商標法 2023-05-24
2023-07-20 商標
商標法
(2023年5月24日改正公布)
2023年5月24日付総統華総一経字第11200043251号令をもって第6、12、13、19、30、36、75、94、99、104、106、107条条文改正公布、第98-1、109-1条条文新設、施行期日は行政院で定める。
2024年3月29日付行政院院台経字第1131006860号令をもって2024年5月1日より施行公布
第一章 総則
第1条
商標権、証明標章権、団体標章権、団体商標権及び消費者の利益を保障し、市場の公正な競争秩序を維持して、商工企業の健全な発展を促進するために、本法を制定する。
第2条 商標権、証明標章権、団体標章権又は団体商標権を取得しようとするものは、本法により登録出願しなければならない。
第3条 本法の主務機関は経済部である。
商標業務は経済部により指定された専属責任機関がこれを処理する。
第4条 外国人の属する国が、中華民国と共に商標保護に関する国際条約に参加していない、又は台湾と、商標に関する相互保護条約や協定を締結していない、又は台中華民国国民からの商標登録出願を受理しない場合は、商標登録出願を受理しないことができる。
第5条
商標の使用とは、販売を目的として、且つ次に掲げる状況の一に該当し、関連する消費者に商標として認識されるに足ることをいう。
1、商標を商品又はその包装容器に用いる。
2、前号の商品を所持、陳列、販売、輸出又は輸入する。
3、提供する役務に関連する物品に商標を用いる。
4、商標を商品又は役務と関連する商業文書もしくは広告に用いる。
前項各号の状況は、デジタルマルチメディア、電子メディア、インターネット又はその他媒介物の方式により行うものも、同様である。
第6条
商標登録出願及びその他手続事項については、商標代理人にその業務を委任することができる。但し、中華民国国内に住所又は営業所を有しないものは、代理人にその業務を委任しなければならない。
前項代理人は国内に住所を有し、並びに次の資格の一があるものに限る。
一、法律に基づいて商標代理業務を行うことができる専門家
二、商標代理人
前項第2号の商標代理人は、商標専属責任機関が主催する商標専門能力認定試験に合格するか、または一定期間商標審査業務に従事し、登録を申請して毎年在職訓練を修了して始めて商標代理業務を行うことができる。
前項商標専門能力認定試験の実施、商標審査業務の一定期間、商標代理人登録の資格と添付書類、在職訓練の方法、時数、商標代理業務実施の管理措置、業務執行停止の申請、登録廃止及びその他遵守すべき事項の弁法は、主務機関がこれを定める。
第7条 二人以上の者が一つの商標を共有しようとする際、全員の名義により出願を提出するが、そのうちの一名を代表者として選定し、代表者は共有者全員の為に、各出願手続、関連書類の受取りを行うことができる。
前項の代表者を選定しない場合、商標専属責任機関は願書に記載されている最初の出願人を送達受取人とする。送達受取人は送達事項を、商標を共有する他の出願人に通知しなければならない。
第8条
商標出願及びその他の手続において、本法に別途規定がある場合を除き、法定期間を超過したか、又は法定手続に合致していない為に補正できない、又は法定手続に合致せず、期間を指定して補正するようにとの通知があったにもかかわらず補正期限を過ぎても未補正のものは、不受理としなければならない。但し、指定期間に遅れても、処分前に補正した場合は受理しなければならない。
出願人が天災又は自己の責任に帰すことのできない事由により法定期間を超過したときは、その原因が消滅した後30日以内に書面を以って理由を説明し、商標専属責任機関へ原状回復の申請を提出することができる。但し、法定期間を超過してすでに1年を過ぎているものは、原状回復を申請することができない。
原状回復の申請は、同時に期間内に行うべき手続を補完しなければならない。
前二項の規定が、第32条第3項に規定されている期間に遅れたときは、適用しない。
第9条
商標出願及びその他の手続は、当該書類又は物件が商標専属責任機関に送達された日を基準とする。郵送の場合は、差出地の郵政消印日を基準とする。
消印日が判読しがたいときは、当事者が挙証した場合を除き、商標専属責任機関に送達された日を基準とする。
第10条
処分書又はその他の書類を送達することができない場合は、商標公報でこれを公告し、公報に掲載後満30日経ったものは、送達済みとみなす。
第11条
商標専属責任機関は、公報を刊行し、登録商標及びその関連事項を掲載しなければならない。
前項の公報は電子方式で行うことができ、その実施日については商標属責任機関が定める。
第12条 商標専属責任機関は商標登録原簿及び商標代理人名簿を備え、商標登録原簿には商標登録、商標権の異動及び法令が定める一切の事項を記載し、商標代理人名簿には商標代理人の登録及びその異動等関連事項を記載し、いずれにも対外的に公開しなければならない。
前項の商標登録原簿及び商標代理人名簿は、電子方式により行うことができる。
第13条
商標出願及びその他の手続きに関しては、電子方式により行うことができる。商標専属責任機関の文書送達も同様である。
前項電子方式の適用範囲、効力、作業手続及びその他遵守すべき事項の弁法は、主務機関がこれを定める。
第14条
商標専属責任機関は、商標登録出願、異議申立、無効審判及び撤回請求案件の審査については、審査官を指定しこれを審査させなければならない。
前項の審査官の資格は、法律を以ってこれを定める。
第15条
商標専属責任機関が前条第1項の案件の審査を行うときは、書面により処分書を作成し、併せて理由を記載して出願人(申立人、請求者)に送達しなければならない。
前項の処分書には、審査官の氏名を記載しなければならない。
第16条
期間の計算について、第33条1項、第75条第4項及び第103条の規定を除き、その始めの日は計算に入れない。
第17条 本章の商標に関する規定は、証明標章、団体標章、団体商標において準用する。
第二章 商標
第一節 登録出願
第18条
商標とは、何らかの識別性を有する標識であり、文字、図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音声等、又はその組合せにより構成されるものである。
前項でいう識別性とは、商品又は役務の関連消費者に、指示する商品又は役務の供給元を認識させ、他人の商品又は役務と区別できるものである。
第19条
商標登録を出願する際は、出願人、商標図案及び使用を指定する商品又は役務を明記した願書を揃えて、商標専属責任機関へ出願しなければならない。
商標登録の出願は、前項の願書を提出した日を出願日とする。
第1項の出願人は、自然人、法人、組合団体、法によって設立された非法人団体、または商業登録法に基づいて登記された事業者であり、指定商品または役務の業務に従事しようとする者である。
商標図案は、鮮明、明確、完全、客観的で、持久性を有し、及び理解しやすい方式で示さなければならない。
