台湾メディアにダメージを与えたFOXY責任者に懲役1年半の有罪判決

2014-05-15 2011年

■ 判決分類:著作権

I 台湾メディアにダメージを与えたFOXY責任者に懲役1年半の有罪判決

■ ハイライト
有名なP2PソフトFOXYが著作権法違反として起訴され、板橋地方裁判所の裁判官による審理が終わり、FOXYソフトでダンウロードされた場合、ユーザー端パソコンは「強制享有」機能が設定され、ソフトを提供している業者が違法にダンウロードした間接正犯に等しいと認定し、昨日公開伝達で著作権を侵害した罪として、景昌資訊の責任者李憲明を一年六ヶ月の懲役に処し、罰金七十万台湾ドルを併科するとの判決を下した。

公開伝達により著作権を侵害した罪として判決を下した

RIT台湾唱片出版事業基金会(IFPI Taiwan)は昨日、板橋地方裁判所及び板橋地検署が正義を示したことに感謝しているが、Foxy (景昌科技)が台湾音樂及び映画産業に既にダメージを与え、この判決では過去三年半のCD業者の八十億台湾ドル以上の損失は補填できず、且つ本案は三年以上もかかって一審の判決がようやく宣告されたので、台湾音樂の創作環境に与えた被害の救済は、急を要すると声明した。

時間が随分経っておりCD業者は損失が80億台湾ドル以上にもなると主張

インターネットでのメディア享有サイトKuroとマルチメディアのファイル享有ソフトEzPeerの後のFOXYの件は台湾の第三回目のP2Pソフト訴訟案件である。Kuro、EzPeerと異なり、裁判官は、ユーザーが一旦ダンウロードでFOXYを設置すると、既設のファイルが強制享有され、不特定のユーザーのダンウロードに提供し、毎回ダンウロードした後、直ちに資料をその他のファイルに送ることを除き、ユーザーが自ら「享有」または「享有しない」を選択できないと認定した。

ダンウロードにFOXYソフトを提供していたFOXYサイトについては、威信誠科技公司の責任者楊朝雨が資金を提供し、景昌資訊の責任者李憲明が経営を担当し、裁判官は、2人がこのソフトに強制享有の機能があることを熟知しているが、この伝達プラットホームを提供し、音樂、映画等の資料が大量にダンウロード、享有され、公開伝達の方式で他人の著作権を侵害したと認定した。
判決書では、2人がFOXYサイトの閲覧数を引き上げるために、サイトで「FOXYソフトを使用し、キー・ワードを入れるだけで、簡単に必要なファイルが手に入る」等と宣伝し、より多くの広告收益を獲得したとのことであった。裁判官は、検察官がFOXYによる著作権侵害の金額が五十億台湾ドルを超えるものと推測したが、計算できる明確な証拠がないと表明した。

悪質なソフト 警察当局の調書も流出

判決書では、威信誠公司が現在既に解散され、責任者楊朝雨も死去し、商工登記資料公示システムに景昌資訊を問い合わせたところ、現在営業停止中である。FOXYソフトはかつて国内において広く使用されており、警察当局の取調べ調書が流出された事件も発生し、現在公的機關でも公務用パソコンでFOXYをダンウロードすることを明文で禁止している。
資策会科技法律組研究員郭戎晉は、国際上、このようなソフトを享有することが判決になるかどうかは、業者が実質的に利益を得たか否かによると述べた。〔自由時報20100320/A30 記者鄭淑婷、郭子寧、湯佳玲〕

II 判決内容の要約

基礎データ

台湾板橋地方裁判所
【裁判番号】98年度重易字第4号
【裁判期日】2010年3月19日 
【裁判事由】著作権法

公 訴 人 台湾板橋地方裁判所検察署検察官
被   告 景昌資訊科技有限公司

主 文
丁○○は共同して無断で公開伝達の方法により他人の著作財産権を侵害したので、有期懲役1年6ヶ月に処する。
景昌資訊科技有限公司の法人の代表者は、業務執行の時に無断で公開伝達の方法により他人の著作財産権を侵害したので、罰金70万台湾ドルを科する。

