労働基準法 2024-07-31
2024-10-01 その他
労働基準法
公布期日:1984年7月30日
改正期日:2024年7 月31日
2024年7月31日総統華総一義字第11300068311号令により第54条条文改正公布
第 一 章 総則
第 1 条
労働条件の最低基準を定め、労働者の権益を保障し、労使関係を強化して社会と経済の発展を促進するため、特に本法を制定する。本法に規定がないときは、他の法律の規定を適用する。
使用者と労働者との間で定めた労働条件は、本法所定の最低基準を下回ってはならない。
第 2 条
本法に使用する用語の定義は、次の通りである。
一、労働者:使用者の雇用を受けて労働に従事し、賃金を受け取る者をいう。
二、使用者:労働者を雇用する事業主、事業経営の代表者又は事業主を代表して労働者事務の処理を行う者をいう。
三、賃金:労働者が労働に従事することによって得る報酬をいう。賃金、給料及び現金又は現物等の方式で支払われる時間払い、日払い、月払い、出来高払いの賞与、手当及びその他一切の名目による経常的給与を含む。
四、平均賃金:計算事由発生の当日以前6ヶ月間に所得した賃金総額を、その期間の総日数で割って得た金額をいう。労働が6ヶ月未満のときは、その労働期間に所得した賃金総額を労働期間の総日数で割って得た金額をいう。賃金を労働日数、時間数又は出来高により計算するときは、上述の方式で算出した平均賃金が当該期間の賃金総数を実際の労働日数で割って得た金額の60%を下回るときは、60%として計算する。
五、事業体:本法を適用する各業種が労働者を雇用して労働に従事させる機構をいう。
六、労働契約:労使関係を約定する契約をいう。
七、派遣元:労働派遣業務に従事する事業体をいう。
八、派遣先:派遣契約に基づき、実際に派遣労働者の指揮、監督、管理を行い、労働に従事させる者をいう。
九、派遣労働者:派遣元の雇用を受け、且つ派遣先に労務を提供する者をいう。
十、派遣契約:派遣先と派遣元が労働派遣事項について締結する契約をいう。
第 3 条
本法は次に掲げる各業種に適用する。
一、農、林、漁、牧業
二、鉱業及び土石採取業
三、製造業
四、建設業
五、水道・電気、ガス業
六、運輸、倉庫及び通信業
七、マスメディア業
八、その他中央主務機関が指定する事業
前項第8号により指定するときは、事業の事業場所又は労働者の一部を指定して適用することができる。
本法は一切の労使関係に適用する。但し、経営形態、管理制度及び業務性質等の理由により本法の適用が困難であり、且つ中央主務機関が指定し、公告した業種又は業務であるときは、これを適用しない。
前項でいう困難で本法を適用しない場合、第1項第1号から第7号までの労働者総数の5分の1を超えてはならない。
第 4 条
本法でいう主務機関とは、中央においては労働部、直轄市においては直轄市政府、県 (市)においては県 (市) 政府をいう。
第 5 条
使用者は、暴力、脅迫、拘禁その他非合法的手段で労働者に強制して労働に従事させてはならない。
第 6 条
何人も、他人の労働契約に介入して不当な利益を搾取してはならない。
第 7 条
使用者は、労働者の氏名、性別、生年月日、本籍地、教育程度、住所、身分証統一番号、就職年月日、賃金、労働者保険加入期日、表彰懲戒、傷病及びその他必要事項を記入した労働者カードを備えなければならない。
前項労働者カードは、労働者が離職後5年間保存しなければならない。
第 8 条
使用者はその雇用した労働者に対し、業務上の災害を予防し、適切な労働環境及び福利厚生施設を設けなければならない。その安全、衛生及び福利厚生事項は、関係法律の規定による。
第 二 章 労働契約
第 9 条
労働契約は、定期契約と不定期契約に分けられる。臨時的、短期的、季節的及び特定的労働は、定期契約とすることができる。また、継続性のある労働は、不定期契約としなければならない。派遣元が派遣労働者と締結する労働契約は、不定期契約としなければならない。
定期契約満了後、次に掲げる事情のいずれかに該当するときは、不定期契約と見なす。
一、労働者が引き続き労働に従事し、使用者が直ちに反対の意思表示をしなかったとき。
二、新たに契約を結んだときであっても、新旧の労働契約の労働期間が90日を超え、且つ新旧契約の中断期間が30日を超えないとき。
前項の規定は、特定的又は季節的定期労働に適用しない。
第 9-1 条
次に掲げる規定のいずれかに該当しないとき、使用者は、労働者と離職後の競業禁止を約定してはならない。
一、使用者に保護を受けるべき正当な営業利益があるとき。
二、労働者が担当する役職または職務で、使用者の営業秘密に接触または使用できるとき。
三、競業禁止期間、地域、労働活動の範囲及び就業対象が合理的範囲を超えないとき。
四、使用者が、労働者が競業行為に従事しないために受ける損失を合理的に補償するとき。
前項第4号でいう合理的な補償には、労働者が労働期間中に受け取った賃金は含まれない。
第1項各号規定のいずれかに違反したとき、その約定は無効となる。
離職後の競業禁止期間は、長くても二年を超えてはならない。二年を超えたときは、二年に短縮する。
第 10 条
定期契約満了後又は不定期契約が事情により履行停止となった後、3ヶ月以内に別途新規契約を締結するとき、又は旧契約を継続履行するときは、労働者の前後の勤続年数を合算しなければならない。
第 10-1 条
使用者は、労働者を配置転換する場合、労働契約の約定に違反してはならず、且つ次に掲げる原則に合致しなければならない。
一、企業経営上の必要があり、かつ不正な動機または目的があってはならない。但し、法律に別途の定めがあるときは、その規定による。
二、労働者の賃金その他の労働条件について、不利益な変更がない。
三、配置転換後、労働者の体力及び技術に耐える労働である。
四、配置転換後の勤務地点が遠すぎる場合、使用者が必要な支援を提供しなければならない。
五、労働者及びその家族の生活利益を考慮する。
第 11 条
使用者は、次に掲げる事由のいずれかに該当しなければ、労働者に対して労働契約の終了を予告してはならない。
一、廃業又は営業を譲渡するとき。
二、損失又は業務を縮小するとき。
三、不可抗力のため1ヶ月以上業務を一時停止するとき。
四、業務性質の変更により、労働者を減らす必要があり、且つ配置換えができる適当な業務がないとき。
五、労働者が確かにその担当業務に不適格であると認められたとき。
第 12 条
労働者が、次に掲げる事情のいずれかに該当するとき、使用者は予告することなく契約を終了することができる。
