日月光営業秘密侵害事件、第二審でも請負業者敗訴の判決
J190401Y4 | 2019年5月号(J237) 回上一頁    
    半導体封入大手の日月光半導体製造股份有限公司(Advanced Semiconductor Engineering, Inc.、以下「日月光公司」)は2013年8月に宏久科技有限公司(Hugeteck Co.,Ltd.、以下「宏久公司」)に新型の無塵衣(シューズ)を製作するよう委託し、双方は秘密保持契約を結んだ。ところが宏久公司の代表者である陳○○が日月光公司の営業秘密で実用新案登録を出願した。被告(陳○○)は第一審において、新型の無塵衣(シューズ)は自らが考案、デザインしたものだと主張したが、橋頭地方裁判所はこれを認めず、営業秘密法により陳○○を1年6ヵ月の懲役に処すとともに、宏久公司に200万新台湾ドルの罰金を科した。宏久公司はこれを不服として上訴を提起し、第二審において知的財産裁判所は陳○○がすでに実用新案を無償で日月光公司に譲渡するほか、300万新台湾ドルを賠償することで和解が成立していることから、営業秘密法により陳○○に1年2ヵ月の懲役、3年の執行猶予、宏久公司に180万新台湾ドルの罰金を科すという判決を下した。
    判決書によると、2013年8月に陳○○は日月光公司と「新型無塵衣(シューズ)」調達に係る秘密保持契約を結んだ後に提携を開始し、「新型無塵衣(シューズ)」のデザインコンセプトを入手した。しかしながら2013年9月、10月に、宏久公司は2回にわたりサンプルを日月光公司の検査に送ったが合格できなかった。日月光公司の従業員が他社のサンプルを提供したため、宏久公司は「新型無塵衣(シューズ)」の全体のデザインと縫製方法を知りえた。
    2013年12月に、宏久公司は続けて3回サンプルを提出したが、合格できなかった。2014年4月に宏久公司は再び日月光公司の従業員を通じて、さらに手首と足首等の箇所における導電ウェビングのデザイン、静電気の抵抗値、製作図面、及びウェビングの材質、ファスナー及び縫製方法等の営業秘密を知りえた。2014年5月に6回目のサンプル提出をしたものの検査に合格せず、宏久公司は「新型無塵衣(シューズ)」の調達業務からの撤退を宣言した。しかしながら2014年9月、陳○○は特許事務所の人員を通じて、自らが知りえた営業秘密を実用新案として登録する出願を行い、「導電ウェビングが接続された全身スーツ型無塵衣(原文:導電織帶連接全身式無塵衣)」、「導電ウェビングが接続された無塵シューズ(原文:電織帶連接無塵鞋)」の実用新案2件を取得した。日月光公司は事後に協力企業からその事を知らされ、対比した後に告訴を提起した。
    知的財産裁判所の合議法廷は、陳○○が日月光公司の従業員による口述、提示された無塵衣、シューズのサンプル及び電子メール等の資料を通じて当該製品情報を取得しており、それは経済価値と機密性を有し、すでに必要な秘密保持措置が採られ、日月光公司の営業秘密であるにもかかわらず、陳○○は自らの不当利得のために実用新案登録を出願したと認定した。知的財産裁判所は陳○○がすでに日月光公司と和解が成立していることを斟酌して執行猶予をつけた。(2019年4月)