「老天祿」商標訴訟に終止符、祿大公司の敗訴確定
J210323Y2 | 2021年4月号(J260) 前のぺージに戻る    
    台北市西門町にある有名な滷味(台湾式煮込み料理)の老舗「武昌街老天祿」の代表者である謝〇泉は、2018年に知的財産裁判所に対して訴訟を提起し、祿大食品有限公司(以下「祿大公司」)とその代表者である周〇明(「上海老天祿食品有限公司」代表者の長男の嫁)が複数の大手オンラインサイトや実体の店舗の看板に「上海老天祿」という文字を商標として使用し、さらに「上海老天祿二代目のオリジナルブランド」、「上海老天祿二代目の店」という文言を広告の標語として、肉製品や滷味などの商品の宣伝や販売に使用し、謝〇泉が登録している「老天祿」、「台北老天祿」、「台灣老天祿」等の商標権を侵害していると主張した。
    さらに謝〇泉は次のように主張している。自らが登録する「老天祿」等の商標は第27、29類の肉製品、滷味等商品での使用を指定しているが、訴外人である上海老天祿食品有限公司(以下の「上海老天祿公司」)の商標は第23、30、32、35類のパン、ペイストリー等商品での使用が指定されており、肉製品、滷味を指定商品とする商標権はなく、祿大公司に使用を許諾する権利もない。よって祿大公司が「老天祿」と同一の又は類似の文字の商標を使用することは、商標権を侵害するものである。
    一方、祿大公司は次のように抗弁した。同社が使用している文言は「上海老天祿二代目のオリジナルブランド」又は「上海老天祿二代目の店」であり、その経営者の身分が「上海老天祿創業者の二代目」であり、その技術は「上海老天祿」から伝承されたものであることを意味するもので、「上海老天祿」という文字を商標として使用するものではなく、「老天祿」の文字を商標の使用と解釈することはさらにできない。ましてや謝〇泉は1983年から「老天祿」等商標の登録出願を始めており、それ以前は上海老天祿公司の代表者が創業した老舗「上海老天祿」がすでにペイストリーや滷味等の商品を30年以上にわたって販売しており、善意の先使用に該当する。祿大公司は上海老天祿公司の代表者と提携しているため、「上海老天祿」の文字を使用して商品の販売を継続することができる。
    2019年6月、知的財産裁判所は第一審で祿大公司による「上海老天祿」という文字及びそれに関連する標語等の使用行為は商標の使用に該当し、しかも善意の先使用ではなく、消費者に誤認混同を生じさせ、祿大公司の販売する商品の出所が「武昌街老天祿」からである又は双方に加盟関係があると誤認させると認め、祿大公司に敗訴の判決を下して、祿大公司に対して「老天祿」、「台北老天祿」及び「台灣老天祿」等という文字と同一の又は類似する商標を肉製品、滷味等の商品に使用してはならず、かつ関連の広告看板、立て看板、及び商品の包装箱等を廃棄するよう命じた。2020年5月に知的財産裁判所は第二審においても第一審の判決を維持したため、祿大公司は上告を提起した。2021年3月に最高裁判所は上告を棄却して、本件の判決が確定した。(2021年3月)