商標登録の出願は、一出願案一商標の方式により行うこととする。又、二以上に区分の商品又は役務への使用を指定することができる。
前項の商品又は役務の区分は、本法施行細則で定める。
類似商品又は役務の認定は、前項の商品又は役務の区分の制限を受けない。
商標登録を出願する際、出願人に即時に権利を取得する必要があるとき、事実及び理由を明確に叙述し、加速審査料を支払った後は、商標専属責任機関が加速審査を行う。但し、商標専属責任機関がその登録出願に対し補正または拒絶査定理由を通知したときは、これを適用しない。
第20条
中華民国と相互に優先権を承認する関係にある国又は世界貿易機関加盟国で、法に基づき商標登録を出願し、その出願人が最初の出願日から6ヶ月以内に、中華民国で同一の商品又は役務の一部又は全部について、同様の商標を以って登録出願したときは、優先権を主張することができる。
外国の出願人が世界貿易機関加盟国国民ではなく、且つその属する国と中華民国が相互に優先権を承認していなくても、互恵国又は世界貿易機関加盟国領域内に住所又は営業所を設置していれば、前項の規定に基づき優先権を主張することができる。
第1項の規定により優先権を主張するものは、登録出願と同時に優先権を主張する旨を声明し、且つ、願書において次に掲げる事項を明記しなければならない。
一、最初に出願した出願日。
二、当該出願の受理国又は世界貿易機関加盟国。
三、最初に出願したときの出願案件番号。
出願人は、出願日から3ヶ月以内に、前項の国又は世界貿易機関加盟国の受理を証明する出願書類を提出しなければならない。
第3項第1号、第2号又は前項の規定に基づく手続を行わないものは、優先権を主張しないものとみなす。
優先権を主張する場合、その出願日は優先権日を基準とする。
複数の優先権を主張するときは、その商品又は役務が主張する優先権日を出願日とする。
第21条
中華民国が主催、又は認可する国際博覧会にて出展した商品又は役務に使用した商標の登録出願について、当該商品又は役務の出展日から6ヶ月以内に出願する場合、その出願日は出展日を基準とする。
前条の規定は、前項の博覧会に基づき優先権を主張するものに、これを準用する。
第22条
二人以上の者がそれぞれ同日に同一又は類似の商標について、同一又は類似の商品又は役務に登録出願を行い、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあり、出願の先後が判別できないときは、各出願人の協議によりこれを定める。協議が成立しないときは、抽選によりこれを定める。
第23条 商標図案及びその使用に係る指定商品又は役務は、出願後に変更することができない。但し、使用に係る指定商品又は役務の減縮、若しくは商標図案について実質的な変更でない場合は、この限りでない。
第24条
出願人の名称、住所、代理人又はその他の登録出願事項を変更するときは、商標専属責任機関に変更を申請しなければならない。
第25条
商標登録の出願事項に下記の誤りがあるときは、申請又は職権により訂正することができる。
1、出願人の名称又は住所の誤り。
2、文字用語又は清書の誤り。
3、その他明らかな誤り。
前項の訂正申請は、商標の同一性に影響を与えたり、又は使用を指定する商品や役務の範囲を拡大してはならない。
第26条 出願人は、商標専属責任機関へ使用に係る指定商品又は役務を二以上の出願に分割することを請求することができ、分割後の出願日は原登録出願日とする。
第27条 商標登録の出願により生じた権利は、他人に移転することができる。
第28条
共有商標の出願権又は共有者の持分の移転は、全共有者の同意を得なければならない。但し、相続、強制執行、裁判所判決又はその他法律規定に基づき移転するものは、この限りではない。
共有商標の出願権放棄は、全共有の同意を得なければならない。但し、各共有者がその持分を放棄する場合は、この限りでない。
前項の共有者が自分の持分を放棄する場合、他の共有者にその持分の比率に応じてそれを分配する。
前項の規定は、共有者が死亡して相続人がいない、又は消滅後に引受人がいないときに、準用する。
共有商標の出願権の使用指定商品や役務の減縮又は分割は、全共有者の同意を経なければならない。
第二節 審査及び許可
第29条
商標が、次に掲げる識別性を有していない状況の一に該当するときは、登録を受けることができない。
一、指定商品や役務の品質、用途、原料、産地又は関連する特性のみを描写する説明で構成されたもの。
二、指定商品や役務の慣用標章又は名称のみで構成されたもの。
三、その他、識別性を具えない標識のみで構成されたもの。
前項第1号又は第3号の規定に該当する場合、例えば出願人が使用し、なお且つ取引において既に出願人の商品又は役務を識別する標識となっているものは、これを適用しない。
商標図案に識別性を具えない部分が含まれ、なお且つ、商標権の範囲について疑義が生じるおそれがあるとき、出願人は当該部分について専用しないことを声明しなければならない。専用しない旨を声明しない場合、登録することができない。
第30条
商標が次に掲げる状況の一に該当するときは、登録を受けることができない。
一、商品又は役務の機能を発揮するためにのみ必要なもの。
二、中華民国の国旗、国章、国璽、軍旗、軍章、官印、勲章又は外国の国旗、又は世界貿易機関加盟国がパリ条約第6条の3第3号により通知した外国紋章、国璽又は国章と同一又は類似しているもの。
三、国父(孫文)又は国家元首の肖像又は氏名と同一のもの。
四、中華民国政府機関又はその主催する博覧会の標章、又はそれが授与する褒章等と同一または類似のもの。
五、国際的な政府組織又は国内外の著名、且つ公益性の有る組織の徽章、旗、その他の記章、略語、又は名称と同一又は類似していて、公衆が誤認、誤信するおそれがあるもの。
六、国内外で品質管理又は検証を表すのに用いる国家の標識、又はマークと同一又は類似し、且つ同一又は類似の商品又は役務に使用を指定しているもの。
七、公共の秩序又は善良な風俗を害するもの。
八、商品又は役務の性質、品質又は産地について公衆に誤認、誤信させるおそれがあるもの。
九、中華民国又は外国のワイン又は蒸留酒の産地表示と同一又は類似し、なお且つワイン又は蒸留酒と同一又は類似の商品において使用を指定し、更に当該外国と中華民国が協定を締結しているか、又はいずれも国際条約に参加しているか、又はワイン又は蒸留酒の地理表示の保護を相互に承認しているもの。
十、同一又は類似の商品又は役務における他人の登録商標又は先に出願された商標と同一又は類似であり、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの。但し、当該登録商標又は先に出願された商標の所有者の同意を得て出願し、且つ、明らかに不当でないものは、この限りでない。
十一、他人の著名な商標又は標章と同一又は類似し、関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれがあり、又は著名商標又は標章の識別性又は信用・名声に損害を生じさせるおそれがあるもの。但し、当該商標又は標章の所有者の同意を得て登録出願するときはこの限りでない 。
