商標権を維持するための使用は、「販売の目的」であるべきで、商標の使用は頻繁で、経済的な意義を有し、商標権の属地範囲の販売市場を開拓し、または維持するものでなければならない。

2024-06-24 2023年

■ 判決分類:商標権

I 商標権を維持するための使用は、「販売の目的」であるべきで、商標の使用は頻繁で、経済的な意義を有し、商標権の属地範囲の販売市場を開拓し、または維持するものでなければならない。

■ ハイライト
原告が2020年3月9日、被告(知的財産局)に対し、商標法第63条第1項第2号の取り消し理由に該当するとして、商標「BullseyeDesign」登録の取消しを請求した。被告は審査の結果、2021年8月30日付中台廃字1090106号商標取消処分書をもって、係争商標の第35類「ベーカリー製品の小売販売、企業組織等に対するコンサルティング業務」に該当する役務の部分の登録を取消し、第35類「コンビニエンスストア、スーパーストア、スーパーマーケット、ショッピングモール及びデパートの役務の提供、ネットショッピング(e-ショッピング)」に該当する役務の部分(以下係争指定役務という)の登録取消不成立の処分を下した。原告が原処分の不成立の部分を不服として、訴願を提起したため、経済部は2021年11月23日付経訴字第11006309760号訴願決定をもって棄却したが、原告はなおこれを不服として、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。

知的財産裁判は前述について、次の通り指摘した。
商標権を維持するための使用は、「販売の目的」の使用であるべきで、商標の使用は頻繁であり、経済的な意義を有し、商標権の属地範囲の販売市場を開拓し、または維持するものでなければならず、それで始めて商標の真正使用とみなされる。台湾における取引活動が全部ではない、または一部だけであり、単に台湾での販売商標イメージだけで、台湾の消費者が当該商標が表彰する商品または役務を台湾で取引することができない場合、当該商標は台湾でその商品または役務の市場チャンネルを開拓または創造する経済的な意義を有しておらず、明らかに商標の意義を喪失しており、商標権を維持するための使用に該当しない。
参加人より提出された証拠資料は、本件取消請求日前の3年以内に係争商標を係争指定役務に使用した事実を証明することができないので、商標法第63条第1項第2号規定の適用がある。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】111年度行商訴字第2号
【裁判期日】112年04月12日
【裁判事由】商標登録取消

原告 ドイツ企業波利普家具有限及び両合公司
被告 経済部知的財産局
参加人 米国企業塔吉布蘭徳公司

上記当事者間の商標登録取消事件につき、原告が経済部2021年11月23日付経訴字第11006309760号訴願決定を不服として行政訴訟を提起したが、本裁判所は参加人に独立して本件被告の訴訟に参加するよう命じた。本裁判所の判決は次のとおりである。

主文
訴願決定及び原処分における登録第01720657号商標「BullseyeDesign」第35類「コンビニエンスストア、スーパーストア、スーパーマーケット、ショッピングモール及びデパートの役務の提供、ネットショッピング(e-ショッピング)役務」部分の役務への指定使用に対して下された「取消不成立」の処分をすべて取り消す。
被告は登録第01720657号「BullseyeDesign」商標の本判決第1項記載の役務に指定使用している登録を「取消すべき」との処分を下すべきである。
訴訟費用は被告の負担とする。

一 事実要約
参加人は2014年4月22日に「BullseyeDesign」をもって被告に、当時の商標法施行規則第19条の商品及び役務の区分表第35類の「コンビニエンスストア、ショッピングモール及びデパートの役務の提供、ネットショッピング(eショッピング)等」の役務への指定使用の登録を出願した。被告は審査の結果、これを登録第1720657号商標(以下係争商標という)として登録することを許可した。その後、原告は2020年3月9日に係争商標に商標法第63条第1項第2号に規定の取消事由があるとして被告にその登録の取消しを請求した。被告は審査の結果2021年8月30日付中台廃字第1090106号商標取消処分書をもって、係争商標の第35類の指定役務「ベーカリー製品の小売販売、企業組織等に対するコンサルティング業務」等の部分の指定使用の登録を取消すべきだとしたが、第35類「コンビニエンスストア、スーパーストア、スーパーマーケット、ショッピングモール、デパートの役務の提供、ネットショッピング(eショッピング)(以下係争指定役務という)の登録については取消不成立の処分を下した(以下原処分という)。原告が、原処分における取消不成立の部分を不服として、訴願を提起したところ、経済部に2021年11月23日付経訴字第11006309760号訴願決定で棄却されたが、原告はなおこれを不服として本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 当事者双方の請求内容
(一)原告の主張:主文のとおり。
(二)被告の答弁主張:1.原告の訴えを棄却する。2.訴訟費用は原告の負担とする。