一、労働契約を締結したときに、虚偽の意思表示をし、使用者が誤認により損害を受けるおそれがあるとき。
二、使用者、使用者の家族、使用者の代理人又は他の共同作業の労働者に対して暴行を加えたり、又は重大な侮辱行為があったとき。
三、有期懲役以上の刑の宣告を受けて確定し、執行猶予又は罰金刑に代えることができるとの宣告がなかったとき。
四、労働契約又は就業規則に違反し、情状が重大であるとき。
五、故意に機器、工具、原料、製品又はその他使用者の所有物品を消耗、若しくは故意に使用者の技術上又は営業上の秘密を漏洩し、使用者に損害を与えたとき。
六、正当な理由なく、連続して3日間無断欠勤、又は1ヶ月以内に6日間無断欠勤したとき。
使用者は前項第1号、第2号及び第4号から第6号までの規定により契約を終了したとき、その事情を知った日より30日以内に行わなければならない。
第 13 条
労働者が、第50条所定の労働停止期間又は第59条所定の医療期間内にあるとき、使用者は、契約を終了してはならない。ただし、使用者が、天災、事変又はその他不可抗力のために事業を継続することができなくなり、主務機関に届出て許可を得たときは、この限りでない。
第 14 条
次に掲げるいずれかの事情に該当するとき、労働者は、予告することなく契約を終了することができる。
一、使用者が労働契約を締結したときに、虚偽の意思表示をし、労働者が誤認により損害を受けるおそれがあるとき。
二、使用者、使用者の家族、使用者の代理人が労働者に対して暴行を加えたり、又は重大な侮辱行為があったとき。
三、契約所定の業務が労働者の健康に危害を与えるおそれがあり、使用者に改善通知をしたにも関わらず、効果がないとき。
四、使用者、使用者の代理人又は他の労働者が法定伝染病に罹患し、共同作業の労働者に対して伝染のおそれがあり、かつその健康に重大な危害を与えるとき。
五、使用者が労働契約による労働報酬を支払わないとき、又は出来高払いの労働者に十分な仕事を与えないとき。
六、使用者が労働契約又は労働法令違反により、労働者の権利に損害を与えるおそれがあるとき。
労働者が、前項第1号、第6号の規定により契約を終了するときは、その事情を知った日から30日以内に行わなければならない。但し、使用者が、前記第6号所定の事由に該当する場合、労働者は損害結果を知った日より30日以内に行うことができる。
第1項第2号又は第4号に該当する場合に、使用者が、既に当該代理人と契約を終了し、または法定伝染病患者が衛生法により治療を受けるとき、労働者は契約を終了してはならない。
第17条の規定は、本条の契約終了に準用する。
第 15 条
特定的定期契約の期限が3年を超えるとき、三年の期限満了後、労働者は契約を終了することができる。但し、30日前に使用者に予告しなければならない。
不定期契約について、労働者は、契約を終了するにあたって、第16条第1項所定の期間を準用して使用者に予告しなければならない。
第 15-1 条
次に掲げる規定のいずれかに該当しなければ、使用者は労働者と最低勤務期間を約定してはならない。
一、使用者が、労働者のために専門技術の訓練を行い、かつ当該訓練費用を負担したとき。
二、使用者が、労働者に最低勤務期間の約定を遵守させるために、合理的に補償したとき。
前記最低勤務期間の約定は、次の事項を総合的に酌量しなければならず、合理的な範囲を超えてはならない。
一、使用者が労働者のために専門的技術訓練を行った期間及びコスト
二、同一又は類似の労働に従事する労働者の代替可能性
三、使用者が労働者に提供した補償の金額及び範囲
四、最低勤務期間に影響する他の合理的な事項
前2項規定に違反したとき、その約定は無効となる。
労働契約が、労働者の責に帰すべき事由によらず、最低勤務期間満了前に終了したとき、労働者は最低勤務期間約定の違反責任、または訓練費用の返還責任を負わない。
第 16 条
使用者が第11条又は第13条ただし書きの規定により労働契約を終了するとき、その予告期間は次に掲げる各号の規定による。
一、3ヶ月以上1年以下継続勤務したとき、10日前に予告する。
二、1年以上3年以下継続勤務したとき、20日前に予告する。
三、3年以上継続勤務したとき、30日前に予告する。
労働者は、前項の予告を受けた後、求職のために勤務時間内に休暇を取り外出することができる。その休暇時間数は、週に2日の勤務時間を超えてはならない。休暇期間の賃金は規定通り支払われる。
使用者が、第1項所定の期間内に予告することなく、契約を終了するときは、予告期間の賃金を支払わなければならない。
第 17 条
使用者は、前条により労働契約を終了するとき、次に掲げる規定により、労働者に解雇手当を支払わなければならない。
一、同一の使用者の事業所において継続勤務していた場合、満1年ごとに1ヶ月の平均賃金に相当する解雇手当を支払う。
二、前号による計算の余剰月数、又は勤務期間が1年未満のときは、比率により計算して支払う。1ヶ月未満のときは、1ヶ月として計算する。
前項所定の解雇手当について、使用者は労働契約を終了した30日以内に支払わなければならない。
第 17-1 条
派遣先は、派遣元が派遣労働者と労働契約を締結する前に、当該派遣労働者を面接したり、又は他の特定派遣労働者を指定する行為をしてはならない。
派遣先が前記の規定に違反し、且つ既に派遣労働者の労務を受領した場合、派遣労働者は派遣先に労務を提供した日より90日以内に書面で労働契約を締結すると派遣先に意思表示することができる。
派遣先は、前項派遣労働者による意思表示の到達日より10日以内に、労働契約の締結を協議しなければならない。期限を超えても協議しないか、または協議が成立しなかった場合、双方に期限満了の翌日より労働契約が成立したと見なし、且つ派遣労働者の派遣先における労働期間の労働条件を労働契約の内容とする。
派遣元及び派遣先は、派遣労働者が第二項の意思表示をしたことにより、解雇、降格、減給、法令や契約によりもしくは慣習的に享有すべき権利を損害したり、またはその他不利益な扱いをしてはならない。
派遣元及び派遣先がした行為が前項のいずれかに該当したときは、無効となる。
派遣労働者が第二項及び第三項の規定により、派遣先と労働契約が成立したとき、派遣元との労働契約が終了したと見なし、且つ最低勤務期間の約定違反又は訓練費用返還の責任を負わない。
前項の派遣元は本法又は労働者定年退職条例所定の給付基準及び期間により、派遣労働者に定年退職金又は解雇手当を支払わなければならない。
第 18 条
