10メートル外に新規出店で競争、競業禁止契約に違反、営業秘密も侵害
2018/04/25 | 2017年 前のぺージに戻る    
■ 判決分類:営業秘密

I 10メートル外に新規出店で競争、競業禁止契約に違反、営業秘密も侵害

■ ハイライト
露店でイカフライを販売している原告はイカフライ技術を学びたい被告と一年契約を締結し、被告に学習及び出店販売の機会を提供したが、同時にもし被告が新規出店する予定がある場合、原告の同意が必要であると約定した。ところが、被告はあえて契約期内に自ら原告の露店場所の斜めに新規露店を設置した。被告は確かに違約し、競業禁止約定に違反したので、60万台湾ドルの違約金を原告に賠償しなければならないと一審裁判官が判決した。

双方は2015年8月初めに契約を締結し、同年8月1日から2016年6月末までの間を契約期間と約定し、原告は商売道具を提供し、被告は露店での業務を担当するので、双方は2015年8月5日に競業禁止契約を締結したと原告は述べた。その営業秘密を保護し、市場飽和を避けるために、競業禁止契約において、被告が露店を新設するときには原告の同意が必要であり、契約を一年とし、もし契約破棄または期限満了で一年以内に契約を更新しない場合、被告は原告の会社が販売している関連商品を取り扱ってはならず、一切の業者情報、仕入れコスト、材料配合等の営業秘密を他人に開示してはならず、もし契約破棄の場合、高額の違約金を賠償しなければならないと約定したと原告は主張した。

2016年4月に被告が一方的に契約を解約し、且つ原告の露店場所の斜め10メートル外に別の露店を設置し、原告と同一種類の商品を販売したので、競業禁止契約規定に違反したと原告は指摘した。

被告は弁解として、その時は友人が露店に間に合わないので、露店を手伝っただけで、出店場所は自分のものではなく、原告がどう仕入れるか、調味料をどう配合するか等具体的技術についても知らず、原告の商業的秘密も他人に開示していないと述べた。

台南地方裁判所裁判官は証人2名の証言により、被告が車で新設の露店の貨物を露店場所に運んだことは一度だけではなく、被告の母親もよく新規露店で販売に協力していたので、明らかに被告は新規露店と密切な関係があり、友人の露店に協力したことは一度だけではなく、被告が契約期間内に同一の商店街で新規露店を経営したことは、確かに違約であり、競業禁止契約規定にも違反したので、双方約定の違約金計算方法により、被告は607,950台湾ドルを原告に支払わなければならないと判決した。本件は二審への上訴ができる。(資料出所:自由時報2017年3月21日)

II 判決内容の要約

台湾台南地方裁判所民事判決
【裁判番号】105年度訴字第1564号
【裁判期日】2017年3月8日
【裁判事由】損害賠償請求等

原告 王○翔
被告 易○雄
上記当事者間における損害賠償請求事件について、本裁判所は2017年2月22日に口頭弁論を終え、次のとおり判決する。:

主文
被告は607,950台湾ドル、及び2016年9月23日から弁済日まで年5%で計算した利息を原告に支払わなければならない。訴訟費用は被告の負担とする。本判決は原告が被告のため20万台湾ドルを担保した後、仮執行を行うことができる。但し被告がもし仮執行目的物の落札、競売または他の財産権仮執行手続終了前に、原告のため607,000台湾ドルを担保した場合は、仮執行を免じることができる。

一 事実要約
2015年8月1日に被告は原告と契約を締結し、双方の締結期間を2015年8月1日から2016年6月30日までと約定し、2015年8月5日に双方は競業禁止契約書を締結し、2015年7月1日より被告が原告と提携して露店すると約定した。双方は前記競業禁止契約において被告が市場で露店を新設する時には原告の同意を得る必要があり、露店の営運方法、販売商品の種類はいずれも原告が決定し、且つ一括して仕入れて、被告は無断で変更したり、原告以外の業者から仕入れ、販売をしてはならず、双方契約期間を一年とし、契約破棄または期限満了でも更新しない場合、一年以内に被告は原告会社が市場販売する関連商品を取り扱ってはならず(他人に雇用されたり、共同経営に投資することも含む)、且つ被告は他人に一切の業者情報、仕入れコスト、材料、配合を開示してはならず、もし前記約定に違反した場合、契約破棄とみなすと約定した。契約破棄時に、被告は毎日の売上の50倍に相当する金額を原告に賠償しなければならず、売上の計算は被告が原告から仕入れたコストに3をかけて計算する。2016年4月頃に、被告は一方的に原告と締結した契約を解約し、原告の露店場所の斜面約10メートル外の距離で原告と同種類の商品を販売した。

