ポケモンのオートキャッチ模倣品をネトオクで販売、判決で任天堂への賠償金は商標権侵害品小売単価の600倍に

2021-01-21 2020年
■ 判決分類:商標権

I ポケモンのオートキャッチ模倣品をネトオクで販売、判決で任天堂への賠償金は商標権侵害品小売単価の600倍に

■ ハイライト
周○○は2018年8月末から2019年3月までの間にネットオークションサイトで「Pokemon GO Plus」のオートキャッチ、包装ケース、携帯ストラップを1点あたり550~628新台湾ドルで販売していた。任天堂は2018年12月にネットで模倣品調査パトロールをしていたときに、周○○の販売する商品に異常があることを察知し、オークションに参加して購入した。調べたところ、模倣品であることが確定したため、通報した。合議法廷は、周○○が摘発された商標権侵害に係る商品は合計307点で、小売単価が550新台湾ドルであったことから、その商品が侵害している商標権は4件であること、販売期間が約半年にわたり摘発(時に押収)された商品及び(摘発前に)直接販売された商品(即ち「本件の摘発した商品」)の数量は約300点であったこと、小売単価が550新台湾ドルであったこと、犯行後に犯行を否認しており、これまで任天堂と和解していないこと等の一切の情状を斟酌して、周○○は賠償責任を負うべきであり、摘発された商標権侵害に係る商品の小売単価の600倍が妥当であると認めた。計算すると、合議法廷が判定した周○○の賠償額は33万新台湾ドル(550新台湾ドル×600倍=33万新台湾ドル)であり、本件(判決)は確定した。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所刑事付帯民事訴訟判決
【裁判番号】109年附民字第1号
【裁判期日】2020年2月27日
【裁判事由】商標法違反

原告 任天堂株式会社(Nintendo Co., Ltd.)
被告 周○○  

上記原告は被告の商標法違反事件(当裁判所108年度刑智上易字第88号)に基づき、付帯民事訴訟を提起し、損害賠償を求め、当裁判所は次のとおり判決する。

主文
被告は原告に対して賠償金33万新台湾ドル及び2020年1月17日から支払い済みまで年5部の割合による金員を支払え。
原告の他の訴えを棄却する。

一 両方当事者の請求内容
(一) 原告の請求:被告は原告に対して賠償金1,244,100新台湾ドル及び訴状副本送達の翌日から支払い済みまで年5部の割合による金員を支払え。
(二) 被告の請求:原告の訴えを棄却する。

二 理由
(一) 商標法第69条第3項に「商標権者は、故意又は過失によりその商標権を侵害されたときに、損害賠償を請求することができる。」、同法第71条第1項第3号に「商標権者が損害賠償を請求するとき、次に掲げる各号のいずれかの方法により、その損害を計算することができる。 3.摘発した商標権侵害に係る商品の小売単価の 1500 倍以下の金額。但し、摘発した商品が 1500 個を超える場合は、その総額を賠償額とする。」と規定されている。原告が上記規定に基づき、被告に損賠賠償を請求することには根拠がある。
(二) 本件刑事判決では、被告が摘発前にすでに販売したオートキャッチは216点で、1点あたりの価格は550新台湾ドルであり、その後被告が警察に摘発された際、販売されていなかったため押収されたオートキャッチは91点及び空箱14個であったが、そのうちオートキャッチの包装外箱は商品の外包装であり、独立して販売する商品ではないため、摘発した個数はオートキャッチの数量で計算すべきであると認められた。被告はその所持数量も計算できない云々と主張したが、調べたところ、被告が商標権侵害に係る商品を販売、陳列、所持しており、いずれも商標法第97条の商標権侵害の行為に該当し、その間には高度の行為(重い罪)と低度の行為(軽い罪)の関係しか存在しないため、商標権侵害に係る商品を、販売を目的として所持、陳列する低度の行為は、販売する高度の行為に吸収されるべきであり、さらに論罪しないにすぎず、被告がすでに販売した商品か、まだ販売しておらず押収された商品かに拘わらず、いずれも「本件の摘発した商品」であり、被告の主張は採用するに足りない。さらに、付表の番号3に記載されている「PIKACHU」携帯電話ストラップ188点については、刑事判決において、被告がそれらの商品を販売したことを証明できないと認定されているが、この部分の行為は被告が付表番号1、2の商品を販売した行為とは包括一罪の関係にあるため、別途無罪を告知せず、よって付表番号3に記載の商品は損害賠償の計算の基礎には入れない。まとめると、被告が摘発された商標権侵害に係る商品の数量が307点(216+91=307)であり、1点あたりの小売単価は550新台湾ドルであった。当裁判所は、被告の侵害した商標権は4件であること、販売期間が約半年にわたり摘発(時に押収)された商品及び(摘発前に)直接販売された商品(即ち「本件の摘発した商品」)の数量は約300点であったこと、小売単価が550新台湾ドルであったこと、犯行後に犯行を否認して、これまで任天堂と和解していないこと等の一切の情状を斟酌して、被告が追うべき賠償責任は、摘発した商標権侵害に係る商品の小売単価の600倍が妥当であると認められるため、被告が賠償すべき金額は330,000新台湾ドル(550新台湾ドル×600倍=330,000新台湾ドル)であり、原告が被告に対して上記の範囲内で賠償責任を負うように請求することには理由があり、これを越える範囲は妥当ではない。原告は、被告が侵害した商標権の件数は6件であるため、6で乗じるべきである云々と主張している。但し調べたところ、付表番号3の商品は刑事判決において侵害を構成しないと認定されているため、付表番号3に示される商標は計算に入れず、また係争オートキャッチと空箱には4件の商標図案が標示されているものの、商品の販売価格は単一であり、多くの商標図案を標示しているから販売価格が高くなるというわけではなく、しかも当裁判所は商標法第71条第1項第3号の摘発した商標権侵害に係る商品の小売単価の倍数について情状を斟酌して決定するときに、すでに商標権侵害の件数を考慮に入れており、さらに商標の件数である6を乗じるべきであるという原告の主張は採用するに足りない。
(三) 以上をまとめると、原告は商標法第69条第3項、第71条第1項第3号規定に基づき、被告に原告に対して33万新台湾ドル及び訴状副本送達の翌日、即ち2010年1月17日から支払い済みまで年5部の割合による金員を支払うよう求めることには理由があり、許可すべきである。これを越える範囲の請求には理由がなく、棄却する。
(四) 以上の次第で、本件原告の請求は一部に理由があり、一部に理由がなく、智慧財産案件審理法(知的財産案件審理法)第1条、第27条第2項,刑事訴訟法第502条に基づいて、主文の通り判決する。

2020年2月27日
知的財産裁判所第二法廷
裁判長 汪漢卿
裁判官 曾啟謀
裁判官 彭洪英
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