次に掲げる事由のいずれかに該当したとき、労働者は、使用者に対して予告期間の賃金及び解雇手当の増加支給を請求してはならない。
一、第12条又は第15条の規定により労働契約が終了したとき。
二、定期労働契約の期間満了により離職したとき。
第 19 条
労働者が、労働契約を終了するにあたり、勤務証明書の発行を請求したとき、使用者又はその代理人はそれを拒否してはならない。
第 20 条
事業体を組織変更又は譲渡したとき、新旧使用者が協議してそのまま雇用を決定した労働者を除き、その他の労働者に対しては第16条所定の期間において契約の終了を予告し、且つ第17条の規定により解雇手当を支払わなければならない。そのまま雇用する労働者の勤続年数について、新使用者はそれを継続して承認しなければならない。
第 三 章 賃金
第 21 条
賃金は、労使双方で協議して定める。ただし、基本賃金より下回ってはならない。
前項の基本賃金は、中央主務機関が基本賃金審議委員会を設立して制定した後、行政院に提出して許可を得る。
前項の基本賃金審議委員会の組織及びその審議手続等事項の弁法について、中央主務機関は別途これを定める。
第 22 条
賃金の支払いは、法定通貨で行わなければならない。ただし、習慣又は業務性質に基づき、労働契約にその一部を現物で支払うことを明確に約定することができる。賃金の一部を現物で支払うとき、その現物支給の価額は、公平且つ合理的で、労働者及びその家族のニーズに適したものでなければならない。
賃金は全額を労働者に直接支払わなければならない。ただし、法令により別段の定めがあるとき、又は労使双方に別途約定があるときは、この限りでない。
第22-1条
派遣元が派遣労働者への賃金の支払いを遅延し、主務機関による処罰を受けたり、又は第27条の規定により、期限を定めて支払いを命じられ、期限を超えても支払わなかった場合、派遣労働者は、派遣先に支払いを請求することができる。派遣先は、派遣労働者からの請求日より、30日以内に支払わなければならない。
派遣先は、前項の規定により賃金を支払った場合、派遣元に賠償を請求するか、又は派遣契約の支払うべき費用からこれを差引くことができる。
第 23 条
賃金の支払いは、当事者に特別の約定があるか、又は月ごとに前払いをする場合を除き、毎月少なくとも二回定期的に支払うほか、賃金各項目計算方法明細を渡さなければならない。出来高払いの場合もまた同様である。
使用者は、労働者賃金台帳を備えて、賃金支払、賃金各項目計算方法明細、賃金総額等事項を記入しなければならない。賃金台帳は5年間保存しなければならない。
第 24 条
使用者は、労働者の労働時間を延長する場合、その延長した労働時間の賃金について次に掲げる基準に基づき割増賃金を支払う。
一、延長労働時間が2時間以内のときは、平日1時間当たりの賃金の3分の1以上の割増賃金を支払う。
二、再延長労働時間が2時間以内のときは、平日1時間当たりの賃金の3分の2以上の割増賃金を支払う。
三、第32条第4項の規定により、労働時間が延長された場合、平日1時間当たりの賃金の倍額の割増賃金を支払う。
使用者が労働者に第36条所定の休日に労働に従事させる労働時間が2時間以内のときは、平日1時間当たりの賃金の1と3分の1以上の割増賃金を支払う。2時間以上継続して労働に従事させるときは、平日1時間当たりの賃金の1と3分の2以上の割増賃金を支払う。
第 25 条
使用者は、労働者に対して性別による差別的待遇をしてはならない。同一業務、同一能率であるときは、同一賃金を支払う。
第 26 条
使用者は、労働者の賃金を違約金又は賠償費用として予め差し引いてはならない。
第 27 条
使用者が、期限通りに賃金を支払わないとき、主務機関は期限を定めて支払いを命ずることができる。
第 28 条
使用者の廃業、清算又は破産宣告により、次に掲げる労働者の債権弁済順位と第一順位の抵当権、質権または留置権の債権とが同一であるときは、その債権比率により弁済を受ける。弁済されなかった部分について、最優先で弁済を受ける権利を有する。
一、労働契約に基づく賃金の未払が6ヶ月未満の部分
二、使用者が本法によらず、未払である定年退職金
三、使用者が本法または労働者定年退職条例によらず未払である解雇手当
使用者は、次の各号の未払賃金立替金に充てるため、労働者を雇用した当月の保険加入賃金総額及び所定の料率により、一定の金額を未払賃金立替弁済基金として納付しなければならない。
一、前項第1号未払賃金の総額
二、前項第2号と第3号未払定年退職金及び解雇手当を合計した総額は、6ヶ月の平均賃金を限度とする。
未払賃金立替弁済基金が一定の金額にまで累積した後は、その料率を引き下げるか、又は徴収を一時停止しなければならない。
第2項の料率は、中央主務機関が一万分の15の範囲内でこれを決定し、行政院に提出して許可を得る。
使用者による未払賃金、定年退職金及び解雇手当が、労働者が請求しても弁済されなかったときは、未払賃金立替弁済基金より、第2項の規定に基づきこれを立替えて弁済する。使用者は、所定の期限内に、立替金を未払賃金立替弁済基金に返済しなければならない。
未払賃金立替弁済基金は、中央主務機関が管理委員会を設置しこれを管理する。中央主務機関は、基金の徴収に関わる業務の代行を労働者保険機構に委託することができる。基金の立替弁済手続き、徴収並びに管理弁法、第3項所定の一定金額及び管理委員会組織規程については、中央主務機関でこれを定める。
第 29 条
事業体は、事業年度終了決算で利益があった場合、税金納付、損失補填、株式配当金、準備金の積み立てのほかに、1年間継続勤務して過失のなかった労働者に対して、賞与の支払い又は利益の配当を行わなければならない。
第 四 章 労働時間、休息、休暇
第 30 条
労働者の1日の通常労働時間は8時間、1週間の労働時間は40時間を超えてはならない。
前項の通常労働時間は、使用者が労働組合の同意を得るか、もし事業体に労働組合がないときは、労使会議の同意を得た後、その2週間の中の二日の通常労働時間数を、他の労働日に割り振ることができる。他の労働日に割り振る時間数は、1日あたり2時間を超えてはならない。ただし、1週間の労働時間総数は、48時間を超えてはならない。
第1項の通常労働時間は、使用者が労働組合の同意を得るか、もし事業体に労働組合がないときは、労使会議の同意を得た後、8週間の中の通常労働時間数を割り振ることができる。但し、一日あたりの通常労働時間は8時間、1週間の労働総時間数は48時間を超えてはならない。
前2項は中央主務機関が指定する業種のみに適用される。
