世界最高層ビル「台北101」を立体商標、建築著作物として保護 写真やハガキに無断利用が商標権・著作権侵害? 知財局「フェアユースに該当」

J060214Y2 2006年3月号(J79)

 世界最高層ビル「台北101フィナンシャルセンター」の立体商標権が物議を醸している。マンション販売会社が「台北101」管理者の許可を得ないでその外観イメージを取り入れた紙面構成にした不動産広告や、同ビルの前で広告の撮影或いは観光客が同ビルを写真にとってハガキにするなどといった行為は同ビルの立体商標権と著作権(建築著作物)を侵害していないかどうかをめぐる議論が連日、テレビ・新聞を賑わしている。これについて、知的財産局は、かかる行為は合理的な利用に属し、権利侵害にならないと公式な見解を発表している。

 2003年に立体商標が商標登録対象に加わって以来、建築物が立体商標登録を受けたのは「台北101」が初めてである。知財局は、世界最高層ビルとして注目され、相次ぐニュース報道で知名度が高く、社会で広く認識されるようになったことを、商標登録を認めた理由にあげている。

 「台北101」の外観が利用されている商品を例に、同ビルの立体商標はおもちゃ等を指定商品にしているため、第三者が権利者の許諾を受けずに、同ビルの模型グッズと同一若しくはこれに類似する商品を製造・販売すると、消費者に商品の出所を誤認させるおそれがあるので、同ビルの商標権を侵害することになる可能性は高い。

 一方、その外観を勝手に不動産広告の構成の一部にして宣伝した場合は権利侵害になるかどうかについて、不動産会社が意図的に「台北101」の立体図を自社の商標として使用し、また客観的に「台北101フィナンシャルセンター」が販売している物件であると消費者に誤認させるようなことになる場合、当然のこと商標権侵害になる可能性も高い。ただ、商標として使用するのでなく、あくまで宣伝のために、建設用地の辺りの有名な建物を併せて広告に掲載し、ロケーションや建物付近の環境を消費者に紹介するのが目的である場合は、商標法にいう「善意かつ合理的な使用方法」に該当し、商標権の効力が及ばない。

 同ビルもまた建築物として著作権法が保護する対象になるのだが、公益性の観点から、建築著作物のフェアユースの範囲が広い。例えば、「台北101」のような知名度の高い建物を記念のために写真に撮ったり、ハガキやポスターにしたり、ドラマのロケ地などに利用する場合は、フェアユースとみなし、著作権者の許諾がなくとも使用できるという。(2006.02)

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