古龍の著作争議 邵氏は処罰されず、ディスク業者は賠償を命じられ
2014-05-15 2011年
■ 判決分類:著作権
I 古龍の著作争議 邵氏は処罰されず、ディスク業者は賠償を命じられ
II 判決内容の要約
基礎データ
四 判決理由の要約
(一) 宋氏公司が邵氏公司に請求した部分:
1.宋氏公司は邵氏公司がその著作財産権を侵害したと主張した行為は:邵氏公司は宋氏公司の同意または許諾を得ずに、それぞれ1976年12月16日及び1982年5 月29日にその著作財産権を享有している係争言語の著作物をシナリオにし、映画化した後、2000年5 月15日に映画の権利を天映公司に譲渡した。
2.「第85条及び第88条の損害賠償請求権は、請求権者が損害のあったこと及び賠償義務のある人を知った時から起算して2年間行使しないことにより消滅する。権利侵害行為のあった時から10年間を過ぎたときも同様とする」と著作権法第89条の1 に明文で定めている。調べたところ、原告は、被告邵氏公司が係争言語の著作物を改作した時間が1976年12月16日及び1982年5 月29日であると主張し、2007年頃から邵氏公司がその著作財産権を侵害したので、損害賠償を請求すると訴えで主張し、明らかに前記条文で定めている請求権の消滅時効を過ぎたので、邵氏公司の時効の抗弁に理由がある。また宋氏公司は、邵氏公司がその後「楚留香伝奇」及び「浣花洗剣録」映画の視聴著作の権利を天映公司に譲渡し、天映公司がその後2002年10月31日に台湾で前記映画視聴著作の複製物を複製、及び頒布する権利を得利影視に許諾したと主張したことは事実であるが、邵氏公司が映画の権利を天映公司に譲渡した行為は係争著作財産権を侵害せず、また常識から考えて、邵氏公司は権利を天映公司に譲渡した後、天映公司は他人に複製または頒布の権利を許諾するか否かについては、天映公司の独立な自主決定であり、たとえ当該複製または頒布行為が著作権を侵害したとしても、邵氏公司に共同で権利を侵害した行為があると認定し難い。以上をまとめると、宋氏公司は著作権法第88条第1 項規定により、100 万台湾ドルの賠償金及び起訴状写しが送達された翌日から計算した法定遅延利息を連帯して支払うよう邵氏公司に請求したことには、理由がなく、許可すべきではない。
(二) 宋氏公司が天映公司、天映影視に請求した部分:
1.宋氏公司が係争言語の著作物に対し改作権を含む著作財産権を享有しており、天映公司及び天映影視が台湾で「楚留香伝奇」及び「浣花洗剣録」映画視聴著作を複製、及び頒布することを得利影視に許諾した行為は既に宋氏公司の著作財産権を侵害した。:
(1)宋氏公司は、その法定代理人甲○○の父である宋今人が独資で設立した真善美出版社が、かつて1964年7 月4 日及び1966年10月20日に訴外人古龍と「著作物権譲渡契約」を締結し、古龍が言語の著作物の著作財産権を含む著作権及び一切の権利を真善美出版社に譲渡すると約定し、真善美出版社も法により1980年1 月26日及び1980年4月8 日に内政部に著作権を登録し、有効期間が1984年9 月3 日までであり、宋今人が死去し、甲○○が前記著作の一切の著作権利を相続し、更に1996年12月30日に甲○○が当該権利を宋氏公司に譲渡した。その提出した「著作物権譲渡契約」、内政部著作権ライセンス、内政部著作権登記簿の写し、「著作権譲渡契約書」等が証明になる(原審ファイル第31-33 、41-43 頁を参照)。 著作権法は1985年修正前に実質審査の登録主義が採用され、1985年の修正後は創作主義が採用されたが、登録制度が維持され、1992年に始めて登録制度を登記制度に改め、その後登記制度は1998年に廃止され、また天映公司、天映影視が提出した内政部の前記書簡は、「登記制度」ではなく「登録制度」に対するものなので、宋氏公司の前支配者宋今人の係争言語の著作物の登録効力の認定を適用できないことを、予め説明する。著作権法は1985年修正前は既に実質審査の登録主義が採用され、古龍本人は係争著作の著作権者として登録していないことは、双方が論争せず、譲渡できる著作権がなく、古龍と真善美出版社が締結した「著作物権譲渡契約」は、解釈上、著作者が登録でき、係争語文著作著作財産権を享有している権利を譲渡する契約であり、その後宋今人、即ち真善美出版社は古龍と締結した「著作物権譲渡契約」により内政部に登録し、著作権ライセンスを取得し、宋今人、即ち真善美出版社が著作権者である。 