特許侵害鑑定報告は法律見解を遵守すべし

J040127Y1 2004年2月号(J55)

 台北高等行政法院、世新大學法学院が共催の「行政法院特許判決研究会議」は行政法案の特許関連判決に於ける特許要件の認定の基準と作法を巡る討議をおこない、見解を述べている。 

 それによれば、行政法院の特許と判決は各案件の請求項と争議事項を明確に示すべきであり、当事者に特許の請求範囲を明示するよう努めるべきとしている。一方、裁判所が外部の鑑定機関に侵害などに関する鑑定を委託する場合、当該鑑定期間は実体技術に関する事項に限定して意見を開陳するのみに留まるべきで、それを裁判所の決済事項となる法律解釈や法律事務見解を主張する立場ではないとしている。 

 又、特許権利範囲と特許の有効性の認定は全て特許出願の請求範囲(クレーム)及び明細書の記載に従って判断されるので、当事者の陳述がそれに補足する範囲内に限って参考にされ得るので、法律見解の主張をする前に、まず事実の確定が重要だと思われる。そのため、特許出願の経過に出される処分と意見書、異議審定書、訴願書及び各レベルの判決書等、まず事実の供述に関する明確な記載が必要である。事実に基づいて法律争点をまとめ、立証と推論、そのうえ条文適用を巡る攻防を展開すべきである。争点を管理した上の訴訟進行は、当事者間の交流に寄与する上、濫訴の防止と行政資源の浪費の防止にも繋がる。 

 そのため、侵害鑑定の専門家は実態技術の判断に絞って客観的な意見を提示することに専念するのが大事だと思われる。この分野の判断なら特許の主務官庁知的財産局は当然最たる権威的な機関である。一方、法律論点の運用と展開に関する判断は専ら司法機関の職権に従うべきである。このような分業と処理の流れの確立が特許関連紛争の解決の決め手となる。(2004.01)
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