実用新案の出願権不存在確認訴訟の提起における法律上の利益

2016-09-30 2015年

■ 判決分類:実用新案権

I 実用新案の出願権不存在確認訴訟の提起における法律上の利益

II 判決内容の要約

最高裁判所民事判決
【裁判番号】104年度台上字第1355号
【裁判期日】2015年7月22日
【裁判事由】実用新案の出願権不存在確認の請求

上訴人 銓揚工業股份有限公司
被上訴人 ドイツ・班徳器具公司(Bendel Werkzeuge Inhaber Frank Bendel)

前記当事者間に関わる実用新案の出願権不存在確認請求の件について、上訴人が2014年10月23日付知的財産裁判所第二審判決(103年度民専上字第11号)に不服のため、上訴を提起した。当裁判所は以下の通り判決を下す。

主文
上訴を棄却する。
第三審の訴訟費用は上訴人が負担する。

一 事実要約
王文苑が2008年11月27日に創作者として係争実用新案の創作を雙廷公司に譲渡し、雙廷公司が2009年1月5日に経済部知的財産局(以下智財局と称す)に実用新案登録出願した後、智財局が同年11月21日に登録許可を公告したので、存続期間が同日より2019年1月4日までとなっている。その後雙廷公司が2009年7月23日に係争実用新案権を一加一公司に譲渡し、一加一公司がまた2012年5月15日に係争実用新案権を班徳公司に譲渡した。係争ドイツ実用新案の実用新案権は係争実用新案を国際優先権の基礎案件とし、一加一公司が2009年10月12日にドイツに実用新案登録出願したものであり、登録日は3月18日で、公開日は2010年4月22日である。一加一公司がその後、2012年3月26日に係争ドイツ実用新案の実用新案権を班徳公司に譲渡したが、上訴人が王文苑は係争実用指南の創作者ではなく、実用新案登録出願権を有しないと主張した。

二 両方当事者の請求内容
(一)上訴人の主張:原判決を破棄する。訴訟費用は被上訴人が負担する。
(二)被告の主張:上訴人の訴えを棄却する。訴訟費用は上訴人が負担する。

三 本件の争点
(一)本件の争点:上訴人には本件訴訟において確認利益があるか否か。
(二)双方当事者の主張:
1.上訴人の請求:王文苑及びその引受人一加一公司は係争実用新案について出願権不存在である等事情について確認する判決を求める。
2.被上訴人の請求:訴外人王文苑は係争実用新案の創作者であり、他人の創作を剽窃しいていない。上訴人は係争実用新案の創作者または出願権者ではないので、係争実用新案が許可されたときの利害関係者ではなく、即ち確認判決を受ける法律上の利益を有しないと抗弁した。

四 判決理由の要約
確認の訴えは、原告が即時に確認判決を受ける法律上の利益を有するのでなければ、提起することができないと民事訴訟法第247条に明文で規定されている。いわゆる即時に確認判決を受ける法律上の利益は、法律関係の存否が不明確なため、原告の私法上の地位が侵害されるおそれがあり、そのおそれが被告に対する確認判決によって除去される場合に言える。又、当事者は民事訴訟手続において実用新案出願権存否確認請求の訴えを提起したが、これは実用新案出願権の帰属に関わるだけで、ほかのこととは関わりがなく、当事者の当該実用新案出願権利の存否に限り、実用新案の主務機関に当該実用新案を出願することができるか否かについて影響するので、それで始めて実用新案出願権存否確認の訴えの判決を受ける法律上の利益を有すると認められる。本件の上訴人はその係争実用新案の創作者またはその他係争実用新案出願権を有する権利者であると主張していないので、本件確認の訴えを提起し、王文苑及びその引受人は係争実用新案の出願権が不存在である等の事情について確認するよう請求したことは、確認判決を受ける法律上の利益を有すると認め難いものである。原判決では上訴人敗訴と判決し、理由は確かに異なっているが、結論は一致しているので維持すべきであり、原判決は不当だと指摘し、破棄を請求したことには理由がない。

2015年7月22日
最高裁判所民事第一法廷
裁判長裁判官  劉福來
裁判官  邱瑞祥
裁判官  詹文馨
裁判官  鍾任賜
裁判官  李文賢

五 関連法条

民事訴訟法
第247条 
法律関係の確認の訴えは、原告が即時に確認判決を受ける法律上の利益を有するのでなければ、提起することができない。証書の真否の確認または法律関係の基礎である事実の存否の訴えもまた同じである。
前項の法律関係の基礎である事実の存否を確認する訴えは、原告が他の訴訟を提起することができないときに限る。
前項の場合に、同一の訴訟手続を利用して他の訴訟を提起することができるとき、裁判長は明確にしなければならない。原告はこれによって訴えの変更または追加をしたとき、第255条第1項前段の制限を受けない。

第481条
本章に別段の定めがあるものを除き、前章の規定は第三審手続に準用する。

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