連帯賠償を請求できるか否か。損害賠償金額はいかに算出するのか。
3.東芝は改正前專利法第84条第1項中段、後段、第84条第3項規定に基づき吉祥公司に係争特許を侵害しているDVD-ROMディスク製品の排除、侵害防止、ならびに廃棄を請求できるか否か。

四 判決理由の要約
(一)係争特許は「具有評估光碟之評估圖案的光碟(optical disk having an evaluation pattern for evaluating the optical disk)」であり、東芝は2012年11月8日知的財産局に対して係争特許の訂正請求を行い、知的財産局は訂正を許可し(本裁判所ファイル(一)第215~260頁を参照)、2013年9月11日に公告している。東芝は、係争光ディスクが係争特許の請求項1、3、6、7を侵害していると主張し、双方は訂正後の係争特許の特許請求の範囲を以って対比することに同意した。吉祥公司が製造するDVD(本件の係争光ディスク「原來是美男」)は係争特許の訂正後請求項1、3、6、7の範囲に文言上含まれており、かつそれが製造するDVD-ROM即ち係争光ディスクは、DVD-ROM標準規格書(即ちDVD Specifications for Read-Only Disc)で製造したこと等については争っていない。吉祥公司が製造する「原來是美男」以外の係争光ディスクも係争特許の訂正後請求項1、3、6、7の範囲に入っているか否かは、DVD-ROM標準規格書の記載内容と係争特許の訂正後の特許請求の範囲を以って権利侵害の対比分析を行うことができる。

(二)1.係争特許の訂正後請求項1を解析したところ、その技術的特徴には5項目の要件(element)があり、それぞれA~Eとする。係争光ディスク即ちDVD標準規格書はすでに係争特許の訂正後請求項1のすべての要件(要件A~E)の技術的特徴を読み取ることができ、係争光ディスク即ちDVD標準規格書は係争特許の訂正後請求項1の範囲に文言上入っている。
2.係争特許の訂正後請求項3は請求項1に直接的に従属する従属項であり、係争特許の訂正後請求項1のすべての要件(要件A~E)の技術的特徴を含むほかに、要件Fが加わっている。係争光ディスク即ちDVD標準規格書は係争特許の訂正後請求項3のすべての要件(要件A~F)の技術的特徴を読み取ることができ、係争光ディスク即ちDVD標準規格書は係争特許の訂正後請求項3の範囲に文言上入っている。
3.係争特許の訂正後請求項6は請求項3に直接的に従属する従属項であり、係争特許の訂正後請求項3のすべての要件(要件A~F)の技術的特徴を含むほかに、要件G1が加わっている。
係争光ディスク即ちDVD標準規格書は係争特許の訂正後請求項6のすべての要件(要件A~G1)の技術的特徴を読み取ることができ、係争光ディスク即ちDVD標準規格書は係争特許の訂正後請求項6の範囲に文言上入っている。
4. 係争特許の訂正後請求項7は請求項3に直接的に従属する従属項であるが、その請求対象は「請求項3に記載の『光碟取還裝置』」となっており、「光碟」(光ディスク)ではない。該請求項7の「光碟取還裝置」は「光碟」の誤記であると思われるが、この誤記は訂正されていないため、東芝はこの誤記の責任を負うべきである。これにより係争光ディスク即ちDVD標準規格書は訂正後請求項7の範囲に文言上の範囲及び均等論による範囲には入らない。
5.吉祥公司が製造する係争光ディスクは係争特許の訂正後請求項1、3、6の範囲に入るものである。

(三)東芝と吉祥公司との間で2002年3月27日にDVDライセンス契約が結ばれ、2010年4月15日に解約している。吉祥公司は係争特許の存在を明らかに知っていたが、契約が解約された後も係争光ディスクの製造、販売を続けたため、係争特許侵害は故意であったといえる。

