商標訴訟 知的裁判所が統一の勝訴判決を宣告 統一漢芳堂は上訴できるが、統一登録商標範囲が広く、勝訴の可能性は僅か

2015-06-03 2014年
■ 判決分類:商標権

I 商標訴訟 知的裁判所が統一の勝訴判決を宣告
  統一漢芳堂は上訴できるが、統一登録商標範囲が広く、勝訴の可能性は僅か

■ ハイライト
統一企業と統一漢芳堂との商標訴訟について、知的財産裁判所一審林靜雯裁判官は先日、統一漢芳堂は会社名称として「統一」と同一または類似する文字を使用してはならず、且つ経済部中部事務所において会社名称変更登記の手続きを取らなければならないと判決した。

統一漢芳堂は一審で敗訴判決を受けたが、まだ上訴できる。しかし統一漢芳堂と統一企業の商標訴訟の経緯は、統一生醫科技公司が「統一」二文字を使用したことから、統一クループと訴訟を行ってきたが、ずっと敗訴判決を受けている。今後たとえ上訴しても、勝訴の可能性は低い。

統一企業がずっと勝訴している理由は、統一が老舗企業であり、台湾における歴史も47年あり、最も重要なことは、統一企業は前後計19商標を登録し、その役務範囲に「三六五項目」を含むからである。よって、後発の会社が会社名称を「統一」と類似するものにしようとしても、業界と役務が異なるという理由では認められないだろう。

2011年2月頃、統一企業は統一生醫科技公司(統一健康天使公司に名称変更)が 、「統一」商標文字を会社名称として使用したので、提訴し、商標專用権の侵害排除を裁判所に請求した。

2011年12月頃、知的財産裁判所から、統一生醫公司は会社名称として「統一」と同一または類似する文字を使用してはならず、且つ経済部中部事務所において会社名称変更登記の手続きを取らなければならないと言い渡された。

ところが、統一生醫公司の董事長盧家菖、董事盧威霖、董事盧威廷、監察人郭淯琳等は、引続き「統一」を会社名称とする商標に便乗、使用するために、あえて2012年2月20日に、同一の董監事及び営業住所を以って、別途統一漢芳堂公司の設立を経済部に申請した。

統一漢芳堂は更に名称変更後の統一健康天使公司との共用商業サイトホームページ上方に目立つように「統一健康天使(股)公司、統一漢芳堂(股)公司」を表示し、養生保健食品、マスク等商品を販売したので、明らかに引続き統一企業のすべての著名商標、企業シンボル及び良好な信用評判に便乗し、統一企業との間に密切関係があると消費者に誤認させることを意図している。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】102年度民商訴字第43号
【裁判期日】2014年5月6日
【裁判事由】商標権侵害行為の排除

原告 統一企業股份有限公司
被告 統一漢芳堂股份有限公司

前記当事者間の商標権侵害行為の排除事件について、2014年4月8日に口頭弁論を終結し、以下の通り判決する。:

主文
被告統一漢芳堂股份有限公司は会社名称の主要部分として「統一」文字と同一または類似する文字を使用してはならず、且つ経済部中部事務所において会社名称変更登記の手続きを取らなければならない。
訴訟費用は被告の負担とする。

一 事実の要約
2011年2月頃、原告は訴外人統一生醫科技股份有限公司(以下統一生醫公司と称する、統一健康天使股份有限公司に名称変更)が、会社名称として係争商標文字を使用した部分について、原告は法により訴外人統一生醫公司に対し訴訟を提起して、商標專用権の侵害排除を請求したが、その後2011年12月26日に本裁判所の100年度民商訴字第20号判決は、会社名称の主要部分として「統一」文字と同一または類似する文字使用してはならず、且つ経済部中部事務所において会社名称変更登記の手続きを取らなければならないと訴外人統一生醫公司に命じた。しかし訴外人統一生醫公司の法定代理人盧家菖、董事盧威霖、董事盧威廷、監察人郭淯琳等は、引続き係争商標に便乗、使用するために、あえて2012年2月20日に同一の董監事及び営業住所を以って、別途被告統一漢芳堂公司の設立を経済部に申請した。被告は統一漢芳堂は更に名称変更後の統一健康天使公司との共用商業サイトホームページ上方に目立つように「統一健康天使(股)公司(即ち訴外人統一生醫公司)、統一漢芳堂(股)公司」を表示し、養生保健食品、マスク等商品を販売した。 

二 両方当事者声明の請求内容
原告の訴えの声明:主文の通り。
被告の訴えの声明:原告の訴えを棄却する。

三 本件の争点
(一)被告は改正前の商標法第62条第1、2号の規定に違反し、商標権を侵害したと見做すか?原告が商標法第61条第1項により侵害排除を請求したことには根拠があるか否か?または被告は現行商標法第70条第1、2号規定に違反し、商標権を侵害したと見做すべきで、原告が現行商標法第69条第1項により侵害排除を請求したことには根拠があるか否か?(即ち原告は「統一」をその会社名称の主要部分としてはならず、且つ会社名称変更の手続きを行い、「統一」文字を含まない名称を登記しなければならないと被告に要求することができるか?)
(二)被告は公平交易(取引)法第20条第1項第1、2号規定に違反したか否か?原告が公平交易法第30条規定により侵害排除を被告に請求したことには根拠はあるか否か?

四 判決理由の要約
被告が「統一漢芳堂股份有限公司」を名称としたことが、係争商標を侵害したか否かについては、当然被告が2012年2月20日に会社名称を登記した時に有効な商標法を判断の根拠とすべきであり、さもなければ、もし侵害を主張した時に有効な商標法を適用すると、企業経営者が合法的に会社名称を登記した後に、法律規定要件の寛厳により商標権侵害と見做されたり、または商標権侵害と見做されないことになり、長期的に当該会社名称を以って事業を経営し、人と往来して会社の信用評判を築いてきた企業経営者にとって、公平ではない。従って、被告の行為が原告の商標権を侵害したか否かについて、実体的事項は古い法規、手続きは新しい法規に従う原則により、当然被告の行為時の2003年商標法規定に従い判断すべきである。

1.被告が2012年2月20日に許可を得て登記した時、付図に示す通りの「統一」商標は著名商標であった。:
1967年8月25日に原告が許可を得て設立した食品製造及び販売の民生関連総合食品事業は、設立以来続々と台湾及び世界各国において各項「統一」に関する登録商標を取得し、小麦粉、飼料、油脂、インスタントラーメン、乳製品、飲み物等製品に使用しているほか、且つ逐一栄養保健食品、例えばチキンエキスドリンク、コラーゲン錠剤、飲み物及び各種の漢方薬で製造された健康食品に拡張した。原告が製造、販売している統一シリーズ製品は既に消費者によく知られている商品で、その販売拠点は全台湾にあり、国内新聞雑誌、テレビ広告等マスコミにも原告製品の広告がよくみられ、係争「統一」商標が著名商標であることは、被告も論争していないので、2012年2月20日に被告が許可を得て設立した時、付図に示す通りの「統一」商標は著名商標であったことが、認定できる。

2.被告が「統一」を使用してその会社名称の主要部分の一部としたことは、付図に示す通りの「統一」商標の識別性を損なった。:
被告は原告会社の事業グループではないのに、原告の著名商標の「統一」文字をその会社名称の一部とし、その製造したマスクパッケージにも「統一漢芳堂股份有限公司出品」、「統一健康天使股份有限公司製造」、「当社は2010年国家バイオ大賞消費者評価一位」と表示し、その製品がバイオ分野において高く評価されていると説明していた。原告はマスクを製造していないが、その保健事業群及び設立した統一生命科技股份有限公司はバイオ分野と関係があり、被告の行為は、被告が製造したマスクと原告会社とについて消費者に連想させ、「統一」商標の本来有している原告商品または役務を高度に指示する特徴及び印象を弱め、当該商標の識別性の損ない、希釈または希薄化する。
被告はまた2012年2月20日にその会社名称を「統一漢芳堂股份有限公司」にしたが、その行為は単一の出所、付図に示す通りの「統一」商標について2種類以上の商品または役務の出所を強烈に指示し、付図に示す通りの「統一」商標について単一の連想または独自性のない印象を関連事業または消費者に生じさせ、付図に示す通りの「統一」商標の識別性を損なった。且つもし制止しなければ、付図に示す通りの「統一」商標を無断で使用できると関連事業または消費者に誤認させ、当該著名な登録商標の識別性を弱める。このほか、2003年商標法第62条第1号でいう付図に示す通りの「統一」商標の識別性及び信用評判を損なうことは、行為者が経営している業務範囲及び著名な登録商標使用の商品または役務が同一もしくは類似している必要がないので、被告は両方当事者が経営している業務の販売ルート、方法、目標、消費者、対象物等について、直接原告に競争効果を与えるに足りないので、実際購入時に誤認混同を消費者にさせる実際の結果がない云々と弁解したことは、信用できない。

被告は別途実体的な会社を設立したが、以前本裁判所100年度民商訴第20号判決及び101年度民商上字第5号の確定判決の既判力が及んだ訴外人統一生醫公司と共同して、同一製品を販売し、且つ両者の董監事及び営業住所もすべて同一で、被告は明らかに別途「統一漢芳堂」股份有限公司を設立したことにより、引続き原告が有している係争著名商標、企業シンボル及び良好な信用評判に便乗し、原告統一企業公司との間に密切な関係があると消費者に誤認させたので、明らかに係争著名商標の識別性を損なった。その行為は単一出所、付図に示す通りの「統一」商標が2種以上の商品または役務出所であると強烈に指示し、付図に示す通りの「統一」商標について単一の連想または独自性のない印象を関連事業または消費者に生じさせ、付図に示す通りの「統一」商標の識別性を損ない、消費者の中で、係争著名商標とその表彰する商品または役務の関連性を希釈化し、被告及び訴外人統一生醫公司が有している商品を販売する不当な目的を達するために、被告は原告が係争商標で築いてきたブランドイメージ及び知名度を利用することを意図した。

両方当事者は同じく「缶詰、冷凍、乾燥及び漬物食品製造業」、「調味品製造業」、「食品、飲料小売業」等を営業登記項目とし、被告が単に酵素だけを販売しているのではないことを表示しているので、被告の営業項目は明らかに原告の係争「統一」著名商標との間に高度な関連性がある。原告との間に密切な関係があると消費者に誤認させるので、明らかに係争著名商標の識別性を損なっている。その行為は単一出所、付図に示す通りの「統一」商標が2種以上の商品または役務出所であると強烈に指示し、付図に示す通りの「統一」商標について単一の連想または独自性のない印象を関連事業または消費者に生じさせるので、付図に示す通りの「統一」商標の識別性を損ない、被告が販売している商品は原告または関係企業、授権関係、加盟関係または類似関係によるものであると消費者に誤認混同させ、係争著名商標とその表彰する商品または役務との間の関連性を希釈化する。

3.以上をまとめると、付図に示す通りの「統一」商標は2012年2月20日に既に著名商標になっており、また被告と訴外人統一生醫公司の同一の董監事及び営業住所は、2012年2月20日にその会社名称を「統一漢芳堂股份有限公司」にし、明らかに付図に示す通りの「統一」商標が著名登録商標である事実を知りながら、当該著名登録商標の文字「統一」を自らの会社名称としたが、その経営している会社と付図に示す通りの「統一」商標を人に連想させるおそれがあり、その指示した出所の識別性に影響しているので、被告には2003年商標法第62条第1号の商標侵害と見做すべき状況がある。
原告が、被告がその商標権を侵害したので、前記商標法第61条第1 項規定により、侵害を排除するために会社名称の主要部分として「統一」と同一または類似する文字を使用してはならず、且つ経済部中部事務所において会社名称変更登記の手続きを取らなければならないと被告に請求したことには理由がある。
本件原告が2003年商標法第61条第1 項規定により請求したことには理由があるので、更に公平交易法規定を斟酌する必要がないことを、ここに説明する。

以上をまとめると、原告は、被告の会社名称として被告が原告の著名商標を使用してその商標権等を侵害したと主張したことには、理由がある。被告がその会社名称は許可を経て登記され、且つその行為も商標権侵害を構成しない云々と抗弁したことは、信用できない。よって、原告は2003年商標法第61条第1 項後段及び第62条規定により、会社名称の主要部分として「統一」と同一または類似する文字を使用してはならず、且つ経済部中部事務所において会社名称変更登記の手続きを取らなければならないよう被告に請求したことには理由があるので、許可すべきである。

以上に基づき、原告の訴えに理由があるので、知的財産案件審理法第1条、民事訴訟法第78条規定により、主文の通り判決する。

2014年5月6日
知的財産裁判所第一法廷
裁判官 林靜雯
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