複数の引用文献の技術内容を組み合わせる動機付けの有無を判断するとき、技術内容の関連性又は共通性を考慮すべき

2022-01-24 2021年
■ 判決分類:専利権

I 複数の引用文献の技術内容を組み合わせる動機付けの有無を判断するとき、技術内容の関連性又は共通性を考慮すべき

■ ハイライト
原告は2015年3月6日に「マルチモード詳細株式情報用デバイス及び方法(原文:股票多模式詳細資訊裝置與方法/Devise and Method for a multi-mode of detailed information of stockes)」(以下「係争特許」、添付図1)を以って被告に特許を出願し、被告は特許証を付与した。その後参加人(無効審判請求人)が係争特許は許可時の専利法第22条第2項に該当しているため特許を受けることができないとして、これに対する無効審判を請求した。被告は審理した結果、「請求項1乃至25については無効審判の請求が成立し、取り消す」との処分を下した。原告はこれを不服として行政訴願を提起したが、経済部に棄却されたため、なお不服として、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。知的財産裁判所は審理した結果、依然として原告の請えを棄却した。

争点:証拠2(添付図2)、9及び10の組合せは係争特許の請求項1乃至25が進歩性を有しないことを証明できるか。

知的財産裁判所は次のように指摘した:
一、証拠2、3に開示されているソフトウェアがモバイルデバイスのアプリに適用されており、証拠9、証拠10に記載されているソフトウェアはデスクトップPCに適用されており、両者の技術分野は異なり、容易に組み合わせることはできない、と原告は主張しているが、調べたところ、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が複数の引用文献の技術内容を組み合わせる動機付けの有無を判断するとき、複数の引用文献の技術内容の関連性又は共通性を考慮すべきであり、原則的に「技術分野の関連性」、「解決しようとする課題の関連性」、「機能又は作用の共通性」及び「教示又は示唆」等の事項を考慮することができる。

二、調べたところ、「技術分野の関連性」とは、複数の引用文献の技術内容の属する技術分野が同じであるか、又は関連しているかについて判断するものであり、その技術が適用される物、原理、機構(mechanism)又は作用等について考慮して判断できる。本件の証拠2、3と証拠9、10はいずれも株式相場ソフトであり、IPC分類番号G06Q 40/04「行政目的、管理目的、商用目的、経営目的、監督目的又は予測目的に特に適合したデータ処理システム又は方法」、「金融、例えば銀行業務、投資又は税の処理;保険、例えばリスク分析又は年金」、「取引所、例えば株式、商品、デリバティブ又は外国為替」の技術分野に属し、それがデスクトップPCに適用されるのか、またはモバイルデバイスのアプリなのかは、証拠が開示する技術的特徴が関わる技術分野に影響を及ぼすものではない。

三、またいわゆる「機能又は作用の共通性」とは、複数の引用文献の技術内容が実質的に同じ機能又は作用を含むかについて判断するものである。証拠2、3と証拠9、10はいずれもネットを通じてサーバから送られる株式情報を受け取り、それを整理し、各図表データに帰納してスクリーンに表示する機能を有しており、証拠2、3と証拠9、10には機能又は作用の共通性がある。総合的に考慮すると、証拠2、3と証拠9、10には技術分野の関連性と機能又は作用の共通性があることから、証拠2、9及び10を組み合わせる動機付けがあり、かつ証拠3、9及び10を組み合わせる動機付けもあるため、原告の主張は採用できない。

四、以上をまとめると、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項1乃至25が進歩性を有しないことを証明できる。よって被告が下した「請求項1乃至25については無効審判の請求が成立し、取り消す」という部分の処分について、その結論に誤りはなく、処分を維持する訴願決定にも法に合わないところはない。原告が取消しを請求することには理由がなく、棄却すべきである。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】109年行專訴字第34号
【裁判期日】2021年2月4日
【裁判事由】特許無効審判

原告 三竹資訊股份有限公司(MITAKE INFORMATION CORPORATION)
被告 経済部知的財産局
参加人 嘉實資訊股份有限公司(SYSJUST CO.,LTD.)

