中保宝貝城が商標を維持 BabyBossとHUGO BOSS、消費者は同一企業だと誤認しにくい

2015-05-27 2014年
■ 判決分類:商標権

I 中保宝貝城が商標を維持
   BabyBossとHUGO BOSS、消費者は同一企業だと誤認しにくい

■ ハイライト
 2007年5月、中保宝貝城股份有限公司(Babyboss City Limited、以下「中保宝貝城」)の商標「BabyBoss及び図」は経済部知的財産局に登録を出願し、許可査定を受けた。
 しかしながら独ヒューゴ・ボス(外国語名:HUGO BOSS TradeMark Management GmbH & Co. KG)は、商標「BabyBoss」と同社の商標「HUGO BOSS」は類似しており、大衆に誤認混同を生じさせるおそれがあるとして、知的財産局に商標無効審判を請求した。
2012年10月、知的財産局は中保宝貝城の商標「BabyBoss」登録を取り消すとの審決結果を公告し、中保宝貝城はこれを不服として知的財産裁判所に訴訟を提起した。
 知的財産裁判所は、中保宝貝城に勝訴の判決を下した。裁判所によると、中保宝貝城は華人として初めて「子ども向け職業体験場パーク」を創設して、「BabyBoss職業体験任意城」(BabyBoss City)と命名し、商標「BabyBoss」を識別マークとしたという。
「BabyBoss職業体験任意城」はすでに国内外の消費者(需要者)に熟知されており、「BabyBoss」は厳然として「子ども向け職業体験パーク」の代名詞となっている。
 消費者は「BabyBoss」と「HUGO BOSS」という両商標に対して少し注意を払うだけで相違点があることを発見できる。
同時に「BabyBoss」商標はオレンジ、グリーン、ブルーのキャラクターと左右対称のアルファベットが要部であり、見る者に活発で可愛らしく、明るく軽快なイメージを与え、消費者に与える印象には強力な識別力がある。
 このため、消費者は「BabyBoss」と「HUGO BOSS」の両商標の出所を同一の会社であるとは誤認し得ない。
 中保宝貝城が知的財産裁判所で勝訴判決を受けた後、ヒューゴ・ボスは上訴を提起したが、最高行政裁判所は、上訴が不適法であるため、不適法な手続きを理由に上訴却下を裁定した。これにより、中保宝貝城は商標「BabyBoss」を維持できることが確定した。(2014年4月5日 工商時報 A9面)

II 判決内容の要約

最高行政裁判所裁定
【裁判番号】103年度裁字第412号
【裁判期日】2014年3月28日
【裁判事由】商標登録の無効審判

上訴人即ち原審参加人 ヒューゴ・ボス(外国語名:HUGO BOSS TradeMark Management GmbH & Co. KG)
上訴人即ち原審被告 経済部知的財産局
被上訴人即ち原審原告 中保宝貝城股份有限公司(Babyboss City Limited)

上記当事者間における商標登録の無効審判事件について、上訴人は2013年12月26日知的財産裁判所102年度行商訴字第61号行政判決に対して上訴を提起し、本裁判は次の通り裁定する。

