複数の証拠を組み合わせる動機付けの有無を判断するには、「解決しようとする課題の関連性」のみならず、各要素を総合的に判断すべき
2021/09/23 | 2021年 前のぺージに戻る    
■ 判決分類:専利権

I 複数の証拠を組み合わせる動機付けの有無を判断するには、「解決しようとする課題の関連性」のみならず、各要素を総合的に判断すべき

■ ハイライト
原告(係争特許権者)は2017年9月4日に「シーリングファンの放熱構造(原文:吊扇之散熱構造)」(添付図1)の特許を出願し、被告(知的財産局)の審査を経て特許(以下「係争特許」)を付与された。その後参加人(無効審判請求人)は係争特許が特許許可時の専利法第22条第2項の規定に該当して特許を受けることができないと主張し、これに対して無効審判を請求した。その後原告から訂正が提出され、被告は審理した結果、その訂正は規定を満たすと認定し、訂正を許可するとともに「請求項1、4乃至9については無効審判の請求が成立し、取り消す」と審決した。原告は原処分の無効審判請求成立部分を不服として訴願を提起したが、経済部に棄却され、さらに不服として、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。知的財産裁判所が審理した結果、なお原告の訴えを棄却した。

重要な争点:証拠2(添付図2)、証拠3(添付図3)の組合せにより請求項1、4の進歩性欠如を証明できるのか?

知的財産裁判所は判決にて次のように指摘している:

一、原告は、証拠2と証拠3との間には同じ機能又は作用がなく、互いに組み合わせる教示又は示唆がないと主張している。

二、複数の証拠を組み合わせる動機付けの有無について判断するときは、原則的に複数の証拠同士の「技術分野の関連性」、「解決しようとする課題の共通性」、「機能又は作用の共通性」、「教示又は示唆」などの事項を総合的に考慮できる。

三、係争特許と証拠2との相違は、係争特許には「ロッド」と「風道」の挿合(insert)技術が採用され、証拠2には「付着(attachment)」技術が採用されていることで、両者は主にブレードとハブとの接合方式で異なっている。次に証拠2とその他の証拠との間に「機能又は作用の共通性」の有無を考慮するとき、「ブレードとハブの接合方式」を考慮の要素に入れ、証拠同士の技術内容に実質的に同じ機能又は作用が含まれるかどうかを判断すべきである。

四、証拠2と証拠3のブレードとハブの接合方式はいずれも「ブレードを固定するために接合又は付着する」という機能及び作用があり共通性を有する。しかも証拠3にはすでにブレードの接合技術が教示又は示唆されており、「ブレード30又は50とハブ取付部材12とを互いに挿合する」という技術的特徴を採用することができ、即ち証拠3には組み合わせる動機付けの有力な事項が存在し、両者には組み合わせる動機付けがあると認定するに足る。

五、原告は、ファンの放熱という一つの「解決しようとする課題」だけを判断事項として、証拠同士で「解決しようとする課題」が異なると認定しており、さらに「機能又は作用」、「教示又は示唆」等の事項も異なるため、組み合わせる動機付けがない云々と主張しているが、明らかに偏りがあり、採用できない。証拠2と証拠3の組合せは、係争特許の請求項1、4が進歩性を有しないことを証明するに足りるため、原告の訴えには理由がない。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】109年行專訴字第31号
【裁判期日】2021年1月14日
【裁判事由】特許無効審判

