商標として登録した図案または文字の著作財産権を商標権者が有していない場合、その行う一切の変更は、著作財産権者の同意を得る必要がある。

2022-07-21 2021年
■ 判決分類:著作権

I 商標として登録した図案または文字の著作財産権を商標権者が有していない場合、その行う一切の変更は、著作財産権者の同意を得る必要がある。

II 判決内容の要約

知的財産及び商事裁判所の民事判決 
【裁判番号】109年度民著上字第3号
【裁判期日】20210812
【裁判事由】著作権侵害

控訴人  寶來文創開發股份有限公司
被控訴人 鼎泰豐小吃店股份有限公司
兼法定代理人 楊紀華
被控訴人 顏淑美

主文
原判決の控訴人の第二項の訴えの棄却、当該部分の仮執行の申立、及び訴訟費用の裁判をいずれも破棄する。
被控訴人鼎泰豊小吃店股份有限公司は、10万台湾ドル及び2018年7月19日から返済日まで年5%で計算した利息を控訴人に支払わなければならない。
その他の控訴は棄却する。

一 事実要約
1. 顏淑美は、2006年8月17日より控訴人の会社に任職し、製品のデザインに従事しており、双方は秘密保持誓約書を締結して著作権の帰属を約定している。その後2008年に控訴人の責任者徐華文は、被控訴人鼎泰豊小吃店股份有限公司(以下、鼎泰豊公司)との提携のため、Q版のキャラクターをデザインするよう顏淑美に指示した。顏淑美は、2008年8、9月頃に蒸し器とショウロンポウ(以下、籠仔、包仔という)のイメージ原稿をデザインした。その後2008年11月25日に控訴人と鼎泰豊公司は鼎泰豊製品の開発相互提携契約(以下、係争契約をいう)を締結し、包仔及び籠仔の美術著作の開発、製造、及び鼎泰豐記念品の販売に合意した。その後顏淑美は、2011年5月6日より控訴人の会社から離職し、同年11月に鼎泰豊公司に任職した。
2. その後、2015年8月25日に鼎泰豊公司は電子メールで提携関係の終了を控訴人に通知した。徐華文が鼎泰豊公司の店舗に行ったとき、控訴人の著作権を侵害する製品がたくさんあることを発見した。且つ2016年8月1日に「Q版包仔」(係争美術著作一)、「Q版籠仔」(係争美術著作二)、「Q版包仔桐花版」(係争美術著作四)、「Q版包仔/籠仔サマーエディション」(係争美術著作五、六)、及び「包仔/籠仔-2010中秋版」(係争美術著作三)の図案(係争美術著作一から六、以下係争美術著作という)の複製、改作を顏淑美に指示し、且つ「鼎泰豐月禮パイナップルケーキギフトボックス」(以下係争製品一という)、「鼎泰豐子供用カトラリーギフトボックス」三点(以下係争製品二という)、「鼎泰豐秋樂パイナップルケーキギフトボックス」(以下係争製品三といい、以上2製品と併せて係争製品という)に使用し、且つ著作者を表示せずに大量に販売していることを鼎泰豊公司は発見した。
3. 被控訴人兼代表者楊紀華(以下楊紀華という)が、係争美術著作を複製、改作し、係争美術著作の付属品または方向をわずかに修正し、併せて係争製品に使用するよう顏淑美に指示し、既に控訴人の複製権及び改作権を侵害したと控訴人は主張した。係争製品に著作権者を表示せず、且つ大量に販売しているので、既に控訴人の著作人格権及び頒布権を侵害しており、著作権法第85条、第88条第1項、第89条、民法第28条、第185条、第179条、会社法第23条第2項、民事訴訟法第222条第2項規定に基づき、美術著作の著作財産権1点に付き120万台湾ドル、著作人格権30万台湾ドル、合計150万台湾ドルを侵害行為及び不当利得により控訴人が受けた損害として、連帯して賠償するよう被控訴人に請求した。原審では控訴人に全部敗訴の判決が下ったが、控訴人はそれを不服として、本件の控訴を提起した。