使用者、労働者出勤簿を備え、且つ五年間保存しなければならない。
前項出勤簿に一日ごとに労働者の出勤情況を分まで記載しなければならない。労働者が、その出勤簿の副本またはコピーの提供を申請したとき、使用者は、これを拒否してはならない。
使用者は第1項の通常労働時間の改正をもって、労働者賃金の減額事由としてはならない。
第1項から第3項及び第30条の1の通常労働時間について、使用者は、労働者の家族の世話をするニーズに応じて、一日の通常労働時間数を変更せず、1時間の範囲内において、その始業及び終業時刻のフレックスタイム制の採用を許可することができる。
第 30-1 条
中央主務機関が指定する業種は、使用者が労働組合の同意を得るか、もし事業体に労働組合がないときは、労使会議の同意を得た後、次に掲げる原則により、労働時間を変更することができる。
一、4週間の内の通常労働時間数を他の労働日に割り当てる時間数は毎日2時間を超えてはならず、前条第2項から第4項で所定の制限を受けない。
二、当日の通常労働時間数が10時間に達する場合、延長労働時間数は2時間を超えてはならない。
三、女性労働者は、妊娠と授乳期間の場合を除き、夜勤について第49条第1項の制限を受けない。但し、使用者は、必要な安全衛生設備を提供しなければならない。
1996年12月27日改正施行前の第3条において規定されている本法の適用業種は、第1項第1号の農、林、漁、牧畜業を除き、前項の規定を適用しない。
第 31 条
坑内又はトンネル労働について、労働者が、坑口に入った時刻から坑口を出る時刻までの時間を労働時間とする。
第 32 条
労働者に通常の労働時間以外に労働させる必要がある場合、使用者は、労働組合の同意を得るか、もし事業体に労働組合がないときは、労使会議の同意を得た上で、労働時間を延長することができる。
使用者による前項の延長労働時間は、通常労働時間数と合わせて、一日あたり12時間を超えてはならない。延長の労働時間数は、1ヶ月46時間を超えてはならない。但し、使用者が、労働組合の同意を得るか、もし事業体に労働組合がないときは、労使会議の同意を得たうえで延長した労働時間数については、1ヶ月54時間を超えてはならず、三ヶ月ごとに138時間を超えてはならない。
30人以上の労働者を雇用する使用者が前項ただし書きにより労働者の労働時間を延長したときは、当地の主務機関に届け出なければならない。
天災、事変又は突発的事件により、通常労働時間以外に労働者に労働させる必要がある場合、使用者は労働時間を延長することができる。但し、延長開始後の24時間以内に、労働組合に通知しなければならない。労働組合がない場合、当地の主務機関に届け出なければならない。延長した労働時間について、使用者は、事後に人員を入れ替え、労働者に適切な休息を与えなければならない。
坑内労働に従事する労働者は、その労働時間を延長してはならない。但し、監督を主なる業務とする者又は前項所定の事情がある場合は、この限りでない。
第 32-1条
使用者が第32条第1項及び第2項の規定により労働者に労働時間を延長させるか、又は労働者に第36条所定の休日に労働に従事させた後、労働者の意思により代休を選択し、且つ使用者の同意を得たときは、労働者の労働時間数により代休時間数を計算する。
前項の代休期限は、労使双方が協議したうえこれを定める。代休期限満了、又は契約終了により、代休をとらなかった時間数については、延長労働時間又は所定休日に労働させた当日の賃金計算基準により賃金を支払う。賃金を支払わなかったときは、第24条の規定違反として論断する。
第 33 条
第3条に掲げる事業が、製造業及び鉱業を除き、公衆の生活便利のため、又はその他特殊な原因により、第30条及び第32条所定の通常労働時間の調整又は労働時間の延長を必要とするとき、当地の主務機関は、目的事業主務機関及び労働組合と協議して、必要な限度において、命令でもってこれを調整することができる。
第 34 条
昼夜交替制をとる労働の場合、各当番は週ごとに交替する。但し、労働者の同意を得たときは、この限りでない。
前項による当番の交替にあたり、少なくとも11時間連続の休憩時間を与えなければならない。但し、業務の特性又は特殊な原因により、中央目的事業の主務機関からの求めにより、中央主務機関から公告があったとき、連続の休憩時間について8時間を下回らないと変更することができる。
使用者が前項ただし書きにより休憩時間を変更するときは、労働組合の同意を得るか、事業体に労働組合がないときは、労使会議の同意を得たうえで、始めてこれを行うことができる。使用者が雇用する労働者の人数が30人以上の場合、当地の主務機関に届け出なければならない。
第 35 条
労働者が4時間継続労働する場合、少なくとも30分の休憩を与えなければならない。但し、交替制を実施しているとき、又はその業務に連続性若しくは緊急性があるとき、使用者は、労働時間に別途その休憩時間の調整を行うことができる。
第 36 条
使用者は労働者に7日ごとに2日の休日を与えなければならず、その内の一日は法定休日で、一日は所定休日である。
使用者は次に掲げるいずれかの事情に該当し、前項規定の制限を受けない。
一、第30条第2項の規定により、通常労働時間を変更したとき、労働者に対して7日ごとに少なくとも1日の法定休日、2週ごとに少なくとも4日の法定休日及び所定休日を与えなければならない。
二、第30条第3項の規定により通常労働時間を変更したとき、労働者に対して7日ごとに少なくとも一日の法定休日、8週ごとに少なくとも16日の法定休日及び所定休日を与えなければならない。
三、第30条の1により通常労働時間を変更したとき、労働者に対して2週ごとに少なくとも2日の法定休日、4週ごとに少なくとも8日の法定休日及び所定休日を与えなければならない。
使用者は、休日に労働者に労働させる時間を、第32条第2項所定の延長労働時間総数に加算する。但し、天災、事変又は突発的事件のために、使用者が労働者を休日に労働させる必要がある場合、その労働時数は第32条第2項の制限を受けない。
中央目的事業の主務機関が同意し、且つ中央の主務機関が指定した業種について、使用者は、第1項、第2項第1号及び第2号所定の法定休日を七日間のサイクルごとに調整することができる。
前項所定法定休日の調整については、労働組合の同意を得るか、もし事業体に労働組合がないときは、労使会議の同意を得たうえで、始めてこれを行うことができる。30人以上の労働者を雇用する使用者である場合は、当地の主務機関に届け出なければならない。