十二、同一又は類似の商品又は役務について、他人の先使用に係る商標と同一又は類似であり、出願人が当該他人との間に契約、地縁、業務取引又はその他の関係を有する為に、他人の商標の存在を知っており、意図的に模倣、登録出願したもの。但し、その同意を得て登録出願する場合は、この限りでない。
十三、他人の肖像又は著名な氏名、芸名、ペンネーム、通称名があるもの。但し、その同意を得て登録出願するときは、この限りでない。
十四、著名な法人、商号又はその他の団体の名称と同一または類似し、関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれのあるもの。但し、その同意を得て登録出願するときは、この限りでない。
十五、商標が他人の著作権、特許権又はその他の権利を侵害しており、判決を経てそれが確定したもの。但し、その同意を得て登録出願するときは、この限りでない。
前項第9号及び第11号から第14号までに規定する地理表示、著名及び先使用の認定は、出願時を基準とする。
第1項第2号、第4号、第5号及び9号の規定は、政府機関又は関連する機関が出願人であるとき、またはその同意を得て登録出願するときは、適用しない。
商標図形に第1項第1号の機能性部分が含まれているのに、点線で表示されていないものは登録することができない。点線で表示できず、且つ商標の一部に属さないことを声明しないものも同様である。
第31条 商標登録出願が審査を経て、第29条第1項、第3項、前条第1項、第4項又は第65条第3項により、登録することができない状況があると認められたときは、拒絶査定にしなければならない。
前項の拒絶査定前に、拒絶査定理由を書面で出願人に通知して、期限を定めて意見を陳述させなければならない。
使用指定する商品又は役務の減縮や、商標図案の実質的変更でないもの、登録出願の分割及び専用しない旨の声明は、拒絶査定前にこれを行わなければならない。
第32条
商標登録出願が審査を経て前条第1項の規定に該当しないと認められたときは、登録査定にしなければならない。
登録査定を受けた商標については、出願人が査定書送達の日から2ヶ月以内に、登録料を納付した場合においてのみ登録公告し、商標登録証を発行する。期間内に納付しないものは、登録を公告しない。
出願人の故意ではなく、前項所定の期限内に登録料を納付しない場合、納付期間終了後6ヶ月以内に2倍の登録料を納付すれば、商標専属責任機関がこれを公告する。但し、第三者によるこの期間内の登録出願又は商標権の取得に影響する場合は、これを行うことができない。
第三節 商標権
第33条
商標は登録公告の日よりその権利者が商標権を取得し、商標権の存続期間は10年とする。
商標権の存続期間は更新登録することができ、一回ごとの更新は10年とする。
第34条
商標権の更新は商標権の存続期間満了前の6カ月以内に申請を提出し、更新登録料を納付しなければならない。商標権存続期間終了後6ヶ月以内に申請を提出するときは、更新登録料を2倍納付しなければならない。
前項の更新登録期間は、商標権の存続期間が満了した日から起算される。
第35条
商標権者は登録を経てその指定商品又は役務について商標権を取得する。
商本法第36条で別途規定する場合を除き、次に掲げる状況ついては、商標権者の同意を得なければならない。
一、同一の商品又は役務について、登録商標と同一の商標を使用するとき。
二、類似の商品又は役務について、登録商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあるとき。
三、同一又は類似の商品又は役務について、登録商標と類似の商標を使用し、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるとき。
商標が登録されたものは、登録商標又は国際的に通用する登録記号を明記することができる。
第36条
次に掲げる状況は、他人の商標権の効力に拘束されない。
一、商業取引慣例に合致する誠実且つ信用できる方法で、自己の氏名、名称、又はその商品又は役務の名称、形状、品質、性質、特性、用途、産地又はその他商品又は役務自体の説明を表示するもので、商標として使用されていないもの。
二、商標取引慣習に合致する誠実な信用ある方法をもって、商品または役務の使用目的を表示し、他人の商標を使用することによってそれが他人の商品または役務であることを示す必要があるもの。但し、その使用結果に関連消費者を誤認混同させるおそれがあるものは、これを適用しない。
三、商品又は役務の機能を発揮するために必要なもの。
四、他人の商標の登録出願日より前に、善意で同一又は類似の商標を同一又は類似の商品又は役務に使用しているもの。但し、それは元の使用の範囲に限られる。その際、商標権者は適当な区別表示を付記するよう要求することができる。
登録商標を付した商品が、商標権者又はその同意を得た者により国内外の市場において流通取引されたとき、商標権者は当該商品について商標権を主張することができない。但し、商品が市場に流通した後に、商品の変質、破損または他人による無断加工、改造の発生を防止するため、又はその他正当な事由があるものはこの限りでない。
第37条
商標権者は、登録商標が指定する商品又は役務について、商標専属責任機関に商標権の分割を出願することができる。
第38条 商標図案及びその使用指定商品又は役務は、登録後に変更することができない。但し、使用指定商品又は役務の減縮はこの限りでない。
商標登録事項の変更又は訂正は、第24条及び第25条の規定を準用する。
登録商標が異議申立、無効審判又は撤回案件にかかわるときに、商標権の分割又は使用指定商品又は役務の減縮を申請する場合は、処分前に行わなければならない。
第39条
商標権者は、その登録商標の指定商品又は役務の全部又は一部について、地区を指定して専用使用権又は非専用使用権を許諾することができる。
前項の使用許諾について、商標専属責任機関に登記していないものは、第三者に対抗することができない。
使用許諾の登記後に商標権が移転される場合、その使用許諾契約は譲受人に対し引き続き有効に存続する。
非専用使用権の許諾を登記した後に、商標権者が更に専用使用権の許諾を登記するとき、先行する非専用使用権許諾は影響を受けない。
専用使用権者は許諾を受けた範囲内で、商標権者及び第三者の登録商標使用を排除することができる。
商標権が侵害を受けたとき、専用使用権の許諾範囲内において、専用使用権者は、自己の名義を以って権利を行使することができる。但し、契約に別途約定があるものは、その約定に従う。
第40条
専用使用権者は、許諾範囲内において他人に使用を再許諾することができる。但し、契約に別途約定があるものはその約定に従う。
専用使用権者ではない者は商標権者又は専用使用権者の同意を得ずに、他人に使用を再許諾することができない。
再許諾が、商標専属責任機関に登記していない場合、第三者に対抗することができない。