二 両方当事者の請求内容
 (一)控訴人の請求:
1. 原判決を破棄する。
2. 被控訴人鼎泰豐公司、楊智華、顏淑美は、控訴人の同意を得ずに、無断で係争美術著作一、係争美術著作二、係争美術著作三の図案を複製及び改作し、且つ当該図案をもって「鼎泰豐月禮パイナップルケーキギフトボックス」商品を作成して販売したので、連帯して150万台湾ドル及び訴状の写しが送達された翌日から返済日まで、年5%で計算した利息を控訴人に支払わなければならない。
3. 被控訴人鼎泰豐公司、楊紀華は、控訴人の同意を得ずに、無断で係争美術著作一、係争美術著作二の図案を複製及び改作し、且つ当該図案をもって「鼎泰豐秋樂パイナップルケーキギフトボックス」商品を作成して販売したので、連帯して150万台湾ドル及び訴状の写しが送達された翌日から返済日まで、年5%で計算した利息を控訴人に支払わなければならない。
4. 被控訴人鼎泰豐公司、楊紀華、顏淑美は、控訴人の同意を得ずに、係争美術著作一、係争美術著作二、係争美術著作四、「Q版包仔/籠仔サマーエディション」大型立画作品美術著作五、六の図案2点を複製及び改作し、且つ当該図案をもって「鼎泰豐子供用カトラリーギフトボックス」3点を販売したので、連帯して150万台湾ドル及び訴状の写しが送達された翌日から返済日まで、年5%で計算した利息を控訴人に支払わなければならない。
5. 被控訴人鼎泰豐公司、楊紀華は、連帯して費用を負担し、本件最後の事実審の民事判決書の全内容(案件番号、当事者、主文、事実欄を含む)をフォントサイズ5号で、中国時報、聯合報、自由時報及び蘋果日報の一面に1日掲載しなければならない。
6. 訴訟費用は被控訴人の連帯負担としなければならない。
7. もし有利な判決を受けた場合、控訴人は担保を供託することに同意し、仮執行の宣告を請求する。
 (二)被控訴人の請求:
1. 控訴を棄却する。
2. 全ての訴訟費用を控訴人の負担とする。
3. もし不利な判決を受けた場合、被控訴人等は仮執行の免除を受けるために、担保を供託することに同意する。

三 本件の争点
(一) 控訴人による本件訴訟提起は時効を過ぎているか?
(二) 被控訴人楊紀華及び鼎泰豐公司は係争美術著作一、二の図案及びその派生した係争美術著作三から六の図案を使用し、係争製品一、係争製品二、係争製品三等の商品を製造して販売する権利があるか?
(三) 被控訴人楊紀華に控訴人の著作人格権及び著作財産権を侵害する故意または過失があるか?
(四) 係争美術著作一、二の図案は著作権法で保護されているか?
(五) 係争美術著作三から六の図案は著作権法で保護されているか?
(六) 控訴人は係争美術著作の著作者であるか、且つ著作財産権及び人格権を享有しているか?
(七) 係争製品一、係争製品二及び係争製品三は控訴人が主張している図形と類似しているか?
(八) 被控訴人鼎泰豐公司は係争美術著作一、二の平面商標登録を出願したが、控訴人の同意を得たか否か?被控訴人楊紀華及び鼎泰豐公司に係争美術著作一、二の図案を使用し、且つ記念品製作のため修正する権利があるか?
(九) 被控訴人鼎泰豐公司に係争美術著作三から六の商標権があるか?
(十) 控訴人がそれぞれ著作権法第85条、第88条第1 項、第89条、民法第28条、第185 条、会社法第23条第2 項等規定により、侵害の連帯損害賠償責任を負うよう被控訴人等に請求、または民法第179条規定により、不当利得の返還を被控訴人に請求(控訴人が侵害品につき著作人格権30万台湾ドル、著作財産権120万台湾ドルを被控訴人に請求するとの主張に理由があるか)及び本件判決書を新聞に掲載せよと請求したことに理由があるか?

