新薬資料専属権 外資製薬会社がしきりに台湾政府に働き掛け
J040103Z1 2004年2月号(J55)
新薬の開発の資本集約が進化するなか、新薬販売許可の申請に提示される臨床実験等関連情報の価値が高騰すると共に、その情報を政府機関以外の第三者に流用されることがないよう新薬開発の製薬会社が新薬関係の資料に関する専属権の制度の樹立を要請している。
2003年10月頃欧州経済貿易台湾駐在公館が台湾行政院衛生署に対して、「新薬臨床研究関連資料に関する6年間の提示側に専属する権利」を巡る法改正案を提議した。それ以来、外資系製薬会社が更に台湾政府側に働き掛けて、立法の早期化を積極的に遊説してきた。政府側も、法曹界の協力を得て、「資料専属権」のWTO(世界貿易組織)傘下に於ける法律準拠を確立した上、内外の製薬会社の協議の元で合意された制度をまとめる意欲を示している。一方、台湾国内の製薬会社協会も、新制度の導入によって国内の製薬会社の固有の権限が犠牲にされることを許さない姿勢を固めている。
外資系製薬会社は「資料専属権」確立のための法改正にあらゆる側面から推し進めている。ACC(American Chamber of Commerce)、製薬工業協会(PHRMA)EUの台湾駐在公団事務局、日本の台湾駐在公館、及び台湾に本拠点を置く「台湾開発製薬協会」(IRPMA)等々の組織や団体が次々台湾行政院や傘下の製薬事業管轄機関にあたる衛生所に対してしぶとく働き掛けを続けた。TRIPS協定では新薬資料専属権に関しては次の条件と例外を示している:基本条件(1)新薬が全く新規の化学合成物からなるもので(2)関連資料が全く未公開のものに限定される;但し上記の条件に合致した新薬の関連資料に対しても、専属権制度を導入して製薬会社に保障を与えるかに関する政策制定の主導権は、国民の権益と社会情勢などを考慮して会員国にが保留できるとの例外規定も設けてある。