三 本件の争点
係争商標の係争指定役務における登録には、商標法第63条第1項第2号(正当な事由なくして未使用又は使用の停止が継続して3年経過したもの)に違反する状況があったか。

四 判決理由の要約
(一)    私文書は挙証者がそれが真正であることをを証明すべきである。しかし、相手方も文書の真正性を争わない場合は、この限りでない。 これは民事訴訟法357条に明文で規定されており、且つ行政訴訟法第176条で、行政訴訟においてもこの規定を準用することが明文で定められている。当裁判所は、本件ファイル証拠を斟酌し、次の理由により参加人が台湾の消費者に販売の目的をもって係争指定役務に係争商標を使用したと認めることは困難であると認定した。即ち参加人はTargetウェブサイトを運営し、同ウェブサイトで各種商品の小売販売を行っていたが、しかし同ウェブサイトはグローバルウェブサイトであり、使用言語は英語で、同ウェブサイトで表示している商品の通貨も米ドルであるため、台湾の消費者も同ウェブサイトに会員登録可能だとしても、参加人が提出した証拠によれば、台湾の消費者が注文できるかどうか、商品の購入及び配送のプロセス、発送先に台湾が含まれるかどうか、通関の方法、その他の関連取引を判断する方法がまだなく、単に参加人はそのウェブサイトでe-ショッピングプラットフォームにおいて係争商標を使用しただけである。
(二)    参加人は、商標の使用は実際の取引結果の発生を必要としないとしているが、参加人は、Targetウェブサイトをインターネット接続を通じて誰でも閲覧できる公開ウェブサイトとして運営し、世界中の消費者にネットショッピングサービスの提供を告知しており、台湾の消費者が係争商標をネットショッピングサービスを表示する商標として認識するのに十分であったなどと主張した。しかし、商標の使用には「販売の目的」という前提が必須であり、商標の定義の精神に従い、台湾市場における商取引、商品の販売又は役務の提供の目的に基づくものでなければならず、「販売の目的」があって、客観的な商業取引が存在しなければならない。つまり、「販売の目的」は、単に「消費者に商標を知らせれば足りる」ものではなく、その商標が使用を指定する商品または役務と結合している必要があり、台湾の消費者が係る商標が表示する商品または役務を台湾市場で実際に取引することが可能でなければならない。そうして初めて、台湾商標法で定められた「台湾市場における混同や誤解から台湾の消費者を保護する」及び「台湾国内市場における公正な競争を維持する」という立法目的を達成することができる。商標権を維持するための使用は、前述の「販売の目的」のほか、商標権の真の使用とみなされるためには、商標の使用が頻繁で且つ経済的に重要であるかどうか、商標権の属する地域において販売市場を開拓または維持することができるかどうかにも着目すべきであり、そうして初めて商標の真の使用であると認定することができる。もし台湾において取引の全部または一部を伴わず、台湾における販売のための商標イメージのみで、台湾の消費者がその商標が表示する商品または役務を取引することができず、その商標が台湾において、商品又は役務の市場チャンネルを開拓し、又は創出する経済的意義を有さないなら、商標の意義を喪失していることは明らかであり、商標権を維持する使用に該当しない。
(三)    参加人は、係争商標が台湾における係争指定役務の経済活動を発生させたことを証明できないので、即ち商標の真の使用に該当せず、また、参加人が運営するTargetウェブサイトが、全世界の消費者にネットショッピングサービスを提供したか否かにかかわらず、これは参加人が台湾市場において係争商標を係争の指定役務に使用したか否かという参加人の客観的な商業取引行動とは無関係であるため、前述の通り、参加人による係争商標権を維持する使用には該当しない。
(四)    以上をまとめると、参加人より提出された証拠と資料では、取消請求前の3年以内に指定役務に係争商標を使用した事実を証明することができないので、商標法第63条第1項第2号規定の適用がある。
(五)    以上をまとめて結論を述べると、本件原告の訴えには理由があると認めるので、知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第98条第1項前段及び第200条第3項に基づき主文の通り判決する。

2023年4月12日
知的財産裁判所第三法廷
審判長裁判官 蔡恵如
裁判官 林恵君
裁判官 潘曉玫

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor