維力との結合 統一の敗訴が確定

2015-01-29 2013年

■ 判決分類:公平取引法

I 維力との結合 統一の敗訴が確定 

■ ハイライト
統一企業が2008年に公平取引会に事業者結合を届出た。2008年9月10日、公平会は同意しなかったが、公平法第12条第1項の「許可の制限」に関する規定では、事業者結合の届出に際し、もしその結合の経済全体に対する利益が競争制限の不利益より大きい場合、中央主務機関はその結合を禁止してはならないことになっている。

統一企業は2010年7月2日に、再び三分の一を超える維力株式を間接的に所有することで、直接又は間接的に維力の業務経営又は人事任免を支配しようとし、公平会に事業結合を届出た。しかし2010年9月8日に公平会は再度審議決定を公布し、依然として同意しなかった。

統一がこれを不服として行政訴訟を提起したところ、2013年4月11日、台北高等行政裁判所は判決により、両公司の結合は「競争制限の不利益が経済全体の利益より大きい」として、公平取引法第12条第1項規定により統一と維力の結合を禁じたが、統一はこれを不服として上訴を提起した。

最終的に最高行政裁判所は公平会の見解を支持し、統一による維力の合併吸収は、台湾全体のインスタント麺市場の競争機能を減損させると認定したので、統一の敗訴が確定した。

II 判決内容の要約

最高行政裁判所判決
【裁判番号】102年度判字第500号
【裁判期日】2013年08月15日
【裁判案由】公平取引法

上訴人 統一企業股份有限公司
被上訴人 公平取引委員会

上記当事者間における公平取引法事件について、上訴人が2013年4月11日台北高等行政裁判所100年度訴字第1226号判決に対して上訴を提起したが、本裁判所は次によう判決する。:

主文
上訴を棄却する。
上訴訴訟費用は上訴人が負担する。

一 事実要約
上訴人は間接的に維力食品工業股份有限公司(下稱維力公司)の三分の一を超える株式を所有しようとし、2008年に被上訴人に事業者結合を届出た。被上訴人は2008年9月10日付公結字第097005号決定書を以って、上訴人等による結合は競争制限の不利益が経済全体の利益より大きいことを理由に、公平取引法第12条第1項の規定に基づきその結合を禁じた。上訴人はその後2010年4月30日に代理人に依頼して被上訴人に上記事業者結合を郵便で届出たが、同年5月14日にその届出を取り下げた。同年7月2日、上訴人は再び間接的に維力公司の三分の一を超える株式を所有することで、直接的又は間接的に他事業者の業務経営又は人事任免を支配しようとして、被上訴人に事業者結合を届出た。しかし、被上訴人は2010年9月8日付公結字第099003号決定書(以下、原処分という)により、本件の結合による競争制限の不利益が経済全体の利益より大きいことを理由に、やはり公平取引法第12条第1項の規定に基づき結合を禁じた。そこで上訴人はこれを不服として訴願を提起したが、決定により棄却されたので行政訴訟を提起した。しかし、原審裁判所は100年度訴字第1226号判決(以下、原判決という)によりこれを棄却した。上訴人はやはりこれを不服として、本件上訴を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求:訴願決定及び原処分を何れも取消す。
(二)被告の請求:上訴人の訴えを棄却する。

三 本件の争点
(1)原審判決には判決理由の不備や理由矛盾の法令違反の事情があるか?
(2)証拠の取捨と当事者の希望が異なることは、原判決の法令違反に該当するか?
(3)原審は証拠審理が不十分で、判決に法令違反の事情があるか?
(4)被上訴人による商品の細項目名称を伏せた資料は間違いないとした原審の認定には「理由不備」、「理由矛盾」の事情があるか?
(5)本件は口頭弁論を行うべきか?
(一)原告が主張した理由:略。判決理由の説明を参照。
(二)被告が答弁した理由:略。判決理由の説明を参照。

