専利法第99条「立証責任の転換」適用の前提要件
2019-01-23 2018年
■ 判決分類:専利権
I 専利法第99条「立証責任の転換」適用の前提要件
■ ハイライト
上訴人康泉生物科技股份有限公司(CANYON BIOTECHNOLOGY CO., LTD.、以下「上訴人」)は特許「低硝酸野菜及びその栽培方法(原文名:低硝酸蔬菜暨其栽培方法)」(以下、「係争特許」)【訳註1:知的財産局検索サイトによると第I298015号特許の発明の名称は「低硝酸鹽蔬菜暨其栽培系統及方法(LOW NITRATE VEGETABLES AND ITS CULTIVATION SYSTEM AND METHOD)」となっているため、下線部分が脱落していると思われる】の特許権者であり、上訴して被上訴人太平洋崇光百貨股份有限公司(PACIFIC SOGO DEPARTMENT STORES CO., LTD.、以下「被上訴人」)が経営するスーパーマーケットにおいて複数回にわたり「低硝酸塩」という性質を表示した野菜を購入できたこと、低硝酸塩という性質を有する野菜は自然に成長した野菜ではなく、係争特許が低硝酸塩野菜を生産する唯一の方法であるため、被上訴人が販売する低硝酸塩野菜に係争特許の方法発明が使用されたと推定されること、さらに被上訴人が上訴人の警告書を受け取った後に「低硝酸塩」の係争製品1及び係争製品2を販売し続けたことから、明らかに被上訴人が故意に係争特許を侵害していることがわかることを主張し、損害賠償と新聞への謝罪文掲載を請求した。被上訴人は、係争製品は特許の範囲に含まれておらず、権利侵害の故意又は過失がなく、上訴人はそれが受けた実際の損害額も立証していないと抗弁した。
知的財産裁判所は、本件に専利法(訳註:特許法、実用新案法、意匠法に相当)第99条の立証責任の転換は適用されず、上訴人は係争製品が係争特許を侵害していることについて積極的な証明を行っていないため、上訴人敗訴の判決を下した。その見解は以下のとおりである:
専利法第99条第1項には「製造方法に係る特許により製造された物が、その製造方法の特許出願前に国内外において見られなかったものであるときは、他人が製造した同一物はその特許方法によって製造されたものと推定する」と規定されている。被上訴人が提出した被告証拠4は、2004年「浙江農業学報」に公開された「低硝酸塩葉菜類野菜の水耕栽培技術研究」という論文であり、その公開日は係争特許の出願日よりも早く、係争特許の先行技術であり、係争特許で請求されている方法が明確に開示され、野菜の硝酸イオン含有量を450ppm未満とする【訳註2:係争特許請求項2に「硝酸態窒素含有量を450ppm未満にする」という要件が含まれており、係争特許明細書には「硝酸イオン濃度=硝酸態窒素濃度×4.43」という記載があるため、ここの「硝酸イオン」は「硝酸態窒素」の誤記と思われる】ことができる。よって係争特許が限定した製造方法によって得られた物が、その製造方法の特許出願前に国内外で見られなかったものではないため、当然ながら専利法第99条第1項規定を適用する余地はない。このため、本件は専利法第99条第2項の立証責任転換が適用されない。
上訴人は購入して得られた係争製品1が「硝酸態窒素の含有量が450 ppm未満」という係争特許に係る技術的特徴を有することを立証していいない。さらに上訴人が係争特許を出願する前に、世界には多くの低硝酸塩野菜の栽培方法が存在しており、上訴人は係争製品1と係争製品2が係争特許で限定されている生産工程を使用していることを立証していない。よって上訴人の主張及び証拠はいずれも係争製品が係争特許を侵害している事情があると証明するに足りない。
II 判決內容の要約
知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】106年度民專上字第23号
【裁判期日】2018年1月25日
【裁判事由】専利権侵害の財産権に係る紛争等
上訴人 康泉生物科技股份有限公司(CANYON BIOTECHNOLOGY CO., LTD.)
