商標侵害で、台糖建設に会社名変更命令の判決

2017-03-28 2016年
■ 判決分類:商標権

I 商標侵害で、台糖建設に会社名変更命令の判決

■ ハイライト
台湾糖業股份有限公司(Taiwan Sugar Corporation)は台中市の台糖建設股份有限公司と台糖営造股份有限公司が「台糖」商標を侵害しているため会社名の変更を求める訴訟を提起した。知的財産裁判所は(第二審において)台糖公司が建設区分で登録していた商標の期限がすでに切れており、台糖営造については権利を侵害していないため会社名を変更する必要はないと認め、一方、台糖建設については設立時期がやや遅く、新しい商標法が適用されるため商標権を侵害していると認め、(台糖建設に)会社名の変更と判決書内容の新聞掲載による周知を命じる判決を下した。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】104年度民商上字第7号
【裁判期日】2016年1月14日
【裁判事由】商標権侵害行為の停止等

上訴人    台湾糖業股份有限公司(Taiwan Sugar Corporation)
上訴人    台糖建設股份有限公司
被上訴人  台糖営造股份有限公司
兼上記2名の法定代理人  林建成

上記当事者間における侵害された商標権の財産権関連争議等事件について、双方は2015年3月31日本裁判所103年度民商訴字第31号第一審判決に対してそれぞれ上訴を提起し、本裁判所は2015年12月17日に口頭弁論を終え、次の通り判決する。

主文
上訴はいずれも棄却する。
第二審訴訟費用は上訴人がそれぞれ負担する。

一.両方当事者の請求内容
(一)台湾糖業股份有限公司(以下「台糖公司」)の請求及び答弁:
1.原判決の台糖公司に不利な部分を取り消す。
2.上記取消部分について、台糖営造股份有限公司(以下「台糖営造公司」)及び林建成は「台糖」と同一又は類似する文字を会社名の一部として使用してはならず、経済部商業司に対して「台糖」と同一又は類似する文字を含まない会社名に変更登記を行わなければならない。
3.第一項の取消部分について、台糖営造公司、林建成は「台糖」と同一又は類似する文字を含む看板、名刺、広告、ウェブサイト又はその他の販売を目的とした物品を使用(他人への使用許諾を含む)したり、「台糖」と同一又は類似する文字をその他の販売を目的として使用する行為に従事したりしてはならず、侵害行為を停止するとともに、「台糖」と同一又は類似する文字を含む看板、名刺、広告、ウェブサイト又はその他の販売を目的とした物品を廃棄しなければならない。
4.台糖建設股份有限公司(以下「台糖建設公司」)、林建成の上訴を棄却する。
(二)台糖建設公司、林建成の請求:
1.原判決の台糖建設公司、林建成に不利な部分を取り消す。
2.前記の取消部分について台糖公司の原審における請求を棄却する。
3.台糖公司の上訴を棄却する。
(三)台糖営造公司の答弁:
上訴を棄却する。