主文
上訴を却下する。
上訴審訴訟費用を上訴人の負担とする。

一 事実要約
被上訴人は2007年5月24日、商標「BabyBoss及び図」(以下、「係争商標」)について、当時の商標法施行細則第13条で定められる商品及び役務区分表第41類「各種書刊、雑誌、文献等の出版・発行。技芸訓練教室、学習塾、習い事教室、学習指導サービス、身体能力教育、知識又は技術の伝授、各種講座の開催、セミナーの開催、親子イベントの開催、適性検査及び評価、幼稚園、教育情報、教学。インターネットでの動画鑑賞ダウンロードサービス提供、インターネットでの音楽鑑賞ダウンロードサービス提供、劇場。子ども向けテーマパーク、レジャー教育娯楽イベントの企画、アミューズメントパーク、電子ゲームアーケード、ネットカフェ、スポーツ訓練合宿、各種懇親イベントの企画。スポーツ競技会の開催、音楽コンテストの開催、教育コンテストの開催、娯楽コンテストの開催、ビューティコンテストの開催。音楽レコード/ビデオ/ドキュメントフィルム/ビデオディスクの製作/発行、音楽ディスク録音サービス、吹き替え製作。写真撮影、動画撮影、デジタルビデオ画像形成サービス」の役務における使用を指定し、上訴人即ち原審被告に登録を出願した。上訴人即ち原審被告は審査を行い、登録第1306641号商標としての登録を許可した。上訴人即ち参加人のヒューゴ・ボスは係争商標の登録は登録時の商標法第23条第1項第12号、第13号及び第14号規定並びに現行商標法第30条第1項第10号、第11号及び第12号規定に違反しているとして、これに対する無効審判を請求した。上訴人即ち原審被告は係争商標の無効審判の審理を行い、係争商標の登録は登録時の商標法第23条第1項第12号及び現行商標法第30条第1項第11号規定に違反していると認定し、2012年10月11日中台異字第H00980272号商標無効審判審決書を以ってその登録を取り消す処分を行った。被上訴人はこれを不服として行政訴願を提起したが、経済部から2013年3月27日経訴字第10206094480号決定を以って棄却されたため、その後行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)上訴人即ち原審参加人:訴願決定及び原処分を取り消す。訴訟費用を被上訴人の負担とする。
(二)被上訴人即ち原審原告:上訴人の請求を棄却する。訴訟費用を上訴人の負担とする。

三 本件の争点
知的財産裁判所の原判決には、法令の不適用又は誤適用等の法令違背の状況が有ったか否か。
(一)上訴人主張の理由:省略。判決理由の説明を参照。
(二)被上訴人答弁の理由:省略。判決理由の説明を参照。

四 判決理由の要約
原判決は以下のように述べている。係争商標と引用商標はいずれも外国語の「BOSS」を含んでいる。外国語「Baby Boss」は直訳すると小さいボス又は小さいリーダーという意味で、係争商標は文字以外にカラーのキャラクターのデザインが加えられている上、それらが占める割合は外国語「BabyBoss」よりもはるかに大きいため、兩者の観念には相違がある。全体の類似の程度は極めて低い;引用商標が消費者に与える印象には強力な識別力があり、係争商標にも相当の識別力がある;係争商標の指定役務と引用商標の指定商品又は役務の区分は、その性質、機能が全く異なり、類似の程度は極めて低い;上訴人即ち原審参加人による文芸、スポーツのイベントの開催若しくは賛助、又はファッションショーの開催、ファッション通信、雑誌の出版はよく見られるマーケティングの手法であり、なお上訴人即ち原審参加人に多角化経営があるという事実証拠とはし難い等。その判断の根拠と心証を得た理由はすでに詳述されている。上訴の趣旨は、それが原裁判で採用されなかった主張を再び述べているものに他ならず、原審の証拠取捨、事実認定の職権行使が不当であったと述べているが、法令の不適用、誤適用、若しくは行政訴訟法第243条第2項各号の状況について具体的には述べておらず、該判決が如何に法令に違背しているかについて具体的な指摘があるとは認めがたい。関連の規定及び説明に基づき、その上訴は不適法であると認定すべきである。

以上の次第で、本件上訴は法に合わない。智慧財産案件審理法(知的財産案件審理法)第1条、行政訴訟法第249条第1項前段、第104条、民事訴訟法第95条、第78条、第85条第1項前段に基づき、主文のとおり裁定する。

2014年3月28日
最高行政裁判所第一法廷
裁判長 鍾耀光
裁判官 呉慧娟
裁判官 黄淑玲
裁判官 鄭小康
裁判官 林樹埔

III 「BabyBoss」商標は同じ? 知的財産局の敗訴

IV 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】102年度行商訴字第61号
【裁判期日】2013年12月26日
【裁判事由】商標登録の無効審判

