台湾初法曹三者相互評価 弁護士制度改革の課題が浮き彫りに

J050921Y6 2005年10月号(J74)

 台湾司法史上初の、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者が一年間にわたって互いに監督し評価しあう結果がようやく出来上がった。

 

1992年、台北弁護士会の故林敏生前理事長(当事務所創設者)は法曹界に先立って台北地方裁判所と台湾高等裁判所本部の裁判官全員を対象に弁護士会の会員による評価を行った。1996年、財団法人民間司法改革基金会(以下、基金会)においては裁判官評価、1999年に検察官評価、そして2003年には新竹地区(新竹県、新竹市)における弁護士評価を行っている。評価も、裁判官全員の氏名を列挙して弁護士が裁判官に対する主観的印象により評価する方法から、弁護士が今まで担当してきた案件に関わった裁判官が対象になるという、評価に客観性を持たせた形に進化した。

 

去年の130日、基金会は台北地方裁判所、台北地方検察署、台北弁護士会と共同で台北地区における法曹三者評価を実施することを発表し、評価方法の精緻化を求める各界の声に応えて、やや複雑な評価方法を取り入れた。評価は1年間を上半期、下半期の二段階に分けて行う。第一段階は200421日から731日、第二段階は81日から2005131日までとする。期間中に台北地裁に係属している通常手続きの刑事事件及び台北地方検察署で捜査中の事件に当たっている裁判官、公訴チーム検察官、捜査チーム検察官、弁護士が互いに評価する。評価項目は、法廷に臨む態度、作成書類の品質、準備手続き、審理手続き、尋問と弁論の表現力など専門家としてあるべきものの外に、事件処理状況(故なく遅滞していないか)、節操・品行、今の職に適任かどうか等についても意見を問う。

 

今回の評価結果は客観的事実を表している。例えば、新しい刑事訴訟制度が実施されて2年、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者は自らのこの制度における位置付けを徐々に把握してきていること、公訴担当検察官の実績が最も高く評価されているのは一般の国民の印象と一致していること。弁護士への評価が法曹三者で一番低かったのは、裁判所や検察署がもっている利用可能な公的資源がないということもあるが、それよりも今の弁護士制度では職業訓練の不十分や専門家・分業化などが問題になっている。(2005.09

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