上記当事者間の特許無効審判事件について、原告が経済部2020年5月27日經訴字第10906304070号訴願決定を不服として行政訴訟を提起し、当裁判所は参加人に被告の訴訟に対する独立参加を命じた。当裁判所は次のとおり判決する。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告は2015年3月6日に「マルチモード詳細株式情報用デバイス及び方法(原文:股票多模式詳細資訊裝置與方法/Devise and Method for a multi-mode of detailed information of stockes)」(以下「係争特許」)を以って被告に特許を出願し、被告は第I541748号特許証を交付した。その後参加人が係争特許は許可時の専利法第22条第2項規定該当しているため特許を受けることができないとして、これに対する無効審判を請求した。原告は係争特許の特許請求の範囲の訂正本(訳注:特許請求の範囲の訂正版)を提出した。被告は「2019年6月5日付けの訂正事項を許可する」並びに「請求項1乃至25については無効審判の請求が成立し、取り消す」との処分を下した。原告は行政訴願を提起したが、経済部に棄却されたため、本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
原告は原処分の「請求項1乃至25については無効審判の請求が成立し、取り消す」の部分と訴願決定をいずれも取り消すよう請求した。
被告は原告の訴えを棄却するよう請求した。

三 本件の争点
(一) 証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項1乃至7が進歩性を有しないことを証明できるか。
(二) 証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項8乃至15が進歩性を有しないことを証明できるか。
(三) 証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項16乃至20が進歩性を有しないことを証明できるか。
(四) 証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項21乃至25が進歩性を有しないことを証明できるか。
(五) 証拠3、9及び10の組合せは係争特許の請求項1、8、16、21が進歩性を有しないことを証明できるか。

四 判決理由の要約
(一) 証拠2、証拠9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項1乃至25が進歩性を有しないことを証明できる。
1. 係争特許の請求項1について:
(1) 証拠2は、携帯電話端末やコンピュータ等のプロセッサ、メモリを有する電子デバイスを用いて株式情報を処理し、スクリーンにそれを表示することが開示されている。証拠2には、「公知の株式相場ソフト10は縦型表示時には、ウォッチリスト相場画面12(即ち相場画面の1つ)が3つのブロックに分かれている。上半分は相場情報14であり、ユーザーはその相場情報14を左/右タッチスライド(Touch-Slide)することで、すべての詳細項目の情報を閲覧できる」と記載されている。
(2) 証拠9には、単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値、価格帯別出来高等の初期設定の関連情報を表示できること、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキー(係争特許請求項1のモード選択指令に相当)を使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠2と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項1に係る発明をなし得るため、証拠2と証拠9の組合せは係争特許の請求項1が進歩性を有しないことを証明できる。証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項1が進歩性を有しないことを証明できる。

2. 係争特許の請求項2について:
証拠2には、ユーザーが左/右タッチスライドすることで、すべての詳細項目の情報を閲覧できるほか、5種類の表示モードを1つ選択して表示することができるため、証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項2が進歩性を有しないことを証明できる。

3. 係争特許の請求項3について:
(1) 証拠2は、携帯電話端末やコンピュータ等のプロセッサ、メモリを有する電子デバイスを用いて株式情報を処理し、スクリーンにそれを表示することが開示されている。証拠2には、「公知の株式相場ソフト10は縦型表示時には、ウォッチリスト相場画面12(即ち相場画面の1つ)が3つのブロックに分かれている。上半分は相場情報14であり、ユーザーはその相場情報14を左/右タッチスライド(Touch-Slide)することで、すべての詳細項目の情報を閲覧できる」と記載されている。また下半分の詳細情報にはチャート情報20と歩み値情報22が含まれ、2つの情報ブロックはタブ18でその他の詳細情報に切り替えることが図示されている。
(2) 証拠9には、単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠2と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項3に係る発明をなし得るため、証拠2と証拠9の組合せは係争特許の請求項3が進歩性を有しないことを証明できる。証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項3が進歩性を有しないことを証明できる。

4. 係争特許の請求項4について:
証拠2にはユーザーが拡大したい詳細情報をタップ/クリックすると、その情報が拡大表示できることが開示されているため、証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項4が進歩性を有しないことを証明できる。

5. 係争特許の請求項5について:
証拠9には基本メニューバーの「ファイル」>「開く」をクリックするか、直接「Ctrl+O」ショートカットキーで指令するかして、前に保存した画面を表示するモードを開くこと、並びに、単一のブロックと上下2ブロックを含む表示モードが開示されている。よって証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項5が進歩性を有しないことを証明できる。

6. 係争特許の請求項6について:
2つの情報ブロックのタブを、異なる項目を含むだけの簡単なインターフェース変換に変更することは、その技術分野における通常の知識を有する者であれば容易になし得る周知技術であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項6が進歩性を有しないことを証明できる。

7. 係争特許の請求項7について:
フォントサイズ設定と更新頻度設定は一般的な金融ソフトによく見られるユーザー設定可能な項目であり、その技術分野における通常の知識を有する者であれば容易になし得る周知技術であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項7が進歩性を有しないことを証明できる。

8. 係争特許の請求項8について:
(1) 証拠2は、携帯電話端末やコンピュータ等のプロセッサ、メモリを有する電子デバイスを用いて株式情報を処理し、スクリーンにそれを表示し、そのプロセッサ、メモリはプログラムコマンドに従って作動することが開示されている。証拠2には、「公知の株式相場ソフト10は縦型表示時には、12が3つのブロックに分かれている。上半分は相場情報14であり、ユーザーはその相場情報14を左/右タッチスライド(Touch-Slide)することで、すべての詳細項目の情報を閲覧できる」と記載されている。
(2) 証拠9には、単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠2と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項8に係る発明をなし得るため、証拠2及び証拠9の組合せは係争特許の請求項8が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項8が進歩性を有しないことを証明できる。

9. 係争特許の請求項9について:
証拠9には、5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。よって証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項9が進歩性を有しないことを証明できる。

10. 係争特許の請求項10について:
(1) 証拠2は、携帯電話端末やコンピュータ等のプロセッサ、メモリを有する電子デバイスを用いて株式情報を処理し、スクリーンにそれを表示し、そのプロセッサ、メモリはプログラムコマンドに従って作動することが開示されている。証拠2には、画面下半分の詳細情報にチャート情報20と歩み値情報22が含まれ、2つの情報ブロックはタブ18でその他の詳細情報に切り替えることが図示されている。
(2) 証拠9には、単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠2と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項10に係る発明をなし得るため、証拠2及び証拠9の組合せは係争特許の請求項10が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項10が進歩性を有しないことを証明できる。

11. 係争特許の請求項11について:
 証拠2の[0004]段落及び図2A、2Bにはユーザーが拡大したい詳細情報をタップ/クリックすると、その情報が拡大表示できることが開示されているため、証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項11が進歩性を有しないことを証明できる。

12. 係争特許の請求項12について:
証拠9には基本メニューバーの「ファイル」>「開く」をクリックするか、直接「Ctrl+O」ショートカットキーで指令するかして、前に保存した画面を表示するモードを開くこと、並びに、単一のブロックと上下2ブロックを含む表示モードが開示されている。よって証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項12が進歩性を有しないことを証明できる。

13. 係争特許の請求項13について:
 証拠2には、チャート情報20と歩み値情報22という2つの情報ブロックはいずれもタブ18でその他の詳細情報に切り替えることが開示されており、2つの情報ブロックのタブを、異なる項目を含むだけの簡単なインターフェース変換に変更することは、その技術分野における通常の知識を有する者であれば容易になし得る周知技術であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項13が進歩性を有しないことを証明できる。

