7月1日より行政訴訟制度大変身

J000619Y9 2000年7月号(J13)

 67年間実施されてきた行政訴訟制度は71日から新しく生まれ変わる。新制度の実施に伴い、国民と政府との間の公法上の訴訟は新しい局面を迎えている。人民の更なる権利保護のため、新制では国民は行政訴訟において公平に扱われるように配慮され、更には健全な行政訴訟制度を通じて法律に基づく政治を行うよう政府当局を促し、政府機関の抑制均衡を図る狙いが新制誕生の背景にある。

新制のなかで最も大きな変革といえば、現行の一級一審制を二級二審制に改めること、そして訴訟種類について現行の取消訴訟のほかに確認訴訟及び給付訴訟を増設することである。しかも前記二種類の訴訟は「訴願前置主義」を採らず、つまり訴願手続きを経ることなく直接高等行政裁判所に訴訟を提起することができるという。

今までの67年間、政府機関の違法な行政処分について、国民は行政裁判所に対して政府機関の特定の行政処分の取消しを求める「取消し訴訟」を起こすしかなかった。たとえ行政裁判所が原処分を違法又は不当と認定したとしても、「原処分を取消し、別途適法な処分を為すよう」との判決を言い渡すに止まり、処分の内容まで強制する権利は行政裁判所にはなかった。このため、改正行政訴訟法は「確認訴訟」を新設することによって、国民が行政裁判所に対して行政処分の無効を確認するための訴訟を起こすことができるようにし、行政裁判所の判決を経て当該行政処分の無効が確定したときは、当該行政処分が最初から無効であり、当然国民を拘束することができない。

新行政訴訟法第5条により、国民は更に政府機関に対して特定の行政処分を為すよう求める権利を付与される。要するに、国民は政府機関にある種の申請を提出したにもかかわらず、当該申請を受理した政府機関は法定期間内に為すべき行為を為さなかった(不作為)、又は国民の申請を却下したことにより、人民の権益に損害を与えたと認めたときは、訴願手続きを済ませた上で行政訴訟を提起し、裁判所に対して政府機関に行政処分を為すよう、又は内容の特定した行政処分を命じるよう求めることができる。

一方、政府機関による不当利得が生じた場合、国民は訴願の手続きを経ないで直接行政裁判所に「給付訴訟」を提起して、勝訴判決に基づいて政府機関が不当利得で取得した利益の返還を請求することができる。「給付訴訟」は財産上の訴訟ではあるが、行政訴訟は原則として訴訟費用を支払う必要がないため、民事訴訟と比べてもっと経済的で便利である。

以上に述べた個人の権益に関する訴訟のほか、政府機関によって為されたある行政処分が違法であることを国民が発見したときは、自分自身の権益に関係なくとはいえ、社会公益を守るために当該政府機関の不法行為について行政訴訟を提起し、政府機関に対して原処分の取消し又は変更を求められるというのは今回新しく設けられた「公益訴訟」である。

訴訟種類の増加により、国民が行政裁判所に向かって政府に対して主張しうる権利が強化され、訴訟手続きによるより一層の保障が得られるように訴訟の審級制度及び手続きにおいても大幅な改正がなされた。さらには、人民と政府機関との間の紛争を行政訴訟を通じて中立かつ公正的な立場から解決するために、新制では、書面審理を主とする現行制度を高等行政裁判所では口頭審理(即ち原告、被告は出廷して意見を陳述し、口頭弁論を行わなければならない)、そして最高行政裁判所では書面審理主義を採るように改める。

 

行政訴訟制度の新旧比較

 

前置手続き

訴訟手続き

訴訟種類

 

二級二審

取消し訴訟のみ訴願の手続きを経る必要がある。その他の訴訟は直接高等行政裁判所に訴訟を提起することができる。

高等行政裁判所は口頭審理主義を採り、並びに職権により調査をすることができる。最高行政裁判所は書面審理主義を取る。

取消し訴訟、確認訴訟、給付訴訟、公益訴訟

  

一級一審

訴願及び再訴願の手続きを経る必要がある。

書面審理主義

取消し訴訟のみ

 

2000.6.19 聯合報より
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