四 判決理由の要約
公平取引法は製品の特定市場について明確に定義していなので、上訴人は公平取引委員会による結合届出案件の処理原則が製品市場について定めた「高度なニーズ又は供給替代性」の要件が法律の保留の原則に違反したと主張した。しかし原審はそもそも、職権による証拠調査の後に、先ず上記処理原則の性質は解釈性の行政規則だと認定し、公平取引法の主務機関即ち被上訴人が職権を行使して事実を認定したので、法律適用の準拠について、その認定に法違反があったとは認めることが難しい。

本件の事業者結合の現在の持株状況は、既存の事業者構造下で進めなければならないものではなく、国際競争力の向上、その市場全体又は消費者に対する全体的な経済利益に明らかな有益性がないうえに、その結合が国内インスタント麺市場に対し明らかに競争制限の不利益をもたらすので、被上訴人が公平取引法第12条第1項の規定に基づき上訴人による本件結合を禁じたことには、根拠とする理由がある。よって、上訴人に不利な判決は、その判断根拠及び心証を得た理由について、何れも既に詳細に記載しているので、所謂判決理由不備や理由矛盾の法令違反の事情はない。

被上訴人は、上訴人が主張した即食性商品と、インスタント麺との間にはやはり差異があるので高度にニーズ替代性がある商品だとは言いがたいと認定した。しかし、その分析も経験及び論理法則と相反していないうえ、証拠の取捨が当事者の希望と異なることにより、その事実の認定も当該当事者の主張と異なったものになるからといって、原判決に法令違反の事情があるとは言えない。

上訴人はまた、原審は本件について自主的に提出した反証を審理しようとしなかったと主張したが、この部分については原審も判決理由欄五(七)で説明している。上訴人は法律上の見解に対する偏見を以って、原審の証拠取捨、事実認定についての職権行使が不適切であると指摘しているが、やはり原判決の法令違反の依拠とすることは困難である。

被上訴人がコンビニエンスストア及び量販店業者を調査して得た即食性食品価格量資料は営業上の秘密又は事業経営に関わる情報であり、被上訴人が政府情報公開法第18条第1項第7号の規定に基づき商品の詳細名称を伏せたことは、本件手続き権利の保障及び訴訟権の行使の妨げにはならない。被上訴人が上訴人による上記伏せ字部分の閲覧を制限したことは誤りではないと原判決が認めて理由を説明したことには、実際にも上訴人が言うような「理由不備」「理由矛盾」と言えるものはなかった。原審は全弁論趣旨及び証拠調査の結果を斟酌して論理及び経験法則に基づいて判断したので、論理法則や経験法則違反もなく、よって原判決に法令違反の事情があると言うことはできない。
「最高行政裁判所の判決は口頭弁論を経ずに行う。但し、下記の事情の一がある場合は、職権又は申立てにより口頭弁論を行うことができる。一、法律関係が複雑であるか法律見解が不一致であり、口頭弁論の必要がある。二、専門知識又は特殊な経験法則に関わり、口頭弁論の必要がある。三、公益に関わる、又は当事者の権利義務への影響が深刻で、口頭弁論の必要がある。」と行政訴訟法第253条第1項に定められている。本裁判所は本件には上記規定に列記の口頭弁論を行うべき事情がないと認定する。

以上の論述をまとめると、本件上訴人による高等行政裁判所判決に対する上訴は、当該判決に法令違反があることを理由としているが、調べたところ、上訴人の原審における各項主張がどうして採用できないのかについて、原判決は全て詳しく論断しているうえ、適用した法規と本件に適用すべき法規にも相反はなく、解釈、判例にも抵触していないので、法令違反の状況もない。

以上に基づき論結すると、本件上訴には理由がない。行政訴訟法第255条第1項、第98条第1項前段に基づき、主文のように判決する。

2013年8月15日
最高行政裁判所第四法廷
審判長裁判官 黃合文
裁判官 劉介中
裁判官 帥嘉寶
裁判官 林惠瑜
裁判官 鄭忠仁

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