原告 中保宝貝城股份有限公司(Babyboss City Limited)
被告 経済部知的財産局
参加人 ヒューゴ・ボス(外国語名:HUGO BOSS TradeMark Management GmbH & Co. KG)

上記当事者間における商標登録無効審判事件について、原告は経済部の2013年3月27日経訴字第10206094480号訴願決定を不服として行政訴訟を提起した。本裁判所は職権に基づき参加人が本件被告の訴訟に独立して参加するよう命じ、次のとおり判決する。

主文
訴願決定及び原処分を取り消す。
訴訟費用を被告の負担とする。

一 事実要約
原告は2007年5月24日、商標「BabyBoss及び図」について、当時の商標法施行細則第13条で定められる商品及び役務区分表第41類「各種書刊、雑誌、文献等の出版・発行。技芸訓練教室、学習塾、習い事教室、学習指導サービス、身体能力教育、知識又は技術の伝授、各種講座の開催、セミナーの開催、親子イベントの開催、適性検査及び評価、幼稚園、教育情報、教学。インターネットでの動画鑑賞ダウンロードサービス提供、インターネットでの音楽鑑賞ダウンロードサービス提供、劇場。子ども向けテーマパーク、レジャー教育娯楽イベントの企画、アミューズメントパーク、電子ゲームアーケード、ネットカフェ、スポーツ訓練合宿、各種懇親イベントの企画。スポーツ競技会の開催、音楽コンテストの開催、教育コンテストの開催、娯楽コンテストの開催、ビューティコンテストの開催。音楽レコード/ビデオ/ドキュメントフィルム/ビデオディスクの製作/発行、音楽ディスク録音サービス、吹き替え製作。写真撮影、動画撮影、デジタルビデオ画像形成サービス」の役務における使用を指定し、被告に登録を出願した。被告は審査を行い、登録第1306641号商標としての登録を許可した。参加人のヒューゴ・ボスは、係争商標の登録は登録時の商標法第23条第1項第12号、第13号及び第14号規定並びに現行商標法第30条第1項第10号、第11号及び第12号規定に違反しているとして、これに対する無効審判を請求した。
被告は審理を行い、係争商標の登録は登録時の商標法第23条第1項第12号及び現行商標法第30条第1項第11号規定に違反していると認定し、2012年10月11日中台異字第H00980272号商標無効審判審決書を以ってその登録を取り消す処分を行った。原告はこれを不服として行政訴願を提起したが、経済部から2013年3月27日経訴字第10206094480号決定を以って棄却されたため、その後行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告:原処分及び訴願決定を取り消す。
(二)被告:原告の請求を棄却する。

三 本件の争点
係争商標の登録は登録時商標法第23条第1項第12号規定及び現行商標法第30条第1項第11号規定に違反しているか否か。

(一)原告主張の理由:省略。判決理由の説明を参照。
(二)被告答弁の理由:省略。判決理由の説明を参照。

四 判決理由の要約
係争商標は登録時商標法第23条第1項第12号規定前段及び現行商標法第30条第1項第11号前段の規定に違反していない。

(一)係争商標と引用商標との類似の程度:
係争商標の図案は3種類の職業に関するキャラクターがそれぞれ左右対称である2つのアルファベットBの左右と上方に立っており、商標図案全体に極めて大きな部分を占めている。さらに下方には小さいフォントの外国語「BabyBoss」が組み合わされている。係争商標の要部は上半分のキャラクターと左右対称のアルファベットBから構成されるカラーの図案であり、下方の小さいフォントの外国語「BabyBoss」ではない。一方、引用商標は外国語「BOSS」、「BOSS HUGO BOSS」、「HUGO BOSS」の文字、又は外国語「BOSS HUGO BOSS」の白い文字とその他の色の背景で構成される図案であり、キャラクターの図形は含まれておらず、いずれも「BOSS」又は「HUGO BOSS」の文字が識別の要部である。ゆえに係争商標と引用商標を全体観察すると、両者の外観は大きく相違している。次に、係争商標「BabyBoss」と引用商標「BOSS」、「BOSS HUGO BOSS」、「HUGO BOSS」の称呼にも明らかな違いがある。両者はいずれも外国語の「BOSS」を含んでいるが、外国語「Baby Boss」は直訳すると小さいボス又は小さいリーダーという意味であるが、係争商標には文字以外にカラーのキャラクターのデザインが加えられている上、それらが占める割合は外国語「BabyBoss」よりもはるかに大きいため、兩者の観念には相違がある。係争商標と引用商標は全体の類似の程度が極めて低い。

