ウェブサイト、フェイスブックの投稿で、画像内容に他人の登録商標文字を使用した場合の商標権侵害の判断

2023-03-24 2022年

■ 判決分類:商標権

I ウェブサイト、フェイスブックの投稿で、画像内容に他人の登録商標文字を使用した場合の商標権侵害の判断

II 判決内容の要約
知的財産及び商事裁判所民事判決
【裁判番号】110年度民著訴字第101号
【裁判期日】2022年3月4日
【裁判事由】著作権侵害に関する財産権争議

原告 文生音楽芸術股份有限公司
法定代理人 張玉珍
被告 狂美交響管楽団
法定代理人 謝韋民

上記当事者間の著作権侵害に関する財産権争議案件につき、本裁判所は2021年2月11日に口頭弁論を終結したので、次の通り判決する。

主文
被告は原告に2万台湾ドル、及び2021年8月10日より弁済日まで、年率5%で計算した利息を支払わなければならない。
原告によるその他の訴えを棄却する。
訴訟費用は、被告が30分の1を負担し、残りの部分は、原告の負担とする。
本判決主文第一項について、仮執行をすることができる
原告による他の仮執行の申立ては棄却する。

事実及び理由
一、原告の主張
 原告は2016年に「維也納爆笑銅管音楽劇-七先生巡迴音楽会」(ウィーンユーモアブラスバンドミュージカル-ムノツィル・ブラス(Mnozil Brass)7人コンサート)を主催するにあたって、コンサートを宣伝する目的で、原告の法定代理人である張玉珍が代わりに「維也納銅管爆笑七先生」のキャッチコピーを作成した。原告は2008年8月16日に「爆笑銅管七先生」を商標として登録出願し、第01325383号(以下係争商標という)商標の登録査定を受けたため、係争商標の商標権者であり、権利存続期間を2028年8月15日まで更新しており、その指定役務は舞台芸術番組制作、コンサートの主催、音楽の演奏、ライブパフォーマンスまたはパフォーマンス、オーケストラ演奏サービス等である。
被告は、桃園市政府文化局で公開する係争入札案件を153万台湾ドルで落札し、請け負った後、係争入札案件を履行し、及び係争楽団による公演を紹介するために、原告による同意や許諾を得ないまま、原告が有している係争著作物、係争商標を使用し、更に情状不承知の桃園市政府文化局もそれをその主催する桃園管楽嘉年華(ブラスバンドフェスティバル)のオフィシャルサイト、フェイスブックのファンページ及び桃園市文化局のオフィシャルサイトに掲載したほか、自ら被告のフェイスブックのファンページにも使用した。よって、被告は無断で係争著作物を盗用し、原告による係争著作物の著作財産権を侵害したほか、その同意や許諾を得ることなく、係争商標を使用したため、原告の商標権を侵害した。また、被告は係争入札案件において、実質利益を得たので、桃園市政府文化局で行ったチャリティーイベントを理由に、その侵害責任を免除してはならない。よって、著作権法第88条第1項、第2項第2号、第3項の規定に基づき、被告に損害賠償として30万台湾ドルの支払いを請求する。更に商標法第69条第3項、第71条第1項第2号の規定に基づき、被告に損害賠償として30万台湾ドルの支払いを請求する。また、次のように請求する。
  1.被告は原告に60万台湾ドルを支払わなければならない。そのうちの30万台湾ドルについては訴状写し送達の翌日より弁済日まで、残りの30万台湾ドルについては民事訴えの変更申立書(追加的変更)写し送達の翌日より弁済日まで年率5%で計算した利息を支払わなければならない。
  2.訴訟費用は被告の負担とする。
  3.担保を供託するので、仮執行の宣告を請求する。

二、被告の請求
  1.原告による訴え及び仮執行の申立てを共に棄却する。
  2.訴訟費用は原告の負担とする。
  3.不利な判決を受けた場合、担保を供託するので、仮執行免除の宣告を請求する。