一 事実要約
丁○○は景昌資訊科技有限公司(所在地:台北県永和市○○○路○段84号1 F、以下景昌公司と称する)の責任者であり、楊朝雨(既に死去)は威信誠科技股份有限公司(所在地:台北市○○区○○路328 号9 Fの4 、既に解散された、以下威信誠公司と称する)の責任者である。彼らはその研究・開発し、且つ「Foxy」サイト(サイトhttp://www.gofoxy.net/tw/index.shtml/、設置場所はアメリカ、SoftLayer Technologies Inc. 【以下SoftLayer 社と称する】からレンタルし、その後、サイト名はhttp://tw.myfoxy.net/に変更され)等の処において、誰でも無料で「Foxy」パソコンプログラムをダンウロードすることに提供し、これは繁体語インターフェイスのP2P パソコンプログラムであり(注:P2P はPeer-to-Peerの簡略した書き方、即ち「P2P分散式ネットワーク構造」であり、すべての参与者の役割が平等互惠であり、伝統的なホスト・ゲストではない。
しかし設置過程においてユーザーが当該パソコンプログラムを設置した後、たとえユーザーがパソコンハードディスクまたは外付保存裝置(例えばUSB、外付ハードディスク等)のファイルの享有を選択しなくとも、そのパソコン内のルートにC:Program\FilesFoxy\Download及びC:ProgramFiles﹑Foxy﹑Temp が既設され(注:当該2つのファイルではそれぞれ前記パソコンプログラムはユーザーがダンウロードを完成した時にファイルに保存し、及びダンウロード中にファイルをTempファイルであると既設されたもの)その中のファイルが提供され、アップロードで享有され、且つユーザーがこのアップロード共有を取消すことができないと告知せずとも、自ら当該ファイル内のファイルのアップロード享有を提供するかについてユーザーに決定させない。丁○○及び楊朝雨は前記パソコンプログラムに前記アップロードの強制享有の機能があり、当該パソコンプログラムのユーザーが許諾を得ずに他人が享有している著作財産権の電子ファイルをダンウロードする可能性があり、またはたとえダンウロードが許諾されても、当該ユーザーが当然再びアップロードし、インターネットでその他の「Foxy」パソコンプログラムを使用している不特定なユーザーの享有に供する許諾を取得するのではないことを知り、且つ彼らは前記パソコンプログラムに一定の許諾確認システムを設計していないことを知っていた(注:即ち当該パソコンプログラムはユーザーが提供したアップロード享有の電子ファイルが合法的に許諾されたものであるかについて確認または選択することができない)。ところが、彼らは共に「Foxy」パソコンプログラムのユーザーが一旦当該パソコンプログラムを使用し、楽曲、映画等の電子ファイルをダンウロードした場合、前記方式でアップロード享有が強制で提供され、その他の不特定の「Foxy」パソコンプログラムのユーザーが当該パソコンプログラムを執行すると、「Foxy」サイトにアクセスし、且つホームページの「検索」欄にダンウロードしたい音樂または映画等の電子ファイル名称を入れた後、アップロード享有が提供された電子ファイルを自由にダンウロードでき、無断で公開伝達の結果が生じる可能性があると予見した。しかし彼らは「Foxy」パソコンプログラムのユーザーが「Foxy」サイトにアクセスし、当該サイトの閲覧数を引き上げ、これで広告利益を計算する基礎とし(即ち「Foxy」サイトの閲覧数)、より高額の広告利益を獲得するために、共同でその発生を予測し、その発生は彼らの本意に違背しないという無断で公開伝達する不確定な犯意聯絡に基づき、楊朝雨が資金を提供し、丁○○が実際に経営を担当した景昌公司は2006年7 月頃の某日から「Foxy」サイトを経営し、且つ当該サイト等の処で不特定のユーザーが無料でダンウロードすることに「Foxy」パソコンプログラムを提供する外、且つ当該パソコンプログラムを一旦ユーザーが設置し、当該パソコンプログラムを執行すると、直ちに自動的に前記「Foxy」サイトにアクセスし(ユーザーも始めて当該パソコンプログラムを利用し「検索」、「ダンウロード」を執行することができる)、更に当該サイトのカウンタープログラムで自動的に閲覧数を計算し、広告利益配分の基礎とし、これでより高額の広告利益を取得し、不特定の多数の「Foxy」パソコンプログラムを使用していた事情が知らなかったユーザーはそれぞれ附表一に示す通りの楽曲(録音著作)及び附表二に示す通りの映画(視聽著作)の電子ファイルをダンウロードした後(注:前記録音著作、視聴著作の名称、著作財産権者はそれぞれ附表一、二に示す通り)、同時にアップロード享有が強制で提供され、当該電子ファイルをダンウロードしたいその他の不特定の「Foxy」ユーザーでも各自の選択時間、地点で当該電子ファイルをダンウロードすることができ、無断で公開伝達した結果が発生した。

二 両方当事者の請求内容
(略、判決理由を参照)

三 本件の争点
被告は「Foxy」サイト経営に参与したかどうか?無断で公開伝達したかどうか?インターネットを通じて他人の著作を複製し、著作財産権を侵害したものを公衆に供することを意図したかどうか、著作を複製したパソコンプログラムを公衆に提供し、利益を受けた部分があったかどうか?

四 判決理由の要約
(一)被告丁○○が「Foxy」サイトを経営した部分:
楊朝雨には確かに「Foxy」サイトに資金を提供し、経営を被告丁○○に任せた事実があったので、いかに「Foxy」の広告委託の契約締結に積極的で、且つ強力的なリーダー的地位にあったので、本件の犯行について、当然被告丁○○一人だけが参与したと認定する合理的な解釈がなく、楊朝雨と共同で行ったことが明らかである。これは被告丁○○がその後、本裁判所での審理時に再三、楊朝雨が私の名前だけを借りて経営した云云と弁解したことを参考し、その弁解した「名前だけを借りたこと」が信用できないが、楊朝雨が経営を被告丁○○に委託したことは、前記二名の証人の証言と一致しているので、根拠がないはずがなく、更に被告丁○○は楊朝雨と共同で本件の犯行をしたことに錯誤がない。

(二)無断で公開伝達した部分:
被告丁○○は、「Foxy」パソコンプログラムは私が開発したものではなく、ソフトをよく知らず、このパソコンプログラムにアップロード強制享有の機能があるかどうかについても知らない云云と弁解したが、調べたところ、被告丁○○は確かに「Foxy」パソコンプログラムの研究・開発に参与した事実があり、被告丁○○の警察当局、取調べでの証言の外(南調ファイル第2 頁、96年度偵字第14513 号ファイル第7 、132 頁を参照)、証人己○○も取調べに「Foxy」パソコンプログラムは楊朝雨の威信誠公司が提供したもので、被告丁○○も一部のソースコードを修正したこと等(偵三ファイル第13頁を参照)と証言したので、被告丁○○は確かに「Foxy」パソコンプログラムの研究・開発に参与したことに間違いがなく、本裁判所での審理時に当該パソコンプログラムの開発を否認し、且つ証人己○○はその後本裁判所での審理時に被告丁○○が研究・開発に参与しない云云と改めて証称したことは(本裁判所ファイル第197 頁裏面を参照)、いずれも事後の責任の言い逃れに過ぎないので、信用できない。
被告丁○○と楊朝雨は「Foxy」パソコンプログラムに前記の強制享有の機能があることを知り、且つ設置過程において、この機能をユーザーに告知せず、明らかに事情が知らなかった「Foxy」パソコンプログラムのユーザーを利用し、そのダンウロードした電子ファイルをアップロードしその他のユーザーを享有させ、被告丁○○等は「Foxy」パソコンプログラムにユーザーが許諾を得ない電子ファイルをその他のユーザーに享有させることを防止または選択する機能がないと知っていたことは、被告丁○○が警察当局での取調べに明確に供述し(南調ファイル第3 頁、96年度偵字第14513 号ファイル第263 頁を参照)、被告丁○○と楊朝雨はそれを知りながら、事情が知らなかった「Foxy」パソコンプログラムのユーザーが許諾を得ない楽曲、映画等の電子ファイル(即ち録音著作または視聽著作等)を、その他の不特定の「Foxy」パソコンプログラムのユーザーが各自選択した時間、地点でのダンウロードに提供することは、予見していたはずなのに、経営していた「Foxy」サイトの広告收益等の利益を得るために、不特定の人が無料でダンウロード、設置、使用することに「Foxy」パソコンプログラムを提供し、前記無断で公開伝達した結果が発生することを容認し、被告丁○○と楊朝雨との間にこの不確定な故意の犯意聯絡があることが明らかである。