四 判決理由の要約
(一) 係争包仔と籠仔の著作図案及び美術著作は著作権法で保護されるべきである(即ち争点(四)、(五))。:
  本件係争包仔と籠仔の著作図案は、被控訴人鼎泰豐公司の最も有名な蒸し物であるショウロンポウを創造的なコンセプトとして、ショウロンポウと蒸し器の形状を描き、構成し、そして生き生きとした表情と動きの変化を加えて、擬人化したキャラクター画像であり、且つ各図形の組み合わせ、構造及び位置によって、視覚的な美的感覚が生じていて、美術著作の保護すべきものが視覚芸術で、求められる視覚芸術の内容及び表現形式と一致しており、且つ創作者の個人的な考えや感情の表現もあり、客観的に創作者の個人的な考えと感情表現を見ることができるので、「創作性」があるはずであり、且つ当該図案は他人のものを剽窃したものであると証明できる証拠がないので、「創作性」があるはずである。従って、係争「包仔、籠仔」図案には創作性があるので、著作権法で保護される美術著作である。また係争美術著作は、既存の包仔、籠仔図案に多くのアイテムを追加しており、係争美術著作に追加された要素は、いずれも作者の創造的な概念を明確に表現し、その芸術的価値が表れているので、著作権法で保護される美術著作である。

(二) 控訴人は係争美術著作図案の著作財産権を有しているが、著作人格権を有していない(争点第(六))。:
 顏淑美と控訴人は任職期間に完成させた知的財産権は控訴人に帰属すると、約定しただけであり、顏淑美による控訴人会社に任職中の著作に関わる創作は控訴人が著作者であるとは約定していなかった。この部分の約定が不明であり、著作権法第36条第3項後段規定の要旨によれば、未譲渡だと推定すべきである。よって、控訴人と顏淑美との間に著作権法第11条第1項但書は適用されない。言い換えれば、職務において顏淑美が完成させた係争美術著作は、被用者顏淑美を著作者とすべきであり、係争美術著作の著作人格権を享有する。また係争美術著作の著作財産権については、雇用者、即ち控訴人が享有するものなので、係争美術著作の著作財産権を有していると控訴人が主張している部分には、根拠がないわけではないが、著作者及び著作人格権の主張には、根拠がない。

(三) 鼎泰豐公司による包仔、籠仔図案の平面商標登録の出願は、控訴人の同意を経たが(即ち争点(八))、鼎泰豐公司は係争美術著作の商標権者ではない(即ち争点(九))。:
 2008年11月25日に控訴人と鼎泰豊公司が相互提携契約を締結した後、翌年の7月頃に鼎泰豊公司と包仔、籠仔図案をもって商標登録を出願することについて、討論した。控訴人の営業徐○○の電子メール内容では、控訴人が鼎泰豊公司の商標登録出願に同意し、控訴人会社にもそれほどの問題はなく、またいわゆる商標登録出願は平面または立体的商標に限定していない。よって、たとえ双方がその後立体的商標登録について慎重を期して同意書を締結したとしても、両者が平面商標の登録について口頭で合意していないので、効力が生じないと認定することはできない。なぜならば、商標登録に同意するか否かの合意は要式契約ではなく、書面による書類締結の必要がないからである。電子メールで鼎泰豐公司が包仔、籠仔の図案をもって商標登録を出願することに控訴人は同意しており、解釈上、当然平面及び立体的商標が含まれる。控訴人が、その同意範囲はまだ保留するとの証拠を提出しない内は、控訴人は自らその解釈範囲を制限することができない。更に鼎泰豐公司が出願した平面商標は2010年5月16日、7月1日に公告されていて、立体的商標の公告日2010年10月16日、12月1日より先であり、もし控訴人が鼎泰豐公司による平面商標の登録に同意しないなら、なぜ先に公告された平面商標に対して異議を申立てなかったか?控訴人が双方の提携関係破綻後に、始めて鼎泰豐公司による平面商標登録に同意したことがないと主張したことは、自分に有利なものを選択して主張したものなので、当然信用できない。

(四) 係争製品一、係争製品二及び係争製品三の図形は包仔、籠仔図案と類似し、包仔、籠仔図案の派生著作である(即ち争点(七))。:
   調べたところ、本件控訴人が鼎泰豐公司による侵害を主張した製品は3つあり、それぞれ「鼎泰豐月禮パイナップルケーキギフトボックス」、「鼎泰豐子供用カトラリーギフトボックス」、「鼎泰豐秋樂パイナップルケーキギフトボックス」であり、係争製品にはいずれも包仔、籠仔の図案があり、係争美術著作と係争製品の図案を比較したところ、包仔と籠仔の基本的構造は同じであり、手持ちのアイテムのみわずかに異っているので、係争製品の図案は係争美術著作に基づいて改作したものであることがわかる。よって、鼎泰豐公司の係争製品にある包仔、籠仔図案は係争美術著作の改作によるものであると控訴人が主張していることには、根拠があるはずである。更に係争製品の図案は包仔、籠仔の図案に基づいて修正したものであることを鼎泰豐公司も否認しておらず、抗弁の根拠である主な理由は鼎泰豐公司が包仔、籠仔商標の商標権者であり、当然商標の同一性を失わない前提で商標図案を修正する権利があるので、係争製品の包仔、籠仔図案は係争美術著作の改作であり、本質的に係争美術著作の派生著作であることが証明できるというものである。

