「遺伝子改造科学技術法」 10年かけてようやく立案 コンセンサス得られず 立法化難航の見通し

J060116Y9 2006年2月号(J78)

 10年がかりでまとめた「遺伝子改造科学技術法」(基因改造科技法)がようやく法制化に向けて一歩踏み出した。遺伝子組替え商品の研究開発の段階から申請、発売までが規制の対象になる。遺伝子技術が目まぐるしく進歩するなかで、遺伝子操作に付随する倫理的・社会的問題が、医療、環境保護、宗教等様々なレベルで生じ、議論されている。これを背景に、欧米諸国で法律の枠組みで管理・規制する動きに出ている国も多い。台湾では未だ衛生署と農業委員会が策定した行政規則で管理しているところに止まっている。しかもその範囲が限定的である。国あげてバイオテクノロジーの発展に取り組んでいる最中に、遺伝子技術を生かした商品が大勢市場に送り出されることが予想され、この世界の趨勢に対応する管理体制を整備する上で法的根拠の確立をいっそう加速させる必要がある。

 草案では、遺伝子改造技術の研究開発、圃場試験、輸出入及び商品発売などの手続きを規定するほか、科学的根拠の引用は慎重に行うこと、また研究機関や企業は危害発生防止のための適切な措置を講じること、情報公開を徹底することなどがポイント。世界的ルールに沿った内容だ。

 遺伝子改造の研究に携わる機関や企業は主務官庁が定めたリスクランク及び安全管理体制に従い、生物安全委員会を設置し、内部の安全管理にあたる。圃場試験を行うときには主務官庁の許可が必要である。遺伝子組換え商品の輸出入も原則として許可が必要。研究のプロセスにおいて重大な危害が発生した場合には、直ちに主務官庁に通報すること。通報を受けた主務官庁は必要な措置を講じ、危害の拡大を防ぐ。

 主務官庁は研究機関や企業に情報開示を求めることができる。重大な遺伝子改造計画については環境影響評価が必要になる。安全性管理体制作りや遺伝子改造技術発展戦略の策定にあたっては、有識者の専門的知見を導入することも可能。関連法令に違反した者は新台湾ドル5∼200萬元の過料処分のほか、民事損害賠償責任を負う。

 ただ、草案作りの段階で、適用範囲、主務官庁、商品の発売・管理、行政罰等についてコンセンサスが得られず、この基本案のほかに複数の対案が出されている。意見の溝が埋まらないまま、立法化が難航しそうだ。(2006.01)

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