第 37 条
内政部が定めて、休日としなければならない記念日、祝日、メーデー及びその他中央主務機関が指定するすべての休日は、休せなければならない。
2016年12月6日に改正した前記規定は、2017年1月1日より施行する。
第 38 条
同一の使用者又は事業体で一定期間継続勤務した労働者に対して、次に掲げる規定により、有給休暇を与えなければならない。
一、六ヶ月以上1年未満の者は3日
二、1年以上2年未満の者は7日
三、2年以上3年未満の者は10日
四、3年以上5年未満の者は14日
五、5年以上10年未満の者は15日
六、10年以上の者は、1年につき1日、総日数30日まで加算する。
前項の有給休暇については、労働者がこれを請求する。但し、使用者は経営上の急迫なニーズまたは労働者の一身上の都合があるとき、他方と協議して調整することができる。
使用者は、労働者が第1項所定の有給休暇の条件を満たすとき、前2項の規定による特別休暇の請求を労働者に通知しなければならない。
労働者の有給休暇については、事業年度終了または契約の終了により、使用者が取得しなかった日数の賃金を支払わなければならない。但し事業年度終了後の未取得日数については、労使双方が次年度にこれを繰り延べて実施すると協議したとき、使用者は、次年度の事業年度終了又は契約の終了でもやはり未取得の日数について相応の賃金を支払わなければならない。
使用者は、労働者の年次有給休暇の日数及び未取得日数に相応する賃金総額を、第23条所定の労働者賃金台帳に記載し、且つ毎年定期的にその内容を書面で労働者に通知しなければならない。
労働者が本条により権利を主張するとき、使用者が、その権利不存在と認めた場合は、挙証責任を負わなければならない。
第 39 条
第36条所定の所定休日、法定休日、第37条所定の休日及び第38条所定の有給休暇について、使用者は、通常どおり賃金を支払わなければならない。使用者が労働者の同意を得て休日に労働させるときは、倍額の賃金を支払わなければならない。季節性の関係で残業の必要があり、労働者又は労働組合の同意を得て通常どおり労働させるときも、同様である。
第 40 条
天災、事変又は突発的事件により、使用者が、継続して労働する必要があると認めた場合は、第36条から第38条までに規定されている労働者の休暇を停止することができる。但し、休暇停止期間の賃金は、倍額を支払わなければならず、かつ事後に休息を与えるために、代休を取らせなければならない。
前項労働者の休暇停止は、事後24時間以内に、理由を詳細に述べ、当地の主務機関に届け出なければならない。
第 41 条
公用事業の労働者について、当地の主務機関が必要があると認めたときは、第38条所定の有給休暇を停止することができる。停止期間の賃金について、使用者は、倍額を支払わなければならない。
第 42 条
労働者が、健康その他正当な理由により、通常の勤務時間以外に労働することができないとき、使用者は、強制的に労働させてはならない。
第 43 条
労働者は、結婚、葬祭、疾病その他正当な事由があるとき、休暇を請求することができる。与えるべき休暇の日数、及びその他私的な事由による休暇以外の期間における賃金支払の最低基準については、中央主務機関がこれを定める。
第 五 章 児童労働者及び女性労働者
第 44 条
15才以上16才未満で雇用され、労働に従事する者を児童労働者とする。
児童労働者及び16才以上18才未満の者は危険または有害な業務に就いてはならない。
第 45 条
使用者は、15才未満の者を雇用して労働に従事させてはならない。但し、中学を卒業した者、又は主務機関がその労働性質及び環境がその心身の健康を害さないと認定した場合は、この限りでない。
前項の雇用された者について、児童労働者の保護に関する規定を準用する。
第1項の労働性質及び環境がその心身の健康を害さないとする認定基準、審査手続き、及びその他の遵守すべき事項の弁法については、中央主務機関が労働者の年齢、労働性質及び国民義務教育を受ける時間などの要素に基づきこれを定める。
15才未満の者が他人を通じて、仕事を見つけ、第三者に労務を提供するか、直接他人に労務を提供し、報酬を得ているが、労使関係がないときは、前項及び児童労働者の規定を準用する。
第 46 条
18才未満の者を雇用し、労働に従事させるとき、使用者は、その法定代理人の同意書及びその年齢証明書を備えなければならない。
第 47 条
児童労働者の1日の労働時間は8時間を超えてはならず、毎週の労働時間は40時間を超えてはならず、休日に労働に従事させてはならない。
第 48 条
使用者は、児童労働者を午後8時から翌朝6時までの時間帯に労働に従事させてはならない。
第 49 条
使用者は、女性労働者を午後10時から翌朝6時までの時間帯に労働に従事させてはならない。但し、労働組合の同意を得るか、もし当該事業体に労働組合がないとき、労使会議の同意を得て、且つ次に掲げる各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一、必要な安全衛生施設を提供するとき。
二、大衆交通手段がない場合に、送迎の交通手段又は女子寄宿舎を備えるとき。
前項第1号でいう必要な安全衛生施設の基準について、中央主務機関がこれを定める。但し、使用者と労働者の間で約定した安全衛生施設が本法の規定より労働者に有利なときは、その約定による。
女性労働者が健康又は他の正当な理由により、午後10時から翌朝6時までの時間帯に労働できないとき、使用者は強制的に労働に従事させてはならない。
第1項の規定は、天災、事変又は突発的事件のために、使用者が女性労働者を午後10時から翌朝6時までの時間帯に労働に従事させる必要がある場合は、適用しない。
第1項ただし書及び前項の規定は、妊娠中又は授乳期間中の女性労働者には適用しない。
第50条
出産前後の女性労働者を、就業させてはならず、8週間の出産休暇を与えなければならない。妊娠3ヶ月以上で流産した者を、就業させてはならず、4週間の出産休暇を与えなければならない。
前項の女性労働者を6ヶ月以上雇用したとき、休業期間中の賃金については、通常の全額を支払い、6ヶ月未満のとき、その半額を支払わなければならない。
第51条
女性労働者は、妊娠期間において、他の軽易な業務がある場合、それに転換するよう請求することができる。使用者は、これを拒否してはならず、且つその賃金を減らしてはならない。
第 52 条