第41条
商標の使用許諾期間の満了前に次の各号に掲げる状況の一に該当するとき、当事者又は利害関係人は関連証拠を添付して、使用権登録の撤回を請求することができる。
一、商標権者及び使用権者の双方が終了に同意した場合。再使用許諾の場合も同様とする。
二、使用許諾契約に、商標権者又は使用権者により使用許諾を任意終了できると明記してあり、当事者が終了を声明した場合。
三、商標権者が、使用権者が使用許諾契約の約定に違反したことをもって、使用権者に契約解除又は終了を通知し、使用権者もそれに対し異議がない場合。
四、その他関連する事証により、既に許諾関係が存在しないことを証明できる場合。
第42条
商標権の移転について、商標専属責任機関に登記していないものは、第三者に対抗することができない。
第43条
商標権を移転したことにより、二以上の商標権者が同一商標を類似の商品又は役務において使用する場合、又は類似商標を同一又は類似の商品又は役務において使用する場合で、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるときは、各商標権者が商標使用時に適当な区別標示を付け加えなければならない。
第44条
商標権者は質権の設定及び質権の変更、消滅について、商標専属責任機関に登記していないとき、第三者に対抗することができない。
商標権者が複数の債権担保のために商標権に複数の質権を設定するときは、登記の先後によりその順位を定める。
質権者は商標権者の使用許諾を得ずに、当該商標を使用することができない。
第45条
商標権者は、商標権を放棄することができる。但し、使用許諾の登録又は質権の登録があるときは、使用権者又は質権者の同意を経なければならない。
前項の放棄は、書面を以って商標専属責任機関に行わなければならない。
第46条
共有に係る商標権の使用許諾、再許諾、移転、放棄、質権設定又は持分の移転又は質権設定は、全共有者の同意を得なければならない。但し、相続、強制執行、裁判所判決又はその他法律規定に基づき移転するときは、この限りでない。
共有に係る商標権者の持分の放棄については、第28条第2項但書及び第3項規定を準用する。
共有に係る商標権者が死亡して、相続人がいないか、又は消滅後引受人がいないとき、その持分の分配については第28条第4項の規定を準用する。
共有に係る商標権の使用指定商品又は役務の減縮又は分割については、第28条第5項の規定を準用する。
第47条
次の各号に掲げる状況の一に該当するものは、商標権が当然に消滅する。
一、第34条の規定により更新登録を行わないとき、商標権は当該商標権の存続期間満了後に消滅する。
二、商標権者が死亡し、相続人がいない場合、商標権は商標権者が死亡後に消滅する。
三、第45条の規定に従って商標権を放棄するとき、その書面による意思表示が商標専属責任機関に送達された日に消滅する。
第四節 異議申立
第48条
商標の登録が第29条第1項、第30条第1項又は第65条第3項の規定に違反するときは、何人も、商標登録公告日後3ヶ月以内に、商標専属責任機関に対して異議申立をすることができる。
前項の異議申立は、登録商標の指定商品又は役務の一部について行うことができる。
異議申立は、登録商標毎に個別にしなければならない。
第49条
異議申立をするものは、異議申立書において事実及び理由を明記し、副本を添付しなければならない。異議申立書に添付書類の提出があった場合、副本にも提出しなければならない。商標専属責任機関は、異議申立書を商標権者に送達し、期限を定めて答弁させなければならない。商標権者が答弁書を提出したとき、商標専属責任機関は答弁書を異議申立人に送達し、期限を定めて意見を陳述させなければならない。
前項規定に従い提出された答弁書又は陳述意見書により、手続が遅滞するおそれがあるとき、又は既にその事実証拠が明確であるとき、商標専属責任機関は相手方に答弁又は陳述意見を通知しないで、審理を行うことができる。
第50条
異議申立に係る商標の登録に違法事由があるかどうかは、第106条第1項及び第3項に規定されているものを除き、その登録公告時の規定に基づく。
第51条 商標登録異議申立の案件については、原出願の審査に参与したことがない審査官が審査しなければならない。
第52条
異議申立手続きの進行中、異議を申立てられた商標権が移転されたときでも、異議申立の手続きは影響を受けない。
前項の商標権の譲受人が被異議申立人の地位を受け継ぐ旨を声明できるときは、引き続き異議申立の手続きを続行する。
第53条
異議申立人は、異議審決の前にその異議申立てを取り下げることができる。
異議申立人が異議申立てを取り下げるときは、同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由をもって、再び、異議申立又は無効審判請求をすることができない。
第54条
異議申立が、異議申立成立となったときは、その登録を取り消さなければならない。
第55条 前条の取消事由が、登録商標の指定商品又は役務の一部に該当する場合は、当該部分の商品又は役務についてその登録を取り消すことができる。
第56条
異議申立が確定した後の登録商標については、何人も同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由を以って、無効審判を請求することができない。
第五節 無効審判
第57条
商標の登録が第29条第1項、第30条第1項又は第65条第3項の規定に違反するとき、利害関係人又は審査官は商標専属責任機関にその登録に係る無効審判を請求又は提起することができる。
商標登録が第30条第1項第10号の規定に違反であるとして、商標専属責任機関に無効審判請求する際に、無効審判に係る商標の登録が既に満3年経過していることに依拠する場合、無効審判請求前の3年間商品又は役務において使用していたと主張できる証拠、又はそれが未使用であった正当な事由があるという事実証拠を添付しなければならない。
前項の規定に基づき提出する使用の証拠は、商標が真に使用されていたことを証明するに足るもので、同時に商業取引の一般的慣例に合致していなければならない。
第58条
商標の登録が第29条第1項第1号、第3号、第30条第1項第9号から第15号まで、又は第65条第3項の規定に違反するときでも、登録公告日から5年経過したものは、無効審判を請求又は提起することができない。
商標の登録が第30条第1項第9号、第11号の規定に違反し、悪意によるものである場合、前項の期間の制限を受けない。
第59条
商標の無効審判案件は商標専属責任機関の長官が3名以上の審査官を審判官として指定し審判を行う。
第60条 無効審判の審決が成立した案件は、その登録を取消さなければならない。但し、登録できない状況がすでに存在しないものは、公益及び当事者の利益の衡平を斟酌して、不成立の審決を下すことができる。
第61条
無効審判案件の処分後は、何人も、同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由をもって、無効審判を請求することができない。
