勤続年数の計算は同じ使用者による各法人組織間での異動の影響を受けず

J000508Y9 2000年6月号(J12)

 労働基準法により、労働者の勤続年数の計算は「同一事業単位(労働基準法でいう事業単位とは本法を適用する各業種が労働者を雇用して労働に従事させる機構をいう)」に限るとなっているが、同じ使用者によって同一でない事業単位に異動させられた場合の勤続年数の算定については明確に定めていない。これについて、最近行政院労工委員会が出した解釈令により、同じ使用者から他の事業単位への人事異動を要求された労働者の勤続年数は同一事業単位で勤務するかを問わず、まとめて計算するものとする。

  労働基準法第57条は、労働者の勤続年数は「同一事業単位」に限る、と定めている。同条でいう「同一事業単位」とは、企業グループ内の親会社と子会社を含む。しかし、別々の「股有限公司」(株式会社)はそれぞれ違う法人組織に属し、法の定めるところにより同一でない事業単位として、労使双方に別段の約定がある場合を除き、勤続年数をまとめて計算する必要がないとされるはずである。

  ところが、近年、多くの企業がグループを構成して、経営の多角化に挑む傾向がある。そのうち、一部の事業主は企業の統廃合、営業項目の変更などによって、同じグループに属する他の会社に従業員を異動させたりするケースが多くなってきている。使用者は労働者の労働権を支配する立場にあることから、使用者による権利の濫用や責任の回避を防ぐために、同委員会の解釈令は労使双方の権利義務関係をはっきりさせたうえ、労働者の権益に影響を及ぼさないように、今後、同じ使用者より異動をさせられた場合、異動先が同一の事業単位であるかを問わず、同一事業単位とみなす。

  さらに、使用者が労働者を他の法人組織に異動させることは労働者が労務を提供する対象が変わるということになるので、もはや原労働契約の履行ではなくなる。この場合、勤続年数をまとめて計算するほか、異動前にまず労働者の同意が先決条件である。労働者が異動を拒否するにもかかわらず、使用者が異動を強制するときは、労働基準法第14条第1項第6号に定める「使用者が労働契約又は労働法令に違反し、労働者の権益に損害を生じさせる恐れがあるもの」により、労働者は予告を経ずに契約を終了させ、並びに使用者に対して退職手当の支給を要求することができる。

  また、使用者が労働者を異動させるにあたり、次の五原則を考慮しなければならない。1.企業経営上必要であること。2.労働契約に違反してはならないこと。3.労働者の賃金とその他の労働条件について不利な変更をしてはならないこと。4.労働者の体力と技術からして異動後の仕事に適任であること。5.異動先が遠隔の地にあるときは、使用者は必要な協力を提供すること。

 

2000.5.8  聯合報より
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