原告 建準電機工業股份有限公司
被告 経済部知的財産局
参加人 蔡顓安  
 
上記当事者間の特許無効審判事件について、原告は経済部2020年5月20日経訴字第10906302240号訴願決定を不服とし、行政訴訟を提起した。当裁判所は参加人に独立して本件被告の訴訟に参加するよう命じた。当裁判所は、次のとおり判決する。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告は2017年9月4日に「シーリングファンの放熱構造(原文:吊扇之散熱構造)」の特許を出願し、被告の審査を経て特許が付与され、第I629858号特許証(以下「係争特許」)が交付された。その後参加人は係争特許が特許許可時の専利法第22条第2項の規定に該当して特許を受けることができないと主張し、これに対して無効審判を請求した。その後原告から係争特許の特許請求の範囲に係る訂正本(訳注:特許請求の範囲の訂正版)が提出され、被告は審理した結果、その訂正本は規定を満たすと認定して、該訂正本に基づいて審理を行い、「2019年6月5日付の訂正事項を許可する」、「請求項1、4乃至9については無効審判の請求が成立し、取り消す」、「請求項2乃至3については無効審判の請求を棄却する」との審決を下した。原告はこれを不服として訴願を提起したが、経済部に棄却され、原告はその後本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の主張:
1.原処分の「請求項1、4乃至9について無効審判の請求が成立し、取り消す」に関する部分及び訴願決定をいずれも取り消す。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
(二)被告の主張:
   原告の訴えを棄却し、訴訟費用は原告の負担とする。

三 本件の争点
(一)証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できるか。
(二)証拠2と証拠4との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できるか。
(三)証拠2と証拠5との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できるか。
(四)証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項5の進歩性欠如を証明できるか。
(五)証拠2と証拠5との組合せは係争特許の請求項5の進歩性欠如を証明できるか。
(六)証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項6乃至19の進歩性欠如を証明できるか。

四 判決理由の要約
(一)証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できる
(1) 証拠2は取付け可能なシーリングファン組立品であり、しかもそのファンのブレードとハブが相互に接合されることでブレードが固定されている。証拠3は建築物の天井内に取付け可能なファン組立品であり、ファンのブレード30又は50がハブ取付部材12と互いに挿合されることでブレードが固定されている。よって証拠2と証拠3はいずれも「シーリングファン組立品」という同じ技術分野に属し、しかも証拠2と証拠3はブレードとハブの接合形式がいずれも「接合してブレードを固定する」という機能と作用を有するため、機能と作用の共通性を有する。また証拠3はさらに、ブレードの接合技術を教示、示唆するものであり、「ブレード30又は50がハブ取付部材12と互いに挿合される」という技術的特徴を採用することができ、証拠同士を組み合わせる動機付けを有することをさらに確認するに十分である。以上のことから、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、前述の複数の証拠における技術内容を組み合わせる動機付けがある。
(2) 証拠2は気流を本体内部とブレード内部にそれぞれ流し込み、熱気を排出するという作用、機能及びそれに対応する効果を採用しており、それは請求項1と同じ放熱手段を採用し、しかも同じく良好な放熱効率と導風効果を達成しているため、両者の作用、機能及び達成しようとする効果はいずれも実質的に同じものであり、また請求項1に係る発明は先行技術に対して効果の増進がみられず、しかも予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項1に係る発明をなし得るため、請求項1は進歩性を有しない。
(3) 請求項4は一般的な穿孔による固定という周知の固定効果を達成するものであり、先行技術である証拠2と証拠3に対して、予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項4に係る発明をなし得るため、請求項4は進歩性を有しない。
(4) 複数の引用文献の技術内容を組み合わせる動機付けの有無を判断する時は、後知恵を避けるため、複数の引用文献の技術内容における関連性又は共通性を考慮しなければならず、引用文献の技術内容と特許出願に係る発明の技術内容との関連性又は共通性を考慮しない。原則的に「技術分野の関連性」、「解決しようとする課題の共通性」、「機能又は作用の共通性」、及び「教示又は示唆」等の事項を総合的に考慮できる。通常、前述の事項が多いほど、当業者が複数の引用文献の技術内容を組み合わせる動機付けが強くなる。ただし一つの有力な事項が存在するだけでも、複数の引用文献の技術内容を組み合わせる動機付けがあると認定できる。
 係争特許と証拠2との違いは、係争特許が「ロッド」と「風道」という挿合技術を採用しているのに対し、証拠2は「付着」技術を採用しているという点であり、両者の違いはおもにブレードとハブとの接合形式にある。続いて、証拠2とその他の証拠との間に「機能又は作用の共通性」があるかを考慮すると、「ブレードとハブとの接合形式」を考慮に入れて、証拠同士の技術内容に実質的に同じ機能又は作用があるかどうかを判断する必要がある。
 証拠2と証拠3のブレードとハブの接合形式はいずれも「接合又は付着してブレードを固定する」機能及び作用を有するため共通性を有し、しかも証拠3は、ブレードの接合技術を教示、示唆するものであり、「ブレード30又は50がハブ取付部材12と互いに挿合される」という技術的特徴を採用することができ、証拠3には組み合わせる動機付けの有力な事項が存在し、両者を組み合わせる動機付けを有すると認定するに十分である。原告の上述の主張は、ファンの放熱という単一の「解決しようとする課題」を判断事項として、「解決しようとする課題」が異なると認定しており、また「機能又は作用」、「教示又は示唆」等の事項も異なるため、組み合わせる動機付けを有しない云々と主張しているが、明らかに偏りがあるため採用するに足りない。