被上訴人 太平洋崇光百貨股份有限公司(PACIFIC SOGO DEPARTMENT STORES CO., LTD.)
兼法定代理人 黃○○
参加人 羽崴企業股份有限公司(KINGMEX INTERNATIONAL CO., LTD.)
上記当事者間における専利権侵害の財産権に係る紛争等事件について、上訴人は2017年4月25日当裁判所105年度民専訴字第76号第一審判決に対して上訴を提起し、当裁判所は2018年1月11日に口頭弁論を終え、次のとおり判決する。
主 文
上訴を棄却する。
第二審訴訟費用は上訴人の負担とする。
一 事実の要約
上訴人はわが国第I298015号特許「低硝酸塩野菜及びその栽培のシステム及び方法(原文名:低硝酸蔬菜暨其栽培系統及方法)」(以下、係争特許)の特許権者であり、2013年から2014年までの間、被上訴人の会社が経営するスーパーマーケットの野菜販売陳列棚において複数回にわたり低硝酸塩野菜を購入し、上訴人はその中の「綠舍天地」と印刷されたビニール袋内に包装され各種「低硝酸塩」という性質が表示された野菜(以下、「係争製品1」)並びに「低硝酸塩」と表示された宣伝チラシが推薦する各種箱詰め野菜(以下「係争製品2」)はいずれも係争特許の請求項1と請求項2の特許権の範囲に含まれており、2016年に被上訴人にこの事を書面で通知し、被上訴人はなお販売し続けたため、権利侵害は故意であると認めた。
上訴人は、被上訴人は係争製品2の販売を否認しているが、それはスーパーマーケットと被告知者である庭茂農業生技股份有限公司(TINGMAO AGRICULTURAL BIOTECHNOLOGY CO., LTD.、以下「庭茂公司」)との契約により、係争製品2を販売する専用コーナーを提供しており、たとえ直接的に侵害していなくても、間接侵害という法的責任を免れることは難しいと主張し、專利法第58条、第96条、第97条及び民法第195条規定により、先ずは最低金額を以て損害賠償を請求するとともに、新聞への謝罪文掲載による名誉回復を請求した。
被上訴人は、上訴人は別件で被告知者庭茂公司に対して直接特許権侵害訴訟を提起し、敗訴判決をすでに受けており、上訴人の係争特許権を侵害していないといえると抗弁した。さらに被上訴人がサプライヤ、即ち参加人から係争製品を調達した時、すでに係争製品1が専利法に違反していないことを保証するよう承諾することを要求しており、その調達され売り場で転売される係争製品1に特許権侵害があるか否かについて合理的で必要な防止措置をすでに採っている。被上訴人は単に参加人から野菜を調達しただけで、応用される特殊なシステム、方法で栽培することを指定しておらず、またそれが低硝酸塩野菜であることも要求しておらず、それらの野菜の硝酸塩含有量【訳註3:係争特許明細書「先行技術」に「硝酸態窒素(NO3-N)は一般的に硝酸塩と呼ばれている」という記載がある】が450ppm未満であることを要求していないことは言うまでもなく、被上訴人が上訴人の係争特許を侵害する主観的な故意はなかった。さらに、被上訴人は2016年5月16日に上訴人から権利侵害を知らせる書簡を受け取った後、すぐに参加人が供給する係争製品1を生鮮食品売り場から撤去した。
上訴人はSOGO復興店「City'Super」スーパーマーケット内の美蔬菜廚房(NICE GREEN)で係争製品2を購入したが、美蔬菜廚房は被告知者がSOGO復興店「City'Super」スーパーマーケットの売り場内に設置した店舗であり、野菜及び料理を提供している。被上訴人は被告知者に美蔬菜廚房でどのような特定の商品を販売するかを指定しておらず、そして上訴人が2016年8月20日に係争製品2を購入して、被上訴人にその特許権侵害の故意又は過失があると主張したことは、明らかに理由がない。