第62条
第48条第2項、第3項、第49条から第53条まで、及び第55条の規定は、商標の無効審判において準用する。
第六節 撤回
第63条
商標登録後に次に掲げる事情の一に該当するものは、商標専属責任機関が職権又は請求によりその登録を撤回(取消)しなければならない。
一、自ら商標を変更し又は付記を加えたことにより、同一又は類似の商品又は役務において、他人が使用する登録商標と同一又は類似を構成し、関連する消費者に混同誤認のおそれを生じさせるとき。
二、正当な事由なくして未使用又は使用の停止が継続して3年経過したもの。但し、使用権者が使用しているときは、この限りでない。
三、第43条の規定に反し、適当な区別標示を付け加えないとき。但し、商標専属責任機関が処分する前に区別標示を付加し、誤認混同を生じさせるおそれがないときは、この限りでない。
四、商標が既に指定商品又は役務の慣用標章、名称又は形状となっているとき。
五、商標の実際使用時に、公衆にその商品又は役務の性質、品質又は産地を誤認誤信させるおそれがあるとき。
使用権者が前項第1号の行為をなし、商標権者が明らかに知っていた、又は知ることができるのに、反対を示さないときも同様とする。
第1項第2号の規定に該当し、撤回請求時に当該登録商標が使用されているときは、他人による撤回請求を知って、撤回請求前の3ヶ月以内に使用を開始したものを除き、その登録を撤回しない。
撤回事由が登録商標の指定商品又は役務の一部のみに存在するときは、当該部分の商品又は役務についてその登録を撤回することができる。
第64条
商標権者が実際に使用している商標が登録商標と異なっているが、一般的な社会通念でその同一性を失っていない場合、その登録商標を使用しているものと認める。
第65条
商標専属責任機関は撤回(取消)請求の旨を商標権者へ通知し、並びに期限を定めて答弁させなければならない。商標権者が答弁書を提出したとき、商標専属責任機関は答弁書を請求人に送達し、期限を定めて意見を陳述させなければならない。但し、請求人の請求が具体的な事実及び証拠を有さず、又はその主張に明らかに理由のないときは、その請求を棄却することができる。
第63条第1項第2号に規定の状況に該当し、答弁通知が送達されたとき、商標権者はその使用の事実を証明しなければならず、期間内に答弁しないものは、その登録を撤回することができる。
登録商標が第63条第1項第1号に規定に該当し、その登録が撤回されたとき、原商標権者は撤回日後3年間、原商標図案と同一又は類似の商品又は役務において同一又は類似の商標を登録出願したり、譲り受け或いは使用権の許諾を受けることができない。商標専属責任機関の処分前においてその商標権の放棄を声明したものも同様とする。
第66条
商標登録後における撤回(取消)事由の有無については、撤回請求時の規定を適用する。
第67条 第48条第2項、第3項、第49条第1項、第3項、第52条及び第53条の規定は、撤回(取消)案件の審査において準用する。
登録商標が第63条第1項第1号の規定により撤回請求するときは、第57条第2項及び第3項の規定を準用する。
商標権者が第65条第2項に基づき、使用の証拠を提出するときは、第57条第3項の規定を準用する。
第七節 権利侵害の救済
第68条
商標権者の同意を得ず、次に掲げる各号の一の状況がある場合は、商標権侵害である。
一、同一商品又は役務において、登録商標と同一の商標を使用したもの。
二、類似の商品又は役務において、登録商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの。
三、同一又は類似の商品又は役務において、登録商標と類似の商標を使用したことにより、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの。
自分または他人が登録商標と同一または類似の商品または役務に用いるために、商標権者の同意を得ずに、登録商標と同一または類似のラベル、タグ、包装容器を付したもの、または役務に関する物品を販売の目的で製造、販売、所持、陳列、輸出または輸入した場合も商標権侵害である。
第69条 商標権者は、その商標権を侵害したものに対し、その除去を請求することができ、侵害のおそれがあるときは、その防止を請求することができる。
商標権者が前項の規定に基づき請求するとき、商標権侵害に係る物品及び侵害行為に用いられた原料又は器具について、廃棄するよう請求することができる。但し、裁判所は侵害の程度及び第三者の利益を斟酌してから、その他の必要な処置を行うことができる。
商標権者は、故意又は過失によりその商標権を侵害されたときに、損害賠償を請求することができる。
前項の損害賠償請求権は、請求権者が損害及び賠償義務者の存在を知ったときより2年間行使しない場合に消滅し、侵害行為があったときより10年経過したものも同様である。
第70条
商標権者の同意を得ず、次に掲げる事情の一がある場合、商標権を侵害するものとみなす。
一、他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、同一又は類似の商標を使用して、当該商標の識別性又は信用・名声に損害を生じさせるおそれがあるもの。
二、他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、当該著名商標にある文字を、自らの会社、商号、団体、ドメインネーム又はその他営業主体を表す名称として、関連消費者に誤認混同を生じさせるおそれがある、又は当該商標の識別性又は信用・名声に損害を生じさせるおそれがあるもの。
第71条 商標権者が損害賠償を請求するときは、次の各号に掲げる一を選択してその損害を計算することができる。
一、民法第216条の規定による。但し、その損害を証明するための証拠方法を提供できないとき、商標権者はその登録商標を使用することにより通常得られる利益から、侵害された後に同一の商標の使用して得た利益を差し引いた差額をもって損害を受けた額とすることができる。
二、商標権侵害行為により得た利益による。商標権侵害者がその原価又は必要経費を挙証できないときは、当該商品を販売した収入の全部をその所得利益とする。
三、押収した商標権侵害に係る商品の販売単価の1500倍以下の金額を損害額とする。但し、押収した商品が1500点を超えるときは、その総額で賠償金額を定める。
四、商標権者が他人に使用許諾して受取るロイヤリティに相当する金額をもって、その損害額とする。
前項の賠償金額が明らかに相当しないときは、裁判所がこれを斟酌して減額することができる。
第72条
商標権者は、輸入又は輸出される物品がその商標権を侵害するおそれがあるとき、税関に予め差し止めを申立てることができる。
前項の申立ては、書面を以って行い、侵害事実を釈明しなければならず、税関が算出した当該輸入貨物のCIF価格又は輸出貨物のFOB価格に相当する保証金又は相当の担保を提供する。