14. 係争特許の請求項14について:
証拠2には、チャート、個別銘柄株価情報、テクニカル分析等の詳細情報が開示されていることから、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項14が進歩性を有しないことを証明できる。

15. 係争特許の請求項15について:
証拠9には、銘柄の配列順を手動で調整する機能、並びに株式相場の詳細項目を修正又は追加し、配列順を設定する機能、銘柄の色を設定する機能、画面背景の色を設定する機能が開示されており、フォントサイズや更新頻度の設定は一般的な金融ソフトによく見られるユーザー設定可能な項目であり、その技術分野における通常の知識を有する者であれば容易になし得る周知技術であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項15が進歩性を有しないことを証明できる。

16. 係争特許の請求項16について:
(1) 証拠2は、携帯電話端末やコンピュータ等のタッチスクリーンを有する電子デバイスを用いて相場情報を受け取り、処理して詳細情報を作成し、スクリーンに表示することが開示されている。証拠2には、「公知の株式相場ソフト10は縦型表示時には、ウォッチリスト相場画面12が3つのブロックに分かれている。上半分は相場情報14であり、ユーザーはその相場情報14を左/右タッチスライド(Touch-Slide)することで、すべての詳細項目の情報を閲覧できる」と記載されている。
(2) 証拠9には、単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値、価格帯別出来高等の初期設定の関連情報を表示できること、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠2と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項16に係る発明をなし得るため、証拠2及び証拠9の組合せは係争特許の請求項16が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項16が進歩性を有しないことを証明できる。

17. 係争特許の請求項17について:
(1) 証拠2は、携帯電話端末やコンピュータ等のプロセッサ、メモリを有する電子デバイスを用いて株式情報を処理し、スクリーンにそれを表示することが開示されている。証拠2には、画面下半分の詳細情報にチャート情報20と歩み値情報22が含まれ、2つの情報ブロックはタブ18でその他の詳細情報に切り替えることが図示されている。
(2) 証拠9には、単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値、価格帯別出来高等の初期設定の関連情報を表示できること、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠2と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項17に係る発明をなし得るため、証拠2及び証拠9の組合せは係争特許の請求項17が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項17が進歩性を有しないことを証明できる。

18. 係争特許の請求項18について:
証拠2にはユーザーが拡大したい詳細情報をタップ/クリックすると、その情報が拡大表示できることが開示されているため、証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項18が進歩性を有しないことを証明できる。

19. 係争特許の請求項19について:
証拠9には基本メニューバーの「ファイル」>「開く」をクリックするか、直接「Ctrl+O」ショートカットキーで指令するかして、前に保存した画面を表示するモードを開くこと、並びに、単一のブロックと上下2ブロックを含む表示モードが開示されている。よって証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項19が進歩性を有しないことを証明できる。

20. 係争特許の請求項20について:
証拠9には、株式相場の詳細項目を修正又は追加し、配列順を設定する機能、銘柄の色を設定する機能が開示されており、フォントサイズや更新頻度の設定は一般的な金融ソフトによく見られるユーザー設定可能な項目であり、その技術分野における通常の知識を有する者であれば容易になし得る周知技術であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項20が進歩性を有しないことを証明できる。

21. 係争特許の請求項21について:
(1) 証拠2は、携帯電話端末やコンピュータ等のプロセッサ、メモリ、通信モジュールを有する電子デバイスを用いて株式情報を処理し、スクリーンにそれを表示し、そのプロセッサ、メモリ、通信モジュールはプログラムコマンドに従って作動することが開示されている。証拠2には、「公知の株式相場ソフト10は縦型表示時には、ウォッチリスト相場画面12(即ち相場画面の1つ)が3つのブロックに分かれている。上半分は相場情報14であり、ユーザーはその相場情報14を左/右タッチスライド(Touch-Slide)することで、すべての詳細項目の情報を閲覧できる」と記載されている。
(2) 証拠9には、単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値、価格帯別出来高等の初期設定の関連情報を表示できること、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠2と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項21に係る発明をなし得るため、証拠2及び証拠9の組合せは係争特許の請求項21が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項21が進歩性を有しないことを証明できる。