二.本件の争点
(一)台糖営造公司、林建成の部分:
1.台糖営造公司、林建成に台糖公司の商標権に対する侵害行為があったのか。
(1)本件はどの時期の商標法規定を適用すべきか。
(2)台糖営造公司は1998年8月25日に「台糖」を該社の会社名の要部として設立登記し現在まで使用しており、係争商標1乃至6(の商標権)を侵害し、1993年施行商標法第65条、第61条に違反しているのか。台糖営造公司には悪意があるのか。両者は同一又は同類の商品に係る業務に従事しているのか。台糖営造公司は該規定の適用期間に利害関係人からの使用停止を請求されたが使用を停止しなかったことがあるのか。
(3)台糖営造公司は1998年8月25日に「台糖」を該社の会社名の要部として設立登記し現在まで使用しており、係争商標1乃至6(の商標権)を侵害し、現行商標法第70条第2号に違反しているのか。台糖公司が所有する係争商標1乃至6は台糖営造公司の設立登記時には著名商標であったか。台糖営造公司は善意の公正使用(フェアユース)を構成しているのか。本件は関連の消費者に誤認混同を生じさせるおそれ又は係争商標の識別力又は信用・名声を毀損するおそれはあるのか。
2.台糖公司は台糖営造が「台糖」を会社名とすることに黙示の同意を行っており、台糖営造公司に権利を主張することはできないのか。台糖公司の権利行使は民法第148条の信義誠実の原則に反するのか。
3.台糖公司は現行商標法第69条第1項、第2項の規定に基づき、台糖営造公司に対して侵害の停止と権利侵害物品の廃棄を請求すること、並びに公司法(会社法)第23条第2項、民法第28条に基づき林建成に台糖営造公司と連帯して責任を負うよう請求することには根拠があるのか。台糖公司の台糖営造公司、林建成に対する侵害停止請求権と廃棄請求権は消滅時効が成立しているのか。

(二)台糖建設公司、林建成の部分:
1.商標権侵害の部分:
(1)本件はどの時期の商標法規定を適用すべきか。
(2)台糖建設公司は2005年6月29日に「台糖」を該社の会社名の要部として設立登記し現在まで使用しており、係争商標1乃至6(の商標権)を侵害し、2003年施行商標法第62条、現行商標法第70条第2号規定に違反しているのか。台糖公司が所有する係争商標1乃至6は台糖建設公司の設立登記時に著名商標であったか。台糖建設公司は善意の公正使用を構成しているのか。本件は関連の消費者に誤認混同を生じさせるおそれ又は係争商標の識別力又は信用・名声を毀損するおそれはあるのか。
(3)台糖公司は現行商標法第69条第1項、第2項の規定に基づき、台糖建設公司に対して侵害の停止と権利侵害物品の廃棄を請求すること、並びに公司法第23条第2項、民法第28条に基づき林建成に台糖建設公司と連帯して責任を負うよう請求することには根拠があるのか。
(4)台糖公司は民法第184条、第195条、公司法第23條第2項、民法第28条の規定に基づき、台糖建設公司、林建成に対して連帯して費用を負担し、本件判決書の裁判番号、当事者、事由及び主文の全文を聯合報(縦11.5cm×横5cmの紙面)及び自由時報(縦4.5cm×横9.2cmの紙面)全国版第1面の発行人欄に1日掲載するよう請求することには根拠があるのか。
2.公平交易法(訳注:不正競争防止法や独占禁止法に相当)違反の部分:
(1)台糖建設公司の行為は改正前の公平交易法第20条第1項第2号、第24条規定に違反しているのか。台糖公司の「台糖」という文字は関連の事業者又は消費者に一般的に認知されている表徴(トレードドレス)なのか。本件が同一又は類似の使用により他人の営業又は役務に係る施設又は活動と混同を生じさせているのか。
(2)台糖公司は台糖建設公司に対して改正前の公平交易法第30条(現行公平交易法第29条)規定に基づき、台糖建設公司に対して侵害の停止と権利侵害物品の廃棄を請求すること、並びに公司法第23条第2項、民法第28条に基づき林建成に台糖建設公司と連帯して責任を負うよう請求することには根拠があるのか。
(3)台糖公司は改正前の公平交易法第34条(現行公平交易法第33条)、公司法第23条第2項、民法第28条規定に基づき、台糖建設公司、林建成に対して連帯して費用を負担し、本件判決書の裁判番号、当事者、事由及び主文の全文を聯合報(縦11.5cm×横5cmの紙面)及び自由時報(縦4.5cm×横9.2cmの紙面)全国版第1面の発行人欄に1日掲載するよう請求することには根拠があるのか。