税関が差止申立てを受理したときは、速やかに申立人へ通知しなければならない。前項の規定に合致すると認定し、差し止めを実施するときは、書面を以って申立人及び差し止めを受ける者へ通知しなければならない。
差し止めを受けた者は、第2項の保証金額の倍額の保証金又は相当の担保を提供し、税関へ差押止めの取消並びに輸出入貨物の通関に関する規定に基づく処理を申請することができる。
差し止め品について、申立人が裁判所により確定判決を受けると、商標権侵害品となり、差し止めを受けた者は差し止め品のコンテナのデマレージ(超過保管料)、倉敷料、積み卸し費用等の関連費用を負担しなければならない。
第73条
次に掲げる状況の一に該当するものについて、税関は差し止めを解除しなければならない。
一、申立人が税関から差し止め受理の通知を受けた日の翌日から12日以内に、第69条の規定により差し止め品を侵害物として訴訟を提起せず、税関に通知しなかったとき。
二、申立人が差し止め品を侵害物として訴訟を提起したが、裁判所の決定により棄却が確定したとき。
三、差し止め品が裁判所による確定判決を経て、商標権侵害品ではないとされたとき。
四、申立人が差し止めの解除を申立てたとき。
五、前条第4項の規定に該当するとき。
前項第1号に規定する期限は、税関が必要により12日間延長をすることができる。
税関が第1項の規定により差し止めを解除するときは、輸出入貨物の通関に関する規定により取り扱わなければならない。
第1項第1号から第4号の事由により差し止めを解除する場合、申立人は差し止め品のコンテナのデマレージ(超過保管料)、倉敷料、積み卸し費用等の関連費用を負担しなければならない。
第74条
差し止め品が裁判所の判決を経て商標権侵害品ではないと確定したとき、申立人は、差し止めを受けた者が差し止められたことにより、又は第72条第4項の規定による保証金の提供により受けた損害を賠償しなければならない。
申立人は第72条第4項に規定の保証金について、差し止めを受けた者は第72条第2項に規定の保証金について、質権者と同一の権利を有する。ただし、前条第4項及び第72条第5項に規定するコンテナのデマレージ(超過保管料)、倉敷料、積み卸し費用等の関連費用は、申立人又は差し止めを受けた者に対する損害補償よりも優先する。
次に掲げる状況の一に該当するとき、税関は申立人の請求により第72条第2に規定する保証金を返還しなければならない。
一、申立人が勝訴の確定判決を受けたか、又は差し止めを受けた者と和解が成立し、既に保証金の提供を継続する必要がなくなったとき。
二、前条第1項第1号から第4号までに規定の事由により差し止めが解除され、差し止めを受けた者が損害をこうむるに至った後、又は差し止めを受けた者が勝訴の確定判決を受けた後、申立人が20日以上の期間を定めて差し止めを受けた者へ権利行使を催告しても行使しなかったことを証明したとき。
三、差し止めを受けた者が返還に同意したとき。
次に掲げる状況の一に該当するとき、税関は差し止めを受けた者の請求により、第72条第4項に規定する保証金を返還しなければならない。
一、前条第1項第1号から第4号までに規定の事由により差し止めが解除されたか、又は差し止めを受けた者と申立人との和解が成立し、すでに保証金の提供を継続する必要がなくなったとき。
二、申立人が勝訴の確定判決を受けた後、差し止めを受けた者が20日以上の期間を定めて申立人へ権利行使を催告しても行使しなかったことを証明したとき。
三、申立人が返還に同意したとき。
第75条
税関が職務を執行中において、輸入又は輸出する物品に明らかに商標権侵害のおそれがあることを発見したとき場合は、商標権者及び輸出入者に通知しなければならない。
税関が前項の通知を行うときは、商標権者に認定するよう期限を定めて求め、並びに権利侵害の事実証拠事証を提出させなければならない。同時に期限を定めて、輸出入者に権利を侵害していないことのを証明する書類を提出供させなければならない。但し、商標権者又は輸出入者に正当な理由があってり、指定期限内に提出できないとき場合は、書面で理由を釈明して税関に延長を申請することができるが、これは。但し、一回を限りとする。
すでに商標権者がはすでに権利侵害の事実証拠を提出したのにもかかわらずが、輸出入者が前項に規定する、権利を侵害がしていないことのを証明する書類のを提出をしていない場合、税関は暫定的に暫時、通関させない不許可の措置をと採ることができる。
商標権者が権利侵害の事実証拠を提出したが、輸出入者もが第2項の規定に基づきより権利侵害がないことを証明する書類を提出した場合、税関は商標権者に対し通知し、通知したときのときから3作業日以内に、第72条第1項の規定に基づきよる差し止めを申立てるを行うよう通知しなければならない。
商標権者が前項に規定する期限内に、第72条第1項の規定に従ったよる差止申立をてをしないかった場合、税関は代表的なサンプルを取り出してから、物品をの通関させるを許可することができる。
第76条
税関は対象の差し止め品の機密資料保護を損なわない状況の下で、第72条に定める申立人又は差し止めを受けた者又は前条に定める商標権者又は輸出入者の申請に応じ、その差し止め品の検査に同意することができる。
税関が第72条第3項の規定に基づき差し止めを実施したり、又は前条第3項の規定に基づき、暫定的に通関させない措置をとってから、商標権者は税関に関連資料の提供を申請することができる。税関の同意後に、輸出入者、荷受人や出荷人の氏名又は名称、住所及び被疑侵害品の数量を提供する。
商標権者が前項の規定に基づき入手した情報は、商標権侵害案件の調査及び訴訟提起の目的の使用のみに限られ、任意に第三者に漏洩してはならない。
第77条
商標権者は、第75条第2項の規定に従って権利侵害を認定するとき、税関によって算出された輸入貨物見本の課税価格及び関連する税金、又は税関が算出した輸出貨物見本のFOB価格及び関連する税金の120%に相当する保証金を納付して、税関に貨物見本の貸出申請を行い、認定を行うことができる。但し、貨物見本を借受けて認定する必要性があり、且つ商標権者が書面で輸出入者の利益を侵害しない、不正な用途に使用しない旨を誓約した場合に限る。
前項の保証金はNT$3,000を下回ってはならない。
商標権者が第75条第2項に定める権利侵害認定の事実証拠の提出期限内に借り受けた貨物見本を返還しないか、又は返還した貨物見本と元の貨物見本が一致しない、又は欠損等の状況が生じたとき、税関はその保証金を留置して、輸出入者の損害を賠償しなければならない。
貨物見本の輸出入者は、前項により規定の留置した保証金について、質権者と同一の権利を有する。
第78条
第72条から第74条までに規定する差し止め申立て、差止解除、保証金又は担保の納付、提供と返還の手続、必要書類及びその他の遵守事項にかかる規定については、主務機関が財政部と共にこれを定める。
第75条から第77条に規定の税関により執行する商標権保護措置、権利者により申請する差し止め品検査、権利侵害貨物の関連情報の提供申請、及び貨物見本の貸出申請について、その手続、必要書類及びその他関連事項の規定は財政部がこれを定める。
第79条
裁判所は商標訴訟案件を処理するために、専門の法廷を設立し、又は専任者を指定して処理することができる。
第三章 証明標章、団体標章及び団体商標
第80条
証明標章とは、証明標章権者がこれを用いることにより、他人の商品又は役務の特定の品質、精密度、原料、製造方法、産地又はその他の事項を証明するものであり、並びにこれを以って未証明の商品又は役務と区別する標識である。
前項の産地を証明するものは、当該地理区域の商品又は役務が、特定の品質、名声又はその他の特性を有していなければならない。証明標章の出願人は当該地理の名称を含むか、又は当該地理区域を十分に示すことができる標識を産地証明標章として登録出願することができる。
主務機関は中央目的事業主務機関と共同で、経営困難な産業、経営困難に瀕している産業及び伝統産業を指導、補助し、生産力及び製品品質を向上させるとともに、各当該産業別にその原産地について台湾製造であるとの証明標章を設けなければならない。
前項産業の認定及び指導、補助の対象、基準、期間及び遵守事項などについては、主務機関が各当該中央目的事業主務機関と協議してから定め、必要時に、証明標章の関連政府料金を免除することができる。
第81条
証明標章の出願人は、他人の商品又は役務を証明する能力を有する法人、団体又は政府機関に限る。
前項の出願人が、証明しようとする商品又は役務の業務に従事しているときは、登録出願することができない。
第82条
証明標章登録の出願者は、他人の商品又は役務を証明する能力を有するという書類、証明標章の使用規範書、及び証明商品の製造、販売又は役務の提供に従事していないことの声明を添付しなければならない。
産地証明標章登録を出願した出願人の代表性に疑義があるとき、商標専属責任機関は商品又は役務の中央目的事業主務機関に意見を求めることができる。
外国法人、団体又は政府機関は、産地証明標章を出願するとき、その名義でその原産国の保護を受けていることを証明する書類を提出しなければならない。
第1項の証明標章使用規範書には下記事項を明記しなければならない。
一、証明標章の証明する内容。
二、証明標章の使用条件。
三、証明標章の使用を管理及び監督する方法。
四、該証明標章の使用を申請する際の手続事項及びその争議解決方法。
商標専属責任機関が登録を公告する際は、証明標章使用規範書も併せて公告しなければならない。登録後に修正したものは、商標専属責任機関の許可を得てから、公告しなければならない。
第83条
証明標章の使用とは、証明標章権者の同意を得た者が証明標章の使用規範書に所定の条件に従い、当該証明標章を使用することである。
第84条
産地証明標章の産地名称には、第29条第1項第1号及び第3項の規定を適用しない。
産地証明標章権者は、他人が商業取引の慣例に合致する誠実で信用できる方法により、その商品又は役務の産地を表示することを禁止することができない。
第85条 団体標章とは、法人資格を有する組合、協会又はその他団体がその会員の会員籍を表彰することにより当該団体の会員ではない者と区別する標識である。
第86条
団体標章登録の出願は、願書に関連事項を明記し、団体標章の使用規範書を添付して、商標専属責任機関へ出願しなければならない。
前項の団体標章使用規範書には、下記事項を明記しなければならない。
一、会員の資格。
二、団体標章の使用条件。
三、団体標章の使用を管理及び監督する方法。
四、規範に違反した場合の処理規定。
第87条
団体標章の使用とは、団体会員がその会員の身分を表彰するために、団体標章使用規範書所定の条件に従い、当該団体標章を使用することである。
第88条
団体商標とは、法人資格を有する組合、協会又はその他の団体がその会員の提供する商品又は役務を示すことにより、当該団体の会員でない者が提供する商品又は役務と区別する標識である。
前項の、会員が提供する商品又は役務が一定の産地からのものであることを示す場合には、当該地理区域の商品又は役務も特定の品質、名声又はその他の特性を有していなければならない。団体商標の出願人は当該地理名称を含むか、又は十分に当該地理区域を示すことができる標識を産地団体標章として登録出願することができる。
第89条
団体商標登録の出願は、願書に商品又は役務を明記し、団体商標の使用規範書を添付して、商標専属専門機関へ出願しなければならない。
前項の団体商標使用規範書には、下記事項を明記しなければならない。
一、会員の資格。
二、団体商標の使用条件。
三、団体商標の使用を管理及び監督する方法。
四、規範に違反した場合の処理規定。
産地団体商標使用規範書には、前項の明記すべき事項以外に、地理区域の確定範囲内の者がその商品又は役務及び資格について、使用規範書に合致するときに、産地団体商標権者はその者が会員となることに同意しなければならないと明記しなければならない。
商標専属責任機関が登録を公告する際、併せて団体商標の使用規範書も公告しなければならない。登録後に修正する場合は、商標専属専門機関の許可を得てから、公告しなければならない。
第90条
団体商標の使用とは、団体又はその会員が団体商標の使用規範書所定の条件に従い、当該団体商標を使用することである。
第91条 第82条第2項、第3項及び第84条の規定を産地団体商標に準用する。
第92条
証明標章権、団体標章権又は団体商標権は、移転、他人への使用許諾、又は質権の設定の対象とすることができない。但し、その移転又は他人への使用許諾が、消費者の利益を損害せず、且つ、公正な競争に反するおそれがなく、商標専属責任機関の許可を得たときは、この限りでない。
第93条
証明標章権者、団体標章権者又は団体商標権者に次に掲げる各号の一の状況がある場合、商標専属責任機関は何人からの請求によっても、又は職権により証明標章、団体標章又は団体商標の登録を撤回することができる。
一、証明標章を商標として使用する。
二、証明標章権者がその証明する商品又は役務の業務に従事する。
三、証明標章権者が当該登録商品又は役務を証明する能力を喪失する。
四、証明標章権者が証明を申請した者に差別的な待遇をする。
五、前条の規定に反して、移転、使用許諾又は質権設定を行う。
六、使用規範書による使用の管理及び監督を行わない。
七、その他の不当な方法での使用により、他人又は公衆に損害を与えるおそれがある。
被許諾者が前項の行為をなし、証明標章権者、団体標章権者又は団体商標権者が明らかに知っていたか、又は知り得たのに、反対を表明しなかったときも同様である。
第94条
証明標章、団体標章又は団体商標は、本章に別途規定がある場合を除き、その性質により本法の商標に関連する規定を準用する。但し、第19条第8項規定は準用しない。
第四章 罰 則
第95条
商標権者又は団体商標権者の同意を得ずに、下記に掲げる状況一に該当するものは、3年以下の有期懲役、拘留又は20万元以下の罰金を科すか、又は併科する。
一、同一の商品又は役務において、登録商標又は団体商標と同一の商標を使用したもの。