(二)証拠2と証拠4との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できる
(1) 証拠2と証拠4はいずれも「シーリングファン組立品」という同じ技術分野に属し、しかも証拠2と証拠4はブレードとハブの接合形式がいずれも「接合してブレードを固定する」という機能と作用を有するため、機能と作用の共通性を有する。また証拠4はさらにブレードの接合技術を教示、示唆するものであり、「ブレード112がアーム144と互いに挿合される」という技術的特徴を採用することができ、証拠同士を組み合わせる動機付けを有することをさらに確認するに十分である。
 請求項1は効果の増進がみられず、しかも予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠4に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項1に係る発明をなし得るため、請求項1は進歩性を有しない。
(2) 請求項4は一般的な穿孔による固定という周知の固定効果を達成するものであり、先行技術である証拠2と証拠4に対して、予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠4に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項4に係る発明をなし得るため、請求項4は進歩性を有しない。

(三)証拠2と証拠5との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できる
(1) 証拠2と証拠5はいずれも「シーリングファン組立品」という同じ技術分野に属し、しかも証拠2と証拠5はブレードとハブの接合形式がいずれも「接合してブレードを固定する」という機能と作用を有するため、機能と作用の共通性を有する。また証拠5はさらにブレードの接合技術を教示、示唆するものであり、「ブレード140がブレード取付部分150と互いに挿合される」という技術的特徴を採用することができ、証拠同士を組み合わせる動機付けを有することをさらに確認するに十分である。また係争特許の請求項1は効果の増進がみられず、しかも予期せぬ効果をもたらしていないことは前述したとおりである。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠5に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項1に係る発明をなし得るため、請求項1は進歩性を有しない。
(2) 請求項4は先行技術である証拠2と証拠5に対して、予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠5に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項4に係る発明をなし得るため、請求項4は進歩性を有しない。

(四)証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項5の進歩性欠如を証明できる
 その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2に記載される複数の気流が通過できる風道を保留し、さらに証拠3の周知のブレード30又は50とハブ取付部材12というロッド接合構造を採用でき、これは即ち請求項5に開示される技術的特徴に相当する。請求項5は先行技術である証拠2と証拠3に対して、予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項5に係る発明をなし得るため、請求項5は進歩性を有しない。

(五)証拠2と証拠5との組合せは係争特許の請求項5の進歩性欠如を証明できる
 その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2に記載される複数の気流が通過できる風道を保留し、さらに証拠5の周知のブレード140とハブ130というロッド接合構造を採用でき、これは即ち請求項5に開示される技術的特徴に相当する。さらに調べると、請求項5は先行技術である証拠2と証拠5に対して、予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠5に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項5に係る発明をなし得るため、請求項5は進歩性を有しない。

