米スペシャル301条リスト発表 台湾が監視対象にとどまり 知財局、貿易局とも遺憾の意を表明

J060429Y8・J060429Z8 2006年5月号(J81)

 米通商代表部は米東部現地時間4月28日、スペシャル301条項の年次報告を発表した。48カ国がブラックリストに名を連ね、中国やロシアは相変わらず優先監視国(Priority Watch List)に指定され、そして台湾を含めた34カ国が監視国(Watch List)に指名されている。

 台湾をなぜ監視対象にとどめるか、その理由について、報告書では、薬事法改正で医薬品のデータ専属権を5年間保護することや、海賊版・模倣品・プラシーボの取締強化、P2Pサイトによる著作権侵害事件の起訴など、台湾当局が最近、知的財産保護を取り巻く環境の改善への積極的な取り組みを評価していながらも、海賊版製造・インターネット上の権利侵害の取締強化、模倣品の国外流出を水際で阻止、キャンパス内での著作権侵害対策の推進などもっと努力の余地があるという。そのうえ、知的財産裁判所設置の進行状況にも高い関心を示している。 

 報告発表前にブラックリストからの除名に自信を示していた知的財産局はこの結果をどう受け止めているのだろう?同局は、遺憾と不満の意を表明し、プレス発表で知的財産権保護のために講じた対策の実績を繰り返し強調している。 

 たとえば、「知的財産権保護警察隊」は、インターネットを利用した権利侵害の有効な抑止策として「インターネットにおける権利侵害の合同取締チーム」を設置し、インターネット上の知的財産権侵害事犯の摘発にあたっている。2005年に摘発した知的財産権侵害事件は1428件で、おととしの144件に比べて、434%の増加となっている。そのうちインターネットに関連するものは769件と全体の54%を占めている。この数値に示されているように、政府はインターネット上の権利侵害事件に力を入れていることがわかる。このほか、ブランク光ディスクを製造元から管理し、海賊版に悪用されるのを防ぐために、経済部所轄の『光ディスク合同査察チーム』は日夜を問わず、持続的かつ不定期に製造工場の検査を行っている。その成果として、去年の1年間で延べ1193社について検査を行い、おととしの1067社に比べ、11.81%のプラス成長(日中に検査が行われたのは685社、夜間検査は508社)があげられる。しかも重大な違法コピー事件は発見しなかったことから、工場における海賊版製造がコントロールされていることがいえる。一方、キャンパス内での著作権侵害については、教育部(文部科学省に相当)も教科書の違法コピーと台湾学術ネットワーク(TANet、Taiwan Academic Network)の管理を強化するほか、知的財産権保護への取り組みを学校に対する評価の一環に加え、また窓口を設置することによって、権利者団体とのコミュニケーションを強めるためのチャンネルを作っている。 

 このほか、「著作権法の一部を改正する案」は、今年4月24日に立法院の初審を通過し、違法コピーができるソフト・技術を提供することで、他人の著作財産権を侵害し、不正な利得を獲得した業者を刑罰の対象に加えるなどが盛り込まれている。法案が成立すれば、インターネット上の著作権侵害を効果的に抑止することが期待される。知的財産裁判所も2007年3月の開設を予定している。 

 さらに、国際知的財産権アライアンス(IIPA、International Intellectual Property Alliance)の最近の発表では、政府の知的財産権侵害対策が奏功し、台湾の違法コピー率は低下しているとの記述がある。音楽著作物については2004年の36%から2005年の26%へ、ビジネスソフトについては同43%から42%へ、ゲームソフトは同63%から51%へと減少。言語著作物の損失も約1割程度の減少と推算されている。権利者団体からの評価、また以上の統計数値も台湾当局による知的財産権保護政策の成果を如実に物語っている。(2006.04)

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