宋氏公司は、真善美出版社がかつて訴外人桂冠圖書が真善美出版社が古龍から引き受けた著作権の「楚留香伝奇」著作を出版し、古龍及び桂冠圖書と共同で協議書を締結し、真正の権利者、即ち真善美出版社が「楚留香伝奇」の出版を桂冠公司に許諾することを約定し、当該協議書では、古龍が早くも1966年10月20日に真善美出版社と「鉄血伝奇」の「著作物権譲渡契約」を締結し、また古龍が今後「浣花洗剣録」等5 作品の著作を絶対に自らまたは桂冠公司及び何人に渡して出版しないことを保証し、さもなければ真善美出版社に賠償しなければならないと記載されたことは、その提出した協議書1 部が証明になり(原審ファイル第306-307 頁を参照)、且つ台湾高等裁判所86年度上訴字第735 号の著作権法違反の刑事案件での審理中、証人陳曉林は、古龍が当該協議書を締結した時に現場にいたと証言し、また証人蔡正德も、古龍が当事者として当該協議書に署名した等と証言し、本裁判所で当該ファイルを調達し調査したところ、錯誤がないので(当該ファイル第164 至168 頁)、前記協議書は確かに古龍本人が締結したことに間違いがない。また当該協議書では、古龍は早くも1966年10月20日に真善美出版社と「鉄血伝奇」の「著作物権譲渡契約」を締結し、また「浣花洗剣録」等5 部の著作について今後絶対に自らまたは桂冠公司及び何人に渡して出版せず、さもなければ真善美出版社に賠償しなければならないと保証した等と記載され、古龍が確かに真善美出版社と「楚留香伝奇」及び「浣花洗剣録」の前記「著作物権譲渡契約」を締結した。天映公司、天映影視は古龍が締結した「著作物権譲渡契約」の真正に疑問を呈したことは、信用できない。
(2)被告は、たとえ前記「著作物権譲渡契約」が真正であると認定しても、宋今人、即ち真善美出版社が係争言語の著作物の出版に必要な権利を取得するだけで、映画視聴著作の改作部分を含まない云々と証言した。しかし前記「著作物権譲渡契約」第1 条を見ると、「本契約締結後、本著作物の著作権及び一切の権利は、譲受人が所有する。」と約定され、第2 条では、「本契約締結後、譲受人は本著作物を自由に処理することができる。」と約定されているので、古龍は確かに当該著作の一切の権利を宋今人に譲渡し、出版権のみではなく、また同契約第8 条及び第14条の一部の内容に「出版」または「印刷」等の文字があるが、これは宋今人、即ち真善美出版社が出版を主な仕事にし、著作を利用する方式であり、その取得した権利が出版権に限ると認定してはならず、なぜならば、この解釈は明らかに契約の文義と遥かに違うからである。またファイルにある天映公司、天映影視が提出した邵氏公司と古龍が締結した映画著作権契約(原審第103- 104頁を参照)第3 条「前記小説、ストーリ、シナリオまたは歌詞はもし乙が書刊発行機関に渡し、いかなる形で出版、販売する場合、乙が本契約の添付として当該出版機関の書面同意を取得しなければならない」の約定の反対解釈により、改作権は確かに出版社が享有しているもので、そうでなければ、別途出版社の同意を得なければならないと約束する必要がない。以上をまとめると、天映公司、天映影視の前記抗弁は、信用できない。
(3)天映公司、天映影視復は再び、邵氏公司と古龍が1967年9 月15日、1976年4 月20日に「映画著作権契約」を締結し、邵氏公司に係争言語の著作物を映画化し、テレビに放映する権利があり、また真善美出版社はそれぞれ1980年1 月26日及び同年4 月8 日に著作権を登録した後、著作権を取得すると約定し、且つ当時著作権法の規定により、複製の権利があるのみであるので、係争言語の著作物の改作権は邵氏公司が所有しているものであるはず云々と抗弁し、且つ映画著作権契約(原審ファイル第103 、104 頁を参照)、「鉄血伝奇」映画著作権費用の領収書を提出し(原審ファイル第361 頁を参照)証明になるが、宋氏公司は前記私文書の真正について否認し、天映公司、天映影視は参考に前記文書の原本を提出しなかった。