三、心証を得た理由
  1.著作権の部分:
原告が主張した著作物は、原告の法定代理人である張玉珍が、原告に代わり、2006年に主催した「維也納爆笑銅管音楽劇-七先生巡迴音楽会」のために作成したコピーである。また、前記コピーの全体的な叙述内容を参酌すれば、これは専ら台湾に演奏に来る係争楽団を紹介、宣伝するために創作したものであり、原告による係争楽団の歴史、特性、演奏スタイルを叙述する表現であり、創作者の個性及び独特性を十分表している。前記の説明から見れば、係争著作物は確かに著作権法の保護を受ける言語著作物に該当する。
 調べた結果、被告は、その係争著作物利用行為がいったい著作権第44条から第63条所定のどんな合理的使用に該当するかを具体的に説明していない。また、係争著作物の著作物財産権を原告が有しているので、被告が係争入札案件を請け負い、依頼者の要求に応じて係争著作物を提供したとしても、係争入札案件における契約内容の提案に、番組宣伝及び広報計画を含むとの記載があるので、被告が係争著作物を使用したり、または他人に提供して使用させることが商業的目的に該当しないとは認めがたい。このことは、桃園市政府文化局が主催した桃園管楽嘉年華が、非営利的イベントに該当することとは関わりがない。又、被告は他人に係争著作物を提供して、使用させており、桃園市政府文化局が桃園管楽嘉年華のオフィシャルサイトに掲載した宣伝内容も係争著作物と80パーセント同一であり、被告による係争著作物の利用は原告の同意や許諾を得ることなくそれを複製したものであり、つまり被告はこの部分の許諾料又はコピー作成費用を支払っていないので、被告による行為は、原告の潜在市場と現在価値に必ず影響を与えるものである。それ故、前記各原因を踏まえて、総合的に観察すれば、原告による係争著作物の被告の利用状況には、合理的使用が成立しないはずである。
調べた結果、本件は不法行為による損害賠償の債に該当し、確定した期限がなく、なお且つ、金銭の支払いを対象とするので、前記の法律規定によれば、原告がその著作財産権侵害を受けた損害賠償として、被告が支払うべき2万台湾ドルの部分について、訴状写し送達の翌日より弁済日まで年率5%で計算した利息を請求できることは妥当である。
  2.商標権の部分:
桃園管楽嘉年華(ブラスバンドフェスティバル)(TAOYUAN BAND FESTIVAL)のオフィシャルサイト、被告のフェイスブック公式ファンページ投稿及び写真、桃園管楽嘉年華のフェイスブックファンページ投稿、桃園市文化局のフェイスブックファンページ投稿には「爆笑銅管七先生」または「銅管七先生」文字があるが、前記ウェブ投稿及び画像内容は、すべて係争楽団の紹介及び桃園管楽嘉年華イベントの宣伝である。よって、前記ウェブ投稿が桃園管楽嘉年華イベントを宣伝するものであれば、イベントに参加した係争楽団の紹介内容に、必ず台湾で染みの楽団名称、つまり「爆笑銅管七先生」または「銅管七先生」文字を使用することは当然である。また、被告のフェイスブック公式ファンページ、桃園管楽嘉年華フェイスブック公式ファンページ、桃園市文化局フェイスブック公式ファンページに掲載の投稿及び画像を全体的に観察すれば、全文において「爆笑銅管七先生」または「銅管七先生」のレイアウト、方法はいずれも目立たず、係争楽団を紹介するために使用したものに過ぎず、被告または係争楽団との関連性を表彰するために使用したものではない。それ故、被告に、前記文字を商標として使用したり、または他人による使用に提供する意思がないことは明らかである。また、関連消費者が前記文字の使用方法を見ても、それが商標であると認識することは難しい。ましてや被告、桃園市文化局又は桃園管楽嘉年華等のオフィシャルサイト、フェイスブックファンページ投稿は、管楽嘉年華イベントの宣伝、その中のイベントに参加した係争楽団の紹介を販売促進の重点としており、原告による係争商標にあやかる意思がないばかりか、双方当事者のいずれも、係争楽団が世界で著名な室内楽団であり、毎年世界で100回以上の巡回演奏会を行っていることを否認していないので、関連消費者も「爆笑銅管七先生」または「銅管七先生」が係争楽団であることを明らかに知っているはずであり、被告が「爆笑銅管七先生」または「銅管七先生」を自ら使用したり、または他人による使用に提供したことは、商標の使用に該当しないと十分認定できる。

 以上を総じると、原告による本件訴えの一部には理由があり、一部には理由がないので、知的財産案件審理法第1条、民事訴訟法第79条、第389条第1項第5号に基づき、主文の通り判決する。

中華民国111年3月4日
知的財産裁判所第三法廷
裁判官 潘曉玫

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