参加人は、上訴人の係争特許の範囲によると、参加人がどの部分に違反しているのか不明であること、また係争特許が人工光照射を強調しており、元来自然光を使用し、自然光不足の状況において人工光を使用し、その人工光照射設定の範囲は高効率水銀灯で、サーチライトに属する。ただし、参加人が通常使用するのはLEDランプであり、自然光で栽培する野菜ではなく、係争特許の特許請求の範囲は栽培床とランプの使用だけであること、さらに上訴人がいうところの低硝酸塩野菜は、すでに多くの方法で栽培されており、参加人は上訴人の方法を使用して低硝酸塩野菜を栽培していないことを、補充陳述した。
二 両当事者の請求内容
(一)上訴人の請求:
1.原判決を破棄する。
2.上記破棄部分について、被上訴人2人は連帯で上訴人に対し少なくとも20万新台湾ドルを賠償するとともに、訴状副本送達の翌日から支払い済みまで年5部の割合による金員を支払うよう請求するする。
3.被上訴人2人は判決確定日から30日以内に中国時報、聯合報、自由時報、蘋果日報等大手新聞社4社が発行する全国版朝刊第一面に、半面の版面を以って3日連続で謝罪文を掲載しなければならない。掲載の内容は「謝罪者である太平洋崇光百貨股份有限公司のスーパーマーケットは長期にわたって摸倣低硝酸塩野菜を販売して、康泉生物科技股份有限公司の『低硝酸塩野菜及びその栽培のシステム及び方法』特許権を侵害し、適法な低硝酸塩野菜の購入という消費者の権益に損害を与えたため、康泉生物科技股份有限公司及び摸倣低硝酸塩野菜を購入したことがある消費者に対して新聞において公に謝罪をするものである」とし、フォント及び色は標楷ゴシック体、真紅とし、字体は3平方センチメートルより大きく、レイアウトは横長で、左から右へ、上から下へ排列し、半面の中に均等に分配しなければならない。
4.第一審及び第二審の訴訟費用は被上訴人の負担とする。
(二)被上訴人の請求:
1.上訴を棄却する。
2.これまでの訴訟費用は上訴人の負担とする。
三 本件の争点
1.係争製品1は係争特許請求項1の特許権の範囲に含まれるのか。
2.係争製品1は係争特許請求項2の特許権の範囲に含まれるのか。
3.係争製品2は係争特許請求項1の特許権の範囲に含まれるのか。
4.係争製品2は係争特許請求項2の特許権の範囲に含まれるのか。
四 判決理由の要約
(一)係争特許の特許請求の範囲
係争特許の許可公告における特許請求の範囲は合計9項目あり、そのうち請求項1及び請求項2が独立項であり、その他は従属項である。上訴人は侵害されていると主張する係争特許の請求項1と請求項は次のとおりである。
請求項1:おもに1つの栄養液供給及び回収システム(1)及び1つの水耕栽培区(2)からなり、そのうち前記栄養液供給及び回収システム(1)には、1つの栄養液貯蔵タンク(11)、1つの灌漑水貯蔵タンク(12)、1つの栄養液加圧ポンプ(13)、1つの栄養液回収ポンプ(14)、1つの栄養液調整ポンプ(15)、1つのEC/ph値検知及び制御装置(16)、1つのUV紫外線殺菌灯( 17)、1つの精密フィルター(18)が含まれ、
前記水耕栽培区(2)には、1つの栄養液供給管(21)、1つの多孔水耕栽培管(22)、1つの栄養液回收管(23)及び1つの人工光照射強化設備(24)が含まれることを特徴とする「低硝酸塩野菜の栽培システム」。
請求項2:1シリーズの野菜を水耕栽培区に植え、前記1シリーズの野菜が生長するのを待って、収穫日前の特定の期間に栄養液供給中断法に合わせて栄養液を回収し、清水のみを供給して、1シリーズの野菜に光合成という自然法則を利用させ、有効に株内に溜まっている硝酸態窒素を消費(転化)させ、前記1シリーズの野菜株内の硝酸態窒素含有量を450ppm未満にすることを特徴とする「低硝酸塩野菜の栽培方法」。