22. 係争特許の請求項22について:
証拠2には、ユーザーが左/右タッチスライドすることで、すべての詳細項目の情報を閲覧できること、5種類の表示モードを1つ選択して、それぞれのブロックにはチャート、歩み値、価格帯別出来高等の初期設定の関連情報を表示できること、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキー(係争特許請求項1のモード選択指令に相当)を使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されているため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項22が進歩性を有しないことを証明できる。

23. 係争特許の請求項23について:
(1) 証拠2は、携帯電話端末やコンピュータ等のプロセッサ、メモリ、通信モジュールを有する電子デバイスを用いて株式情報を処理し、スクリーンにそれを表示し、そのプロセッサ、メモリ、通信モジュールはプログラムコマンドに従って作動することが開示されている。証拠2には、「公知の株式相場ソフト10は縦型表示時には、ウォッチリスト相場画面12が3つのブロックに分かれている。上半分は相場情報14であり、ユーザーはその相場情報14を左/右タッチスライド(Touch-Slide)することで、すべての詳細項目の情報を閲覧できる」と記載されている。証拠2の図1A乃至1Dには、画面下半分の詳細情報にチャート情報20と歩み値情報22が含まれ、2つの情報ブロックはタブ18でその他の詳細情報に切り替えることが図示されている。
(2) 証拠9には、単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値等のような初期設定の関連情報を表示できること、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠2と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠2のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項23に係る発明をなし得るため、証拠2及び証拠9の組合せは係争特許の請求項23が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠2、9及び10の組合せは係争特許の請求項23が進歩性を有しないことを証明できる。

24. 係争特許の請求項24について:
証拠2にはユーザーが拡大したい詳細情報をタップ/クリックすると、その情報が拡大表示できることが開示されているため、証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項24が進歩性を有しないことを証明できる。

25. 係争特許の請求項25について:
証拠9には基本メニューバーの「ファイル」>「開く」をクリックするか、直接「Ctrl+O」ショートカットキーで指令するかして、前に保存した画面を表示するモードを開くこと、並びに、単一のブロックと上下2ブロックを含む表示モードが開示されている。よって証拠2、9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項25が進歩性を有しないことを証明できる。

26. その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が複数の引用文献の技術内容を組み合わせる動機付けの有無を判断するとき、複数の引用文献の技術内容の関連性又は共通性を考慮すべきであり、原則的に「技術分野の関連性」、「解決しようとする課題の共通性」、「機能または作用の共通性」及び「教示または示唆」等の事項を考慮することができる。いわゆる「技術分野の関連性」とは、複数の引用文献の技術内容の属する技術分野が同じであるか、又は関連しているかについて判断するものであり、その技術が適用される物、原理、機構(mechanism)又は作用等について考慮して判断できる。本件の証拠2、3と証拠9、10はいずれも株式相場ソフトであり、IPC分類番号G06Q 40/04「行政目的、管理目的、商用目的、経営目的、監督目的または予測目的に特に適合したデータ処理システムまたは方法」、「金融、例えば銀行業務、投資又は税の処理;保険、例えばリスク分析又は年金」、「取引所、例えば株式、商品、デリバティブ又は外国為替」の技術分野に属し、それがデスクトップPCに適用されるのか、またはモバイルデバイスのアプリなのかは、証拠が開示する技術的特徴が関わる技術分野に影響を及ぼすものではない。いわゆる「機能又は作用の共通性」とは、複数の引用文献の技術内容が実質的に同じ機能又は作用を含むかについて判断するものである。証拠2、3と証拠9、10はいずれもネットを通じてサーバから送られる株式情報を受け取り、それを整理し、各図表データに帰納してスクリーンに表示する機能を有しており、証拠2、3と証拠9、10には機能又は作用の共通性がある。総合的に考慮すると、証拠2、3と証拠9、10には技術分野の関連性と機能又は作用の共通性があることから、本裁判所は証拠2、9及び10を組み合わせる動機付けがあり、且つ証拠3、9及び10を組み合わせる動機付けもあると認め、原告のこの部分の主張(訳注:証拠2、3はモバイルデバイスのアプリ、証拠9、10はデスクトップPCのソフトなので技術分野が異なるという主張)は採用できない。

