商標保護、適用法の競合 知財局・公取委、関連法改正へ検討入り

J060118Y2 2006年2月号(J78)

 商標保護に関する適用法の競合問題について、公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当)と知的財産局が協議した結果、それぞれ公平交易法(日本の独占禁止法と不正競争防止法に相当。通称『公平法』)と商標法の改正案を提出することで合意したことが明らかにされた。国際的規範に合致するように、商標権侵害に関しては商標法に立ち戻って定めるべきであるとして、公平法における商標に関する保護規定を削除するほか、未登録著名商標を新たに商標法が保護する対象に加えいれ、公平法、商標法の競合による適用法の不明確性を解消する。

 商標やトレードドレスなどといった識別機能をもつ知的財産への保護においては、公平法は商標法の不足を補う位置付けにある。登録済み著名商標が商標法によって保護されているにもかかわらず、公平法第20条は「関連事業者若しくは消費者の間で広く認識されている表示」について、「商標」を列挙している。

 商標法では、商標を、文字、図形、記号、色彩、音声、立体的形状であるかこれらの結合からなり、消費者が商品(役務)の出所を示す標識として認識し、他人の商品、役務と識別できるものと定義している。一方、公平法第20条は、関連事業者若しくは消費者によって広く認識されている他人の氏名、商号若しくは会社名称、商標、商品の容器、トレードドレス又は他人の商品を示す表示を規定している。

 実務上、商品表示等が類似し、消費者に混同誤認を生じさせたことにより、公平法違反とされる行為に対して科される処罰は、商標法のそれよりも厳しい、というのが本末転倒であるとかねてから指摘されてきた。商標権を侵害された場合、権利者にとって商標法より、公平取引法のほうが実効的な救済を受けられる。制裁手段がバランスを失ったあげくに、本来司法事件として扱われるべき商標権侵害への度を過ぎた行政権の介入というおかしな現象を生み出している。(2006.01)

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