三.判決理由の要約
(一)台糖営造公司、林建成の商標権侵害部分:
1.台糖営造公司は1998年8月25日に「台糖」を該社の会社名の要部として設立登記し現在まで使用しており、台糖営造公司の設立登記時に係争商標1、2はすでに登録されていた。台糖営造公司が「台糖」を会社名の要部とする行為が台糖公司の商標権を侵害するか否かは、台糖営造公司の設立登記の時点における商標法を以って判断すべきである。設立登記時の商標法によって商標権侵害を構成するならば、本件の台糖公司による侵害の停止・防止の請求に根拠があるか否かは、現行商標法を以って該侵害がなおも存在するのか、又は侵害に遭う危険があるのかによって判断すべきである。逆に台糖営造公司の設立登記時の商標法によって商標権侵害を構成しないならば、たとえ改正後の商標権侵害要件に該当しても、法の不遡及原則に基づいて、現行法規定に基づき侵害の停止・防止を請求してはならない。
2. 台糖営造公司は1998年8月25日に設立登記されているため、1993年商標法を適用すべきである。1993年商標法には他人の登録商標を会社名の要部とすることが民事上の侵害を構成するかについて明文の規定がないが、同法第65条には「悪意を以って他人の登録商標における文字を自らの会社名の要部として使用して同一又は類似の商品の業務を経営し、利害関係者がそれに使用停止を請求しても使用を停止しなかったときは、1年以下の懲役、拘留に処し、又は新台湾ドル5万新台湾ドル元以下の罰金を科す」と規定されており、他人の登録商標における文字を自らの会社名の要部として使用することは1993年商標法に基づいて刑事責任を構成し違法であり、民事上の権利侵害責任も構成することがわかる。さらに本条には悪意の使用(事後的悪意を含む)に関する刑事処罰規定があり、行為者に使用の悪意がなければ該条の刑事責任は構成しないが、その行為が民事上の商標専用権の侵害を構成していれば、被害者は1993年商標法第61条に基づいて停止・防止又は損害賠償を請求できる。当初から「他人を欺瞞する意図」、「明らかに知っていた」又は「使用の悪意」があったかどうかにより、異なることはない。いわゆる商標専用権侵害行為に対する停止・防止の請求権は物上請求権の一種であり、権利侵害行為の損害賠償請求権とは異なり、行為に過失又は故意が伴う必要がない。調べたところ、台糖営造公司の設立登記時に、係争商標3乃至6はまだ登録されておらず、台糖営造公司は係争商標3乃至6を侵害していないといえる。さらに係争商標1の登録日は1954年10月1日、係争商標2の登録日は1991年1月16日であり、いずれも台糖営造公司の設立登記以前であるため、台糖営造公司が善意の先使用を主張できる余地はない。係争商標1は外国語「TSC」と中国語「台糖」から構成され、いずれも三本の環状線で包まれ、左右に並んでいる。係争商標2は三本の環状線で囲まれた「台糖」の文字と三角形の図案で構成されている。台糖営造公司の全名は「台糖営造股份有限公司」であり、その中の「股份有限公司」の部分は会社組織形態を標示するものであり、「営造」の部分は業種を説明するものであるため、台糖営造公司は「台糖」の2文字が会社名の要部で、係争商標1、2の商標文字と同じである。同一の商品又は類似の商品の業務を経営しているか否かについてみると、台糖営造公司が営む事業は総合建設業(Engineering Constructor)であり、係争商標1は「砂糖、角砂糖」での使用を指定し、係争商標2は「建設及び賃貸販売業務」での使用を指定している。その中で、係争商標1は指定商品が食品であり、台糖営造公司が営む事業である建設業とはかけ離れており、両者が同一又は類似の商品の業務を経営しているとは認めがたい。1993年商標法第65条規定によると、台糖営造公司は係争商標1を侵害していないといえる。係争商標2は建設及び賃貸販売業務での使用を指定しており、台糖営造公司が営む業務と同じである。このため1993年商標法第65条規定によると、台糖営造公司は台糖公司の係争商標2に対して侵害を構成している。
3.さらに、台糖公司は本件起訴において台糖営造公司に侵害の停止・防止を請求しており、これは台糖営造公司の侵害行為が現実に存在する、又は現況からみて係争商標2が侵害されるおそれがある場合に始めて成立する。しかしながら調べたところ、前に述べたとおり、台糖営造公司が「台糖」を会社名の要部とした行為は1993年商標法に基づき係争商標2を侵害しているが、係争商標2の専用期間が2011年1月15日に終了しており、係争商標2は現在すでに存在しないため、現実的危害状況についてみると、台糖営造公司には係争商標2に対する現実的な侵害又は侵害のおそれはないといえる。台糖公司が台糖営造公司に対して侵害の停止・防止又は権利侵害物品の廃棄を請求すること、並びに公司法(会社法)第23条、民法第28条に基づき林建成に(台糖営造公司と)連帯して賠償責任を負うよう請求することには根拠がない。

