個人情報保護法 2023-05-31
2023-06-21 その他
個人情報保護法
公(発)布期日:中華民国84年(西暦1995年)8月11日
改正期日:中華民国112年(西暦2023年)5月31日
中華民国112年(西暦2023年)5月31日総統華総一経字第11200045441号令により第48、56条条文改正、公布。且つ第1-1条条文新設。第48条条文を公布日からの施行とするのを除き、他の改正条文の施行期日については、行政院が定める。
第1章 総則
第1条
個人情報の収集、管理及び利用を規定し、人格権が侵害を受けることを避け、且つ個人情報の合理的利用を促すため、特にこの法律を制定する。
第1-1条
本法の主務機関は個人情報保護委員会である。
個人情報保護委員会の設立日より、本法において記載の中央目的事業主務機関、直轄市、県(市)政府及び第53条、第55条に記載の機関の権限と責任の事項については、当該委員会が管轄する。
第2条
この法律の用語の定義は下記の通り。
1、個人情報とは、自然人の氏名、生年月日、身分証の統一番号、パスポート番号、特徴、指紋、婚姻、家庭、教育、職業、病歴、医療、遺伝子、性生活、健康診断、犯罪前科、連絡方法、財務状況、社会活動及びその他の直接又は間接的方法で当該個人を十分に識別するに足る資料をいう。
2、個人情報ファイルとは、システム構築に基づき自動化機器又はその他の非自動化方法で検索、整理する個人情報の集合をいう。
3、収集とは、何らかの方法で個人の資料を取得することをいう。
4、管理とは、個人情報ファイルの作成又は利用の為に、資料の記録、入力、保存、編集、訂正、複製、検索、削除、出力、リンク又は内部伝達をすることをいう。
5、利用とは、収集した個人情報を管理以外の目的に使用することをいう。
6、国際伝達とは、個人情報の国(境)に跨る管理又は利用をいう。
7、公務機関とは、法の規定により公権力を行使する中央又は地方機関若しくは行政法人をいう。
8、非公務機関とは、前号以外の自然人、法人又はその他の団体をいう。
9、当事者とは、個人情報の本人をいう。
第3条
当事者がその個人情報についてこの法律の規定により行使する下記の権利は、予め放棄又は特約を以って制限してはならない。
1、問い合わせ又は閲覧の請求。
2、複製本作成供与の請求。
3、補充又は訂正の請求。
4、収集、管理又は利用中止の請求。
5、削除の請求。
第4条
公務機関又は非公務機関の委託を受けて個人情報の収集、管理又は利用をするものは、この法律の適用範囲内において、委託機関と同様であるとみなす。
第5条
個人情報の収集、管理又は利用は、当事者の権益を尊重し、誠実及び信用の方法で行い、特定目的の必要範囲を超えてはならず、且つ収集の目的は正当で合理的関連がなくてはならない。
第6条
カルテ、医療、遺伝子、性生活、健康診断及び犯罪前科の個人情報については、収集、管理又は利用をしてはならない。但し下記事情の1つがあるときは、この限りではない。
1、法律に明文で規定されているとき。
2、公務機関が法定職務を執行又は非公務機関が法定義務を履行するのに必要な範囲内、且つ事前又は事後適切な安全保護措置があるとき。
3、当事者が自ら公開、又はその他の既に合法的に公開した個人情報。
4、公務機関又は学術研究機関が医療、衛生又は犯罪予防の目的に基づき、統計又は学術研究の目的で必要、且つ資料が提供者による処理の後又は収集者による開示方法で特定の当事者を識別できないとき。
5、公務機関の法定職務執行又は非公務機関の法定義務履行に協力するのに必要な範囲内、且つ事前又は事後適切な安全保護措置があるとき。
6、当事者の書面による同意を経たもの。但し特定の目的を超える必要範囲又は他の法律に別途制限があって当事者の書面による同意のみにより収集、管理又は利用してはならないもの、又は同意がその意向に反する場合は、この限りではない。
前項規定により個人情報を収集、管理又は利用する場合は、第8条、第9条規定を準用する。その中の前項第6号の書面による同意は、第7条第1項、第2項及び第4項規定を準用し、且つ書面により行う。
第7条
第15条第2号及び第19条第1項第5号でいう同意とは、当事者が収集者の告知を経て本法で定められている告知しなければならない事項を知った後に、同意する書面による意思表示をいう。
第16条第7号、第20条第1項第6号でいう同意とは、当事者が収集者の明確な告知を経て特定目的外のその他の利用目的、範囲及び同意の可否がその権益に与える影響を知った後に、単独で行う書面による意思表示をいう。