使用者は、生後1年未満の乳児に自ら授乳する女性労働者に対しては、第35条所定の休憩時間のほかに、1日に2回の授乳時間を与えなければならず、1回につき30分間を限度とする。
前項の授乳時間は、勤務時間とみなす。
第 六 章 定年退職
第 53 条
労働者は、次に掲げるいずれかの事由に該当するとき、自ら定年退職を願出ることができる。
一、15年以上勤務し、満55才に達したとき。
二、25年以上勤務したとき。
三、10年以上勤務し、満60才に達したとき。
第 54 条
労働者が次に掲げるいずれかの事由に該当するのでなければ、使用者は、強制的に退職させてはならない。
一、満65才に達したとき。
二、心身障害によりその職務に堪えないとき。
前項第1号所定の年齢は、労使双方が協議した後、これを延長することができる。危険業務、強靱な体カを要する特殊な業務に就く者については、事業体が中央主務機関に届出てこれを調整することができる。但し、55才を下回ってはならない。
第 55 条
労働者の定年退職金支払基準は、次のとおりである。
一、その勤続年数に応じて、1年につき基本点数2を与える。但し、15年を超える勤続年数について、超えた部分は1年につき基本点数1を与え、総数最高45基本点数を限度とする。半年未満のときは半年として計算し、半年を超えるときは、1年として計算する。
二、第54条第1項第2号の規定により、強制退職させる労働者は、その心身障害が業務の遂行に起因している場合、前号の規定による計算額の2割を加算する。
前項第1号の定年退職金基本点数の基準額とは、退職を認めた時の1ヶ月分の平均賃金を言う。
第1項所定の定年退職金は、使用者が労働者の退職日より30日以内に支払わなければならず、一括払いすることができないとき、主務機関に報告し認可を受けたうえ、分割して支払うことができる。本法の施行前に、事業体が定めた従来の定年退職基準が本法の規定よりも優れているときは、従来の規定による。
第 56 条
使用者は労働者の毎月の賃金総額の2%から15%の範囲内で、月ごとに労働者退職給与引当金を積み立てて、専用口座に預け入れなければならず、且つこれは譲渡、差押え、相殺又は担保の対象とすることができない。その積立比率、手続及び管理等事項に関する弁法は、中央主務機関がこれを定め、行政院の許可を得る。
使用者は、毎年事業年度終了前に、前項の労働者退職給与引当金の残高を推算し、当該残高をもって、次年度において第53条又は第54条第1項第1号の定年退職条件を満たす労働者に前条により計算した定年退職金額を十分に支払うことができないと推定した場合、使用者は、次年度3月末までに、その差額を一括して積み立て、且つ事業体の労働者退職給与引当金の監督委員会の審査に付す。
使用者は第一項により月ごとに労働者退職給与引当金をまとめて労働者退職基金に積み立てる。中央主務機関が設立した労働者退職基金の監督委員会がこれを管理する。その組織、会議及びその他関連事項は中央主務機関がこれを定める。
前項基金の収支、保管及び運用は、中央主務機関と財政部が委託する金融機構とが共同で行う。最低収益は当地銀行の2年物定期預金の利率による収益を下回ってはならない。欠損が発生した場合、国庫による補填を行う。基金の収支、保管及び運用の弁法は、中央主務機関がこれを定め、行政院の審査に付す。
使用者が積み立てる労働者退職給与引当金は、労働者と使用者が共同で労働者退職給与引当金の監督委員会を設立してこれを監督しなければならない。当該委員会における労働者代表人数は、3分の2を下回ってはならない。その組織規則は中央主務機関がこれを定める。
使用者が月ごとに積み立てる労働者退職給与引当金比率の決定または調整は、事業体の労働者退職給与引当金の監督委員会による決議を経て、当地の主務機関の審査に付さなければならない。
金融機関がローン審査するにあたって、当該事業体の労働者退職給与引当金積立状況の必要な資料を検査する必要があるとき、当地の主務機関に提供を要請することができる。
金融機構は、前項により入手した情報の秘密保持義務を負い、且つ資料の安全検査作業を確実に行わなければならない。
前2項の労働者退職給与引当金に関する必要な資料の内容、範囲、申請手続き及び遵守すべき他の事項の弁法は、中央主務機関が金融監督管理委員会と協議してこれを定める。
第 57 条
労働者の勤続年数の計算については、同一事業者における就業に限る。但し、同一使用者の転属命令による勤続年数及び第20条の規定により新使用者が継続して承認しなければならない勤続年数は、これを通算しなければならない。
第 58 条
労働者の定年退職金請求権は、退職の次の月から起算して、五年の不行使により消滅する。
労働者の定年退職金請求権はこれを譲渡、相殺、差押え又は担保供託してはならない。
労働者は、本法の規定により、労働者定年退職金を請求するとき、労働者定年退職金を預け入れるために、証明書類を付して、金融機構で専用口座を開設することができる。
前項専用口座の預金は、これを相殺、差押え、担保供託または強制執行の対象とすることができない。
第 七 章 労働災害補償
第 59 条
労働者が労働災害に起因して死亡、能力喪失、傷害又は疾病に至ったとき、使用者は、次の各号の規定により、補償を行わなければならない。但し、同一事故について、労働者保険条例又はその他法令の規定により、すでに使用者の費用負担による補償を受けた場合、使用者は、それに相当する額を差し引くことができる。
一、労働者が負傷し、又は職業病にかかった場合、使用者はその必要な医療費を負担しなければならない。職業病の種類及びその医療範囲は、労働者保険条例の関連規定による。
二、労働者が治療のために労働不能になった場合、使用者は、従来支払っている賃金の額を休業補償金として支払わなければならない。但し、治療開始後2年を経過しても完治しない場合、指定病院の診断により元来の労働能カを喪失したものと判定し、かつ第3号の能力喪失補償支給基準に合致しないとき、使用者は平均賃金の40月分の打切補償を支払った後に、この休業補償責任の免除を受けることができる。
三、労働者が、治療終了後、指定病院の診断により身体に障害があると判定された場合、使用者は、その平均賃金及び能力喪失の程度に応じて、能力喪失一時金を支払わなければならない。能力喪失補償の基準は、労働者保険条例の関連規定による。
四、労働者が、労働災害に遭い又は職業病にかかって、死亡するに至った場合、使用者は、平均賃金の5月分の葬祭料を支払うほか、遺族に対して、平均賃金40月分の遺族補償一時金を給付しなければならない。遺族補償を受ける遺族の順位は、次のとおりとする。
(一)配偶者及び子女