(二)台糖建設公司、林建成の部分:
1.商標法違反の部分:
(1)台糖建設公司は2005年6月29日に設立されており、本件の台糖公司による侵害の停止・防止及び権利侵害物品の廃棄の請求は、台糖建設公司設立時の商標法(即ち2003年商標法)を以って台糖建設公司が台糖公司の商標権を侵害したのかを判断するとともに、現行商標法を以って該侵害行為が現実に存在するのか、又は侵害のおそれがあるのかによって判断すべきである。
(2)2003年商標法第62条には「商標権者の同意を得ず、次に掲げる事情の一に該当するものは、商標権を侵害するものとみなす。一.他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら同一又は類似の商標を使用し、又は当該著名商標にある文字を自らの会社名、商号名、ドメイン名又はその他の営業主体や出所を表彰する標識として使用し、著名商標の識別力又は信用・名声を毀損するとき。二.他人の登録商標であることを明らかに知りながら、当該商標にある文字を自らの会社名、商号名、ドメイン名又はその他の営業主体又は出所を表彰する標識として使用し、商品又は役務に関連する消費者に誤認混同を生じさせるとき。」と規定されている。調べたところ、以下のとおりである。
A.台糖建設公司は2005年6月29日に設立登記されており、商標権の侵害の有無は台糖建設公司設立時で判断すべきことは前述のとおりである。係争商標5、6は台糖建設公司の設立時にはまだ登録されておらず、台糖建設公司は係争商標5、6を侵害していないといえる。台糖建設公司が「台糖」を会社名の要部とする行為は継続的行為であり、なお係争商標5、6を侵害している云々とする台糖公司の主張は、本裁判所による前に述べた本件台糖建設公司設立登記に関する行為は一回的加害行為であるとの判断原則に反するため、根拠がないものである。
B.係争商標1乃至4の登録時期はいずれも台糖建設公司の前であり、台糖公司は1946年5月1日設立され、1953年から「台糖」の文字で複数の商標を次々と登録し、その中の係争商標1の指定商品である砂糖、角砂糖又は類似の商品は台湾全土で販売されており、台糖公司が糖類製品、食品又はその他の類似製品に使用している係争商標1は一般大衆が広く認知している程度に達しており、著名商標と認めるに足る。係争商標2乃至4は建設及び賃貸販売業務、各種建築物の建設、請負建設、造園工事施工、各種建築物の賃貸販売、不動産売買、賃貸の仲介等での使用が指定されており、台糖公司は関連の資料を提出してそれが確実に建設業に従事することを証明しているが、それらの資料は数が多くはなく、係争商標2乃至4は台糖公司が広く使用することで建設業において著名商標の地位を得ているとは認めがたい。このため台糖建設公司設立登記時に、係争商標1の砂糖、角砂糖又は関連の製品における使用部分については、台糖公司が長く、広く使用し、関連の事業者又は消費者に広く認知されていたため、著名商標の程度に達しており、係争商標2乃至4の建設業における使用部分については、関連の消費者が広く認知していると証明できる証拠がなく、著名商標ではない。
係争商標1は砂糖、角砂糖又は関連の製品に使用され、台糖公司が長く、広く使用してきたため、著名商標となっていることは前述のとおりである。台糖建設公司は係争商標1における文字「台糖」を会社名の要部としている。その会社登記資料検索結果によると、台糖建設公司が経営する事業は住宅及びビルの開発・賃貸販売業、工場の開発・賃貸販売業、特定専業区開発業、インフラストラクチャ投資建設業、ニュータウン・ニューコミュニティ開発業、土地徴収及び土地再区画代行業、都市再開発業等の業務である。元来高度に著名な係争商標1は消費者にその商品又は役務の出所に対する単一又は独特な連想をもたらすものであり、台糖建設公司は係争商標1の文字を会社名の要部としたため、係争商標1の社会大衆が有する独特な印象や単一の出所を希釈したことは明らかであり、係争商標1の識別力を毀損するもので、2003年商標法第62条第1号に基づき商標権侵害とみなすことができる。