(二)専利法第99条の適用はない
1.上訴人は、低硝酸塩という性質を有する野菜は自然に生長した野菜ではなく、係争特許は野菜の硝酸イオン含有量【訳註4:訳註2と同様】を450ppm未満とすることができ、低硝酸塩という性質を有する野菜を生産できる唯一の方法の特許であり、専利法第99条第1項により被上訴人が販売する低硝酸塩という性質の野菜は係争特許の方法発明を使用していると推定できると主張している。しかしながら調べたところ、被上訴人2名が提出した被告証拠4は、2004年「浙江農業学報」に公開された「低硝酸塩葉菜類野菜の水耕栽培技術研究(原文:低硝酸鹽葉菜類蔬菜水培技術研究)」という論文であり、その公開日は係争特許の出願日(2006年6月8日)よりも早く、係争特許の先行技術である。被告証拠4には係争特許の請求項2で請求される方法が明確に開示されており、しかも野菜の硝酸態窒素含有量を450ppm未満とすることができる。
2.上訴人はさらに「被告証拠4と係争特許は異なる方法である。主に係争特許の設備には水耕栽培区及び人工光照射設備が含まれ、光合成という自然法則を利用して、野菜の硝酸態窒素含有率が450ppm未満になるよう強制する。そして被告証拠4の研究内容は、主に窒素元素の減量供給であり、確かに人工光照射設備が欠けており、被告証拠4のシステム、設備及び方法は係争特許を全く異なることを証明でき、係争特許の方法とは異なるカテゴリーに分類されるべきである」との主張を繰り返している。しかしながら、係争特許の請求項2で限定される方法には、上訴人が主張する人工光照射設備が含まれず、「栄養液供給中断法に合わせて栄養液を回収し、清水のみを供給する」ことのみが含まれ、前記方法と被告証拠4で開示される方法はいかなる違いもない。況して押収国家の多くが野菜の硝酸イオン含有率に対して定めている基準は2,000~3,000 ppm 以下であり、中国大陸が野菜の硝酸イオン残留量に対して定める基準については、硝酸態窒素含有量が450ppm以下(硝酸イオン含有率に換算すると約1993.5ppm未満)と定められており、硝酸態窒素の含有量が450ppm未満の野菜は、前記製造方法の特許が出願される前に国内外で見られなかったものではない。
3.被上訴人はすでに被告証拠4を提出して立証しており、係争特許の請求項2が限定する製造方法で製造された物が、その製造方法の特許出願前に国内外で見られなかったものではないことを証明するのに足り、専利法第99条第1項規定を適用する余地はない。よって本件は専利法第99条第2項の立証責任転換は適用されない。
4.さらに、係争製品1には低硝酸塩という表示があるが、その硝酸態窒素の含有量が450ppm未満でなければならないとは表示しておらず、また係争製品1はすでに市場で販売され、上訴人が入手しているが、上訴人は係争製品1の硝酸態窒素の含有量について検査しておらず、係争製品1の硝酸態窒素の含有量が確かに450ppm未満であることを証明していない。よって、上訴人は係争製品1の硝酸態窒素の含有量が確かに450ppm未満であることを積極的に証明していない。したがって係争製品1が硝酸態窒素の含有量450ppm未満の野菜であることには疑義があり、さらに係争製品1が係争特許請求項2で限定された方法で製造されたと推定できるかについては言うまでもない。
(三)係争製品は係争特許の特許権の範囲には含まれない
1. 係争製品1は係争特許請求項1の特許権の範囲には含まれない:
係争製品1の「低硝酸塩野菜;閉鎖型環境制御LED植物工場が専門に生産栽培」の内容(原告証拠5)は、係争特許請求項1の要件番号1A及び要件1Eの部分的な技術的特徴を読み取れるだけなので、係争製品1は係争特許請求項1の文言上の範囲に含まれない。係争製品1は係争特許請求項1で請求されているシステムにおける要件を表示しておらず、即ち係争製品1は係争特許請求項1で請求される要件とは同じではなく、権利一体の原則を満たしておらず、かつ均等論が適用されないため、係争製品1は係争特許請求項1の特許権の均等の範囲に含まれない。