たとえ前記映画著作権契約が真正であると認定しても、古龍は当時登録しなかったので、係争言語の著作物の著作権者ではなく、且つ真善美出版社と「著作物権譲渡契約」を締結した後、登録でき、且つ前記の通り、係争言語の著作物の著作財産権を享有している権利を真善美出版社に譲渡し、1967年及び1976年頃に邵氏公司と映画著作権契約を締結し、その登録で取得した係争言語の著作物を映画化し、テレビに放送する権利を邵氏公司に渡したことは、無権処分であるので、当然無効であり、邵氏公司はこれで登録を取得して係争言語の著作物の改作権の権利を取得するのではない。また言語の著作物の著作財産権の範囲について、1985年7 月10日の著作権修法前、著作権法第1 条に文字の訳文に関して概略的に規定されていて、複製の利益があった。修正後、始めて著作者が改作権を享有している著作財産権の一つにすると明文で規定したが、1985年の修正前の著作権法第19条第1 項「著作物が登録された後、その権利者は他人が複製またはその他の方法により利益を侵害したことに対し、訴訟を提起することができる」の規定により、他人の著作権を侵害する方式は「複製」に限らないので、著作権法の1985年修正前、「派生著作」、「改作権」等名詞を具体化しなかったが、当時「改作権」が著作財産権の内容の1つであると認定されなかったことは言えないので、天映公司、天映影視は真善美出版社が係争言語の著作物の改作権を取得していない云々と抗弁したことに、理由がない。
(4)天映公司、天映影視は再び、「楚留香伝奇」及び「浣花洗剣録」は邵氏公司が出資したシナリオ・ライターであり、邵氏公司が独立で完成した著作物である云々と弁解した。しかし係争言語の著作物は、改作権を含む著作財産権は宋氏公司が所有しているものであることは、前述の通りで、天映公司及び天映影視は前記宋氏公司の同意または許諾を得ずに視聴著作を改作した複製物の複製、販売を得利影視に許諾したので、宋氏公司が係争言語の著作物を享有している著作財産権を侵害し、邵氏公司が改作した前記視聴著作は著作権法の保護を受けるか否かは、別の問題で、天映公司及び天映影視が既に原告の著作財産権を侵害した事実に影響を与えない。
(5)天映公司、天映影視は再び、著作権ライセンスの記載では、宋氏公司の「鉄血伝奇」の著作権有効期間は、1997年2 月14日までであり、また「浣花洗剣録」の著作権有効期間は1994年10月14日までで、既に保護期間を過ぎた云々と抗弁した。しかし「著作財産権はこの法律に別段の定めがある場合を除き、著作者の生存している間、及びその死後50年を経過するまでの間、存続する」と著作権法第30条第1 項に明文で規定されており、係争著作の著作者古龍が1985年9 月21日に死去したことは、前記訃報1部が参考になるので(原審ファイル第189頁を参照)、係争著作の著作権受保護期間は2135年9 月21日までであり、天映公司、天映影視の前記抗弁も、信用できない。
3.「故意又は過失により他人の著作財産権又は出版権を不法に侵害した者は、損害賠償の責任を負う。数人が共同で不法に侵害したときは連帯して賠償責任を負う」と著作権法第88条第1 項に明文で規定されている。前記の通り天映公司及び天映影視は過失で不法に宋氏公司の著作財産権を侵害したので、宋氏公司は当然前記条文により連帯して賠償責任を負うよう天映公司及び天映影視に請求することができる。次に同条第3 項規定では、「前項の規定により、被害者が容易にその実際の損害額を証明できないときは、裁判所に対して侵害の情状を斟酌して台湾ドル1万以上100万以下の賠償額を算定するよう請求することができる。損害行為が故意に為され、且つ情状が重大な場合は、賠償額を台湾ドル500万にまで増やすことができる。」となっており、本件天映公司及び天映娯樂は、得利影視に許諾するライセンス費の計算及び金額について提出しておらず、且つ得利影視が販売した映画は引続き市場に出回り、宋氏公司は現在でも天映公司、天映影視の著作権侵害行為により引続き損害を受けているので、宋氏公司が受けた損害は実に計算し難く、天映公司及び天映影視が販売を得利影視に許諾した地域は我国であり、係争言語の著作物がかなり有名で、多くの人々に喜ばれており、市場が多く、天映公司及び天映影視の過失程度等一切の情況を斟酌した後、原審で賠償が80万台湾ドルであると認定したことは、妥当であり、許可すべきである。この部分をこえた請求には理由がなく、許可しない。
以上をまとめると、本件双方の上訴に、すべて理由がなく、民事訴訟法第449 条第1 項、第463 条、第78条、第85条第2 項により、主文の通り判決する。