(二)係争商標と引用商標との識別力の強弱:
引用商標はわが国において長期にわたって幅広く販売に使用されており、それが表彰する信用・名声はわが国の消費者が熟知する著名商標であり、引用商標が消費者に与える印象には強力な識別力がある。係争商標はオレンジ、グリーン、ブルーのキャラクターと左右対称のアルファベットが要部であり、活発で可愛らしく、明るく軽快なイメージを見る者に与え、相当な識別力を有する。

(三)係争商標と引用商標との指定商品/役務の同一又は類似の程度:
係争商標の指定役務と引用商標の指定商品又は役務の区分は、その性質と機能が全く異なる。係争商標の指定役務の目的も、引用商標の指定商品の販売、取付又は修繕ではなく、両商標の指定する役務及び商品との間に類似関係が構成されているとは言い難い。実際の使用状況をみると、係争商標は主に「子ども向け職業体験パーク」の役務に使用され、引用商標は主に服飾、皮革、時計、メガネ等の関連商品/役務に使用されている。また、係争商標の関連消費者は児童と保護者であり、引用商標の関連消費者はファッショナブルな高級品に対する購買力を有する者であり、両者は機能、目的及び満足させる消費者ニーズにおいて、全く異なっている。一般的な社会通念と市場での取引状況から、両商標の指定商品又は役務の間における類似の程度は極めて低い。

(四)先権利者の多角化経営の状況:
参加人が主催又は賛助する文芸、スポーツのイベント、ファッションショー、製作される商品カタログ、DM等の印刷物は、服飾等関連商品のマーケティングが目的であるに他ならず、服飾ブランドがマーケティングを目的として、文芸、スポーツのイベントに賛助したり、ファッションショーを開催、ブランドファッション通信、雑誌、書籍を出版したりすることは、もとよりよく見かけられるマーケティングの手法であり、参加人が多角化経営をしている事実証拠とは言い難い。

係争商標は登録時の商標法第23条第1項第12号後段及び現行商標法第30条第1項第11号後段の規定に違反していない:
引用商標はもとより著名商標であるが、係争商標の商標図案と引用商標との類似の程度は低く、指定商品又は役務の類似の程度も低く、係争商標の登録が登録時の商標法第23条第1項第12号後段及び現行商標法第30条第1項第11号後段の規定に違反しているとは言い難い。

以上をまとめると、係争商標の登録は2003年5月28日改正公布の商標法第23条第1項第12号前、後段及び現行商標法第30条第1項第11号前、後段の規定に違反していないため、係争商標の登録に2003年5月28日改正公布の商標法第23条第1項第12号及び現行商標法第30条第1項第11号款規定を適用し、係争商標の登録を取り消すべきであるとする原処分は法に合わない。また、訴願決定を以って(原処分を)維持したことも適正ではない。原告が訴願決定と原処分を取り消すよう請求することには理由があり、許可すべきである。参加人は係争商標の登録には2003年5月28日改正公布の商標法第23条第1項第13号、第14号規定を適用すべき部分があると主張しているが、被告によって判断されていないため、本裁判所は審理せず、被告が適法な処分を別途行うべきである。

以上の次第で、本件原告の請求には理由があり、智慧財産案件審理法(知的財産案件審理法)第1条、行政訴訟法第98条第1項前段に基づき、主文のとおり判決する。

2013年12月26日
知的財産裁判所第一法廷
裁判長 李得灶
裁判官 李維心
裁判官 彭洪英

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