(四)改正前專利法第85条第1項には「特許権者が賠償請求するときは、次の各号のいずれかを選んでその損害を算出することができる。一.民法第216条の規定による。ただし、挙証してその損害を証明できないとき、特許権者はその特許権を実施して通常得られる利益より、損害を受けたあとに同一特許権を実施した利益を差し引き、その差額をその受けた損害の額とする。二.侵害者が侵害行為によって得た利益による。侵害者がそのコスト、又は必要経費について挙証できないとき、当該物品を販売して得た収入の全部をその所得利益とする」と規定されている。その立法趣旨は特許権者の挙証責任を軽減することにあるため、特許権者がそれの確実に受けた損害と失われた利益を証明できないときは、專利法第85条第1項の規定に基づいていずれかの方法を選んでその損害賠償額を算出することができる。これは法定賠償額の算出方法であり、選択された算出方法を特許権者が実際に受けた損害や失われた利益であると認定するものではなく、またその特許権者が第85条第1項に基づいて損害賠償の算出方法からいずれか一つを選択することに限定するものではなく、その他の算出方法を排除するものでもない。改正公布施行された最新の専利法第97条第1項第3号は「該発明特許の実施を許諾し実施させることで受け取ることができる合理的なロイヤルティに相当する金額をその損害額算出の基礎とする」と改正されている。現行の専利法で新設された規定だが、特許権者が改正前の専利法で損害賠償を算出するときも、それを法理の参考とすることができる。また、侵害者が特許権者から実施許諾を受けて該発明を実施していたならば、支払っていたはずのロイヤルティ又はライセンス料を基礎として損害賠償額を算出し、前記の改正前専利法第85条第1項各号の規定と併せて同時に損害算出を主張してもよく、択一したり、合理的なロイヤルティで損害を算出することを制限したりする必要はない。

本件において東芝は元来、改正前専利法第85条第1項第2号に基づき2010年4月16日から2011年12月31日の損害賠償を算出していたが、その後合理的なロイヤルティを以って算出した同時期の損害賠償額を追加して、併せて同時に主張し、本裁判所に斟酌するよう請求している。本裁判所はそれに有利な算出を択一することができる。

1.改正前専利法第85条第1項第2号に基づいて算出した損害賠償額:
改正前専利法第85条第1項第2号でいう「コスト」と「必要経費」が具体的に限定されておらず、会計学上の直接コストに近く、会計学上の間接コストは含むべきではない。行為者がコスト及び必要経費を証明できる場合、特許権者は行為者に権利侵害行為によって得られ利益から算出した損害賠償を請求してもよい。通常は会計学上の「粗利益」であり、間接コストや税金を控除した「純利益」又は「税引後純利益」ではない。解釈において、権利侵害者が権利侵害品を販売した売上高から控除できる所得利益のコスト及び必要経費は、行為者が権利侵害品を販売するために直接投入した製造コストと必要経費に限るべきであり、行為者が事業の経営に費やしたその他のコストや費用をすべて含むことはできない。さもなければ、「行為者の会社全体の業績に利益がない、さらには赤字が生じているならば、権利侵害行為の責任を負わなくても良い」という不合理な状況が発生してしまう。
吉祥公司が係争光ディスクを販売して得た純売上高は2010年度に1億7446万2308新台湾ドル、2011年度に1億8982万2740新台湾ドルであった。資信聯合会計師事務所の会計士によるワーキングペーパーに添付された吉祥公司の2010年度、2011年度製品別粗売上高分析表がファイルされており、証拠とするに足る。
吉祥公司は、DVD完成品の包裝費用(透明フィルム)をそのコスト及び必要経費として控除できると主張している他、賃貸料、メンテナンス費用、保険料、減価償却、各項償却、ロイヤルティ、旅費、サービス料、雑資産、交通費及びその他の費用等も控除できると主張しているが、もしそれを利益から控除することを認めたならば、特許権者、即ち東芝が行為者である吉祥公司のために支払うことになり公平及び社会通念に合わず、それらをコスト及び必要経費として控除してもよいと認めることは適宜ではない。
吉祥公司が係争光ディスクを製造、販売して得られた純売上高は2010年度が1億7446万2308新台湾ドル、2011年が1億8982万2740新台湾ドルであったことはすでに述べている。それぞれ吉祥公司が主張する2010年、2011年のコストと必要経費である1億5433万6204新台湾ドル、1億6785万1664新台湾ドルを差し引いた後、2010年度、2011年度の係争光ディスク売上高はそれぞれ2012万6104新台湾ドル、2197万1076新台湾ドルとなる【計算式:174,462,308 - 154,336,204 =20,126,104、189,822,740 - 167,851,664 = 21,971,076】。東芝が主張する吉祥公司が係争特許を侵害していた期間は2010年4月16日から2011年12月31日までであり、本件において東芝が2010年4月16日から2011年12月31日までに改正前專利法第85条第1項第2号規定に基づき算出した損害賠償額は3622万7067新台湾ドルである【計算式:{(20,126,104 ÷ 12 x 8)+(20,126,104 ÷ 12÷ 30 x 15)}+ 21,971,076= 36,227,067、小数点以下は四捨五入】。
2.合理的なロイヤルティから算出した損害賠償額:
吉祥公司が2010年度と2011年度にそれぞれ販売した係争光ディスク枚数は2703万9849枚、3098万5920枚であり、これは吉祥公司の2010年度、21011年度会計士ワーキングシートは添付資料で調べることができ、吉祥公司、陳〇華ともに争っておらず、つまり吉祥公司が2010年4月16日から2011年12月31日までに販売した係争光ディスクの枚数は合計5013万9146枚であるはずである【計算式:{(27,039,849 ÷ 12 x 8)+ (27,039,849 ÷ 12 ÷30 x 15)}+ 30,985,920 = 50,139,146、小数点以下は四捨五入】。次に、東芝は2010年4月16日から2011年12月31日までの間、係争特許に関する個別ライセンス契約はなく、DVD6Cのライセンス関連資料のみがあると主張している。東芝が参加しているDVD6Cのサイトによると、DVD6Cは2004年のロイヤルティを1枚当たり0.05米ドル、2010年、2011年のロイヤルティを1枚当たり0.04米ドルとしており、2013年11月25日DVD6Cサイトに発表されたロイヤルティ関連資料はファイルされており、証拠とするに足る。引下げ率は20%であり、東芝の個別ライセンスの合理的なロイヤルティはこの比率と同時に引き下げられたはずだと認めることができ、東芝は2004年個別ライセンス契約の合理的なロイヤルティは1枚当たり0.025新台湾ドルであるので、2010年、2011年の個別ロイヤルティ、即ち本件の合理的なロイヤルティはこの算出期間におけるDVD6Cの引下げ率20%に基づいて算出でき、言い換えれば、この比率で本件の合理的なロイヤルティは0.02米ドルとなるはずである【計算式:0.025 x (1-20% )=0.02】。さらに本件双方はいずれも東芝による起訴日、即ち2011年6月1日を米ドルから新台湾ドルへの換算日とすることに同意しており、2011年6月1日の為替レートは1米ドル当たり28.7新台湾ドルとなっている。東芝は係争光ディスクの合理的なロイヤルティを1枚当たり0.02新台湾ドルとし、吉祥公司が2010年4月16日から2011年12月31日まで販売した数量は共計5013万9146枚であったことは上述した通りであり、本件において東芝が請求できる合理的なロイヤルティは2877万9870新台湾ドルとなる【計算式は0.02 x 50,139,146 x 28.7 =28,779,870、小数点以下は四捨五入】。
本件の東芝が2010年4月16日から2011年12月31日までの合理的なロイヤルティで算出した損害賠償額は、2877万9870新台湾ドルである。