(六)証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項6乃至19の進歩性欠如を証明できる
(1) 請求項6は進歩性を有しない:証拠2によって請求項6でさらに限定している技術的特徴を容易になし得る。請求項6に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項6に係る発明をなし得るため、請求項6は進歩性を有しない。
(2) 請求項7は進歩性を有しない:証拠3に請求項7でさらに限定している技術的特徴がすでに開示されている。請求項7に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項7に係る発明をなし得るため、請求項7は進歩性を有しない。
(3) 請求項8は進歩性を有しない:証拠2に請求項8でさらに限定している技術的特徴がすでに開示されている。請求項8に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項8に係る発明をなし得るため、請求項8は進歩性を有しない。
(4) 請求項9は進歩性を有しない:証拠2に請求項9でさらに限定している技術的特徴がすでに開示されている。請求項9に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項9に係る発明をなし得るため、請求項9は進歩性を有しない。
(5) 請求項10乃至12は進歩性を有しない:請求項10乃至12は単に通風排気ダクト(風道)の配置を上部、下部、外部、貫通した内部等に調整したにすぎず、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が証拠2を参酌して簡単に修飾、簡単に変更できるものである。請求項10乃至12に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項10乃至12に係る発明をなし得るため、請求項10乃至12は進歩性を有しない。
(6) 請求項13は進歩性を有しない:証拠2に請求項13でさらに限定している技術的特徴が開示されている。請求項13に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項13に係る発明をなし得るため、請求項13は進歩性を有しない。
(7) 請求項14は進歩性を有しない:請求項14に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項14に係る発明をなし得るため、請求項14は進歩性を有しない。
(8) 請求項15は進歩性を有しない:請求項15は、単にブレードと放熱孔との相対的位置関係について異なる位置に調整したにすぎず、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が証拠2を参酌して簡単に修飾、簡単に変更できるものである。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項15に係る発明をなし得るため、請求項15は進歩性を有しない。
(9) 請求項16は進歩性を有しない:証拠2の図3に請求項16でさらに限定している技術的特徴が開示されている。請求項16に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項16に係る発明をなし得るため、請求項16は進歩性を有しない。
(10) 請求項17は進歩性を有しない:証拠2の図8に請求項17でさらに限定している技術的特徴が開示されている。請求項17に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項17に係る発明をなし得るため、請求項17は進歩性を有しない。
(11) 請求項18は進歩性を有しない:証拠2の明細書第8欄49行目と図23に請求項18でさらに限定している技術的特徴が開示されている。請求項18に係る発明は先行技術に対して予期せぬ効果をもたらしていない。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項18に係る発明をなし得るため、請求項18は進歩性を有しない。
(12) 請求項19は進歩性を有しない:単に支流の風道を追加して配置したにすぎず、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が証拠2と証拠3を参酌して簡単に修飾、簡単に変更できるものである。よって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2と証拠3に開示される技術内容を組み合わせて、容易に請求項19に係る発明をなし得るため、請求項19は進歩性を有しない。

(七)以上をまとめると、証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できる。証拠2と証拠4との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できる。証拠2と証拠5との組合せは係争特許の請求項1、4の進歩性欠如を証明できる。証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項5の進歩性欠如を証明できる。証拠2と証拠5との組合せは係争特許の請求項5の進歩性欠如を証明できる。証拠2と証拠3との組合せは係争特許の請求項6乃至19の進歩性欠如を証明できる。係争特許1、4乃至19は2017年施行専利法第22条第2項に該当し、原処分である「請求項1、4乃至9については無効審判の請求が成立し、取り消す」という審決については違法なところはなく、訴願機関が訴願を棄却した決定にも誤りはない。原告は訴願決定と原処分の「請求項1、4乃至9については無効審判の請求が成立し、取り消す」という部分を取り消すよう請求しているが、理由がないため、棄却すべきである。

 以上の次第で、本件原告の訴えには理由がなく、知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第98条第1項前段に基づいて、主文のとおり判決する。

2021年1月14日
知的財産裁判所第二法廷
裁判長 汪漢卿
裁判官 林欣蓉
裁判官 彭洪英
 
 附圖1
 
附圖2 
 
附圖3