スポーツ選手の別名、愛称は、商標法第30条第1項第13号に規定の「芸名」に該当する。

2020-10-27 2020年
■ 判決分類:商標権

I スポーツ選手の別名、愛称は、商標法第30条第1項第13号に規定の「芸名」に該当する。

■ ハイライト 
原告は2016年4月21日に「Blackmambaデザイン文字」商標をもって第25類「衣服、Tシャツ、ジャケット」等商品への指定使用を被告に登録出願した。被告の審査を経て、登録第1804197号商標(以下「係争商標」という)として許可された。その後、参加人が係争商標が商標法第30条第1項第13号規定に違反したとして、異議申立をした。被告が審査したところ、係争商標に前掲商標法同条項第13号規定を適用すると認めたので、取消処分とした。原告はそれを不服とし、訴願を提起したが、経済部により訴願が棄却され、再にこれを不服とし、知的財産裁判所に訴訟を提起した。裁判所の判決趣旨では、「BlackMamba」は係争商標出願時確かに米国NBAスター「KobeBryant」の国内における有名な芸名となっていたのに、原告が「BlackMamba」を係争商標として登録出願し、そのうえ「KobeBryant」の同意を得ていないため、その人格権及び当該国内における有名な芸名を利用し、国内での商業活動により生じる一定の経済效益の財産権に損害を与えたことがないとは言い難いので、自ずと商標法第30条第1項第13号本文、登録不可に関する規定に違反する。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】2019年行商訴字第78号
【裁判期日】2020年01月08日
【裁判事由】商標異議
 
原告 林沅滸  
被告 経済部知的財産局
参加人 米国柯比公司

上記当事者の間による商標異議事件について、原告が経済部による2019年5月29日経訴字第10806304910号訴願の決定を不服として、行政訴訟を提起したが、本裁判所より参加人に独立して被告の訴訟への参加を命じた上で、以下のとおり判決を下す。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告は2016年4月21日「Blackmambaデザイン文字」商標を当時の商標法施行細則第19条に定められた商品及びサービス分類表第25類の「衣服、Tシャツ、ジャケット……」商品への使用に指定して、被告に登録出願し、審査を経て、登録第1804197号商標として許可された(以下「係争商標」という)。その後、参加人が係争商標が商標法第30条第1項第11号、12号及び13号の違反に該当するとして、これに対して異議申立てを行った。案件は被告による審理の結果、係争商標に前掲商標法同条項13号の適用があると判断され、2018年12月28日中台異字第G01060114号商標異議決定書により、係争商標の登録を取消す処分をした。原告がこれを不服として、訴願を提起したところ、経済部が2019年5月29日付経訴字第10806304910号訴願により、申立てを棄却したが、原告はなお承服できないため、本裁判所に訴訟を提起した。本裁判所は職権により参加人に独立して被告の訴訟への参加を命じた。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の主張
訴願決定及び原処分をすべて取消す。
(二)被告の主張
原告の訴えを棄却する。

三 本件の争点
係争商標は商標法第30条第1項第13号の規定の登録できない事由に該当しているか。

四 判決理由の要約
(一)2012年7月1日より施行された商標法第30条第1項第13号に規定される「芸名」はエンターテインメントにおける芸能人の仮名、別名に限らないこととなっている。プロのスポーツ選手というのは、現状においてスキルをパフォーマンスする性質があるスポーツ試合を職業としており、スポーツスキルをパフォーマンスすることを職業とする「芸能人」に該当する。プロのスポーツ選手とスポーツリーグ、マスコミとの関係については、ほぼマネージャーに任せ、スポーツのスター選手の生活動態または言葉と行為は、常にマスコミの注目を集めており、その性質はエンターテインメント芸能人と異なることがなく、且つ関連消費者の観客はスポーツのスター選手を試合で応援する時、ほとんどスポーツ選手本名以外の別名、愛称、または背番号等で呼ぶので、当該呼称は性質的に「芸名」に該当する。

(二)調べたところ、係争商標は攻撃状態となっている抽象的なヘビデザイン図案及びややデザインされた外国語「Black Mamba」で構成されているが、その抽象的なヘビのデザイン図案を外国語「Black Mamba」に組み合わせであり、全体的に人に与える印象は、やはり文字印象から離れない外国語「Black Mamba」である。

(三)参加人が提示した「Kobe Bryant」フェイスブックファンページ2011年3月22日付、9月26日付、2012年8月10日付、2013年10月14日付、2014年7月11日付、2015年9月17日付等投稿でシェアした「Black Mamba」と呼ばれるKobe Bryantの文章及び映像、2015年12月8日付ETtoday 東森新聞雲「Kobe時を越えてブラックマンバの伝説を書く」、2015年12月1日付及び5日付自由時報自由スポーツ「『伝説は永遠に色退せない』NBAスター選手によるブラックマンバへの敬意を表す言葉のまとめ」、「NBA 》ブラックマンバの最後のダンスか?米国NBA:再びドリームチームのウェアを着る見込み」報道等、及び「Black mamba Kobe」をキーワードとしてGoogleで検索し、並びに係争商標出願日前の資料を設定して検索したところ、約170,000件の中国語/英語関連検索結果があり、繁体字中国語のページだけを検索した場合でも3,000件の資料があり、主な検索結果はいずれも米国NBAバスケットスター選手のKobe Bryantの情報と関連していた。
よって、係争商標が2016年4月21日に出願された時、「Black Mamba」はすでにスポーツスキルを専門とするアーティストの「Kobe Bryant」がパフォーマンス性のバスケット試合の出場時に呼ばれる芸名となっており、且つ「Black Mamba」は客観的にも「Kobe Bryant」ひとりだけをさすものなので、国内の関連消費者も直接「Kobe Bryant」と関係があると連想することから、すでに国内において有名な程度に達していると認められる。

(四)原告は「Black Mamba」がKobe Bryantの国内における有名な芸名であると知っており、「Black Mamba」が美国NBAで有名なバスケットのスター選手Kobe Bryantの国内における有名な芸名であることも承知していた。

(五)以上を総合すると、「BlackMamba」が係争商標出願時確かに米国NBAスター「KobeBryant」の国内における有名な芸名となっていたのに、原告は「BlackMamba」を係争商標として登録出願し、そのうえ「KobeBryant」の同意を得ていないため、その人格権及び当該国内における有名芸名を利用し、国内での商業活動から生じる一定の経済效益の財産権に損害を与えたことがないとは言い難いので、2012年7月1日より施行された商標法第30条第1項第13号本文、登録不可に関する規定に自ずと違反すると認められる。よって、被告が係争商標登録を取消処分とすべきとした決定は法に不一致なところがなく、訴願の決定を維持したことにも間違いはなく、原告の原処分及び訴願決定をすべて取消す訴えには理由がないので、棄却すべきである。

前述を総じて論結すると、本件原告の訴えには理由がなく、知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第98条第1項前段により、主文のとおり判決を下す。

2020年1月8日
知的財産裁判所第三法廷
審判長裁判官 蔡惠如
裁判官 吳俊龍
裁判官 伍偉華

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