コロナ流行の2020年における台湾特許出願の技術分野分析

J210907Y1 2021年10月号(J266)
    2020年知的財産局が受理した特許出願件数は43,921件に上り、そのうち内国出願人(居住者)の出願は横ばいだったが、外国出願人(非居住者)の出願が6.0%減少したため、全体で3.4%減となった。(外国出願人を国籍別にみると、)韓国が5.5%成長したのを除き、日本、米国、中国、ドイツはそれぞれ2~8%減少している。技術分野別にみると、「半導体」、「コンピュータ技術」がトップ2を占めたが、「デジタル通信」とともにいずれも大幅に減少して、2020年出願件数全体が減少する主因となった。一方、「医療技術」、「バイオテクノロジー」の分野では二桁成長をみせた。

    一、特許出願件数が最多の分野は「半導体」、2位は「コンピュータ技術」、成長最速は「医療技術」と「バイオテクノロジー」

    台湾の特許出願を技術分野別にみると、件数ベースでは半導体(4,775件)が首位を占め、コンピュータ技術(3,999件)がそれに次いでいる。成長率ベースでは、医療技術(1,496件)が前年比15.3%増で最も高く、バイオテクノロジー(1,020件)が11.3%増で2位を占めている。また、半導体、コンピュータ技術、デジタル通信(1,388件)についてはそれぞれ13.3%減(-735件)、6.8%減(-291件)、21.1%減(-372件)で、合計1,398件の減少となり、2020年の減少件数全体(-1,536件)の9割を占めた。
内国出願人について、技術分野トップ2は件数ベースでコンピュータ技術(2,329件)、半導体(1,952件)、外国出願人については半導体(2,823件)、コンピュータ技術(1,670件)だった。成長率ベースでみると、内国出願人は医療技術(955件)が28.7%増と最も目覚ましい成長を遂げた。他の特殊機械(495件)は16.5%増、操作(433件)は12.2%増、医薬品(327件)も6.5%増であったが、コンピュータ技術、半導体、デジタル通信(509件)は3~12%減となった。外国出願人については、バイオテクノロジー(840件)が18.1%増で成長率が最高となったが、医薬品(864件)は9.2%減、コンピュータ技術、半導体、デジタル(879件)は10~26%減少している。

    二、TSMCは「半導体」分野のトップ、「コンピュータ技術」と「デジタル通信」分野のトップはそれぞれRealtekとQualcomm

    2020年コンピュータ技術、半導体、デジタル通信の分野における出願件数最多の出願人はそれぞれ瑞昱半導体/ Realtek(118件)、台湾積体電路/TSMC(788件)、米Qualcomm(395件)であった。
さらに観察すると、中国、米国、韓国はいずれもコンピュータ技術分野に力を入れており、中国は成長率が27.7%で最も高く、出願件数をみても、初めて米国を上回った。半導体分野では、外国出願人の中で出願件数が最も多いのは日本であった。デジタル通信分野では、米国が他の外国出願人をリードして、前年比で12.6%増加している。

    三、TCIが「医薬品」分野のトップ、「医療技術」と「バイオテクノロジー」はそれぞれ大王製紙とGenentechがリード

    2020年医療技術、バイオテクノロジー、医薬品の分野における出願件数最多の出願人はそれぞれ大王製紙(34件)、米Genentech(17件)、大江生醫/TCI(40件)であった。
    医療技術分野では、外国出願人の中で出願件数が最も多いのは日本で、12.9%増であった。バイオテクノロジー分野では、米国がリードしており、米国、日本、中国はいずれも同分野に力を入れており、成長率は10~26%であった。医薬品分野については、米国が最も多いものの、米国と日本はそれぞれ18%減、13%減であった。一方、中国は20%増加した。

    四、外国出願人の出願減少で、2020年台湾の特許出願件数は過去3年連続成長からマイナス成長に

    2019年末に中国でCOVID-19感染が始まり、急速に世界中に感染が拡大し、WHOは2020年3月にパンデミックを宣言した。2020年台湾が受理した月間特許出願件数は3月を除いていずれも減少している。外国出願人の出願件数は4月から減少し続け、内国出願人も4月から成長が減速し、6月以降は-2%~3%を推移した。2020年全体の出願件数は43,921件となり、前年比で3.4%減(-1,536件)となった。その内訳は内国出願人が18,244件(0.5%増)、外国出願人が25,677件(6.0%減)であった。

    五、主要出願国(地区)では韓国のみ成長し、日本、米国、中国、ドイツはいずれも減少

    2020年外国出願人の出願件数をみると、日本(11,356件)が最も多く、それに米国(5,521件)、中国(2,608件)、韓国(1,667件)ドイツ(875件)が続いた。出願の推移はそれぞれ異なり、月間出願件数の成長率をみると、韓国は4月に9%減少したものの、その後徐々に回復して、2020年全体の成長率は5.5%増となった。米国とドイツの推移は韓国に似ているものの、増加に転じたのが8月と遅かったため、2020年全体では2.4%減、6.2%減にとどまった。一方、中国は第2四半期に上昇したものの第3四半期にマイナス成長となり、2020年全体で3.4%減となった。日本は3月以降マイナス成長が続き、2020年全体で8.1%減少した。(2021年9月)
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