電気通信事業の公正競争を促進するための規範が出来上がる

J000504Y4 2000年6月号(J12)

「公平取引法の電気通信事業に対する規範の説明」の案は行政院公平取引委員会(日本の公取委に相当、以下は公平会という)の昨日の委員会議で成立した。同規範は、電信事業の公正な競争を促進し、他の事業者の市場への新規参入が排除されるのを防止することを目的とするものであり、主に電信事業の独占、電信事業の連合行為(共同行為)及び公正競争の阻害行為など三種類の行為類型を規制する。

  まず、電信事業の独占に対する規制には次の七項目が禁止の対象となっている。

一.略奪的価格設定の禁止

    他の競争者を市場から駆逐し、又は市場への参入を排除することによって長期的に多額な利潤を獲得するための手段として、事業者が短期間の利潤を犠牲にして、コストをはるかに下回る価格設定を行うことを禁止する。

二.非価格的略奪の禁止

    設備をコントロールする事業者であると同時に、電信サービスを提供する業者でもあるいわゆる垂直的統合の事業者が基本設備の供給価格を不当に設定して、競争者のコストをアップさせることによって、その競争力を弱まらせたうえ、市場での競争を排除し、阻害するような行為を禁止する。例えば、甲業者は固定ネットワーク事業と移動体通信事業を同時に経営しているのに対して、乙業者は移動体通信事業のみを経営している。甲のネットワークを利用して電気通信サービスを提供している乙は甲から多額の接続料金を請求されているため、不利益な条件のもとでの競争を余儀なく強いられている場合がこれに当たる。

三.交互補助の禁止

    複数の項目の業務を経営している電信事業者はそのうちの特定業務を経営するために発生するコストを他の業務に帰属させ、又は転嫁することを禁止する。

四.ネットワーク提供又は接続拒否の禁止

    世界各国の電信事業の主務機関はいずれもネットワーク接続サービスを独占電信事業の基本義務としている。その他の事業者からの接続要求を拒絶したり、故意に接続の時間や過程を長引かせたり、又は不合理な料金設定を行ったりすることは公平取引法に違反する。

五.不当な長期契約の締結又は取引先転換制限の禁止

    他の競争業者が電信市場への参入を防止するために、サービスの提供について顧客と不当な長期契約を締結し、又はその他の取引先への転換を制約することを禁止することをいう。

六.抱き合わせ販売の禁止。

    すなわち、独占電信事業が他の市場への販売力拡大を意図して、個別販売のできる製品又は役務の取引を一括して行うことが禁止されている。

七.独占事業による購買力濫用の禁止

    独占事業がその優越的地位を利用して、取引の相手方に不合理的な価格若しくは取引条件を押し付け、又は特別な優遇措置を要求することをいう。

  電信事業の共同行為について、公平会は共同行為に該当する態様を六項目列挙した。また、公平取引法は原則として共同行為を禁止しているので、公平会の特別許可を得た上で行われなければならない。

一.事業者は契約によって協議し、又はその他の方法による合意をもって共同で価格を設定する行為。

二.生産量(数量制限)、生産能力若しくは設備(設備投資制限)についての事業者間の相互拘束(カルテル)、又は共同で経営地域及び取引の相手方を割り当てる行為。

三.価格設定、コスト、研究開発、顧客資料などの重要な情報を交換する行為。

四.他の競争者の市場参入を排除、阻害するために共同で価格を切り下げ、又は取引を拒絶することによって市場封鎖を図ることを目的とする行為。

五.同で技術を研究開発し、並びに品質基準を制定する行為。

    電信事業者が共同で技術を研究開発することは、コストダウンや効率の向上、サービスのレベルアップにつながるかもしれないが、かかる行為については公平会の許可が必要である。

  六.接続費用について協議する行為。

    つまり、水平の競争関係にある電信事業者が共同でコストを超える接続費用を設定して、小売市場の価格競争を制限しようとすることをいう。

  このほか、公正競争の妨害に該当する行為類型について次の三項目を公平会は例示した。一.共同ボイコット、二.正当な理由なき差別的取扱、三.割引による競争制限。

  この規範は公平法に触れる可能性のある行為について説明するものであり、実際の処理はやはり具体的な事実に基づいて個別に認定しなければならない。

 

電気通信事業が公平法に触れる可能性のある行為類型

    

                     

略奪的価格設定

事業者が短期間の利潤を犠牲にして、コストをはるかに下回る価格設定を行い、競争者を市場から駆逐し又は潜在的競争者の市場参入を阻害する行為

交互補助

第一、二類の電気通信事業を経営する事業者がそのうちのある特定業務のコストを他の業務に転嫁する行為。

差別的取扱

同じ競争の段階にある事業者が違う価格、品質、割引又はその他の取引条件でサービスを提供する行為

選択的割引

大幅な値引きで特定の競争者の顧客を自己と取引をするように誘引する行為。

期間付き割引

一定の期間内に取引先を転換せずに継続的に自己と取引をする顧客を対象に大幅に値引きした価格を提供し、並びに一定の期間が満了してはじめて割引価格を適用するような取引条件をつける行為。

抱き合わせ販売

分割して独立販売のできる二品目以上の商品又は役務の一括取引を消費者に要求する行為。

 

2000.5.4 工商時報より

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