(五) 控訴人は鼎泰豐公司による係争美術著作図案の使用に同意していない(即ち争点(二))。:
1. 前述のように、顏淑美が控訴人の会社に任職していた期間に創作した包仔、籠仔図案、及び係争美術の著作図案等は、いずれも控訴人が著作財産権を取得し、鼎泰豐公司が包仔及び籠仔の図案をもって平面及び立体的商標を出願することに控訴人は同意したが、控訴人は包仔、籠仔の著作財産権を鼎泰豐公司に譲渡していないので、鼎泰豐公司が前記登録番号に示す通りの商標権者であっても、前記商標の著作財産権者は控訴人であり、鼎泰豐公司ではない。商標権者はその登録した図案または文字について同時に著作財産権を有する必要があり、そして、始めて任意に変更または追加をすることができ、もし商標権があるのみで、著作財産権を有しない場合、そのいかなる変更も著作財産権者の同意を得なければ、行うことができない。
2. 商標図案の改作行為について控訴人は知っていたが、異議を申立てなかったので、控訴人が鼎泰豐公司による商標図案の改作に黙示的に同意したと鼎泰豐公司は抗弁した。しかし調べたところ、鼎泰豐公司は著作財産権者ではなく、著作者でもないので、本来任意に係争商標図案を改作することはできない。更に著作権法第36条第3項規定により、著作財産権譲渡の範囲は、当事者の約定によるものである。その約定に不明な部分があるときは、未譲渡のものと推定する。本件控訴人は最初から最後まで鼎泰豐公司の係争包仔、籠仔図案の改作権利に同意または許諾したことを否認しており、控訴人が意見を示さなかったとして、控訴人が「明確」に鼎泰豐公司による係争美術著作の改作に同意したと認定することはできない。よって、鼎泰豐公司の抗弁は信用できず、その改作行為は同意を経ない侵害行為である。

(六) 被控訴人楊紀華及び鼎泰豐公司には係争美術著作を使用して、係争製品一、係争製品二、係争製品三等の商品を製造して販売する権利がない(即ち争点(二)部分)。:
  鼎泰豐公司は係争美術著作の著作財産権者ではなく、著作者でもなく、その係争美術図案の改作は著作財産権者、即ち控訴人の明示的な同意を得ていないので、それは当然係争美術著作を改作する権利がないことによる侵害行為である。

(七) 楊紀華、顏淑美に控訴人の著作財産権を侵害する故意はなかったが、過失がある(即ち争点(三))。:
1. 鼎泰豐公司の代表者楊紀華は、あらゆる問題に関わり、内部業務は分業化されており、控訴人と鼎泰豐公司の間の往来メールに、係争美術著作の使用方式について控訴人が直接楊紀華と話し合った内容はなく、控訴人はなお且つ商標登録に同意する電子メールを鼎泰豐公司の従業員に送信し、楊紀華に会いたいとの意向を示していたので、係争美術著作に関する使用事項は楊紀華が自ら処理していたものではないため、楊紀華に係争美術著作を侵害する故意があったとは認定し難い。
2. 鼎泰豐公司と楊紀華には係争美術著作の著作財産権を侵害する主観的な故意はなかったが、鼎泰豐公司は法律の知識が不足しているため、既に係争包仔、籠仔図案を商標として登録し、商標図案を修正してその販売商品に使用することができると誤認して、更に控訴人の許可を求めなかったので、明らかに作業上のミスがあった。また顏淑美が控訴人会社を離職し、鼎泰豐公司に任職した後、鼎泰豐公司は自発的に包仔、籠仔の「ai」ファイル(Adobe Corporationが発行したIllustratorグラフィックソフトウェアによって描画されたファイル形式である)の提供を控訴人に要求し、且つ控訴人が提供した「ai」ファイルを顏淑美に渡して継続して編集・使用させたが、その行為が控訴人の著作財産権を侵害する疑いがあるかに注意せず、且つ確認することが難しくないのに、確認または問い合わせをしなかったので、明らかに善良なる管理者の注意義務を果しておらず、過失がある。また鼎泰豐公司は係争美術著作を改作した後の図案を係争製品に使用し、且つ主要な店舗、サイトで販売したので、楊紀華も目にした可能性があり、控訴人の同意を得たか否かについて内部の業務処理係員に更に確認することなく、係争美術著作を侵害した係争製品の公開販売を許したことは、監督の責任を果たしていないので、楊紀華による係争美術著作の侵害について過失責任がないとは言い難い。
3. 同様に係争美術著作が控訴人会社に任職していた期間に創作したものであると顏淑美は明確に知りながら、鼎泰豐公司に任職した後、鼎泰豐公司の職員が係争美術著作の「ai」ファイルを渡した時に控訴人の許可を得たかを更に確認しなかったので、過失がある。