2. 係争製品1は係争特許請求項2の特許権の範囲には含まれない:
係争特許請求項2を係争製品1(原告証拠5)と対比分析すると、係争特許請求項2の要件番号2B、要件番号2C、要件番号2Dはいずれも係争製品1に開示されていない。係争製品1 からは係争特許請求項2の全ての技術的特徴を読み取みとれるというものではない。よって原告証拠5が開示する係争製品1は請求項2の文言上の範囲に含まれない。原告証拠5に開示される係争製品1には係争特許請求項2で請求される方法等の技術的特徴要件が欠けており、即ち係争製品1 と係争特許請求項2 で請求される要件は同じではない。これにより、係争製品1は係争特許請求項2の全ての技術的特徴を含んでいるというものではなく、権利一体の原則を満たしておらず、かつ均等論が適用されないため、原告証拠5に開示される係争製品1は係争特許請求項2の特許権の均等の範囲に含まれない。
3. 係争製品2は係争特許請求項1の特許権の範囲には含まれない:
原告証拠15(係争製品2の広告チラシ)から係争特許請求項1 で限定される要件番号1B、要件番号1D、要件番号1Eを読み取ることができないため、係争製品2は請求項1 の文言上の範囲に含まれない。原告証拠15広告チラシにおける被上訴人が販売する野菜の生産工場は係争特許請求項1で請求されるシステムの技術的特徴要件を開示していないため、係争製品2には係争特許請求項1の1個以上の技術的特徴が欠けており、即ち係争製品2は係争特許請求項1で請求される要件は同じではなく、権利一体の原則を満たしておらず、かつ均等論が適用されないため、係争製品2 も係争特許請求項1の特許権の均等の範囲に含まれない。
4. 係争製品2は係争特許請求項2の特許権の範囲には含まれない:
原告証拠15から被上訴人が係争特許請求項2で限定される要件番号2Cを使用していると読み取ることはできず、要件番号2Dの一部の特徴も完全に読み取ることができない。上訴人は係争製品の生産方法を積極的に証明しておらず、原告証拠15の広告チラシはなお、係争製品2が係争特許請求項2の文言上の範囲に含まれることを証明するには足りない。係争製品2には係争特許請求項2で請求される方法等の技術的特徴要件が欠けており、その要件は同じではない。これにより、係争製品2は係争特許請求項2の全ての技術的特徴を含んでいるというものではなく、権利一体の原則を満たしておらず、かつ均等論が適用されないため、係争製品2は係争特許請求項2の特許権の均等の範囲に含まれない。
(四)以上をまとめると、上訴人の主張及び証拠は係争製品1,2が係争特許請求項1,2を侵害していると証明するには足りない。まさに係争製品1,2が係争特許請求1,2の特許権の範囲に含まれ、係争特許を侵害している等とする上訴人の主張は採用できない。したがって、上訴人が前記規定によりその原審の請求の趣旨第1項、第2項に示されるとおり請求することには理由がなく、棄却すべきである。また原告の訴えがすでに棄却されたため、その仮執行宣言申立てもその依拠を失い、併せて却下している。原審がなした上訴人敗訴の判決、並びに仮執行宣言申立ての却下は法に合わないところはない。上訴の趣旨において、原判決が不当であるとして破棄自判を請求することには理由がなく、棄却すべきである。
以上の次第で、本件上訴には理由がなく、知的財産案件審理法第1条,民事訴訟法第449条第1項、第78条により、主文のとおり判決する。
2018 年1月25日
知的財産裁判所第一法廷
裁判長 陳忠行
裁判官 林洲富
裁判官 曾啓謀