「鼎旺」商標の不法占有、麻辣火鍋店の二代目同士で争い
J200216Y2 | 2020年3月号(J247) 前のぺージに戻る    
    台北市にある麻辣火鍋(マーラー鍋)の有名店「鼎旺」の創業者(林氏)の甥(曹氏)が2015年3月23日に「鼎旺」を以って知的財産局に商標登録を出願して許可を得ており、創業者の娘(陳氏)がそれを知って、先使用による異議を申し立て、知的財産局は登録取消しの審決を下した。曹氏はこれを不服として提訴し、最高行政裁判所は曹氏が不法占有したと認めて、敗訴の判決を下し確定した。
    曹氏は次のように主張していた。叔母は1992年に麻辣鍋の食堂を開き、自分の母親は1996年に150万新台湾ドルを出資した。双方は協議して組合(パートナーシップ)として「鼎旺麻辣鴛鴦火鍋」を共同経営することとなった。ただし叔母は2015年3月にパートナーシップを否認し、双方は法廷で争ったが、その後和解しており、和解書の内容とメディアの報道からパートナーシップの関係が存在し母親と叔母が共同していたことが証明できる。「鼎旺」の看板は対外的な営業包装(トレードドレス)であり、当然ながら組合財産は双方が共有すべきであり、不法占有や模倣ではない。
    知的財産局は次のように供述した。商標登録出願日より前に、陳氏と母親は先に鍋料理店で使用しており、サービスの範囲も高度に類似している。曹氏はかつて鼎旺麻辣鍋で働いていたことがあり、その後老鼎旺川味鍋物店を開いており、業務上の取引、同業競争関係によって、出願日より前に異議商標の存在を知っていたと認定できる。
裁判所は次のように指摘している。わが国の商標法は登録主義を採用しており、使用主義ではなく、先に使用したが登録していない商標は原則的に保護しない。ただし、他人が創作・使用した商標を不法占有することを回避し、不正競争を防止するため、例外的に先使用商標を保護して、制度の不備を調整し、「先使用者」が他人に不法占有された際に権利救済の機会を与えている。
    曹氏が登録した商標と陳氏の母親が経営する老舗の商標は、外観、称呼及び観念において完全に同一であり、同じ商標を構成しており、しかも両者はいずれも麻辣火鍋等の飲食サービスに使用されており、また曹氏は鼎旺麻辣鍋で働いたことがあり、業務上の取引の関係があったことから、出願日前に異議商標の存在を知っており、意図して模倣し、商標の登録を出願したもので、商標法第30条第1項第12号の事情に該当し、登録することはできず、知的財産局が取消処分を行ったことに法に合わないところはない。(2020年2月)