(八) 控訴人と鼎泰豐公司の提携期間に、鼎泰豐公司が包仔、籠仔の美術著作図案を「鼎泰豐賞月趣-パイナップルケーキギフトボックス」に使用したことを控訴人は知っていた(即ち争点(一))。:
  控訴人と鼎泰豐公司が締結した相互提携契約第五条約定により、双方の提携期間は2009年2月1日から2011年7月31日までであったが、双方は契約満了後、引続きもとの契約の内容により権利義務を履行し、双方が係争相互提携契約を無期限の契約に転換し、引続き契約を履行する意思表示が一致していたと認定できる。その後2015年8月25日に鼎泰豐公司は控訴人の供給や品質の不安定さ等を理由に一方的に契約を解約するよう控訴人に通知したが、前記契約の有効期間内の2009年7月27日に鼎泰豐公司は控訴人と立体的商標の同意書を締結し、且つ同年9月21日に知的財産局に商標登録を出願し、前記登録を出願した商標はそれぞれ2010年5月16日、2010年7月1日(平面商標の部分)、2010年10月16日、2010年12月1日(立体的商標の部分)に公告された。その後2012年8月頃に鼎泰豐公司が「鼎泰豐賞月趣-パイナップルケーキギフトボックス」を公開販売しており、且つ前記ギフトボックスを控訴人に送付し、控訴人会社の営業マネージャーである連○○も同年9月7日に電子メールで鼎泰豐公司のマネージャーである葉○○に返答し、感謝の意を示していた。よって、2015年8月25日に鼎泰豐公司が一方的に契約を解約する前に、少なくとも控訴人は鼎泰豐公司が係争「包仔∕籠仔」の美術著作図案を「鼎泰豐月禮パイナップルケーキギフトボックス」に使用したことを知っていて、且つ異議を示さなかったと証明することができる。