二 両方当事者の請求内容
(一) 原告の訴え:1.被告は607,950台湾ドル及び起訴状写しが先方に送達された翌日から弁済日まで年5%で計算した利息を原告に支払わなければならない。2.訴訟費用は被告の負担とする。3.担保を提供するので、仮執行の宣告を請求する。
(二) 被告の訴え:1.原告の訴えを棄却する。2.訴訟費用は原告の負担とする。3.もし不利な判決を受けた場合、担保を提供するので、仮執行を免じるよう請求する。

三 本件の争点
被告の行為は営業秘密法違反し、原告の営業秘密を侵害する行為であるか?

四 判決理由の要約
(一) 営業秘密法第2条では、所謂「営業秘密」とは方法、技術、製造工程、配合、プログラム、設計又はその他生産、販売若しくは経営の情報に使われるものであって、下記の条件と一致する。1. これらの類の情報に関わる一般の人に知られているものではないもの2. その機密性により、実在的又は潜在的経済価値を有するもの3. 保有者により秘密保持のための合理的な措置が取られているもの。即ち同時に非周知性、経済価値性及び秘密保持性等三要件を具備して、始めて営業秘密法で保護される「営業秘密」になる(最高裁判所104年度台上字第1654号判決要旨を参照)。本件原告が所有しているイカフライ技術は既に前記「非周知性」、「経済価値性」、「秘密保持性」三要素と一致し、営業秘密法第2条でいう営業秘密となっている。契約締結方法により営業秘密を取得した後、不正な方法により使用した場合、当該条第1項第4号の営業秘密侵害行為に該当する。よって、当該条項で定める営業秘密の侵害は、営業秘密を他人に開示する態様だけではなく、不正方法による営業秘密取得、または取得後の「利用」を含む。更に、所謂不正な方法とは、当該条第2項に明文で定められており、秘密保持義務に違反した場合、この不正な方法に該当する。
(二) 被告は原告と関連する事業を経営しているか:証人の証言をまとめると、被告が貨物を露店に運んだことは一度だけではなく、また被告の母親もよく露店に足を運んでいるので、被告と露店との間には密切な関係があり、友人の露店に協力したことは一度だけではない。被告が原告の同意を得ずに、2016年4月頃に係争市場提携契約書及び係争競業禁止契約書の約定に違反したとの主張は、信用できる。
(三) 双方間に係争競業禁止契約書があることは証明できる。前記の通り、被告が原告の同意を得ずに、2016年4月頃に係争市場提携契約書及び係争競業禁止契約書の約定に違反し、原告と同種類の商品販売したと原告が主張したことは、信用できる。被告が係争市場提携契約書及び係争競業禁止契約書を締結してから一年未満にもかかわらず、前記係争競業禁止契約書の約定に違反したと、本件原告が主張したことは、信用できる。
(四) 被告が2015年8月1日から2016年3月31日まで計8ヶ月間に、原告から仕入れた総額が972,736台湾ドルであることは、被告も論争しないので、真実と認定できる。前記係争競業禁止契約書の約定及び前記仕入れ金額により計算すると、被告が原告に賠償すべき金額は607,950台湾ドル【計算式:(1)毎月の仕入れ額121,592台湾ドル(972,736台湾ドル÷8月=121,592台湾ドル)(2)毎日の仕入れ額4,053台湾ドル(121,592台湾ドル÷30日=4,053台湾ドル)(3)毎日の売上を仕入れ額の3倍として計算すると12,159台湾ドル(4,053台湾ドル×3倍=12,159台湾ドル)、(4)賠償すべき金額は毎日の売上の50倍607,950台湾ドル(12,159台湾ドル×50倍=607,950台湾ドル)。】であることには根拠がある。

以上をまとめると、原告の訴えには理由があるので、民事訴訟法第78条、第390条第2項、第392条第2項判決により主文のとおり判決する。

2017年3月8日
台湾台南地方裁判所民事第三法廷裁判官 王獻楠