(3)台糖公司は本件起訴において台糖建設公司に侵害の停止・防止を請求しており、これは台糖建設公司の侵害行為が現実に存在するか、現況からみて係争商標1が侵害されるおそれがある場合に始めて成立する。調べたところ、現行商標法第70条第2号には「商標権者の同意を得ず、次に掲げる事情の一がある場合、商標権を侵害するものとみなす。:……二.他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、当該著名商標にある文字を、自らの会社、商号、団体、ドメイン又はその他営業主体を表彰する名称として、…当該商標の識別力又は信用・名声を毀損するおそれがあるとき。」と規定されている。係争商標1は著名商標であり、かつ台糖建設公司が「台糖」を会社名の要部としたことで係争商標1の識別力を毀損した等の状況は前述したとおりで、さらに係争商標1の専用期間は現在も有効である。現行法からみて、台糖建設公司による係争商標1の侵害がなお存在しているため、台糖公司が台糖建設公司に対して商標権侵害の停止・防止及び権利侵害物品の廃棄を命じるよう請求することには根拠がある。
台糖公司は民法第28条、公司法第23条第2項に基づいて林建成に台糖建設公司と連帯責任を負うよう請求しているが、民法第28条には「法人はその董事又はその他代表権を有する人が職務執行上で他人に与えた損害については、当該行為人と連帯して賠償責任を負わなければならない」と規定されており、これは法人が自然人と連帯して賠償責任を負う規定であるが、自然人林建成が会社と連帯して賠償責任を負う根拠ではない。公司法第23条第2項には「会社の責任者が会社の業務執行につき、法令に違反して他人に損害を与えたときは、その他人に対して会社と連帯して賠償責任を負わなければならない」と規定されており、会社の責任者と会社が連帯して賠償責任を負う根拠ではあるものの、侵害の停止・防止請求権及び廃棄請求権は作為及び不作為請求権であり、連帯給付とはいえず、台糖公司が公司法第23条第2項に基づき林建成に台糖建設公司と連帯しての侵害の停止・防止又は権利侵害物品の廃棄を行うよう請求することに根拠はない。また、台糖公司は林建成に台糖公司商標権を侵害するどのような行為があったかを立証しておらず、林建成に対するこの部分の請求には理由がなく、棄却すべきである。
(4)本件の係争商標1は著名商標であり、台糖建設公司は「台糖」をその会社名の要部として係争商標1の識別力を希釈し、台糖公司の信用・名声を毀損した。台糖公司が民法第195条第1項規定に基づき、台糖建設公司に対して本件判決書の裁判番号、当事者、事由及び主文の全文を聯合報(縦11.5cm×横5cmの紙面)及び自由時報(縦4.5cm×横9.2cmの紙面)全国版第1面の発行人欄に1日掲載するよう請求しており、これは名誉回復の妥当な処分であるため、許可すべきである。また林建成は台糖建設公司の法定代理人であり、判決書新聞掲載は名誉回復の手段であり、それ(林建成)はこれ(新聞掲載)によって生じる費用を連帯して給付しなければならない。台糖公司が公司法第23条第2項規定に基づき林建成に台糖建設公司と連帯して費用を負担し判決書を新聞掲載するよう請求することには理由があり、許可すべきである。
2.公平交易法の部分:
    本件の台糖公司が単一の声明においてそれぞれ商標法、民法及び公平交易法規定に基づき裁判所に判決を請求したことは、請求権競合による請求の選択的併合に該当する。それが台糖建設公司に対して侵害の停止・防止及び権利侵害物品の廃棄を請求すること、及び台糖建設公司、林建成に対して判決書新聞掲載の部分の費用を連帯して負担するよう請求することについては、台糖公司がそれらに対して商標法、民法の規定に基づき請求することには理由があり、その起訴の目的は達成されているため、再び公平交易法の部分の主張に理由があるかを審理する必要はない。台糖公司は台糖建設公司の公平交易法違反に対して林建成に侵害の停止・防止及び権利侵害物品の廃棄を請求することについて、林建成が台糖建設公司の法定代理人であり、台糖建設公司による公平交易法違反行為に対して民法第28条及び公司法第23条第2項に基づき台糖建設公司と連帯して責任を負うべきであると主張しているが、侵害の停止・防止請求権及び(権利侵害物品の)廃棄請求権は作為及び不作為請求権であり、連帯給付とはいえない。台糖建設公司が公平交易法規定に違反しているか否かに拘わらず、台糖公司が公司法第23条第2項及び民法第28条に基づいて林建成に侵害の停止・防止及び権利侵害物品の廃棄を命じるよう請求することには根拠がなく、台糖公司は林建成にいかなる公平交易法違反の状況があるのかを証明しておらず、この部分の主張には理由がないため、棄却すべきである。