二、類似の商品又は役務において、登録商標又は団体商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあるもの。
三、同一又は類似の商品又は役務において、その登録商標又は団体商標と類似する商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあるもの。
自分または他人が登録商標または団体商標と同一の商品または役務に用いることを意図し、商標権者または団体商標権者の同意を得ずに、登録商標または団体商標と同一または類似のラベル、タグ、包装容器を付したもの、または役務に関する物品を販売の目的で製造、販売、所持、陳列、輸出または輸入した場合は、1年以下の有期懲役、拘留又は5万元以下の罰金を科すか、又は併科する。
前項の行為を電子メディア又はインターネットを通して行った場合も同様である。
第96条
証明標章権者の同意を得ずに、同一又は類似の商品又は役務に登録証明標章と同一又は類似した標章を使用して、関連する消費者に誤認、誤信させるおそれがあるものは、3年以下の有期懲役、拘留又は20万元以下の罰金を科すか、または併科する。
自分または他人が登録証明標章と同一の商品または役務に用いることを意図し、証明標章権者の同意を得ずに、登録商標または団体商標と同一または類似のラベル、タグ、包装容器を付したもの、または役務に関する物品を販売の目的で製造、販売、所持、陳列、輸出または輸入した場合は、3年以下の有期懲役、拘留又は20万元以下の罰金を科すか、又は併科する。
前項の行為を電子メディア又はインターネットを通して行った場合も同様である。
第97条 他人が為した前二条第一項の商品を販売、又は販売の意図をもって所持、陳列、輸出又は輸入したものは、一年以下の有期懲役、拘留又は5万元以下の罰金を科すか、又は併科する。前項の行為を電子メディア又はインターネットを通して行った場合も同様である。
第98条
商標権、証明標章権又は団体商標権を侵害する物品又は文書は、犯罪行為者が所有するものかどうかを問わず、これを没収する。
第98-1条 本法に基づく登録を行わずに商標代理人として活動する者、または商標代理人の名義で業務を誘致する者は、商標専属責任機関により三万元以上十五万元以下の罰金を科し、並びに期限を定めてその行為を停止するよう命じる。期間内に停止しなかった場合は、停止するまで毎回処罰する。
前記規定は、商標代理人がその業務を停止したとき、または公告により登録が取消、若しくは廃止されたときも通用する。
商標代理人が第6条第4項に規定の弁法における在職訓練の方法、時数、商標代理業務実施の管理措置に違反した場合、商標専属責任機関はその規定違反の状況によって警告、訓戒、業務執行停止、取消または廃止の処分を下し、並びに商標代理人名簿に公告しなければならない。
第99条
認可を受けていない外国法人又は団体は、本法規定事項について告訴、自訴又は民事訴訟を提起することができる。我国の非法人団体が商標権または証明標章権を取得したものも、同様である。
第五章 附則
第100条
2003年4月29日に改正された本法の条文施行前に登録された役務標章は、本改正法施行日より商標とみなす。
第101条
2003年4月29日に改正された本法の条文施行前に、既に登録された連合商標、連合役務標章、連合団体標章又は連合証明標章は、本改正法施行日より独立の登録商標又は標章とみなす。その存続期間は、原登録を受けたものに準ずる。
第102条
2003年4月29日に改正された本法の条文施行前に登録された防護商標、防護役務標章、防護団体標章又は防護証明標章は、その登録時の規定に基づく。その存続期間満了前に、独立の登録商標又は標章への変更を出願しなければならならず、期間満了までに変更の出願がされないとき、商標権は消滅する。
第103条 前条に基づき独立の登録商標又は標章への変更を出願したものは、第63条第1項第2号に規定する3年間の期間について、変更日より起算する。
第104条
本法に基づく登録出願、加速審査、登録更新、異動登記、異議申立て、無効審判請求、撤回請求及びその他の各手続については、出願料、登録料、加速審査料、登録更新料、登記料、異議申立手数料、無効審判請求手数料、撤回請求手数料等、関連する各政府料金を納付しなければならない。
前項の徴収基準は、主務機関がこれを定める。
第105条
2011年5月31日に改正された本法の条文施行前に、既に登録料を二期に分割して納付していたものは、二期目の登録料を改正前の規定に基づき処理する。
第106条
2023年5月9日に改正された本法の条文施行前に既に受理済みだが、未処分の異議申立又は無効審判請求案件については、登録時及び改正施行後の規定のいずれの違法事由にも該当する場合に限り、その登録を取り消す。その手続は改正施行後の規定に基づき行う。但し、改正施行前に既に法に基づき進行していた手続について、その効力は影響を受けない。
2023年5月9日に改正された本法の条文施行前に登録された商標、証明標章及び団体標章に対する、本法改正施行後の異議申立、無効審判請求、又は提起は、その登録時及び本法改正施行後の規定のいずれの違法事由にも該当する場合に限る。
第107条
2011年5月31日に改正された本法の条文施行前に、未処分であった商標の撤回(取消)案件は、本法改正施行後の規定を適用し処理する。但し、改正施行前に既に法に基づき進行していた手続については、その効力は影響を受けない。
第108条
2011年5月31日に改正された本法の条文施行前に、動態、ホログラム又はその組合せによって登録出願したものは、改正条文施行日を出願日とする。
第109条
動態、ホログラム又はその組合せを以って登録出願し、優先権を主張する場合、中華民国と相互に優先権を承認している国又は世界貿易機関加盟国での出願日が2011年5月31日に改正された本法の条文施行より早い場合は、2011年5月31日に改正された条文施行日をその優先権日とする。
中華民国政府が主催、又は承認する国際博覧会において、登録出願商標の商品又は役務を出展して博覧会による優先権を主張し、その出展日が2011年5月31日に改正された条文施行より早いものは、2011年5月31日に改正された条文施行日をその優先権日とする。
第109-1条
2023年5月9日に改正された本法の条文施行3年前に、継続して商標代理業務を行い、毎年取扱う商標登録出願及びその他手続の案件が10件に達する者は、改正施行の翌日から1年以内に商標代理人としての登録を申請することができる。
前項規定に基づく商標代理人としての登録をしておらず、且つ第6条第2項に規定の資格を有していない者は、商標代理業務の執行を継続することができない。但し、代理案件は、2023年5月9日に改正された本法の条文施行前に、商標専属責任機関に受理され、査定または処分されていない場合は、これに限らない。
第110条
本法の施行細則は、主務機関がこれを定める。
第111条 本法の施行日は、行政院が定める。