(三)インターネットを通じて他人の著作を複製し、著作財産権を侵害し、著作を複製したパソコンプログラムを公衆に提供し、利益を受けることを意図した部分:弁護人は再三、ユーザーが「Foxy」パソコンプログラムを設置する過程で、画面に現れる許諾契約に「Foxyは著作権を尊重するようユーザーに呼びかけ、Foxyユーザー本人、特に情報及び内容の提供者は、知的財産権保護及びその他の関連法律、法規及び拘束力のある規約文書を守ることに同意する」こと等が記載され、「Foxy」サイトで提供された「Foxy」パソコンプログラムは、公衆が当該プログラムを利用し他人の著作財産権を侵害する犯意を誘発することはないと認定した。しかし調べたところ、一般的にパソコンプログラムを設置した経験では、画面に現れる許諾契約等の制式画面及び選択項は、通常見落とし、または注意せずに、即ち直接「同意する」、更に「次へ」の指令を選択する。よって「Foxy」パソコンプログラムにあるこの許諾契約の制式化選択は、被告丁○○等が選択した前記広告誘発方式で、生じる公衆が他人の著作財産権を侵害する強烈な動機または企みを阻止、防止または中断することに役に立つか否かについて、当然疑問が無いわけでもないので、「Foxy」パソコンプログラムの設置画面に「許諾契約」の文字記載で、被告丁○○等が前述の広告で公衆を誘発し、インターネットを通じて他人の著作財産権を侵害する犯行を排除することができない。言い換えれば、もし被告丁○○等に前記不法な意図がなかった場合、ユーザーが無断で他人の著作財産権を侵害すると誤って報道されることを避けるために、広告宣伝で「Foxy」パソコンプログラムを強力に推薦すると同時に、当該広告の宣伝に「但し他人の著作財産権を侵害してはならない」またはこの事項に関する内容を注意するようユーザーに呼びかけなければならないが、被告丁○○等はこうとはせずに、一方、広告の宣伝で「ファイルが簡単に手に入る」と強調し、ファイルの取得は合法的に許諾されるか否かについて無視し、一方、当該パソコンプログラムを設置する過程で、制式化、人の注意を引かない許諾契約の画面で関連法令規定を注意するようユーザーに呼びかけただけなので、両方比較の下では、これらの不法の意図の成立を阻止することができない。よって弁護人の抗弁は、明らかに信用できない。

中華民国99年3月19日
刑事第二十一廷  裁判官  陳信旗

五 関連条文抜粋

著作権法第92条
無断で公開口述、公開放送、公開上映、公開実演、公開伝送、公開展示、改作、編集又は貸与することにより他人の著作財産権を侵害した者は、3年以下の懲役若しくは拘留に処し、又は新台湾ドル75万台湾ドル以下の罰金を科し又はこれを併科する。

著作権法第87条
次の各号のいずれかに該当するときは、この法律に別段の定めがある場合を除き、著作権又は製版権(出版権)を侵害したものとみなす。
一、著作者の名誉を侵害する方法でその著作物を利用した場合。
二、出版権の侵害に係るものであることを明らかに知っていながら、それを頒布し、又は頒布を意図して公開に陳列し若しくは所持していた場合。
三、著作財産権者又は出版権者から複製についての許諾を受けない複製物又は出版物を輸入した場合。
四、著作財産権者の同意を得ないで著作物の原作品若しくはその複製物を輸入した場合。
五、コンピュータプログラムに関する著作財産権の侵害にかかわる複製物を営業に使用した場合
六、作財産権侵害に係るものであることを明らかに知りながら、所有権の移転若しくは貸与以外の方法により頒布し、又は著作財産権侵害に係るものであることを明らかに知りながら、頒布を意図して公開に陳列し若しくは所持していた場合。
七、著作財産権者の同意若しくは許諾を得ないで、公衆がインターネットを通じて他人の著作物を公開伝達し若しくは複製して著作財産権を侵害するのに供用することを意図して、公衆に著作物の公開伝達、若しくは複製ができるコンピュータプログラム又はその他の技術を提供し、利益を受けた場合。
前項第七号の行為者は広告その他の積極的な措置をとり、公衆がコンピュータプログラムその他の技術を利用して著作財産権を侵害することを教唆し、誘導し、扇動し、説得した者は、同号にいう意図を有するものとする。

著作権法第93条
次の各号のいずれかに該当するときは、2年以下の懲役若しくは拘留に処し、又は新台湾ドル50万台湾ドル以下の罰金を科し、又はこれを併科する。:
一、第15条から第17条までの規定の定める著作人格権を侵害した場合。
二、第70条の規定に違反した場合。
三、第87条第1項第一号、第三号、第五号又は第六号のいずれかの方法により他人の著作権を侵害した場合。但し、第91条ノ1第2項及び第3項の定める場合は、この限りでない。
四、第87条第1項第七号に違反した場合。

著作権法第101条
法人の代表者、法人若しくは自然人の代理人、被用者その他の従業員が、業務の遂行により第91条から第93条まで、第95条から第96条ノ1までの罪を犯したときは、各当該規定により行為者を処罰するほか、当該法人若しくは自然人に対しも各該当条文に定める罰金を科する。
前項の行為者、法人又は自然人の一方に対して為した告訴又は告訴の取り下げは、他方にも効力が及ぶ。
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