(二)父母
(三)祖父母
(四)孫
(五)兄弟姉妹
第 60 条
使用者は、前条の規定による補償金を給付するにあたり、同一事故が生じた損害賠償の金額を差し引くことができる。
第 61 条
第59条の補償を受ける権利は、受領できる日から起算して、二年の不行使により消滅する。
補償を受ける権利は、労働者の離職により影響を受けず、且つこれを譲渡、相殺、差押又は担保供託してはならない。
労働者又はその遺族が、本法の規定により労働災害補償金を請求するときは、労働災害補償金を預け入れるために、証明書類を付して、金融機構で専用口座を開設することができる。
前項専用口座の預金は、これを相殺、差押え、担保供託または強制執行の対象とすることができない。
第 62 条
事業体がその事業を請け負い、更に下請負に付すとき、元請負人又は中間請負人は各自の請負部分で使用する労働者について、最終下請負人と連帯して、この章に定める使用者の労働災害補償の責任を負わなければならない。
事業体、元請負人又は中間請負人が前項の災害補償を行ったとき、その補償部分について、最終下請負人に対して求償することができる。
第 63 条
請負人又は下請負人の事業場が、事業体の事業場の範囲内にあるとき、又は事業体がそれを提供したとき、事業体は、請負人又は下請負人に対して、その使用する労働者の労働条件が関係法令の規定に合致するよう、促さなければならない。
事業体が職業安全衛生法所定の請負人及び下請負人が負うべき責任に関する規定に違反したことにより、請負人又は下請負人が使用する労働者に労働災害が起きた場合、当該請負人又は下請負人と共に連帯して補償責任を負わなければならない。
第 63-1 条
派遣先が使用する派遣労働者に労働災害が起きたとき、派遣先は派遣元と連帯して本章に規定されている使用者の負うべき労働災害補償責任を負わなければならない。
前項の労働災害について、労働者保険条例又は他の法令規定により、派遣先又は派遣元が費用負担して補償した場合、これを相殺すると主張することができる。
派遣先及び派遣元が、本法又は関連安全衛生規定に違反したことにより、派遣労働者に労働災害が起きたときは、連帯して損害賠償の責任を負わなければならない。
派遣先又は派遣元は、本法の規定により支払った補償金額と、同一事故により発生した損害の賠償金額を相殺することができる。
第 八 章 技術生(実技研修生)
第 64 条
使用者は、15才未満の者を技術生として受け入れてはならない。但し、中学を卒業した者は、この限りでない。
技術生とは、中央主務機関所定の技術生訓練職種の中で技能の習得を目的とし、この章の規定によって使用者の訓練を受ける者をいう。
この章の規定は、事業体の養成員、研修生、産学連携クラスの学生及びその他技術生の性質と類似する者に準用する。
第 65 条
使用者が技術生を受け入れるにあたっては、技術生との間で書面で訓練契約一式三通を作成署名し、訓練項目、訓練期間、食事宿泊負担、生活手当、教学、労働者保険、修了証書、契約の発効と解除の条件、その他双方の権利義務に関する事項等を明確に定めて、双方当事者が各自保管し、並びに主務機関に届け出なければならない。
前項の技術生が未成年者である場合、その訓練契約は、法定代理人の同意を得なければならない。
第 66 条
使用者は、技術生から訓練に関する費用を徴収してはならない。
第 67 条
技術生の訓練期間が終了した後、使用者は、その者を継続任用することができるが、同一業務の労働者と同等の待遇を与えなければならない。若し使用者が技術生訓練契約で継続任用期間を明確に定めている場合、その訓練期間を超えてはならない。
第 68 条
技術生の人数は、労働者人数の4分の1を超えてはならず、労働者の人数が4人未満のときは、4人として計算する。
第 69 条
本法の第4章労働時間、休息及び休暇、第5章児童労働者及び女性労働者、第七章労働災害補償その他労働者保険等に関する規定は、技術生に準用する。
技術生の災害補償において採用する賃金計算の基準は、基本賃金を下回ってはならない。
第 九 章 就業規則
第 70 条
30人以上の労働者を使用する使用者は、その事業の性質により、次の事項について就業規則を制定し、主務機関に届け出た後、これを公開掲示しなければならない。
一、労働時間、休息、休暇、国民の祝日、有給休暇並びに継続労働の交替制に関する事項
二、賃金の基準、計算方法及び支払の時期に関する事項
三、労働時間の延長に関する事項
四、手当及び賞与に関する事項
五、遵守しなければならない紀律に関する事項
六、勤務評定、休暇届、表彰・制裁及び昇進に関する事項
七、雇用、解雇、リストラ、離職及び定年退職に関する事項
八、災害傷病補償及び遺族補償に関する事項
九、福利厚生に関する事項
十、労使双方が遵守しなければならない労働安全衛生の規定に関する事項
十一、労使双方の意思疎通及び協力強化の方法に関する事項
十二、その他の事項
第 71 条
就業規則の中で、法令の強制若しくは禁止規定又は当該事業に適用される団体協約の規定に違反するものは、無効とする。
第 十 章 監督及び検査
第 72 条
中央主務機関は、本法及びその他の労働関係法令の執行を徹底させるため、労働者検査機関を置き、又は直轄市主務機関に授権して検査機関を置いて執行させる。直轄市、県(市)主務機関が必要だと認めたときも、人員を派遺して検査を実施することができる。
前項労働者検査機関の組織については、中央主務機関がこれを定める。
第 73 条
検査員が職務を執行するにあたっては、検査証を開示しなければならず、各事業体はこれを拒否してはならない。事業体が検査を拒否した場合、検査員は、所轄の主務機関又は警察機関の立会いの下で強制的に立入検査を行うことができる。
検査員が職務を執行するにあたっては、本法所定の事項により、事業体に対して必要な報告、記録、帳簿及び関係書類又は書面説明の提出を求めることができる。資材、見本又は資料のサンプリングをする必要がある場合は、事前に使用者又はその代理人に通知し、並びに領収書を発行しなければならない。
第 74 条
労働者は、事業体が本法その他労働関係法令の規定に違反している事実を発見した場合、使用者、主務機関又は検査機関に告発することができる。
使用者は、前項の告発を理由として、労働者に対して解雇、降格、減給、法令、契約によりもしくは慣習的に享有すべき権利を損ったり、またはその他不利益な扱いをしてはならない。
使用者が、前記のいずれかの行為をしたときは、無効とする。
主務機関または検査機構は第一項の告発を受けた後、必要な調査を行い、且つ60日以内に処理の情況を書面で労働者に通知しなければならない。
主務機関または検査機構は告発者の身元資料を厳密に秘密保持し、その身元を十分に識別できる情報を漏洩してはならない。
前項に違反したとき、法により公務員の刑事及び行政責任を追及すべきであるほかに、これにより損害を受けた労働者に対して損害賠償の責任を負わなければならない。
主務機関が受理した告発事件の秘密保持及び遵守すべき他の事項の弁法は、中央主務機関がこれを定める。
第 十一 章 罰則
第 75 条
第5条の規定に違反した者は、5年以下の有期懲役、拘留又は台湾ドル75万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第 76 条
第6条の規定に違反した者は、三年以下の有期懲役、拘留又は台湾ドル45万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第 77 条
第42条、第44条第2項、第45条第1項、第47条、第48条、第49条第3項又は第64条第1項の規定に違反した者は、六月以下の有期懲役、拘留又は台湾ドル30万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第 78 条
第17条、第17条の1第7項、第55条所定の基準または期限による支払いを行わなかった者は、台湾ドル30万元以上150万元以下の過料に処し、かつ期限を定めて支払いを命じる。期限を超えても支払いを行わなかった者は、回数ごとに処罰しなければならない。
第13条、第17条の1第1項、第4項、第26条、第50条、第51条又は第56条第2項の規定に違反した者は、台湾ドル9万元以上45万以下の過料に処す。
第 79 条
次に掲げる各号のいずれかに該当する者は、台湾ドル2万元以上100万元以下の過料に処す。
一、第21条第1項、第22条から第25条まで、第30条第1項から第3項まで、第6項、第7項、第32条、第34条から第41条まで、第49条第1項、又は第59条に違反した者。
二、主務機関が第27条の規定による期限付賃金支払命令又は第33条の規定による労働時間調整命令に違反した者。
三、中央主務機関が第43条により定めた休暇期間又は欠勤による休暇期間以外の賃金支払最低基準に違反した者。
第30条第5項または第49条第5項の規定に違反した者は、台湾ドル9万元以上45万元以下の過料に処す。
第7条、第9条第1項、第16条、第19条、第28条第2項、第46条、第56条第1項、第65条第1項、第66条から第68条まで、第70条または第74条第2項の規定に違反した者は、台湾ドル2万元以上30万元以下の過料に処す。
前3項による行為のいずれかに該当するとき、主務機関は事業規模、違反の人数、違反の実態により、その過料を法定過料最高額の2分の1まで加重することができる。
第 79-1 条
第45条第2項、第4項、第64条第3項及び第69条第1項に準用する規定に違反したときの処罰は、本法罰則の章の規定を適用する。
第 80 条
労働検査員の法による職務執行を拒否、回避、又は妨害した者は、台湾ドル3万元以上15万元以下の過料に処す。
第 80-1 条
本法に違反し、主務機関により過料に処すとき、主務機関はその事業体または事業主の名称、代表者氏名、処分期日、違反条項及び過料金額を公表しなければならず、且つ期限を定めて改善を命じる。期限を超えても改善しなかった者は、回数ごとに処罰しなければならない。
主務機関が過料に処すと決定するにあたっては、違反行為に関わる労働者の人数、違法の累積回数または法により未払の金額を刑罰軽重の基準として酌量することができる。
第 81 条
法人の代表者、法人又は自然人の代理人、被用者その他の従業員が、業務執行により、本法の規定に違反したとき、本章の規定により行為者を罰するほか、当該法人又は自然人に対して、各条項に該当する罰金刑又は過料罰を科さなければならない。但し、法人の代表者又は自然人が違反の発生防止行為をした場合、この限りでない。
法人の代表者又は自然人が違反行為の教唆又は放任に関わったときは、行為者として論断される。
第 82 条
本法所定の過料が、主務機関による納付催促を経てもなお納付されないとき、裁判所に移送して強制執行を行うことができる。
第 十二 章 付則
第 83 条
労使関係の調和、労使協カの促進、労働能率向上のために、事業体は労使会議を開催しなければならない。その弁法は、中央主務機関と経済部が共同で制定し、且つ行政院に提出して許可を得る。
第 84 条
公務員が労働者の身分を兼ねるときは、その任免、給与、表彰懲戒、定年退職、遺族補償及び保険(労働災害を含む)等の事項について、公務員関係法令の規定を適用しなければならない。但し、その他の法令に定める労働条件が本法の規定より優れているときは、なおその規定による。
第 84-1 条
中央主務機関の認可、公告を経た次の労働者は、別途労使双方が労働時間、定休、休暇、女性労働者の夜間勤務について、現地の主務機関に申出て約定することができ、第30条、第32条、第36条、第37条、第49条規定の制限を受けない。
一、監督、管理者、またはフレックスタイム制の専業者。
二、監視または間歇性質の業務。
三、その他特殊性のある業務。
前項の約定は書面で行い、本法所定の基準を参考にしなければならず、且つ労働者の健康と福祉に損害を与えてはならない。
第 84-2 条
労働者の勤続期間は雇用された日から起算される。本法適用前の勤続期間における解雇手当及び定年退職金の支払基準は、当時の適用すべき法令に基づいて計算する。当時の適用できる法令がない場合は、各事業体の規定または労使双方の協議で計算する。本法適用後の勤続期間における解雇手当と定年退職金の支払基準は、第17条と第55条の規定により計算する。
第 85 条
本法の施行細則は、中央主務機関がこれを制定し、行政院に提出して許可を得る。
第 86 条
本法は、公布の日より施行する。
2000年6月28日付改正公布の第30条第1項及び第2項の規定は、2001年1月1日より施行する。2015年2月4日付改正公布の第28条第1項は公布8ヶ月後に施行する。2015年6月3日付改正公布の条文は、2016年1月1日より施行する。2016年12月21日付改正公布の第34条第2項の施行期日については、行政院がこれを定め、第37条及び第38条は2017年1月1日より施行する。
2018年1月10日付改正の本法条文は2018年3月1日より施行する。