(五)本件の東芝が改正前専利法第85条第1項第2号の規定で算出した2010年4月16日から2011年12月31日までの損害賠償額は3622万7067新台湾ドルで、合理的なロイヤルティで算出した損害賠償額である2877万9870新台湾ドルと比較すると、改正前専利法第85条第1項第2号の規定で算出した損害賠償額3622万7067新台湾ドルの方が東芝にとって有利であり、即ち有利な部分を以って算出したものを本件の損害賠償額とすべきである。次に、改正前専利法第第85条第3項では、「侵害行為が故意になされたとき、裁判所は侵害の状況を斟酌して損害額以上の賠償額を決定することができる。ただし、損害額の3倍を超えることはできない」と規定されている。吉祥公司がライセンス契約を解約された後も係争光ディスクを製造、販売し続けたことは、係争特許の侵害が故意になされたものである。さらにその販売枚数は5013万9146枚に達しており、得た利益は少なくない。東芝が2011年6月1日に本件訴訟を提起した後もなお係争光ディスクの製造、販売を続けており、光ディスク実施許諾について交渉し続けていたと述べているが、これまでいかなるロイヤルティも支払ったことがなく、明らかに特許権者の権益を無視しており、権利侵害の状況は軽くはない。しかしながら吉祥公司の侵害状況はなお最高倍率の3倍で懲罰する程度には至っていない。上記の各状況を斟酌した結果、東芝は損害額の2倍に相当する懲罰性賠償金を請求してもよい。これにより、東芝は吉祥公司と陳○華に7245万4134新台湾ドル【計算式:36,227,067 x 2 = 72,454,134】を連帯で支払うよう請求することができる。

(六)吉祥公司が製造、販売する係争光ディスクはすでに係争特許を侵害しており、現時点でまだなお係争特許を侵害するDVD-ROMディスクを製造、販売し続けており、侵害は継続中である。東芝は改正前専利法第84条第1項中段、後段、第84条第3項規定に基づいて、吉祥公司に対して製造、販売、販売の申し出、使用すること、又はこれらを目的として輸入しないよう請求するとともに、2010年4月16日以降製造又は販売した製品名「原來是美男(TV Original Soundtrack)」、マスタリングSIDコードがIFPI LB75、LB76、LB80及びその他の係争特許侵害の係争特許侵害DVD-ROM光ディスクを回収、廃棄するよう請求することは正当であり、許可すべきである。

2014年2月27日
知的財産裁判所第三法廷
裁判長 汪漢卿
裁判官 蔡惠如
裁判官 陳容正
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