(九) 控訴人による本件侵害行為の損害賠償訴訟の提起は既に侵害行為の短期的消滅時効を過ぎているが、不当利得に対する請求は時効を過ぎていない(即ち争点(一)部分)。:
1. 著作権法第85条の侵害(著作人格権の損害賠償責任)及び第88条(著作財産権侵害の損害賠償責任)の損害賠償請求権は、請求権者が損害のあったこと及び賠償義務のある人を知った時から起算して2年間行使しないことにより消滅すると著作権法第89条の1前段に明文で定められている。また、いわゆる損害があることを知るとは、侵害行為により権利を損なわれる状態を指し、実際の損害額を知る必要はない(最高法院108年度台上字第59号判決要旨を参照)。前記のように、2012年8月頃に鼎泰豐公司が「鼎泰豐賞月趣-パイナップルケーキギフトボックス」を公開販売した後、少なくとも同年9月7日に同社の営業マネージャー連○○が電子メールにより鼎泰豐公司に感謝の意を示す前に、鼎泰豐公司が「包仔∕籠仔」を使用した事実について本件控訴人は知っていたが、異議を出さず、または権利保留の意思表示も一切しなかった。2015年8月25日に鼎泰豐公司が契約を解約した後、2015年8月28日、9月4日に控訴人は六張犁郵便局から内容証明を鼎泰豐公司に送付し、鼎泰豐公司の多くの商品、包装、宣伝物が包仔、籠仔の著作権を侵害したと指摘した。よって、控訴人は2015年9月4日以前に既に鼎泰豐公司、楊紀華及び顏淑美による侵害行為の事実を知っていた。ところが、控訴人は2018年6月29日になってやっと併せて本件訴訟を提起したので、被控訴人等の係争製品の侵害行為による損害賠償請求権は二年の短期時効を過ぎていることがわかる。 
2. 損害賠償の義務者が、侵害行為によって利益を受け、これがために被害者に損害を与えたときは、前項の時効完成後もなお不当利得に関する規定によって、被害者に対しその受けた利益を返還しなければならないと民法第197条第2項に明文で定めている。2015年9月4日に本件控訴人は2回目の内容証明郵便送付時に既に被控訴人による侵害事実を知っていて、2018年6月29日の本件訴訟提起時に、侵害行為の損害賠償請求の二年短期時効を過ぎていたが、控訴人は控訴した時に民法第179条に基づく不当利得の主張を追加しており、それが請求権の重複合併であり、基礎となる事項は同じであると本裁判所が認定したので、訴えの追加を許可した。よって、控訴人のこの部分の追加は15年の一般的な時効期間を過ぎていないと認定すべきである(民法第125条規定を参照)。

(十) 控訴人による著作権法第85条、第88条第1項、第89条、民法第28条、第185条、会社法第23条第2項等規定に基づく損害賠償の主張及び判決書の新聞への掲載請求には理由がないが、民法第179条規定による鼎泰豐公司への不当利得返還請求には理由がある(即ち争点(十))。:
1. 鼎泰豐公司は控訴人の同意を得ずに、任意に係争美術著作を改作して、係争製品に使用し、明らかに他人の美術著作を使用して利益を得た。鼎泰豐公司が受けた利益はこれまでのところいくらであるかを控訴人は証明していないが、他人の美術著作の使用により、ライセンス料に相当する費用を鼎泰豐公司が節約したことは、これまで変わらない事実である。本裁判所は、双方の運営規模、経済状況、経済的・社会的地位、係争美術著作の創作内容、一般的市場におけるアートワーク取引価値、著作権法第88条第3項の立法要旨、及び本裁判所108年度民著上字第4号の鼎泰豐公司が同時期に控訴人の従業員顏淑美が創作した鼎仔図案を使用した類似情況で認定した著作財産権の価値等関連要因から総合的に判断すると、本件鼎泰豐公司の係争3製品が使用している係争美術著作は、各著作につき2万台湾ドルのライセンス料の利益があるとすることが妥当である。また本件鼎泰豐公司が使用している係争美術著作図案は6つあるので(その内、係争著作3については、既に本裁判所109民著上字第4号判決で請求した)、その不当利得の金額は10万台湾ドルである。よって、本件控訴人が不当利得の返還を鼎泰豐公司に請求したが、10万台湾ドル範囲内での主張には理由があり、許可すべきである。
2. 本件著作財産権侵害行為の被害者は控訴人寶來公司であり、鼎泰豐公司の侵害行為が、信用評判をどのように減損または低下させたかについては、立証してその主張を証明しておらず、更に本件の侵害態様はただ係争著作を係争製品に複製し、装飾として外で販売しただけで、消費者が係争製品を購入する際に注目するブランドは、今でも「鼎泰豊」三文字が表す価値であり、係争美術著作ではなく、また控訴人会社の信用評判に基づいて、鼎泰豐公司が係争製品に係争美術著作を使用したことに、控訴人の信用評判を損なったり、またはブランド価値を超える不当利得を受けた情況もないので、本件は新聞掲載の必要性がない。

以上をまとめると、不当利得の規定に基づく控訴人の請求は、10万台湾ドルの範囲内において理由があり、許可すべきである。この部分は、控訴手続きで控訴人が追加したものであり、原審では斟酌していないので、この部分については原審判決を破棄し、主文第二項以下の通り改めて判決した。また控訴人の他の主張について、原審は棄却し、その主張した理由も本裁判所の見解と異なっているが、結論は同じであるため、この部分の控訴は棄却すべきである。

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