以上をまとめると、台糖公司は商標法及び民法の関連規定に基づき、台糖建設公司に対して「台糖」と同一又は類似する文字を会社名の一部として使用してはならず、経済部商業司に対して「台糖」と同一又は類似する文字を含まない会社名に変更登記を行うとともに、「台糖」と同一又は類似する文字を含む看板、名刺、広告、ウェブサイト又はその他の販売を目的とした物品に使用する行為(他人への使用許諾を含む)、又は「台糖」と同一又は類似する文字をその他の販促を目的として使用する行為に従事してはならず、侵害行為の停止とともに、「台糖」と同一又は類似する文字を含む看板、名刺、広告、ウェブサイト又はその他の販売を目的とした物品の廃棄を請求し、且つ台糖建設公司、林建成に対して本件判決書の裁判番号、当事者、事由及び主文の全文を聯合報(縦11.5cm×横5cmの紙面)及び自由時報(縦4.5cm×横9.2cmの紙面)全国版第1面の発行人欄に1日掲載するよう請求することには理由があり、許可すべきである。この範囲を超える請求には理由がなく、許可すべきではない。原審は上記許可すべきではない部分について台糖公司の請求を棄却し、上記許可すべき部分については台糖公司勝訴の判決を下しており、その理由は本裁判所とは異なるが、結論は異なるところはなく、維持すべきである。双方はその敗訴部分についてそれぞれ原判決の不利な部分は不当であると指摘し、取消を請求したが、理由がないため、いずれも棄却する。

以上の次第で、本件双方の上訴にはいずれも理由がない。智慧財產案件審理法(知的財産案件審理法)第1条、民事訴訟法第449条第1項、第78条に基づき、主文のとおり判決する。

2016年1月14日
知的財産裁判所第二法廷
裁判長 李維心
裁判官 林秀圓
裁判官 蔡如琪
TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor