事業者が他の事業に影響する程度を支配して、市場の競争を妨害する危険を及ぼしてはじめて、公平取引法第6条第1項第5号に該当する。

2014-09-29 2013年

■ 判決分類:公平取引法

I 事業者が他の事業に影響する程度を支配して、市場の競争を妨害する危険を及ぼしてはじめて、公平取引法第6条第1項第5号に該当する。

■ ハイライト
公平取引法第6条第1項第5号の直接又は間接的に他の事業者の業務経営又は人事の任免を支配することは、他の事業者の業務経営又は人事の任免を支配することへの影響程度が市場競争を妨害する危険を及ぼして始めて該当するのであり、直接又は間接的に他の事業者の業務経営又は人事の任免に影響を与えることではない。もし具体的な事項を示さずに、事業者が他の事業者の董事(取締役)人数の半分を占めていて、支配事業に属する者が総経理制度を採用している他の事業の董事長(代表取締役)を担当することだけをもって、支配事業者が他の事業者と支配関係があると認定することは明らかに採用できない。

II 判決内容の要約

最高行政裁判所判決
【裁判番号】102年度判字第134号
【裁判期日】2013年3月28日
【裁判事由】公正取引法

再審原告 公正取引委員会
再審被告 統一企業股份有限公司

前記当事者間における公平取引法について、再審被告が2012年11月29日当裁判所101年度判字第1017号判決に再審の上告をしたが、当裁判所は以下のとおり判決する。

主文
再審の訴えを棄却する。
訴訟費用は再審原告人が負担する。

一 事実要約
再審被告と訴外人維力食品工業股份有限公司(以下、「維力公司」という)の2007年会計年度の売上高はそれぞれ約NT$(以下同じ)452億と、19億であり、再審被告が公平取引法第11条第1項第3号に基づく、再審被告に対しての事業の結合を申告しないまま、2008年10月6日に総経理(同氏は系列企業70数社の董事を兼任)羅智先、食糧グループ及びインスタントフーズグループ副総経理(同氏は系列企業20数社の董事を兼任)謝志鵬、投資部協理劉宗宜が維力公司の董事に就任したほか、会計グループ副総経理(同氏は系列企業20数社の董事を兼任)殷建礼が維力公司の監査役にそれぞれ就任して、維力公司の董事と監査役定員の半数を占めるほかに羅智先が維力公司の董事長に就任した。そのため、再審原告は、前記行為がすでに維力公司の事業の経営又は人事の任免を直接又は間接的に支配できる状況であることから、公平取引法第6条第1項第5号に規定する結合形態に該当し、なおかつ同法第11条第1項第3号の規定に従って、結合をあらかじめ申告すべきなのにしていないとして、係る行為はすでに公平取引法第11条第1項の規定を違反していると認定した。よって、同法第13条第1項及び同法第40条第1項に基づき、2009年2月24日付、公処字第098035号処分書(以下、「元処分」という)をもって、再審被告に原処分送達日の翌日より関係者の再審被告及び維力公司の役職就任による実質的な支配がない状態の解消を命ずると共に、再審被告をNT$50万の過料に処した。再審被告がこれを不服として、訴願を提起したが、行政再審査によって棄却されたため、行政訴訟を提起した。元審裁判所は98年度訴字第2814号判決(以下、「原審裁判所の前審判決」という)によって、再審被告の訴えを棄却したが、再審被告はこれをなお不服として、上訴を提起した。しかし当裁判所は100年度判字第1346号によって、原審裁判所の元審判決を棄却し、原審裁判所に差し戻して再審理を命じた。すると、原審裁判所は100年度訴更一字第155号判決(以下、「原審判決」という)をもって、行政再審査の決定及び原処分をすべて取り消した。再審原告がこれをなお不服とし、上告を提起したが、当裁判所は101年度判字第1017号判決(以下、「当裁判所の確定判決」という)で棄却した。再審原告はなおこれを不服とし、当裁判所の確定判決が行政訴訟法第273条第1項第1号の再審事由に該当するとして、本件の再審を提訴した。

二 両方当事者の請求内容
(一)再審原告の請求:当裁判所の確定判決及び原審判決をすべて棄却する。
(二)再審被告の請求:再審原告の訴えを棄却する。

三 本件の争点
再審被告の行為は、公平取引法第6条第1項第5号規定条文意義の範囲に該当するか。
(一)再審原告主張の理由:略。判決理由の説明をご参照。
(二)再審被告答弁の理由:略。判決理由の説明をご参照。

四 判決理由の要約
裁判所は確定判決において、公平取引法第6条、第13条、第40条の規定を引用し公平取引法による事業結合を管制する法制定の目的は、事業の結合手段を通じて、有形の独占を形成する恐れを防ぐ、又は独占程度に至らなくても、市場構造の過度な集中を形成して、取引の秩序に影響を与えてしまい、競争と全体の経済利益に弊害が起きることを避けるところにある。公平取引法の事業結合に対する管制は、そもそも競争制限を防止する一つの手段である。従って、前記公平取引法第6条第1項第5号による、事業の経営又は人事の任免を直接又は間接的に支配することは、事業の経営又は人事の任免を直接又は間接的に支配するに至らなくても、支配の事業者が他の事業者に影響を及ぼす程度が市場の競争を妨害する危険(可能性)があるまでに達してこそ該当し、直接又は間接的に他の事業者の業務経営又は人事の任免に影響を与えることではない。さらに、再審原告は具体的事項を明示せずに、単に再審被告が維力公司の役員定数の半数を擁していて、なおかつ再審原告に所属する者が総経理制の維力公司董事長に就任した点をもって、ただちに再審被告が維力公司に対して支配能力を有すると認定したことは、明らかに採択に値しない。

本件の再審被告と維力公司は、董事一名が同じにすぎず、「業務執行株主又は董事の半数以上が同じ」の状況でないため、公司法第369条の3第1号に規定の系列企業を支配する従属関係と、いわゆる軽重比較の問題がない。再審原告が公司法第369条の3第1号の規定に基づき、両社の董事の定員の半数が同じの場合、法を引用して両社に支配の従属関係を推定したことにより、支配の定義をゆるく定義している公平取引法は、半数の役員が兼任である事実をもって、両社に支配関係を認定するのは当然であると主張し、役員兼任は公平取引法第6条第1項第5号による他の事業の業務経営又は人事の任免を直接又は間接的に支配する結合形態の一つであり、水平方向の結合で、事業者同士がもともと競争状態にあり、企業経営者の兼任手段を通じて、この種の兼任によって相互の競争を解消することは、競争法の結合規制を受けるべき云々は的を外した引用であり、採択できない。

再審原告が当裁判所の確定判決が行政訴訟法第273条第1項第1号の事由に該当することを主張し再審を提訴したことは、公平取引法第6条第1項第5号規定の文言範囲内において、解釈が異なっており、これはそもそも法見解の差異であるので、いわゆる「法の適用に明らかに錯誤がある」という再審事由を構成しない。
以上から論結すれば、本件の再審の訴えには理由がない。よって、行政訴訟法第278条第2項、第98条第1項前段に基づき、主文のとおり判決する。

2013年3月28日
最高行政裁判所第四法廷
審判長裁判官 黄合文
裁判官 沈応南
裁判官 帥嘉宝
裁判官 林恵瑜
裁判官 鄭忠仁
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