(二) 証拠3、証拠9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項1、8、16、21が進歩性を有しないことを証明できる。:
1. 係争特許の請求項1について:
(1) 証拠3にはすでに、相場モジュールが株式相場情報を処理して詳細情報画面を作成する処理能力を有し、操作モジュールはユーザーがスクリーンタッチで詳細情報画面を操作して見ることができることが開示されており、証拠3には「1つの詳細情報セット画面を追加して、タッチパネル型モバイルデバイスのスクリーン上に表示し、詳細情報セット画面は2つの大きな情報ブロックに分かれており、縦型画面では上下に2つ大きなブロックが、横型画面では左右に2つの大きなブロックがあり、2つの情報ブロックにはそれぞれ詳細情報セットが配置されている。その詳細情報セットにはすべての詳細情報画面の組合せ又は任意の詳細情報画面の組合せが含まれ、ユーザーは上/下のタッチスライド(縦型統合情報に適用)、又は左/右のタッチスライド(横型統合情報に適用)で詳細情報セットの各部位の情報を切り替えることができる」と記載されている。
(2) 証拠9には、画面が単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値等のような初期設定の関連情報を表示できることが記載されており、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠3と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠3のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項1に係る発明をなし得るため、証拠3及び証拠9の組合せは係争特許の請求項1が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠3、9及び10の組合せは係争特許の請求項1が進歩性を有しないことを証明できる。

2. 係争特許の請求項8について:
(1) 証拠3にはすでに、相場モジュールが株式相場情報を処理して詳細情報画面を作成する処理能力を有し、操作モジュールはユーザーがスクリーンタッチで詳細情報画面を操作して見ることができ、上記モジュールはプログラムコマンドによって作動することが開示されており、証拠3には「1つの詳細情報セット画面を追加して、タッチパネル型モバイルデバイスのスクリーン上に表示し、詳細情報セット画面は2つの大きな情報ブロックに分かれており、縦型画面では上下に2つ大きなブロックが、横型画面では左右に2つの大きなブロックがあり、2つの情報ブロックにはそれぞれ詳細情報セットが配置されている。その詳細情報セットにはすべての詳細情報画面の組合せ又は任意の詳細情報画面の組合せが含まれ、ユーザーは上/下のタッチスライド(縦型統合情報に適用)、又は左/右のタッチスライド(横型統合情報に適用)で詳細情報セットの各部位の情報を切り替えることができる」と記載されている。
(2) 証拠9には、画面が単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値、価格帯別出来高等のような初期設定の関連情報を表示できることが記載されており、並びに証拠9の第119、120頁には、ユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠3と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠3のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項8に係る発明をなし得るため、証拠3及び証拠9の組合せは係争特許の請求項8が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠3、9及び10の組合せは係争特許の請求項8が進歩性を有しないことを証明できる。

3. 係争特許の請求項16について:
(1) 証拠3にはすでに、相場モジュールが株式相場情報を処理して詳細情報画面を作成する処理能力を有し、操作モジュールはユーザーがスクリーンタッチで詳細情報画面を操作して見ることができることが開示されている。証拠3には、1つの詳細情報セット画面は、タッチパネル型モバイルデバイスのスクリーン上に表示され、その詳細情報セット画面は2つの大きな情報ブロックに分かれており、縦型画面では上下に2つ大きなブロックが、横型画面では左右に2つの大きなブロックがあり、2つの情報ブロックにはそれぞれ詳細情報セットが配置されており、さらに、その詳細情報セットにはすべての詳細情報画面の組合せ又は任意の詳細情報画面の組合せが含まれ、ユーザーは上/下のタッチスライド(縦型統合情報に適用)、又は左/右のタッチスライド(横型統合情報に適用)で詳細情報セットの各部位の情報を切り替えられることが記載されている。
(2) 証拠9には、画面が単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値等のような初期設定の関連情報を表示できることが記載されており、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠3と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠3のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項16に係る発明をなし得るため、証拠3及び証拠9の組合せは係争特許の請求項16が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠3、9及び10の組合せは係争特許の請求項16が進歩性を有しないことを証明できる。

4. 係争特許の請求項21について:
(1) 証拠3にはすでに、相場モジュールが株式相場情報を処理して詳細情報画面を作成する処理能力を有し、操作モジュールはユーザーがスクリーンタッチで詳細情報画面を操作して見ることができ、上記モジュールはプログラムコマンドによって作動することが開示されており、証拠3には「1つの詳細情報セット画面を追加して、タッチパネル型モバイルデバイスのスクリーン上に表示し、詳細情報セット画面は2つの大きな情報ブロックに分かれており、縦型画面では上下に2つ大きなブロックが、横型画面では左右に2つの大きなブロックがあり、2つの情報ブロックにはそれぞれ詳細情報セットが配置されている。その詳細情報セットにはすべての詳細情報画面の組合せ又は任意の詳細情報画面の組合せが含まれ、ユーザーは上/下のタッチスライド(縦型統合情報に適用)、又は左/右のタッチスライド(横型統合情報に適用)で詳細情報セットの各部位の情報を切り替えることができる」と記載されている。
(2) 証拠9には、画面が単一ブロック、上下2ブロック、左右2ブロック、大きな1つの左ブロックと小さな2つの右ブロック、大きな1つの上ブロックと小さな2つの下ブロックという5種類の表示モードを1つ選択して表示でき、それぞれのブロックにはチャート、歩み値等のような初期設定の関連情報を表示できること、並びにユーザーが最も使い慣れた画面の表示スタイルで株式の詳細情報を表示できるように、「Ctrl+O」ショートカットキーを使って「最近使用したページ」、「自己設定ページ」又は「お気に入り」からすでに保存した画面に切り替えて表示する方法が開示されている。
(3) 証拠3と証拠9はいずれも株式相場ソフトであり、技術分野の関連性を有し、またユーザーが電子端末でリアルタイムに情報を受け取り、相場を見ることができ、さらには異なる技術のスタイルで整理したデータ資料と図表を提供しており、機能又は作用の共通性を有する。その技術分野における通常の知識を有する者であれば、証拠3のハードウェア・アーキテクチャとタッチスライド方式を証拠9の異なる画面を選択できる表示方式と組み合わせる動機付けがあり、容易に係争特許の請求項21に係る発明をなし得るため、証拠3及び証拠9の組合せは係争特許の請求項21が進歩性を有しないことを証明できる。また証拠10は証拠9の一部の頁のコピーであり、証拠9と10は関連の証拠であるため、証拠3、9及び10の組合せは係争特許の請求項21が進歩性を有しないことを証明できる。

(三) 以上をまとめると、証拠2、証拠9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項1乃至25が進歩性を有しないことを証明でき、証拠3、証拠9及び証拠10の組合せは係争特許の請求項項1、8、16、21が進歩性を有しないことを証明できる。よって被告が、係争特許は許可時の専利法第22条第2項規定に該当して特許を受けることができないと認めて下した「請求項1乃至25については無効審判の請求が成立し、取り消す」という部分の処分について、その結論に誤りはなく、処分を維持する訴願決定にも法に合わないところはない。原告が取消しを請求することには理由がなく、棄却すべきである。

以上の次第で、本件原告の訴えには理由がなく、知的財産事件審理法第1条、行政訴訟法第98条第1項前段に基づき、主文の通り判決する。

2021年2月4日
知的財産裁判所第二法廷
裁判長 汪漢卿
裁判官 彭洪英
裁判官 曾啓謀
 
 
109年行專訴字第34号 
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