公務機関又は非公務機関が第8条第1項各号の告知すべき事項を当事者に明確に告知したときに、もし当事者が拒否を明示せず、且つ既にその個人情報を提供した場合は、当事者が既に第15条第2号、第19条第1項第5号規定による同意を明示したと推定する。
本法でいう当事者の同意を経た事実について、収集者は立証責任を負わなければならない。
第8条
公務機関又は非公務機関は第15条又は第19条の規定により当事者から個人情報を収集するとき、明確に下記事項を当事者に告知しなければならない。
1、公務機関又は非公務機関の名称。
2、収集の目的。
3、個人情報の類別。
4、個人情報利用の期間、地区、対象及び方法。
5、当事者が第3条の規定により行使できる権利及び方法。
6、当事者が個人情報の提供を自由に選択できるときに、提供しない場合、その権益に与える影響。
下記事情の1つがあるときは、前項の告知を免じることができる。
1、法律規定により告知を免じることができるとき。
2、個人情報の収集が公務機関が法定職務を執行、又は非公務機関が法定義務を履行するのに必要なもの。
3、告知した場合、公務機関による法定職務執行の妨害になるとき。
4、告知した場合、公共利益の妨害になるとき。
5、当事者が明らかに告知しなければならない内容を知っているとき。
6、個人情報の収集が営利に基づく目的ではなく、且つ明らかに当事者に不利な影響がないとき。
第9条
公務機関又は非公務機関が第15条若しくは第19条の規定により当事者の提供ではない個人情報を収集したときは、管理又は利用の前に、個人情報の出所及び前条第1項第1号から第5号に記載されている事項を当事者に告知しなければならない。
下記事情の1つがあるときは、前項の告知を免じることができる。
1、前条第2項に記載されている各号事情の1つがあるとき。
2、当事者が自ら公開したか、又は他の既に合法的に公開された個人情報。
3、当事者又はその法定代理人に告知できないとき。
4、公共利益に基づき、統計又は学術研究の目的で必要であり、且つ当該資料が提供者によって処理された後又は収集者のその開示方法により、特定の当事者を識別できない場合に限る。
5、マスコミ業者が新聞報道の公益目的に基づき個人情報を収集するとき。
第1項の告知は、初めに当事者に対し利用したときに合わせて行うことができる。
第10条
公務機関又は非公務機関は、当事者の請求によりその収集する個人情報につき、問い合わせに解答し、閲覧に提供し又は複製本を作成して渡さなければならない。但し下記事情の1つがあるときは、この限りでない。
1、国家安全、外交及び軍事機密、全体的経済利益又はその他の国家の重大な利益の妨害になるとき。
2、公務機関による法定職務の執行の妨害になるとき。
3、当該収集機関又は第三者の重大な利益の妨害になるとき。
第11条
公務機関又は非公務機関は、個人情報の正確性を維持保護し、且つ自発的、若しくは当事者の請求により、適時に訂正又は補充をしなければならない。
個人情報の正確性に争議があるとき、自発的、若しくは当事者の請求に基づき、管理又は利用を中止しなければならない。但し職務の執行又は業務に必須であり、その争議点に註釈を加えるか、若しくは当事者の書面による同意を経て、且つ争議があると明記したときは、この限りでない。
個人情報収集の特定目的が消失し、若しくは期限が満了したとき、自発的、若しくは当事者の請求に基づき、当該個人情報の削除、若しくは管理及び利用を中止しなければならない。但し職務又は業務の執行に必須であるか、又は当事者の書面による同意を経たときは、この限りでない。
本法規定の個人情報の収集、管理又は利用に違反したものは、自発的に、若しくは当事者の請求に基づき、当該個人情報の削除、若しくは個人情報の収集、管理及び利用を中止しなければならない。
公務機関又は非公務機関の責に帰す事由があり、訂正又は補充しない個人情報は、訂正又は補充後、かつての利用を提供する対象に通知しなければならない。
第12条
公務機関又は非公務機関が本法の規定に違反し、個人情報が窃取、洩漏、改ざんされたか若しくはその他の侵害を受けた場合、調査した後で、適切な方法により当事者に通知しなければならない。
第13条
公務機関又は非公務機関が当事者の第10条の規定による請求を受理したときは、15日以内に、許可・棄却の決定をしなければならない。必要時に、延長することができるが、延長期間は15日を超えてはならず、且つ書面を以ってその理由を請求者に通知しなければならない。
公務機関又は非公務機関が当事者の第11条規定による請求を受理したときは、30日以内に、許可・棄却の決定をしなければならない。必要時に、延長することができるが、延長期間は30日を超えてはならず、且つ書面を以ってその理由を請求者に通知しなければならない。
第14条
個人情報の問い合わせ又は閲覧の請求があったり複製本を作成して渡すとき、公務機関又は非公務機関は酌量の上、必要なコスト費用を徴収することができる。
第2章 公務機関による個人情報の収集、管理及び利用
第15条
個人情報の収集又は管理について、第6条第1項に規定されている資料を除き、公務機関は特定の目的を有し、且つ下記事情の1つに該当しなければならない。
1、法定職務執行の必要な範囲内にあるとき。
2、当事者による同意を経たとき。
3、当事者の権益に対し侵害がないとき。
第16条
公務機関が個人情報を利用するときは、第6条第1項に規定されている資料を除き、法定の職務管理上の必要範囲内において行い、且つ収集の特定目的と一致するものでなくてはならない。但し下記事情の1つがあるときは、特定目的以外の利用をすることができる。
1、法令に明文の規定があるとき。
2、国家の安全を維持保護する必要があるとき。
3、当事者の生命、身体、自由又は財産上の急迫な危険を避けるため。
4、他人の権益に重大な危害が生じることを防止するため。
5、公務機関又は学術研究機関が公共利益に基づき、統計又は学術研究の目的で必要とし、且つ当該資料が提供者が処理した後又は収集者のその開示方法により、特定の当事者を識別できないとき。
6、当事者の権益に有利であるとき。
7、当事者による同意があるとき。
第17条
公務機関は下記事項をウェブサイトに公開しなければならず、又は閲覧のために、他の適切な方法で人々に提供しなければならない。それに変更があるときも、同様である。
1、個人情報ファイルの名称
2、保有機関の名称及び連絡方法
3、個人情報ファイル保有の根拠及び特定の目的
4、個人情報の類別
第18条
公務機関にて個人情報ファイルを保有しているときは、特定の人員を指定して、安全の維持保護事項を管理し、個人情報が盗みとられたり、不正に変更されたり、毀損されたり、滅失又は漏洩しないよう防止しなければならない。
第3章 非公務機関による個人情報の収集、管理及び利用
第19条
個人情報の収集又は管理について、第6条第1項に規定されている資料を除き、非公務機関は特定の目的を有し、且つ下記事情の1つに該当しなければならない。
1、法令に明文の規定があるとき。
2、当事者と契約若しくは契約に類似した関係にあり、且つすでに適切な安全措施をとったとき。
3、当事者が自ら公開したか、又はその他の既に合法的に公開された個人情報。
4、学術研究機関が公共利益に基づき、統計又は学術研究の目的で必要とし、且つ当該資料が提供者が管理した後又は収集者のその開示方法により、特定な当事者を識別できないとき。
5、当事者による同意があるとき。
6、公共利益を促進する必要があるとき。
7、個人情報が一般的に得られる出所によるものからである。但し当事者にとって当該資料の管理又は利用の禁止について、明らかに保護の価値がある重大な利益があるものは、この限りではない。
8、当事者の権益に侵害がないとき。
収集又は管理を行うものが前項第7号但書規定により当該資料の管理又は利用の禁止を知り、又は当事者の通知を受けた時は、自発的に、若しくは当事者の請求に基づき、当該個人情報の削除、若しくは管理及び利用を中止しなければならない。
第20条
個人情報の利用について、第6条第1項に規定されている資料を除き、非公務機関は収集の特定目的の必要範囲内において行わなければならない。但し、下記事情の1つがあるときは特定目的以外の利用をすることができる。
1、法令に明文の規定があるとき。
2、公共利益を促進する必要があるとき。
3、当事者の生命、身体、自由若しくは財産上の急迫危険を避けるため。
4、他人の権益に重大な危害が生じるのを防止するため。
5、公務機関又は学術研究機関が公共利益に基づき、統計又は学術研究の目的で必要とし、且つ当該資料が提供者が処理した後又は収集者のその開示方法により、特定な当事者を識別できないとき。
6、当事者による同意があるとき。
7、当事者の権益に有利であるとき。
非公務機関が前項規定により個人情報を利用して販売促進をする場合に、当事者がその販売促進に拒否を表明した時、その個人情報を利用した販売促進を直ちに中止しなければならない。
非公務機関は初めに販売促進をする時に、販売促進の拒絶方法を当事者に提供し、且つ必要な費用を支払わなければならない。
第21条
非公務機関が個人情報を国際伝達する際に、下記事情の1つがあるとき、中央目的事業主務機関は制限することができる。
1、国家の重大利益にかかわるとき。
2、国際条約、若しくは協定にて特別の規定があるとき。
3、受領国に個人情報の保護について未だ完備した法規がなく、その為に当事者の権益を損なうおそれがあるとき。
4、迂回の方法を以って第三国(地区)向けに個人情報を伝達して本法を回避するとき。
第22条
中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府が資料ファイル安全維持保護の執行、業務終了資料管理方法、国際伝達制限又はその他の慣例の業務検査のために必要があると認定したか、若しくは本法の規定に違反するおそれがある時、担当者を派遣して職務執行に関する証明書類を携帯して、検査を行わせ、且つ必要な説明、協力措置又は関連証明資料を提供するよう係員に命じることができる。
中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府は前項の検査を行う時、没収又は証拠となる個人情報若しくはそのファイルを、留置又は複製することができる。留置又は複製しなければならない物について、その所有者、持有者又は保管者に提出又は引渡しを要求することができる。正当な理由なく、提出、引渡しを拒絶したり、又は留置若しくは複製に抵抗するものは、当該非公務機関の権益への損害が最も少ない方法で強制的に行うことができる。
中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府は第1項の検査を行う時、情報、電気通信又は法律等の専門係員と共同で行うことができる。
第1項及び第2項の立入、検査又は処分について、公務機関及びその関連係員でないものは、回避、妨礙又は拒否をしてはならない。
検査に参加する係員が、検査で他人の資料を知った場合、機密保持義務を負う。
第23条
前条第2項の留置物又は複製物については、封印又はその他のマークを付け、且つ適切な処置をしなければならない。運搬又は保管し難いものは、看守を人に命じ又は保管のために所有者若しくは他の適切な人に引渡すことができる。
留置物又は複製物に保存の必要がなく、若しくは処罰を与えないことが決定、若しくは没収しない処分が下った場合、返還しなければならない。但し没収しなければならず、又は他案件の調査のために保存しなければならないものは、この限りではない。
第24条
非公務機関、物の所有者、持有者、保管者又は利害関係者は前2条の要求、強制、留置又は複製行為に不服の場合、中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府に異議申立てをすることができる。
前項の異議申立てについて、中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府が理由があると認定した場合、その行為を直ちに中止又は変更しなければならない。理由がないと認定した場合、継続して執行することができる。異議申立てをした人が請求した時は、異議申立ての理由を記録して渡さなければならない。
中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府が前項の決定に不服の場合、当該案件の実体的決定に対し不服を声明している時のみ、合わせて声明することができる。但し第1項の人が法により当該案件の実体的決定に対し不服を声明できない時は、第1項の行為について単独で行政訴訟を提起することができる。
第25条
非公務機関に本法の規定に違反する事情がある場合、中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府は本法の規定により過料に処すほか、下記の処分を下すことができる。
1、個人情報の収集、管理又は利用を禁止する。
2、処理を経た個人情報ファイルの削除を命令する。
3、違法に収集した個人情報について没収又は処分を命じる。
4、非公務機関の違法な事情、及びその氏名又は名称と責任者を公表する。
中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府が前項の処分を下した時、本法に規定されている事情の違反を防止する必要な範囲において、非公務機関の権益への損害が最も少ない方法をとらなければならない。
第26条
中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府が第22条規定により検査を行った後、本法規定違反の事情が発見されなかった場合、当該非公務機関の同意を経た後、検査結果を公表することができる。
第27条
非公務機関で個人情報ファイルを保有するものは、個人情報が窃取、改ざん、破損、滅失又は洩漏されるのを防止するために、適切な安全措置をとらなければならない。
中央目的事業主務機関は非公務機関を指定して個人情報ファイルの安全保護計画又は業務中止後の個人情報管理方法を制定することができる。
前項計画及び管理方法の基準等関連事項の方法は、中央目的事業主務機関が定める。
第4章 損害賠償及び団体訴訟
第28条
公務機関が本法の規定に違反して、個人情報が違法に収集、管理、利用され、又はその他の当事者の権利を侵害された事情がある場合、損害賠償の責任を負わねばならない。但し、損害が天災、事変若しくはその他不可抗力によるときはこの限りでない。
被害者は財産上の損害でなくても、相応な金額の損害賠償を請求することができる。その名誉が侵害されたときは、名誉の回復に適切な処分を請求することもできる。
前2項の事情により、もし被害者がその実際の損害額を証明することが難しいか、又は証明できない場合、侵害状況により、1人1事件につき500台湾ドル以上2万台湾ドル以下で計算するよう裁判所に請求することができる。
同一の原因事実が多数の当事者の権利に侵害を与えた事件について、当事者が損害賠償を請求した場合、その合計の最高総額は2億台湾ドルを限度とする。但し当該原因事実に関連する利益が2億台湾ドルを超えるものは、その利益を限度とする。
同一の原因事実による損害総額が前項の金額を超えたとき、被害者が受ける賠償金額は、第3項に定められている1人1事件につき最低賠償金額5百台湾ドルの制限を受けない。
第2項の請求権は譲渡若しくは相続できない。但し、金額を以って賠償する請求権がすでに契約により承諾されたか、又はすでに起訴されたときは、この限りでない。
第29条
非公務機関が本法の規定に違反し、個人情報を違法に収集、管理、利用したり、又はその他の当事者の権利を侵害した事情がある場合は、損害賠償の責任を負わねばならない。但し、故意がなく又は無過失を立証できるときは、この限りでない。
前項の規定に基づき賠償を請求する際は、前条第2項から第6項までの規定を適用する。
第30条
損害賠償の請求権は請求者が、損害あることを知ったとき、及び賠償義務人があることを知ったときより、2年間行使しないことにより消滅する。損害が発生した時から5年を越えたときも同様である。
第31条
損害賠償について、この法律の規定に基づく場合を除き、公務機関は国家賠償法の規定を適用し、非公務機関は民法の規定を適用する。
第32条
本章の規定により訴訟を提起する財団法人又は公益社団法人は、下記要件に該当しなければならない。
1、財団法人の登記財産が1千万台湾ドルに達しているか、又は社団法人の職員数が百人に達していること。
2、個人情報保護事項がその規則に定められている目的範囲にあること。
3、設立許可が3年以上であること。
第33条
本法で、公務機関に対し損害賠償訴訟を提起するものは、当該機関所在地の地方裁判所に専属で管轄されると規定する。非公務機関に対し提起するものは、その主な事務所、主要営業所又は住所地に所在する地方裁判所の管轄に専属する。
前項の非公務機関が自然人で、中華民国に住所がないか、又は住所が不明であるものは、その中華民国における居所を、その住所と見做す。居所がないか、又は居所が不明であるものは、その中華民国における最後の住所を、その住所と見做す。最後の住所がないものは、中央政府に所在する地方裁判所の管轄に専属する。
第1項の非公務機関は自然人以外の法人又はその他の団体で、中華民国に主な事務所、主な営業所又は主な事務所がなく、主な営業所が不明であるものは、中央政府に所在する地方裁判所の管轄に専属する。
第34条
同一原因事実で多数当事者が権利を侵害された事件について、損害を受けた当事者20人以上から書面で訴訟実施権を授与された財団法人又は公益社団法人は、自己名義で損害賠償訴訟を提起することができる。当事者は口頭弁論終結前に書面で訴訟実施権の授与を撤回し、且つ裁判所に通知することができる。
前項の訴訟について、裁判所は申立て又は職権によりその他の同一原因事実で損害を受けた当事者に公告し、一定の期間内に前項訴訟を提起した財団法人又は公益社団法人に訴訟実施権を授与できると知らせることができ、当該財団法人又は公益社団法人は第1審口頭弁論終結前に、受けるべき判決事項の声明を拡張することができる。
その他の同一原因事実で損害を受けた当事者で前項規定に従い訴訟実施権を授与しないものは、裁判所が公告した一定の期間に訴訟を提起すれば、裁判所が案件を合わせて審理することができる。
その他の同一原因事実で損害を受けた当事者は、前項の公告を裁判所に申立てることができる。
前2項の公告については、裁判所の公告処、情報インターネット及びその他の適切な所で開示しなければならない。裁判所が必要であると認めたときは、公報又は新聞への掲載を命じたり、又はその他の方法で公告することができ、その費用は国庫で立て替えられる。
第1項の規定により訴訟を提起する財団法人又は公益社団法人の目的の価額が60万台湾ドルを超える場合、その超えた部分について裁判費用の徴収を免じることができる。
第35条
当事者が前条第1項の規定により訴訟実施権の授与を撤回したものは、当該部分の訴訟手続きは当然中止となり、当該当事者は直ちに訴訟の承継を声明しなければならず、裁判所は職権により当該当事者に訴訟の承継を命じることができる。
財団法人又は公益社団法人が前条規定により訴訟を提起した後、一部の当事者が訴訟実施権の授与を撤回して、他の部分が20人以下となった場合も、他の部分について継続して訴訟を進めることができる。
第36条
各当事者の第34条第1項及び第2項の損害賠償請求権の時効は、それぞれに計算しなければならない。
第37条
財団法人又は公益社団法人は当事者が授与した訴訟実施権の事件について、一切の訴訟行為の権利を有する。但し当事者は放棄、撤回又は和解を制限することができる。
前項当事者の1人による制限の効力は他の当事者に及ばない。
第1項の制限は、第34条第1項の文書で表明するか、又は書状で裁判所に提出しなければならない。
第38条
当事者は第34条の訴訟判決に不服の場合、財団法人又は公益社団法人の上訴期間満了前に、訴訟実施権の授与を撤回し、法により上訴を提起することができる。
財団法人又は公益社団法人は判決書正本を受け取った後、直ちにその結果を当事者に通知し、且つ7日以内に上訴を提起するか否かの要旨を書面で当事者に通知しなければならない。
第39条
財団法人又は公益社団法人は第34条の訴訟結果により得た賠償から、訴訟に必要な費用を差し引いた後、訴訟実施権を授与した当事者に渡さなければならない。
第34条第1項の訴訟を提起する財団法人又は公益社団法人は、報酬を請求してはならない。
第40条
本章の規定により訴訟を提起する財団法人又は公益社団法人は、訴訟代理を弁護士に委任しなければならない。
第5章 罰則
第41条
自己又は第三者の違法な利益又は他人の利益に対する損害を意図し、第6条第1項、第15条、第16条、第19条、第20条第1項の規定に違反したり、又は中央目的事業主務機関が第21条により国際伝達を制限する命令又は処分に違反し、他人に損害を与えるに至ったときは、5年以下の有期懲役若しくは100万台湾ドル以下の罰金を科すか、又は併せて科することができる。
第42条
自己若しくは第三者の不法な利益の為、又は他人の利益を損害する意図で、個人情報のファイルを不法に変更、削除したり、又はその他不法な方法を以って個人情報ファイルの正確性を妨害し、他人に損害を与えるに至ったときは、5年以下の有期徒刑、拘留若しくは100万台湾ドル以下の罰金を科すか又は併せて科する。
第43条
中華民国人民が中華民国領域外において中華民国人民に対し前2条の罪を犯した場合も、適用する。
第44条
公務員が職務上の権力、機会若しくは方法を利用して、本章の罪を犯したときは、その刑を2分の1まで加重する。
第45条
本章の罪は親告罪とする。但し第41条の罪を犯したか、又は公務機関に対し第42条の罪を犯したものは、この限りではない。
第46条
本章の罪を犯し、その他の法律にて比較的重い刑の処罰規定があるときは、その規定に従う。
第47条
非公務機関に下記事情のいずれか1つがあるときは、中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府より責任者を5万台湾ドル以上50万台湾ドル以下の過料に処し、且つ期限を定めて改正を命じ、期限を経過してもまだ改正しないものは、回数に応じてこれを処罰する。
1、第6条第1項規定に違反したとき。
2、第19条規定に違反したとき。
3、第20条第1項規定に違反したとき。
4、中央目的事業主務機関が第21条の規定により国際伝達を制限する命令又は処分に違反したとき。
第48条
非公務機関に下記事情のいずれか1つがあるものは、中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府が期限を設けて改正を命じ、期限を経過しても未だ改正されないときは回数毎にこれを2万台湾ドル以上20万台湾ドル以下の過料に処す。
1、第8条又は第9条の規定に違反したとき。
2、第10条、第11条、第12条又は第13条の規定に違反したとき。
3、第20条第2項又は第3項の規定に違反したとき。
非公務機関が第27条第1項に違反したか、又は第2項に従った個人情報ファイル安全保護計画若しくは業務中止後の個人情報管理方法を制定しないとき、中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府はこれを2万台湾ドル以上200万台湾ドル以下の過料に処し、且つ期限を設けて改正を命じ、期限を経過しても未だ改正されないときは回数毎に15万台湾ドル以上1500万台湾ドル以下の過料に処す。
非公務機関が第27条第1項に違反したか、又は第2項に従った個人情報ファイル安全保護計画若しくは業務中止後の個人情報管理方法を制定せず、その事情が重大であるとき、中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府はこれを15万台湾ドル以上1500万台湾ドル以下の過料に処し、且つ期限を設けて改正を命じ、期限を経過しても未だ改正されないときは回数に応じてこれを処罰する。
第49条
非公務機関が正当な理由がなく、第22条第4項の規定に違反した場合、中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府がこれを2万台湾ドル以上20万台湾ドル以下の過料に処す。
第50条
非公務機関の代表者、管理人又はその他の代表権者は、当該非公務機関が前3条の規定により過料の処罰を受けたときに、防止義務を果たしたと証明できる場合を除き、同一額の過料の処罰を受けなければならない。
第6章 付則
第51条
下記事情のいずれか1つがあるものは、本法の規定を適用しない。
1、自然人が単に個人又は家庭活動の目的で、個人情報を収集、管理又は利用するとき。
2、公的場所又は公的活動において収集、管理又は利用される他個人情報と結び付いていないメディア資料。
公務機関及び非公務機関が、中華民国領域外において中華民国人民の個人情報を収集、管理又は利用したものは、本法を適用する。
第52条
第22条至第26条に規定されている中央目的事業主務機関又は直轄市、県(市)政府による執行の権限は、所属機関に委任し、他の機関又は公益団体に委託することができる。そのメンバーは、委任又は委託による事務の執行により知った情報について、機密保持義務を負う。
前項の公益団体は、第34条第1項の規定により当事者から訴訟実施権を受け、自己の名義で損害賠償訴訟を提起してはならない。
第53条
法務部は中央目的事業主務機関と共に特定の目的及び個人情報類別を制定し、公務機関及び非公務機関の参考使用のため提供しなければならない。
第54条
本法2010年5月26日改正、公布条文施行前、当事者が提供したものではない個人情報で、本法2015年12月15日改正条文施行後に処理又は利用するものは、処理又は利用前に、第9条規定により当事者に告知しなければならない。
前項の告知は、本法2015年12月15日改正条文施行後、初めて利用するときに併せて行うことができる。
前2項規定により告知せずに利用したものは、第9条規定違反として処罰する。
第55条
この法律の施行細則は法務部にて定める。
第56条
本法の施行期日は行政院が定める。
本法2010年5月26日改正、公布の現行条文第19条から第22条、第43条の刪除及び2023年5月16日改正の第48条は、公布日より施行する。